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支払利息
- 収益の帰属事業年度
- 益金の額の範囲及び計算
- 損失の帰属事業年度
- 損金の額の範囲及び計算
- 圧縮記帳
- 引当金
- 繰越欠損金
- 借地権の設定等に伴う所得の計算
- 特殊な損益の計算
- 適格合併
請求人の主張する借入金は存在しないから、支払手数料勘定に計上した支払金(支払利息)は損金に算入できず、コンサルティングフィ、ロイヤリティについても、損金算入を認めなかった事例
裁決事例集 No.36 - 120頁
請求人が支払手数料として計上した金額は、請求人の代表者の個人的投資行為に関連するものであって、請求人の業務に関連しないものであるから損金の額に算入することは認められず、また、コンサルティングフィ及びロイヤリティについても、それぞれ親会社の負担すべき費用及び支払義務のないものを損金の額に計上したものであり、損金の額に算入することは認められない。
なお、支払手数料及びロイヤリティについては、その支払義務のないものを支払義務があるかのようにその事実を仮装して損金の額に計上したものであって、重加算税の賦課の対象としたことは相当である。
昭和63年12月21日裁決
請求人が代表者個人から引き継いだとする借入金等に係る支払利息について、その一部は損金の額に算入されるとした事例
《ポイント》
本事例は、請求人が、いわゆる法人成りによる設立の際、代表者個人の債務を引き継いだとして各金融機関等に利息等(本件支払利息)を支払ったことについて、請求人が各金融機関から借入れをしたとは認められず、代表者個人が支払うべき利息であると認定したが、本件支払利息のうち一部(当座貸越利息及び手形割引料等)は、いずれも請求人の責任により生じたものと認め、損金の額に算入したものである。
《要旨》
請求人は、代表者から引き継いだ借入金に係る利息(本件支払利息)の支払は、事業を引き継いだ請求人に対して金融機関から請求され、請求人が負担すべきものとして支払をしたものであり、本件支払利息は損金の額に算入することができる旨主張し、原処分庁は、請求人が代表者の債務を引き受けたとは認められず、本件支払利息は代表者が支払うべきものであり、損金の額に算入できない旨主張する。
しかしながら、請求人と代表者との間には、金融機関等に対する債務の引受けの合意はあると認められるものの、金融機関は正式にそれを受け入れる旨の表明等をしておらず、債務者を代表者としたままであったことが推認される。そうすると、請求人に生じた債務は飽くまで代表者に対するものであり、請求人が借入れの相手先を金融機関としていたとしても、請求人が金融機関から借入れをしたと認められるものではない。したがって、金融機関に対し利息を支払うべき者は代表者というべきであり、請求人には支払の義務は認められず、代表者に対して求償権が発生したものと認められるから、請求人の損金の額に算入されない。
他方、本件支払利息のうち当座貸越利息及び手形割引料等は、いずれも請求人の責任により生じたものと認められることから、損金の額に算入すべきである。