所得金額の計算

資産の評価損

  1. 収益の帰属事業年度
  2. 益金の額の範囲及び計算
  3. 損失の帰属事業年度
  4. 損金の額の範囲及び計算
    1. 売上原価
    2. 山林ぶ育費
    3. 有価証券の評価
    4. 固定資産の取得価額
    5. 減価償却資産の償却等
    6. 繰延資産の償却等
    7. 役員報酬、賞与及び退職給与
    8. 使用人給与、賞与及び退職給与
    9. 寄付金
    10. 外注費
    11. 海外渡航費
    12. 売上割戻し
    13. 弔慰金
    14. 支払利息
    15. 為替差損益
    16. 貸倒損失及び債権償却特別勘定
    17. 横領損失
    18. 損害賠償金
    19. 不動産取引に係る手数料等
    20. 福利厚生費
    21. 資産の評価損(7件)
    22. 燃料費、消耗品費
    23. 雑損失
    24. 使途不明金
    25. その他の費用
  5. 圧縮記帳
  6. 引当金
  7. 繰越欠損金
  8. 借地権の設定等に伴う所得の計算
  9. 特殊な損益の計算
  10. 適格合併

株式方式によるゴルフ会員権が取引市場において下落した場合であっても、発行法人の資産状態が著しく悪化したものではないとして損金算入を認めなかった事例

裁決事例集 No.59 - 172頁

 請求人は、本件株式のゴルフ会員権売買市場における取引価額が下落したことは、当該株式の発行法人の土地及び借地権の価額等の下落が主たる要因でその資産状態が著しく悪化したことは明白であり、本件評価損は施行令第68条第2号ロの規定に該当すると主張するが、本件株式はGゴルフクラブの会員権としての地位を表章しているものであるところ、そのゴルフ会員権売買市場における取引価額は、ゴルフ場の施設利用権としての価値の上下を含む需要と供給の関係で成立するものであるから、その取引価額が下落したことをもって直ちに、発行会社の資産状態が著しく悪化したことを意味するものではないし、また、当審判所の調査によっても、発行会社の資産状態が著しく悪化したとの事実を認めることができず、施行令第68条第2号ロに規定する「有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化した」ことには該当しないから、請求人の主張は採用できない。

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簿外のたな卸資産に係る評価損については、所定の評価換え及び損金経理がなされていないから、その損金算入は認められないとした事例

裁決事例集 No.65 - 376頁

 請求人は、帳簿から除外したたな卸資産につき、翌事業年度において仕入価格を下回る価格で販売したこともあるから、販売可能な価額で評価すべきである旨主張する。
 しかしながら、除外したたな卸資産については、法人税法第33条第2項に規定する評価換え及び損金経理による帳簿価額の減額をしておらず、その評価損を損金に算入するための要件を満たしていないから、請求人の主張は採用できない。

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分譲マンションの建設用地について、本件土地を含む地域が地すべり防止区域に指定されたこと及びおよそ300メートル離れた同様の傾斜地で土砂崩れがあったことは、評価損が損金に算入される法人税法施行令第68条第1号ニの「準ずる特別の事実」に該当しないとした事例

裁決事例集 No.65 - 387頁

 請求人は、本件土地の取得前後に本件土地を含む地域が地すべり防止区域に指定されたことにより、許可を受けたものの、その際に付された許可条件を満たすための工事が工法上困難なものであるため分譲マンションを建設することができない土地となったと主張する。しかしながら、分譲マンション建設のために都市計画法許可及び地すべり等防止法許可を受けており、本件土地に分譲マンションを建設し、それを販売することは可能である。したがって、地すべり防止区域の指定を受けたことによって、通常の方法により販売することができなくなったものとは認められない。
 また、地すべり等防止法許可の際に付された条件は通常許可を受ける際に付される一般的な条件にすぎず、加えて工法上の問題と事業の遂行に多額の費用を要することは、本件土地が急傾斜の斜面であることから生じるものであって、本件土地が地すべり防止区域の指定を受けたことによって生じたものではない。
 請求人は、平成10年の近隣地区の土砂崩れにより、同様の状況にある本件土地は極めて危険な土地と判断され、本件土地の価値が著しく低下したと主張する。しかしながら、平成10年の土砂崩れは本件土地からおよそ300メートル離れた場所で発生したもので、それによって本件土地に物質的な欠陥が生じたものでもなければ、そのことから本件土地が土砂崩れを起こす可能性が増大したと認めることもできない。
 したがって、請求人の主張は、いずれも法人税法施行例第68条条第1号ニの「準ずる特別の事実」に該当しない。

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固定資産である本件土地は1年以上遊休状態にあったが、そのことにより価額が低下した事実は認められないため、本件評価損の損金算入は認められないとした事例

裁決事例集 No.65 - 401頁

 請求人は、本件評価損につき、同土地が法人税法施行令第68条第3号ロに規定する「1年以上にわたり遊休状態であること」に該当し、その価額も帳簿価額を下ることとなっているから、同法第33条第2項の規定により、本件事業年度の損金の額に算入すべきであると主張する。
 しかしながら、同項は、「内国法人の有する資産につき災害による著しい損失その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下ることとなった場合において」と規定しているところ、本件土地については、1年以上にわたり遊休状態であるものの、そのことにより本件土地の価額が帳簿価額を下ることになったとの事実は認められないため、本件評価損について法人税法第33条第2項の規定を適用することはできない。

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預託金制ゴルフ会員権の取引価額が取引市場において単に下落したことは、資産の評価損の計上ができる場合には当たらないとした事例

裁決事例集 No.67 - 464頁

 請求人は、本件各ゴルフ会員権は、実質的に優先的プレー権がなく、預託金の返還も期待できず、著しく価格が下落しているので、法人税法施行令第68条第3号ヘに規定する特別の事実に該当し、その評価損は損金の額に算入できると主張するが、本件事業年度の末日までにおいて、請求人が本件各ゴルフ場を優先的に利用する権利を失ったという事実は認められないこと、及び単なる取引価格の下落は、法人税法施行令第68条第3号イからヘまでに掲げる固定資産の評価損の要件とはされていないことから、本件各ゴルフ会員権に係る請求人の主張は、法人税法施行令第68条第3号に規定する各事実とは認められず、また、そのほかにこれらの規定に該当する事実は認められないので、本件評価損を本件事業年度の損金の額に算入することはできない。

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子会社株式の価額の回復可能性の判断は、将来の回復可能性について判断するのであるから、事業年度終了の時までの当該子会社の業況等や既に行われた事実のみで判断するのではなく、既に具体的に実行することが決定されている事業計画等がある場合には、これについても含めて判断するのが相当であるとして、子会社株式の評価損の計上は認められないとした事例

裁決事例集 No.77 - 281頁

 請求人は、1外国子会社P社の株式の価額の回復可能性の判断は翌事業年度の増資払込みを含めて行うべきではないこと、2本件増資は実質的には「つなぎ資金の貸付け」であり、本件増資にはP社の業績回復に直結する経済効果はないことから、P社株式の価額には回復が見込まれず、本件評価損の損金算入は認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、P社株式の価額の回復可能性の判断は、本件事業年度終了の時までの株式発行法人の業況等や既に行われた事実のみで判断するのではなく、既に具体的に実行することが決定されている事業計画等がある場合には、これについても含めて判断するのが相当であり、本件においては、本件事業年度中に、請求人の取締役会において外国事業の経営改善計画として本件事業年度及び翌事業年度にP社に追加出資を行うことが決定されていること等からすれば、当該外国事業の経営改善計画も含めて判断することが相当である。そうすると、当該経営改善計画を実施すれば、P社は単年度ベースで利益が生じ、その資産状態が改善される方向にあったことが認められる。よって、本件事業年度終了の時において、P社の株式の価額の回復が見込まれないとはいえないから、請求人の主張は採用できない。

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預託金制から株式制に転換されたゴルフ会員権(株式)について、1株当たりの純資産価額には著しい下落は認められないとして株式の評価損の計上を認めなかった事例

裁決事例集 No.79

 預託金制から株式制に転換されたゴルフ会員権は、その転換の前後においてもゴルフ会員権としての資産の同一性を維持しており、また、この転換により請求人が保有することとなった本件株式に対して付与された価額(払込価額)は、発行会社の時価純資産価額を算出して決定されたものではなく、他社の預託金問題の解決事例にならって単に額面金額の50%と決定したものに過ぎず、預託金債権を回収し株式制ゴルフ会員権に転換することを目的として付与された、特に法的又は経済的な裏付けのない名目的な価額に過ぎないから、本件株式の帳簿価額は、預託金制ゴルフ会員権の帳簿価額を引き継ぐこととするのが相当であり、転換に伴い帳簿価額を減額することは認められない。
 そして、本件株式は、一連の転換スキームに伴い取得したものと認められるところ、請求人が本件評価損が生じていると主張する平成19年8月期末における本件株式1株当たりの純資産価額は、本件株式取得時の1株当たりの純資産価額に比しておおむね50%以上下回っているとは認められない。そうすると、本件株式を発行する法人の資産状況が著しく悪化したとは認められないから、本件株式について評価損を計上することは認められない。

《参照条文等》
法人税法第33条
法人税法施行令第68条
法人税基本通達9−1−9

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