所得金額の計算

貸倒引当金

  1. 収益の帰属事業年度
  2. 益金の額の範囲及び計算
  3. 損失の帰属事業年度
  4. 損金の額の範囲及び計算
  5. 圧縮記帳
  6. 引当金
    1. 貸倒引当金(2件)
    2. 賞与引当金
    3. 退職給与引当金
  7. 繰越欠損金
  8. 借地権の設定等に伴う所得の計算
  9. 特殊な損益の計算
  10. 適格合併

当初の決算を変更し、変更後の決算において新たに貸倒引当金の繰入損等の損失を計上したことは確定決算で損金経理をしたことにならないとした事例

裁決事例集 No.28 - 241頁

 請求人は、申告後の臨時株主総会で承認された新計算書類において新たに損金経理が要件とされる貸倒引当金の繰入損等の損失を計上しているが、法人税法上当初決算を修正、変更した後の決算を「確定した決算」とみるかどうかについては、商法の規定による決議の無効若しくは決議の取消しに基づく決算の変更又は行政官庁の命令等特別な事由に基づく決算の変更があった場合以外には法人税法上の「確定した決算」は、依然として当初の決算を指すものと解されるところ、本件はこれら特別な事由に基づく決算の変更ではないから、請求人が新計算書類において、これらの損失を計上しても損金経理要件を充足したことにならない。

トップに戻る

事業年度末までに担保不動産の競売が実行されて売却価額が確定している金銭債権の個別評価額の計算においては、競落価額から競売予納金を控除した額が担保権実行による取立見込額となるとした事例

裁決事例集 No.79

 原処分庁は、法人税法施行令第96条第1項第3号に規定する、個別評価金銭債権の額から控除する「担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額」とは、貸金等のうち担保物の処分見込額に相当する金額をいうものと解されることから、当該金額の計算上、競売予納金を控除すべきでない旨主張する。
 しかしながら、本件各貸出金の担保不動産のうちq物件及びs物件については、事業年度末までに競売が実行され、売却価額が確定しており、申立債権者(請求人)にはその売却価額から債務者が負担すべき競売費用が優先的に償還され、担保権者である請求人にはその残額が配当されることになるが、債務者から競売費用相当額部分を回収する見込みがない本件各貸出金については、q物件及びs物件の担保権によって担保されている部分の金額は、その売却価額から競売費用相当額を控除した残額とみるのが相当である。そして、各執行裁判所は競売手続上の費用に充てるものとして合理的と認められる金額を競売予納金の額としていることからすれば、本件事業年度末において見込まれるq物件及びs物件の競売費用相当額は競売予納金の額とするのが相当であり、請求人自らが競売予納金の額を取立不能の競売費用相当額であると認識して担保不動産に係る担保権によって担保されている部分の金額を算出していることを踏まえると、本件事業年度末において本件各貸出金のうち「担保権の実行により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額」については、q物件及びs物件の売却価額から両物件に係る競売予納金の額を控除した額とみるのが相当である。

《参照条文等》
法人税法第52条第1項
法人税法施行令第96条第1項第3号
法人税基本通達11−2−5

トップに戻る