所得金額の計算

特殊な団体の損益

  1. 収益の帰属事業年度
  2. 益金の額の範囲及び計算
  3. 損失の帰属事業年度
  4. 損金の額の範囲及び計算
  5. 圧縮記帳
  6. 引当金
  7. 繰越欠損金
  8. 借地権の設定等に伴う所得の計算
  9. 特殊な損益の計算
    1. 特殊な団体の損益(3件)
    2. 協同組合等の事業分量配当等
    3. 会社更生法の適用に伴う損益
  10. 適格合併

匿名組合契約に係る出資者が営業者より受ける利益又は損失の分配は、営業者の各事業年度末でなければ確定しないとした事例

裁決事例集 No.44 - 217頁

 請求人は、航空機のレバレッジド・リース事業に係る出資者の損益の課税の時期については、法人税基本通達14−1−3において匿名組合の計算期間の末日の属する事業年度と定められていることから、覚書計算期間の末日の属する事業年度である旨主張するが、出資者が営業者より受ける利益の分配は、営業者の各事業年度の確定決算により算定された匿名組合契約に係る事業の利益又は損失の額に基づき計算すべきと認められ、法人税基本通達14−1−3に定める計算期間は、匿名組合契約に規定される事業期間と解するのが相当であり、営業者の各事業年度の決算が確定しなければ、匿名組合の事業に係る減価償却費も確定しないと認められるから、覚書による計算期間を基礎とする減価償却費の算定方法は、単に、減価償却費を見積計上したものであり、合理的な算定方法とは認められない。したがって、本件匿名組合投資損失は、匿名組合事業の確定した損失の負担額とは認められないので、本件事業年度の損金とすることはできない。

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投資事業有限責任組合の法人組合員が純額方式により組合損益を計上している場合において、組合損益の計算上費用とされた株式の評価損は法人組合員においては損金の額に算入することはできないとした事例

裁決事例集 No.79

 請求人は、投資事業有限責任組合は構成員課税となっており、当該組合が有する資産、負債等については出資割合に応じて各組合員に直接帰属することになるから、その帰属損益額の計算を純額方式により計算している場合であっても、当該組合が有する株式のうち組合員である請求人の出資割合に応じた部分については請求人が直接有しているとして評価損を計上することができる旨主張する。
 しかしながら、組合員である法人が純額方式により組合事業に係る帰属損益額の計算をしている場合には、組合員が組合事業における配当金に係る収入や引当金に係る対象資産等を帳簿等で個別に計上しない等、組合事業における収入、原価、費用等及び資産、負債等の具体的な内容について、組合員が個別に認識することなく、その損益の計算結果だけを当該組合事業から受ける損益として認識しているものと考えられるところ、法人税法第33条第2項は、金銭債権を除く資産につき災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合に、損金経理により資産の帳簿価額を減額することを要件として評価損を認めているから、資産等を自らの帳簿等で個別に計上することのない純額方式においては、組合事業における資産の評価損は組合員の損金の額に算入できないと解するのが相当である。そして、請求人は、純額方式により組合事業に係る損益を計算しているから、本件評価損を損金の額に算入することは認められない。

《参照条文等》
法人税法第33条
法人税基本通達14−1−2

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各経費が収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用と認められ、当該各経費の収益事業への配賦については、個々の費用の性質及び内容などに応じた合理的な基準により配賦するのが相当であるとした事例(1平成23年10月1日から平成27年9月30日までの各事業年度の法人税の更正をすべき理由がない旨の各通知処分及び無申告加算税の各賦課決定処分、2平成24年10月1日から平成26年9月30日までの各課税事業年度の復興特別法人税の更正をすべき理由がない旨の各通知処分、3平成26年10月1日から平成27年9月30日までの課税事業年度の地方法人税の更正をすべき理由がない旨の通知処分・123一部取消し・平成31年2月15日裁決)

平成31年2月15日裁決

《ポイント》
 本事例は、請求人は、建物の区分所有等に関する法律第47条《成立等》第13項に基づき、法人税法の規定の適用については公益法人等とみなされ、公益法人等は収益事業を行う場合に限り、当該収益事業から生じた所得についてのみ法人税が課されるところ、収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用(共通費用)の配賦については、常に一律の基準で配賦するのではなく、個々の費用の性質及び内容などに応じた合理的な基準によりそれぞれ収益事業と収益事業以外の事業に配賦するのが相当であるとしたものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人が支払う委託費、点検費及び火災保険料(本件各経費)は、請求人が行う収益事業(本件収益事業)に直接要した費用とは認められず、また、本件各経費は、請求人が本件収益事業を行っていなくても発生するものであり、本件収益事業及び本件収益事業に付随する行為から生じた費用であるとはいえないから共通費用にも該当しない旨主張し、請求人は、本件各経費は共通費用に該当し、請求人の全ての収入の額のうち本件収益事業の収入の額の占める割合(本件収入割合)を乗じた金額で損金の額に算入すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件各経費は、本件収益事業と本件収益事業以外の事業の両方について生じたもので本件収益事業に必要な費用であるから共通費用と認められ、また、本件収益事業への本件各経費の配賦については、常に一律の基準で配賦するのではなく、個々の費用の性質及び内容などに応じた合理的な基準によりそれぞれ収益事業と収益事業以外の事業に配賦するのが相当であるから、管理員の従事時間あん分割合や共用面積あん分割合などにより収益事業に配賦するのが合理的であり、原処分の一部を取り消すべきである。

《参照条文等》
 法人税法第4条第1項、同法第22条第3項
 法人税基本通達15−2−5

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