税額の計算

外国税額控除

  1. 同族会社の留保金課税
  2. 税額控除
    1. 所得税額の控除
    2. 仮装経理に基づく更正に伴う法人税額の控除
    3. 外国税額控除(5件)

請求人が米国の子会社から、株式の償還による金員の支払いを受ける際に、米国において源泉徴収された税について、当該償還金は資本の払戻しであり、米国において源泉徴収された税は法人税法第69条及び同施行令第141条にいう「法人の所得を課税標準として課された外国法人税」に該当しないので外国税額控除は受けられないとされた事例

裁決事例集 No.59 - 178頁

 請求人は、本件償還金に課された源泉徴収税は、米国歳入法の規定により本件償還金が配当金とされたことにより源泉課税されたものであり、この源泉徴収税は、法人税法施行令第141条に規定する「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税」に該当し法人税法第69条に規定する外国法人税として外国税額控除の対象となる旨主張する。
 しかしながら、本件償還金は我が国においても米国においても減資による払戻しであり、払込金額と同額である本件償還金額は、およそ所得とは認められない。したがって、米国において本件償還金に課された源泉徴収税は、法人税法施行令第141条に規定する「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税」に該当せず、法人税法第69条に規定する外国税額控除の対象とはならない。

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外国税額控除は、確定申告書に記載され、書類の添付がされたことにより具体的に確認できる金額の範囲に限られるとした事例

裁決事例集 No.65 - 472頁

 請求人は、添付書類の内容から、確定申告書に記載された金額の記載が正当でないと合理的に推認される場合には、それらの内容から正当に計算された金額をもって法人税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)第69条第1項に規定する控除されるべき金額の限度と解すべきであるから、確定申告書に所定の記載及び書類の添付がない部分に係る控除も認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、同条第10項は、内国法人が確定申告書に外国税額控除を受けるべき金額として記載し、確定申告書に添付した書類が証する限りの金額を控除されるべき金額とする旨明確に規定し、同条第12号は、確定申告書に記載又は書類の添付がない金額について外国税額控除の適用を受けるためには、やむを得ない事情を要求していることからすると、本件においては外国税額控除の適用を受け得るのは、確定申告書に記載され、書類の添付がされたことにより具体的に確認することのできる金額の範囲に限られると解すべきあるから、請求人の主張は採用できない。

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外国関係会社から送金されるロイヤリティの額が、マレーシア国の源泉所得税を差し引いた後の額であることを知らされていなかったとしても、経理上通常求められる程度の検証作業を行えば容易に判明したといえるから、法人税法第69条第15項が規定する「やむを得ない事情」は存しないとした事例

裁決事例集 No.65 - 486頁

 請求人は、やむを得ない事情の判断は、外国税額控除の趣旨や納税者救済のゆうじょ規定の趣旨から、できるだけ二重課税を排除するという解釈、運用がなされるべきであり、外国関係会社からロイヤリティに関する送金内訳書及び公式領収書の送付を受けていなかったため、送金額がマレーシア外国税額を差し引いた後の金額であることを知らなかったこともやむ得ない事情があるものとして取り扱うべきであると主張する。
 しかしながら、法人税法第69条第15項に規定するやむを得ない事情とは、本人の責めに帰すことのできない事由により生じた客観的な事情をいうものと解されるところ、外国関係会社とロイヤリティ契約を締結したのは請求人の代表者であり、同者は当該契約書の記載内容は承知していたと認められるから、これらのことを関係部課に周知し又は伝達し、所要の措置を講ずるよう指示するなど、その職責上通常要求される事務を行っていれば、請求人において、ロイヤリティの送金額がマレーシア外国税の額を差し引いた後のものであることが容易に判明したといえる。
 また、確定申告書を提出するまでに、代表者からの契約書内容の伝達及び外国関係会社からの送金資料の送付がなかったとしても、外国関係会社に対してロイヤリティの送金額の算定根拠を確認するなど、経理実務において通常要求される程度の確認作業をしていれば、ロイヤリティの送金額がマレーシア外国税の額を差し引いた後のものであることが容易に判明したはずであり、本件のように、本人の責めに帰すべき事情が認められる場合にまで、同項の規定を拡大して解釈、運用することはできないというべきである。

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外国税額控除は確定申告書に記載された額を限度として控除されるが、この額は外国税額控除の適用を選択したと認められる範囲内において正当に算定される金額であると解するのが相当であるから、内国法人が、外国税額控除の適用を受けることを選択し、控除対象外国法人税の額の計算の基礎としている場合において、その控除税額の算出過程における誤った計算等により控除対象外国法人税の額が過少となり支払うべき法人税の額が過大となったときは、更正の請求ができるとした事例

裁決事例集 No.77 - 320頁

 原処分庁は、法人税法第69条《外国税額の控除》第16項は法人が自ら適正に計算した外国税額控除を受けるべき金額を確定申告書に記載していることを前提としており、同項に規定する「控除されるべき金額」とは、法人の確定申告書別表六(二)の「当期に控除できる金額(19)」欄とその金額が転記された別表一(一)の「外国税額(43)」欄に記載された具体的金額をいうと解されるから、本件更正の請求には理由がない旨主張する。
 しかしながら、法人税法第69条第16項に規定する「控除をされるべき金額」とは、内国法人が外国税額控除の適用を選択した場合において、申告記載金額誤り又は計算誤りにより結果的に申告記載した控除金額が過少になっているときには、内国法人が外国税額控除の適用を選択したと認められる範囲内において、これらの誤りを法令に基づき是正した上で正当に算定される金額であると解するのが相当である。
 また、原処分庁は、国税通則法第23条第1項に規定する1号事由の存否については、租税実体法である法人税法の規定により判断されるべきであり、租税実体法上、一定事項の申告書への記載等が適用要件とされているにもかかわらず、その記載がされなかった場合には、単に当該規定の適用を受けることができなくなるだけで、1号事由には該当しない旨、及び当該確定申告書に記載した税額等の計算において、請求人は、自らの選択により、控除を受ける範囲の金額を○○○○円とし、他に控除できる分の金額について控除を受ける範囲の金額に含めなかったのであるから、請求人が主張するように、その選択が誤りだったとしても、1号事由に該当する事実は認められないから、本件更正の請求には理由がない旨主張する。
 しかしながら、内国法人が、受取配当金について、外国税額控除の適用を受けることを選択し、控除対象外国法人税の額の計算の基礎としている場合において、その控除税額の算出過程において誤った計算又は解釈をしたことにより控除対象外国法人税の額が過少となり支払うべき法人税の額が過大となったときは、「税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったこと」に該当するものというべきである。

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間接外国税額控除制度におけるみなし外国税額控除の適用を失念して確定申告した場合において、確定申告書への記載及び書類の添付をしなかったことにつきやむを得ない事情はないから、更正の請求の要件に該当しないとした事例

裁決事例集 No.77 - 358頁

 請求人は、租税条約の規定により請求人のD国の子会社E社が納付したものとみなされる外国法人税の額(以下「みなし納付外国法人税の額」という。)について、提出した法人税の確定申告書に、法人税法第69条《外国税額の控除》第8項の規定による外国税額控除の適用を受けるために必要な記載をしていないため、控除されるべき税額が過少となり、その結果納付すべき税額が過大になっているので、国税通則法第23条《更正の請求》第1項に規定する更正の請求の要件に該当する旨主張する。
 しかしながら、E社のみなし納付外国法人税の額に係る外国税額控除に関し、必要な事項が本件確定申告書に記載されておらず、添付すべき書類も添付されていないことに加え、請求人は当該控除の適用を単に失念していただけであり、上記記載及び添付をしなかったことにつきやむを得ない事情もないので、本件確定申告書を提出する時点で、請求人はE社のみなし納付外国法人税の額に係る外国税額控除を適用できないから、更正の請求の要件にも該当しない。

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