青色申告

無申告、期限後申告

  1. 青色申告承認の取消し
    1. 帳簿の備付け義務違背
    2. 帳簿の不実記載
    3. 無申告、期限後申告(4件)
    4. 理由付記

無申告を原因とする青色申告の承認の取消処分に手続の違法があり、裁量権の濫用にわたる部分が存在するとの主張を退けた事例

裁決事例集 No.37 - 207頁

 昭和62年12月期以後の青色申告の承認を取り消した原処分は、請求人の事情を考慮せず、形式的申告期限の徒過という一事をもって、告知・聴聞の機会を与えずに行われたものであり、裁量的取消権限を濫用してなされたものであると請求人は主張するが、昭和61年12月期及び昭和62年12月期はいずれも無申告であり、昭和58年12月期から昭和60年12月期までについてはいずれも期限後申告であるという事実を踏まえて、原処分庁は、昭和62年12月期以後の青色申告の承認を取り消したものであり、当該処分に当たって、告知・聴聞など事前の手続を要する旨の法令上の規定はなく、また、裁量権を濫用した事実も認められないから、請求人の主張には理由がない。

トップに戻る

事務処理の遅れにより確定申告書を期限までに提出しなかったことは、災害その他やむを得ない事情があったとは認められないから、青色申告承認の取消処分は適法であるとした事例

裁決事例集 No.49 - 340頁

 請求人は、確定申告書をその期限までに提出しなかったのは、[1]経営コンサルタント業という仕事の社会的責任から、顧問先からの至急の要請があれば、自社のことは後回しにしてでも顧問先を優先せざるを得ないこと、[2]経理部員もその影響を受けたこと及び[3]代表者の保証先の経理を全面的にみることになったため、経理事務がほとんどできなかったことによるものであり、平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度(平成5年3月期)の確定申告書の提出が遅れたのは、平成5年3月に保証先が倒産したことにより、同年4月から5月までは残務整理及び債務の弁済の準備に追われ、同年6月に入って本来の仕事をすることができたというやむを得ない事情があったことによるものであり、また、平成5年3月中に青色申告の承認の取消処分の予告をしていないこと及び同取消処分を行った平成5年3月期とその直前事業年度との取扱いに矛盾があり、同取消処分は不当である旨主張する。
 しかし、請求人が確定申告書を提出期限までに提出しなかった理由は、単に請求人の事務処理の遅れによるものであり、また、平成5年3月期のみならず同期の前5事務年度の確定申告書についてもその提出期限までに提出していないので、請求人が確定申告書をその提出期限までに提出しなかったことにつき災害その他やむを得ない事情があったとは認められないから、原処分庁が青色申告の承認の取消処分を行うに当たり裁量権の逸脱、濫用があったとも認められない。
 また、青色申告の承認の取消処分についての予告等を行わなければならない旨を定めた法令上の規定はなく、同取消処分においていずれの事業年度までさかのぼるかは、税務署長の合理的裁量にゆだねられていると解するのが相当であり、同取消処分は、原処分庁において所定の手続を経て合理的裁量の範囲においてなされたものであり、また、原処分庁には、裁量権の逸脱、濫用の事実は認められないから、本件青色申告の承認の取消処分は適法である。

トップに戻る

法人税の青色申告の承認の取消処分について、原処分庁の裁量権の逸脱、濫用はなく、また取消し理由の附記も不備はないとした事例

裁決事例集 No.60 - 463頁

 請求人は、法人税の青色申告の承認の取消処分は、請求人に対し事前に説明や予告なしに行われたもので、原処分庁の裁量権を逸脱し、これを濫用して行われたものであり、また通知書に記載された取消し理由が記載されていないので、違法又は不当である旨主張する。
 しかしながら、法人税法第127条第1項各号の一に該当する事実がある場合に、実際に青色申告の承認を取り消すか否かは、税務署長の合理的な裁量に委ねられており、その裁量権の行使が社会通念上妥当性を欠き濫用したと認められるときは、当該処分が違法又は不当となると解されるところ、請求人は本件確定申告書のみならず、その前事業年度及び前々事業年度の確定申告書の提出についてもその期限を徒過しており、しかもその徒過した理由が請求人の事務処理の遅れであることから、本件取消処分が裁量権を濫用して行われたということはできない。
 また、請求人は、本件確定申告書を、その提出期限の延長申請をすることもなく、当該申告期限までに提出しなかったものであり、この事実は法人税法第127条第1項第4号に規定する取消事由に該当すること、また青色申告の承認の取消手続において、当該処分の相手方に対し事前に説明や予告を行わなければならない旨を定めた法令の規定はないことからすると、本件取消処分は適法である。

トップに戻る

期限後申告を理由とした青色申告の承認の取消処分は税務署長の合理的な裁量の範囲内で行われた適法なものであるとした事例

裁決事例集 No.64 - 359頁

 請求人が本件確定申告書をその提出期限である平成12年11月30日までに提出していないことは、法人税法第127条第1項第4号に規定する青色申告の承認の取消事由に該当することは明らかである。
 請求人は、何者かから請求人に対する仕事上の妨害、代表者に対する身体への危害や生活妨害等を受けていたことにより、本件確定申告書の提出が遅延したことにやむを得ない事情があったと主張するが、当審判所に提出された資料等によっても、当審判所の調査によってもこれを認めるに足りる証拠はないので、請求人の主張を認めることはできず、本件取消処分は原処分庁の合理的裁量の範囲内で行われた適法なものであると認められる。

トップに戻る