更正及び決定

その他

  1. 更正の理由附記
  2. 推計による更正又は決定
  3. 同族会社の行為又は計算の否認
    1. 逆合併
    2. その他(5件)
  4. 更正の要件

使用人が役員となった場合の退職金が過大であるとしてその一部を否認した事例

裁決事例集 No.6 - 38頁

 使用人から役員に昇任させる直前に俸給を3.5倍に引き上げて過大な退職金を支給したが、このことは、請求人が同族会社であり、また、本件使用人が同族関係者であるため行われた異常な行為であって、その結果請求人の法人税の負担を不当に減少させることとなった。
 したがって、その適正額を超える部分の金額について、請求人の行為又は計算を否認し、その超える部分の金額を同人に対する利益処分の賞与としたことは相当である。

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同族関係会社から出漁権を取得し同時にその出漁権を当該会社に賃貸した一連の取引は、法人税法第132条の規定に該当するとした事例

裁決事例集 No.9 - 23頁

 請求人が、同族関係会社から許可漁業の出漁権を売買により取得し、同時にその出漁権を当該同族関係会社に賃貸した一連の行為は、漁業法及び私法上適法であるとしても、経済人の行為として不合理、不自然であり、これらの行為又は計算を容認するときは請求人の法人税負担を不当に減少させる結果となると認められるとして、法人税法第132条の規定を適用した原処分は相当である。

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同族関係者である使用人に支給した賞与を法人税法第132条の規定により役員賞与に該当するとした事例

裁決事例集 No.16 - 28頁

 請求人は同族関係者である使用人の居宅の建築に際し融資した貸付金のうち一部を返済見込みがないとして、その貸付金相当額を賞与として支給したものとする経理をしているが、該当賞与の額は他の使用人と同一の支給基準により支給した年末手当のほかに、別途に支給したもので勤務の対価ではなく経済的利益を供与したものと認められる。ところで、当該使用人に対する経済的利益の供与の額を使用人賞与として損金の額に算入することは、請求人の法人税負担を不当に減少させる結果となることは明らかであって、かかる行為ができるのは請求人が同族会社であるからである。したがって、当該行為については法人税法第132条第1項の規定を適用し、当該経済的利益の供与の額を所得の金額の計算上損金の額に算入しなかった原処分は相当である。

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親会社からの劣後特約付借入れが法人税の負担を不当に減少させる行為に当たるとして、当該借入れに係る支払利息の額のうち適正利率により計算した額を超える部分の損金算入を否認した事例

裁決事例集 No.74 - 197頁

 請求人は、親会社からの劣後特約付の借入れ(本件借入れ)は、1請求人の組織再編に伴うメーカーや卸業者からの保証金差し入れ要求に備えるため、2設備投資(リース)及び新店舗の展開を行うため、並びに3請求人の財務体力・信用力の維持を同時に実現するために行ったのであるから、合理性があった旨主張する。
 しかしながら、請求人は、本件借入れ時点において十分な事業資金を有しており、請求人には劣後特約を付した高率の利息を支払ってまで借入れを行う必要性は全く認められないことからすれば、請求人が本件借入れを行ったことは、通常の経済人を基準にすれば、経済的合理性のない不自然・不合理な行為と認められ、結果的に法人税の負担を不当に減少させるものと認められる。したがって、法人税法第132条の規定を適用して劣後特約を否認し、通常あるべき行為(劣後特約の付されていない借入れ)に引き直すと、本件借入れの適正な利率は、請求人の当時の取引銀行からの平均調達金利とするのが相当であるから、それを超える支払利息は、何ら対価性がなく、法人税法第37条第7項に規定する寄附金と認めるのが相当である

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解散が見込まれている関連会社に増資払込みを行い、同社の清算結了により当該払込金を投資損失として損金の額に算入した行為は、純経済人として不自然・不合理な行為であり、法人税を不当に減少させるものであるから、当該投資損失(清算配当金控除後)の金額は損金の額に算入されないとした事例

裁決事例集 No.78 - 376頁

 請求人は、請求人が債務超過の状態にあるG社の増資(以下「本件増資」という。)を引受け、これに係る本件増資払込金を同社の清算結了により投資損失(以下「本件投資損失」という。)として処理したことについて、本件増資は株主の判断として通常なされる取引であり、また、請求人において発生が懸念される追加の損失や信用の失墜を最小限に食い止めるために行った本件投資損失の負担は経済的合理性があるから、本件増資払込金の支払は、法人税法第37条第7項に規定する寄附金に該当しないし、通常の経済人では行うことのない不自然、不合理な行為ではなく、法人税法第132条の同族会社の行為計算否認規定の適用はない旨主張する。
 しかしながら、請求人は、G社が営業休止、解散に向けた事務処理を行っているにもかかわらず、特段の事情も無く、第三者割当による有償増資に応じていること、また、請求人と関連会社で代表者が共通しているものの、資本関係や資金融通関係も無く、取引も少額であり、請求人が増資を引き受けなければならない必要性も無いことから、請求人が本件増資払込金を支払ったことは、純経済人の行為として不合理、不自然なものであり、これを投資損失として処理し、清算配当金との差額を損金の額に算入して法人税の確定申告し、法人税を不当に減少させていると認められるから、法人税法第132条の同族会社の行為計算否認規定の適用により当該金額については損金の額に算入することは認められない。

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