相続税の課税価格の計算

代償分割

  1. 分割財産に係る課税価格
    1. 代償分割(3件)
    2. 特別縁故者に対する財産分与
    3. 遺留分減殺請求により取得した金員
    4. その他
  2. 非課税財産
  3. 債務控除
  4. 相続開始前3年以内の贈与
  5. その他

代償分割により取得した代償金について相続税の課税価格に算入すべき価額は、代償分割時における代償財産の通常取引される価額と相続税評価額の比により圧縮するのが相当であるとした事例

裁決事例集 No.41 - 302頁

 代償分割の方法により遺産の分割が行われ、代償財産として金銭が交付された場合、代償財産の交付を受けた者及び代償財産の交付をした者の相続税の課税価格の計算については、[1]相続開始の時と代償分割の時との間に遺産の価額が著しく変動しており、[2]その代償分割が裁判所における審判・調停・和解等により行われ、かつ、[3]代償分割の対象となった財産及びその財産の代償分割の時における通常取引される価額がすでに明らかになっており、その価額を明確に把握することができるときは、その相続開始の時における代償債権の価額を求める方法としては、次の算式によるのが相当である。

交付される金銭の額 × 当該金銭の交付者が遺産分割により取得した財産で代償分割
の対象となったものの相続開始時の価格(相続税評価額) 
当該金銭の交付者が遺産分割により取得した財産で代償分割
の対象となったものの代償分割時の通常取引価額

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相続の開始後に認知によって相続人となった者が価額弁償により取得した本件価額弁償金について相続税の課税価格に算入すべき価額は、価額弁償の対象になった財産の価額弁償時における通常取引される価額と相続開始時の価額(相続税評価額)の比により圧縮するのが相当であるとした事例

裁決事例集 No.43 - 336頁

 民法第910条“分割後の被認知者の請求”に基づく価額弁償の請求の調停により価額弁償金が交付された場合、当該弁償金の交付を受けた者及び交付をした者の相続税の課税価格の計算に当たっては、[1]相続開始時と価額弁償時との間の遺産の価額が著しく変動しており、[2]その価額弁償が裁判所における判決、和解、調停等により行われ、かつ、[3]価額弁償の対象となった財産及びその財産の通常取引価額が既に明らかになっており、その価額弁償時の価額を明確に把握することができる場合は、次の算式により、価額弁償金の額を圧縮計算するのが相当と認められる。

価額弁償金の額 × 価額弁償金の交付者が遺産分割により取得した財産で代価額弁
償の対象となったものの相続開始時の価格(相続税評価額) 
価額弁償金の交付者が遺産分割により取得した財産で代価額弁
償の対象となったものの価額弁償時の通常取引価額

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被相続人の先代の相続財産の遺産分割について、家裁の調停が成立し、代償分割による代償金を請求人らが受領したことは、被相続人が先代から相続により取得した代償債権を請求人らが本件相続により取得したと解するのが相当であるとした事例

裁決事例集 No.55 - 452頁

 請求人らは、被相続人の先代の相続財産の遺産分割について、家庭裁判所の調停が成立し、代償分割による代償金を受領したことは、既に本件相続に係る相続税の申告に含め課税された不動産に係る持分権の一部を失う代わりに、先代の共同相続人の一人から代償金を受領したものであるから、代償金は持分権の譲渡代金であって相続財産ではなく、また、これにより生じた所得は、所得税法第9条第1項第15号により非課税となる旨主張する。
 しかしながら、請求人らは、本件調停によって被相続人に代位して代償金を取得したのであり、このことは、被相続人が先代から相続により取得した代償債権を、被相続人の死亡を原因として、請求人らが被相続人から取得したと解するのが相当であるので、本件相続開始日における代償債権の価額を評価して、当該価額を本件相続税の課税価格とすることが相当である。

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