課税範囲

資産の貸し付けの範囲

  1. 課税取引
    1. 「事業として」の意義
    2. 「対価を得て行われる」の意義
    3. 資産の貸し付けの範囲(2件)
    4. 役務の提供の範囲
    5. みなし譲渡
  2. 非課税取引
  3. 免税取引

請求人は、反復、継続、独立した行為として土地を駐車場用に貸し付けており、これは消費税法上、事業として課税資産を貸し付けていることに該当するので、新規開業者ではなく、本件課税期間においては還付を受けるための申告はできないとした事例

裁決事例集 No.46 - 225頁

 請求人は、平成2年4月に駐車場を廃業した後、その跡地にマンションを新築し、平成3年6月から事業を開業して、同年7月新規事業の開業届とともに「消費税課税事業者選択届出書」を提出したので、本件課税期間において消費税の還付申告ができると主張するが、請求人は、廃業した駐車場以外の場所で土地を整備して駐車場として貸し付けており、対価を得て同種の行為を反復、継続、独立して行っていると認められるので、これは、所得税法における事業の概念とは異なり、事業の規模までは問わず、消費税法上の事業に該当する。
 したがって、請求人は、平成元年から課税資産の譲渡等に該当する事業を継続しており、本件課税期間は消費税法第9条第4項に定める「事業を開始した日の属する課税期間」には当たらない。また、本件課税期間に係る基準期間における課税売上高は959万円で免税事業者であるから、本件届出書の提出により課税事業者とされるのは、本件届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後になるので、還付を受けるための申告はできないとするのが相当である。

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請求人が舗装路面等(構築物)を設置し月ぎめ駐車場としていた土地を賃貸し、賃借人がこれを改修して無人時間貸駐車場にしたとしても、駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合に当たるとした事例

平成23年3月28日裁決

《ポイント》
 消費税法第6条《非課税》第1項及び同法別表第1第1号は、土地の譲渡及び貸付は非課税である旨規定しているが、同号かっこ書において「一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く」とし、これを受けた消費税法施行令第8条《土地の貸付けから除外される場合》は、「土地の貸付けに係る期間が1月に満たない場合及び駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合とする」と規定しているため、この場合には非課税から除外されることとなる。
 この事例は、請求人が月ぎめ駐車場としていた土地を賃貸し、賃借人がこれを改修して無人時間貸駐車場(コインパーキング)とした場合に、この「駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当するか否かにつき判断したものである。

《要旨》
 請求人は、たまたまアスファルトを敷設した土地をL社等に一時使用駐車場用地(土地)として貸し付けたものであり、L社等が、当該土地を無人時間貸駐車場(コインパーキング)として使用するに当たり、当該土地を改修して使用しており、貸し付ける直前の当該土地の形状をそのまま使用したものでないことなどを理由に、当該土地の貸付けは、消費税法上の非課税の土地の貸付けに該当する旨主張する。
 しかしながら、消費税法施行令第8条《土地の貸付けから除外される場合》は、土地の貸付けが消費そのものではなく、単なる資本の振替ないし移転であると考えられることから、原則として非課税取引とするものの、「駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合」は、土地そのものの貸付けではなく、駐車場その他の施設の利用に消費としての性格が認められることから、課税取引としたものであると解されるところ、請求人は、L社等との一時使用駐車場用地賃貸借契約(本件各契約)の締結前も駐車場として利用していたアスファルト舗装等の減価償却資産(構築物)が存する土地につき、L社等との間において、当該土地に無人時間貸駐車場の運営上必要な施設が追加された上で、無人時間貸駐車場として利用されることを認識しながら、当該土地上の駐車場として利用可能なアスファルト舗装等の減価償却資産(構築物)が存するまま貸与する旨合意し、実際に貸与したものであるから、本件各契約に基づく賃貸借は、いずれも単なる「土地の貸付け」ではなく、駐車場としての機能を備えた施設の利用に伴って土地が使用される場合に該当するものと認めるのが相当である。

《参照条文等》
 消費税法第6条第1項、別表第1第1号
 消費税法施行令第8条

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