課税範囲

免税取引

  1. 課税取引
  2. 非課税取引
  3. 免税取引(14件)

取引先である外国法人の発注に基づき第三者を介して当該法人に販売し、輸出代金を受領している取引は、輸出取引に該当するものの、請求人には、輸出証明書が交付されていないことから、消費税法第7条第1項に規定する輸出免税の適用を受けることができないとした事例

裁決事例集 No.50 - 257頁

  1.  本件取引は、取引先である外国法人からの発注に基づき、第三者に納入して当該外国法人から輸出代金を受領していることから、消費税法第7条第1項第1号に規定する輸出取引に該当するものと認められる。
     しかし、輸出免税の適用を受けるためには、輸出取引等を行った事業者は、税関長から交付を受ける輸出の許可若しくは積み込みの承認があったことを証する書類又は輸出の事実を税関長が証明した書類の保存が要件とされているところ、請求人に対して本件取引に関する輸出証明書が交付されていないため、輸出取引に該当するとしても、請求人は輸出免税の適用を受けることはできない。
  2.  請求人は、消費税法施行規則第5条第1項第4号において税関長の証する書類以外であっても取引の事実を証する書類であれば輸出取引を証明するものとする旨の規定をしていることをもって、本件取引も輸出免税の対象となる旨主張するが、本件取引は、同号に規定する取引に該当しないので、請求人主張は採用することができない。

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アメリカ合衆国の運送業者との契約に基づく引越貨物に係るキャリアー取引は、請求人が米軍又は米軍の公認調達機関に対して米軍の用に供するための役務の提供をなすものとは認められないため、消費税が免除されないとされた事例

裁決事例集 No.55 - 695頁

  1.  請求人は、アメリカ合衆国の運送業者とのキャリアー取引について、キャリアーが米軍に対して行っている取引の一環をなしている取引で、明らかに米軍の用に供する取引であることなどを理由に、所得税等臨特法第7条第1項が適用され、消費税が免除される旨主張するが、同項は、[1]事業者が、[2]米軍及び米軍の公認調達機関に対し、[3]米軍の用に供するため購入する課税資産の譲渡等を行った場合には、消費税を免除する旨規定しているところ、キャリアー取引は、請求人がキャリアーに対して役務の提供を行うものであり、請求人が米軍又は米軍の公認調達機関に対して米軍の用に供するための役務の提供をなすものとは認められず、上記[1]ないし[3]の要件を満たすものとはいえないから、同項の規定は適用されない。
  2.  また、請求人は、アメリカ合衆国の運送業者とのキャリアー取引について、所得税等臨特法第7条第1項の規定は適用されないとしても、キャリアー取引のうち日本国から日本国外への引越しについては、キャリアーとの契約上、日本国外にある目的地の港に到着するまで責任があることから、引越荷物の受渡場所は当該目的港であると考えられるので、消費税法第7条第1項第3号に掲げられている国内及び国内以外の地域にわたって行われる旅客若しくは貨物の輸送又は通信(以下「国際輸送等」という。)に該当するから消費税は免除されるべきである旨主張するが、キャリアー取引は、請求人が事業者として、キャリアーに対して軍人等の国際引越しに係るこん包、運送、保管、通関手続及び船積等の一環作業を行うという役務の提供を対価を得て行う取引であり、当該一環作業は、すべて日本国内において行われているものであるから、国際輸送等に該当するとは認められないこと等から、キャリアー取引のうちの日本国内から日本国外への引越しについて同号の規定は適用されない。

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在日米軍基地内にある取引先との取引が、日米地位協定の所得税等特例法に規定する免税取引に該当しないとした事例

裁決事例集 No.61 - 647頁

 請求人は、在日米軍基地内にある取引先との取引が、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律第7条に規定する免税取引に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件取引先の法的地位は合衆国政府の歳出外資金による機関であり、本件取引先との取引による請求人の課税資産の譲渡等は、上記に規定する合衆国軍隊又は合衆国軍隊の公認調達機関が合衆国軍隊の用に供するために購入するものには該当しないから、同条に規定する消費税の特例は適用できない。

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輸出証明書はあるものの、請求人が輸出したのはダミーであり、実物は輸出されずに国内において引渡しが行われていたことから輸出免税は適用できないとした事例

裁決事例集 No.65 - 851頁

 請求人が輸出したとする本件部品は、国内において相手方に引き渡されており、実際に輸出されたのは本件部品のダミーであったことが明らかであるので、消費税法第7条第2項に規定する輸出証明書類が形式的に整っているとしても同条第1項の規定を適用して消費税等を免除することはできない。
 また、課税事業者は、実際に消費者等から消費税相当額を預かったか否かに関係なく、課税標準等を基礎にして算出された消費税等の額を納付することが義務付けられているので、請求人が本件部品の取引において消費税等に相当する金員を相手方から預かっていなかったとしても当該取引に係る納税義務を免れることはできない。

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非居住者である外国法人の従業員を対象に国内で行う現場改善等のセミナーは、消費税法施行令第17条第2項第7号ハに規定する国内における飲食又は宿泊に準ずるもので、国内において直接便益を享受するものに該当することから、輸出免税等には当たらないとした事例

裁決事例集 No.65 - 864頁

 請求人は、本件セミナーは、その内容が主として講義及び現場実習等であり、日常生活の中で行われるサービスとは全く異なるものであるから国内飲食等に準ずるものとはいえず、また、その目的が現場改善、生産性向上であるから、その効果は国外に所在する本件外国法人の工場等の現場において完結し、本件外国法人は、国内において直接便益を享受しているとはいえないことから、消費税の輸出免税取引に該当するので、その代金は消費税の課税標準から減算すべきであると主張する。
 しかしながら、本件セミナーは本件外国法人の従業員に対して国内で行われる講義、現場実習、国内観光等であり、その代金には開催期間中の国内における食事代金、宿泊代金及び交通費が含まれ、いずれも国内で本件セミナーの参加者に対して行われる役務の提供であるから、日常生活において居住者、非居住者の区別なく同じサービスをするものか否かにかかわらず、国内飲食等に準ずるものに該当するものと認められ、また、本件セミナーは国内において実施され、かつ、国内において終了しているから、非居住者に対する国内における役務の提供であり、その便益を本件セミナーの参加者である従業員が国内で享受することにより本件外国法人が国内において直接享受するものとなり、役務の提供を享受した後の効果が国内で発現するものか否かを考慮する必要はなく、ともに国内において完結していると認められる。
 以上のことから、本件セミナーは、消費税法施行令第17条第2項第7号ハに該当し、輸出免税取引には該当しないから請求人の主張には理由がない。

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輸出予定先の事情により売買契約書どおりの船積みができなかった本件取引は、国内において引渡しが行われていたことから輸出免税は適用できないとした事例

裁決事例集 No.75 - 693頁

 請求人は、本件機械はいまだ国内に存しているものの輸出される予定であり、契約にある本件機械の指定港までの輸送、その輸出手続及び船積みが履行されていないことから、本件取引は、今現在(審判所調査時点)輸出途上にあるものであり、消費税法第7条第1項第1号に規定する輸出取引に該当する旨主張する。
  しかしながら、請求人において、R社との契約にある指定港までの輸送、輸出手続及びR社が手配した船舶への船積みが、輸出先予定のK国の事情によりできなかったとしても、1本件機械は製造が完了し、販売先であるR社の検収も了していること、2請求人はR社が検収した本件機械の一時保管を依頼され、保管料を受領して日本国内の倉庫に保管していること、3請求人とR社との間で交わされた交渉記録には引渡が行われた旨記載されていること、4請求人は本件機械の対価を事業年度末において売上げに計上していることから、本件取引は、国内において行われた課税資産の譲渡等に該当する。また、消費税法第7条第1項第1号に規定する「本邦から輸出として行われる資産の譲渡」とは、資産の譲渡取引のうち、当該資産を外国に仕向けられた船舶又は航空機に積み込むことによって当該資産の引渡しが行われるものをいうのであるから、本件取引はこの輸出取引に該当せず、輸出免税の適用はないため、請求人の主張には理由がない。

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国外向けに出航する船舶の外国人乗組員に対する中古車販売は、輸出の許可を受ける前に引渡しが完了していることなどから、輸出免税が適用される外国貨物の譲渡に該当しないとした事例

裁決事例集 No.77 - 508頁

 請求人は、国外に向け出港する船舶の外国人乗組員(以下「本件各購入者」という。)に販売した中古自動車等を、本船船側に移動することによって引渡し、消費税法基本通達9−1−2の定めに従って、継続的にこの引渡しの日を譲渡の日とする経理処理を行っており、この引渡しの時点では、当該中古自動車等は輸出の許可を受けた外国貨物であるから、その販売は、外国貨物の譲渡に該当し輸出免税の対象となる旨主張する。
 しかしながら、当該中古自動車等に係る取引は、請求人の中古自動車の展示場において売買価格を合意したことにより売買契約が成立し、本件各購入者が、代金の支払をしてそのフロントガラスにサインをしたときに引渡しが完了していると認められ、また、輸出の許可は、その後、本件各購入者が、当該中古自動車等を自己の携帯品等として旅具通関の手続により受けたものであり、単に請求人がそれを本船船側に移動した日を譲渡の日とすることは合理的とは認められないことから、当該中古自動車等の販売を外国貨物の譲渡ということはできない。

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旅券の番号、購入者の氏名及び生年月日が記載されていない購入者誓約書は、その提出した者が非居住者であることが確認できず、消費税法第8条第2項に規定する書類に当たらないことから、輸出物品販売場の免税の適用はできないとした事例

裁決事例集 No.79

 請求人は、旅券の番号、購入者の氏名及び生年月日が記載されていない購入者誓約書は、たまたま、一部記入漏れとなっていたものにすぎないから、消費税法第8条第2項に規定する「当該物品が非居住者によって同条第1項に規定する方法により購入されたことを証する書類」に当たる旨主張する。
 しかしながら、当該購入者誓約書の販売者氏名、上陸地、国籍、購入年月日、上陸年月日、品名、数量、単価及び販売価額の各欄には記載があるものの、当該購入者誓約書の「署名」欄はいずれも○○文字1文字しか記載されてないこと、当該購入者誓約書の旅券等の「番号」欄及び「購入者氏名及び生年月日」欄にはいずれも記載がないことからすれば、当該購入者誓約書では、当該購入者誓約書を請求人に提出した者が非居住者であるか否かを確認することができず、当該購入者誓約書は、記載された物品が非居住者によって消費税法第8条第1項に規定する方法により購入されたことを証する書類とはいえないから、請求人がこれを整理して保存していたとしても、当該購入者誓約書は、消費税法第8条第2項に規定する書類に当たらない。

《参照条文等》
消費税法第8条第1項、第2項
消費税法施行令第18条第1項、第2項、第6項
消費税法施行規則第6条、第7条

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旅行者に対して行われる日本国内での飲食、宿泊、輸送等の役務の提供は、非居住者である外国法人に対する販売であっても、輸出免税取引に該当しないとした事例

平成23年6月14日裁決

《ポイント》
 この事例は、旅行会社等が企画、手配するいわゆるパック旅行等における日本国内での飲食、宿泊、輸送等の役務提供は、販売先が国内に支店又は出張所を有しない外国法人であっても、当該旅行の参加者が国内において直接便益を享受する取引に当たる場合には、輸出免税取引に該当しないとしたものである。

《要旨》
 請求人は、請求人が旅行業を営む非居住者である外国法人に対して販売した国内パッケージツアーは、請求人が国内の各種サービス提供機関から、ホテル、レストラン、バス等の利用につき購入して作成した国内旅行を販売(本件取引)しているものであり、当該外国法人に対して飲食、宿泊、輸送等の役務の提供をしていないこと、また、当該外国法人は飲食、宿泊、輸送等の役務を国内において直接享受するものではないことから、消費税法施行令第17条《輸出取引等の範囲》第2項第7号のロ又はハに該当せず、消費税法第7条《輸出免税等》第1項に規定する輸出免税取引に該当し、原処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、請求人が当該外国法人から受領する本件取引に係る対価の額には、旅行者が各種サービス提供機関から直接便益を享受する飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額が含まれていると認められるところ、当該旅行者が飲食、宿泊、輸送等について国内において直接便益を享受していることは、消費税法施行令第17条第2項第7号のロ又はハに該当する輸出免税の対象となるものから除かれる非居住者に対する役務の提供に当たる。したがって、本件取引に係る対価の額のうち請求人が支払った飲食、宿泊、輸送等の役務提供に係る対価の額に相当する金額は、輸出免税取引の対価の額には該当しない。

《参照条文等》
 消費税法第7条第1項第5号
 消費税法施行令第17条第2項
 消費税法基本通達7−2−16

《参考判決・裁決》
 平成15年4月24日裁決(裁決事例集No.65・864頁)

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海外の旅行者向けの訪日旅行のうち当該旅行者が国内において飲食等のサービスを受ける対価に相当する部分の金額は輸出免税の対象とはならないとした事例(平22.6.1〜平23.5.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分・一部取消し・平成25年11月27日裁決)

平成25年11月27日裁決

《ポイント》
 本事例は、争点に関する請求人の主張については排斥したものの、請求人が、当初申告において国内における飲食等のサービスの対価に相当する金額について、課税売上げ及び課税仕入れのどちらにも含めずに納付すべき消費税等の額を計算していたことから、当該金額を課税売上げ及び課税仕入れの双方に含めて再計算した結果、課税売上割合が変動したことに伴い、更正の請求の一部が認められるとしたものである。

《要旨》
 請求人は、請求人が訪日旅行を主催する海外の旅行会社(本件海外旅行会社)に対して提供した当該訪日旅行の国内旅行部分(本件取引)は、旅行の企画、手配等とともに当該訪日旅行に参加した旅行者(本件旅行者)が国内において各種サービス提供機関から飲食、宿泊、輸送等の各種サービスを受けられるという地位を設定する包括的な役務提供であって、本件取引に係る対価の額には、飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額は含まれていないこと、また、本件海外旅行会社は、国外において当該地位の設定を受け、訪日旅行を販売できるという便益を国外で享受していることから、消費税法施行令第17条《輸出免税取引の範囲》第2項第7号イないしハのいずれにも該当せず、消費税法第7条《輸出免税等》第1項に規定する輸出免税に該当し、原処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、請求人が本件海外旅行会社から受領する本件取引に係る対価の額には、本件旅行者が各種サービス提供機関から直接便益を享受する飲食、宿泊、輸送等の役務の提供に係る対価に相当する金額が含まれていると認められるところ、本件旅行者が飲食、宿泊、輸送等について国内において直接便益を享受していることは、消費税法施行令第17条第2項第7号ロ又はハに該当し、輸出免税の対象となるものから除かれる役務の提供に該当する。また、本件海外旅行会社が受ける便益に関し、仮に請求人から提供を受ける包括的な役務というものを考えるとしても、請求人が本件旅行者に対し各種サービス提供機関をして各種サービスを提供させるのは、請求人の本件海外旅行会社に対する役務の提供と評価することが適当であり、本件海外旅行会社が国内において直接享受していると評価されることから、本件取引に係る対価の額のうち、請求人が各種サービス提供機関に支払った飲食、宿泊、輸送等の役務の提供に係る対価の額に相当する金額は、輸出免税取引の対価の額に該当しない。

《参照条文等》
  消費税法第7条第1項
  消費税法施行令第17条第2項第7号

《参考判決・裁決》
 平成23年6月14日裁決(裁決事例集No.83)

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請求人が合衆国軍隊と請求人との間に介在する米国法人と行った取引が日米地位協定の所得税等特例法に規定する免税取引には該当しないとした事例(平成23年4月1日から平成27年3月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・平成28年12月20日裁決)

平成28年12月20日裁決

《ポイント》
 本事例は、請求人が合衆国軍隊と請求人との間に介在する米国法人と行った取引について、日米地位協定の所得税等特例法及びそれを受けた所得税等特例法施行令に定める免税証明書の保存要件を満たしていないことから、所得税等特例法に規定する免税取引には該当しないとしたものである。

《要旨》
 請求人は、請求人とアメリカ合衆国(合衆国)軍隊の調達機関との間に合衆国の法人(本件米国法人)が介在する商品販売取引(本件取引)について、本件米国法人は合衆国軍隊の公認調達機関であり、合衆国軍隊の権限ある官憲の発給する免税証明書(本件免税証明書)が発給されたのであるから、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律(日米地位協定の所得税等特例法)第7条《消費税法の特例》第1項が適用され、消費税及び地方消費税が免除される旨主張する。
 しかしながら、同条第2項では、同条第1項の適用を受けるには政令で定めるところによる証明が必要である旨規定し、その委任を受けた日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律施行令第2条《消費税の免税手続》では、事業者が、同条に規定する免税証明書を日米地位協定の所得税等特例法第7条第1項の免税取引を行った日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、所定の方法で保存することを手続要件としているところ、本件免税証明書は審査請求後に発給されたものであり、本件取引においては、免税証明書の保存要件を満たしていないから、日米地位協定の所得税等特例法第7条第1項の適用を受けることはできない。

《参照条文等》
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律第7条
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律施行令第2条

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価格が20万円を超える郵便物として資産を輸出した場合に消費税の輸出免税規定が適用されるには、税関長が証明した書類の保存を要するとした事例(平成23年10月1日から平成27年6月30日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに当該各課税期間のうち特定の課税期間を除く各課税期間の消費税及び地方消費税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却又は却下・平成29年9月15日裁決)

平成29年9月15日裁決

《ポイント》
 本事例は、関税法上の郵便物の輸出入に係る簡易手続を経て資産を輸出した場合であっても、その郵便物の現実の取引価格が20万円を超えるものである場合には、消費税の輸出免税規定の適用に当たり、税関長が証明した書類の保存が要件とされるとしたものである。

《要旨》
 請求人は、その現実の取引価格が20万円を超えていた郵便物(本件郵便物)について、郵便発送伝票に20万円以下の金額が記載され、税関長の管理の下、何らの指摘もなく輸出されたものである以上、関税法第76条《郵便物の輸出入の簡易手続》第1項に規定する郵便物(簡易郵便物)として輸出されたものとして、消費税法施行規則第5条《輸出取引等の証明》第1項第1号に規定する輸出許可書等の保存がなくても、消費税法第7条《輸出免税等》第1項第1号の規定(輸出免税規定)が適用される旨主張する。
 しかしながら、関税法第76条第1項に規定する「価格」とは、現実の取引価格であると解されることなどからすると、ある郵便物が簡易郵便物に該当するか否かは、当該郵便物の現実の取引価格を基準として判断されるべきであり、また、簡易郵便物として資産を輸出した場合に当たるか否かは、当該郵便物が簡易郵便物に該当するか否かにより判断されるべきである。本件郵便物は、現実の取引価格が20万円を超えていることから、簡易郵便物として輸出したことには該当せず、したがって、輸出許可書等の一定期間の保存がない限り、輸出免税規定の適用はない。

《参照条文等》
 消費税法第7条第1項及び第2項
 消費税法施行規則第5条第1項
 関税法第76条第1項

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請求人が国際郵便により輸出した資産の譲渡については、消費税法第7条《輸出免税等》第2項に規定する証明がされていないため、輸出免税規定の適用はないとした事例(平成25年8月1日から平成26年7月31日まで、平成26年8月1日から平成27年7月31日まで及び平成27年8月1日から平成28年7月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の1各更正処分並びに2過少申告加算税の各賦課決定処分・1棄却、2却下・平成30年6月5日裁決)

平成30年6月5日裁決

《ポイント》
 本事例は、輸出申告時点で資産の価格が未確定である郵便物については、郵便物1個当たりの輸出時見積価格をもって当該郵便物の価格とみるのが相当であるとした事例

《要旨》
 請求人は、国際便物により輸出した資産の譲渡(本件取引)について、郵便物1個当たりの価格が20万円を超えないことから消費税法施行規則第5条《輸出取引等の証明》第1項第2号(本件条文)に規定する郵便物(簡易郵便物)として資産を輸出した場合に該当し、同号に規定する帳簿又は郵便物受領証等を保存をしているのだから、消費税法第7条第2項に規定する証明がされている旨主張する。
 しかしながら、本件取引の輸出申告時点では、取引の対象となる資産の価格が未確定の状態であり、そのような場合には郵便物1個当たりの輸出時見積価格(調達原価に通常の利潤、一般管理費等を加えた額又は値引き等の調整が加えられる前の額)をもって当該郵便物の価格とみるのが相当であるところ、本件取引においては、1個の郵便物にまとめられた各資産のそれぞれの仕入金額の合計額は、最も少ないもので20万円の2倍超であることから、郵便物1個当たりの輸出時見積価格は、いずれも20万円を上回ると認められ、本件取引は、本件条文に規定する簡易郵便物としての資産の輸出には該当せず、消費税法第7条第2項に規定する証明がされているとは認められない。

《参照条文等》
 消費税法第7条第1項及び第2項
 消費税法施行規則第5条第1項
 消費税法基本通達7−2−23
 関税法第67条及び第76条
 関税法基本通達67−1−4

《参考判決・裁決》
 平成29年9月15日裁決(裁決事例集No.108)

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請求人が輸出者として輸出免税の適用を受けることができるとした事例(1平成29年1月〇日から平成29年12月31日までの事業年度以後の法人税の青色申告の承認の取消処分、2平成29年1月〇日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年12月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分、3平成29年1月〇日から平成29年12月31日まで及び平成30年1月1日から平成30年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税の各更正処分、4平成30年1月1日から平成30年12月31日まで及び平成31年1月1日から令和元年12月31日までの各事業年度の法人税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分、5令和2年1月1日から令和2年12月31日までの事業年度の欠損金の繰戻しによる平成31年1月1日から令和元年12月31日までの事業年度の法人税の還付請求に理由がない旨の通知処分、6平成29年1月〇日から令和元年5月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、7平成30年1月1日から平成30年12月31日まで及び平成31年1月1日から令和元年12月31日までの各課税事業年度の地方法人税の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の各通知処分・1457棄却、23却下、6一部取消し、棄却)

令和4年10月25日裁決

《ポイント》
 本事例は、本邦からの輸出取引について、輸出許可の申請や、輸出許可通知書の保存状況から、請求人において輸出免税の適用を受けることができると判断した事例である。

《要旨》
 原処分庁は、本件における輸出取引(本件取引)は、請求人から商品を仕入れた取引先が国外に販売したものであるから、請求人が、消費税法第7条《輸出免税等》第1項第1号に規定する本邦からの輸出として行われる資産の譲渡を行ったものではない旨主張する。
 しかしながら、請求人は、取引先から受注した商品を国内でコンテナに積載し、自らの名義で輸出許可を申請して国外へ搬出しているのであり、本件取引は、請求人による本邦からの輸出として行われる資産の譲渡であると認められる。そして、請求人は、請求人名義の輸出許可通知書を保存していることから、請求人において、輸出免税の適用を受けることができる。

《参照条文等》
 消費税法第7条

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