税額控除等

課税仕入れ等の範囲

  1. 仕入税額控除
    1. 課税仕入れ等の範囲(14件)
    2. 課税仕入れ等の時期
    3. 課税仕入れ等の税額の算出
    4. 仕入税額控除の不適用
    5. 簡易課税制度
  2. 貸倒れの場合の税額控除

本件課税期間の課税売上割合が零パーセントであり、控除税額の計算方法として一括比例配分方式を選択しているから、本件課税期間に係る控除対象仕入税額は零円となるとした事例

裁決事例集 No.47 - 415頁

 消費税法第30条第2項の規定によれば、課税期間における課税売上割合が95パーセントに満たない場合は、事業者の選択により個別対応方式又は比例配分方式のいずれかの方法により計算した課税仕入に係る消費税額を控除することとされている。
 本件課税期間に係る控除対象仕入税額については、請求人が課税資産の譲渡等の対価の額は零円、控除税額の計算方法は一括比例配分方式と記載した本件確定申告書を原処分庁に提出していることから、本件課税期間の課税売上割合は零パーセントとなり、95パーセントに満たないので、消費税法第30条第2項の規定を適用して算定することとなるが、上記選択により算定すれば控除対象仕入税額は零円となる。
 なお、請求人は、消費税法第33条第1項の規定により、調整対象固定資産として、仕入れた日の属する課税期間において全額控除し、第3年度で調整すればよいと主張するが、同項は、第3年度における調整の規定であり、本件課税期間においては、控除する仕入税額の調整はできない。

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海砂を採取する権利の取得に際し、利害関係のある漁業協同組合の同意を得るために支払った漁場迷惑料は、仕入税額控除の対象となる課税仕入れの対価とはならないとした事例

裁決事例集 No.48 - 391頁

 請求人は、A漁業協同組合に漁場迷惑料を支払ったことについて、海砂を採取する権利である資産の取得であるから、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入れに該当し、同迷惑料は課税仕入れに係る支払対価の額に該当すると主張する。
 しかし、請求人が、海砂採取の許可の申請に当たり、県の指導方針により、A漁業協同組合の同意を得るため漁場迷惑料を支払った事実はあるが、海砂は国有財産であり、A漁業協同組合は海砂の所有権又は海砂を採取し若しくはこれを認める独立の法律上・慣習上の権利等を有していないと認められ、また、A漁業協同組合の有する漁業権には海砂採取及びそれに関する作業を行う権利は含まれていない。したがって、請求人が、利害関係者の同意を得るため何らかの金員を支払うことが実際上必要であるとしても、A漁業協同組合の地位は上記のとおりであるから、当該金員について、資産の譲受けの対価又は借受けの対価に該当するということはできず、仕入税額控除を適用することはできない。

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事業者が販売したことによる自己の商品代金債権を信販会社に譲渡等することに伴い支払う手数料は、消費税法上の非課税取引に該当するとした事例

裁決事例集 No.51 - 689頁

 請求人は、信販会社に支払った本件手数料は、業務の対価として支払われるものであり、また、商品の販売に伴い生じた債権は本来信販会社のものであって、請求人との間においては債権の譲渡は行われていないので、非課税取引には該当せず、仕入税額控除の対象とすべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人と信販会社との間の本件手数料の支払いに関する契約によれば、請求人が商品を販売したことによる売買債権を当該信販会社に譲渡し、又は信販会社に引き継いだ後の商品の販売代金は当該会員に対して請求することはできないこととされていることからすると、当該信販各社は、請求人が有する商品販売債権を引き継いで、請求人に代わって当該債権を集金することの対価として本件手数料が授受されるものであると認められることから、本件手数料は非課税取引に当たることになる。

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請求人が、出向契約に基づいて支払った本件業務分担金は、消費税法第2条第1項第12号のかっこ書に規定する「給与等を対価とする役務の提供によるもの」に該当するから、仕入税額控除の対象にはならないとした事例

裁決事例集 No.58 - 265頁

 請求人は、本件出向契約の実質は業務委託契約であり、請求人と本件従業員の間に雇用関係はなく、本件業務分担金は業務委託契約に基づく役務提供の対価であるから課税仕入れに該当し、したがって、仕入税額控除は認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、出向契約等に基づき支払われる分担金等であっても、その実質が出向先事業者において支払うべき給与に相当するものである場合には、当該出向先事業者における仕入税額控除の対象とはならない。本件出向契約の契約事項及び労務提供の状況等を見ると、[1]本件従業員は、業務に必要な機械及び器具の自己負担はないこと、[2]請求人の定める勤務時間内において請求人の指揮監督の下に労務を提供していること、[3]請求人は、本件従業員を請求人の従業員であるとして労災保険に加入し、給付手続きを行っていることが認められ、これらを総合すると、本件従業員は、請求人の指揮命令に服して、非独立的に労務、役務を提供しているといえるから、請求人と本件従業員との間には雇用関係があると認めるのが相当である。
 したがって、本件業務分担金は、その実質が請求人と本件従業員との間の雇用関係に基づき支払われた給与に相当する金額と認められ、消費税法第2条第1項第12号のかっこ書に規定する給与等を対価とする役務の提供によるものに該当するから、仕入税額控除の対象とはならない。

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マッサージ師に支払った外注費は、所得税法第28条に規定する給与等に該当するので、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入には該当しないとされた事例

裁決事例集 No.59 - 372頁

 請求人は、請求人がマッサージ師に支払った外注費は、所得税法第28条に規定する給与等を対価とする役務の提供に係るものではないので、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入には該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人と各マッサージ師との契約書等によれば、各マッサージ師はマッサージ業務を遂行するに当たって[1]営業時間、施術コース及び施術料金、業務時間、服装、休憩等の各項目にわたって定められた規則に従って業務に従事していること、[2]顧客に対する事故の責任は請求人にあることなどから、請求人と各マッサージ師との間には雇用関係があるということができ、本件外注費は給与等を対価とする役務の提供に係るものに該当し消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入には該当しないと認められる。
 また、請求人は、請求人がマッサージ師に支払った外注費は、給与ではないから給与等に係る所得税を徴収する義務を負わない旨主張するが、上記のとおり本件外注費は給与等に該当すると認められ、請求人は、所得税を徴収する義務を負うことになる。
 なお、本件源泉所得税納税告知処分等には税額計算誤りがあるのでその一部を取り消す。

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外国法人から日本における独占販売権を取得した取引は国外取引であり、その対価の支払いは課税仕入れに該当しないとした事例

裁決事例集 No.62 - 423頁

 請求人は、本件独占販売権は、E国のG社から取得したものであるが、本件独占販売権に基づき、本件譲受け直前まで日本国内で営業活動をしていたのはG社の日本子会社H社であり、H社のノウハウ、人的資源等も引き継いでいることから「これらの権利に係る事業を行う者の住所地」は、H社の住所地(日本)であると認められ、本件独占販売権を取得した取引は、消費税法上、国内取引に当たると主張する。
 しかしながら、本件支払金は、G社が保有する本件製品の独占販売店の権利の価値(独占販売により稼得することができる将来の収益)を認めてG社へ支払われたものであり、G社が本件独占販売権をH社又は請求人に付与することによって、G社自体が本件独占販売権に係る事業を行っていると認められる。そうすると、本件独占販売権の譲渡者であるG社の所在地はE国であるので国外取引となり、課税仕入れに該当しない。

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横断地下道の便益は、請求人のように負担金を支払った者のみが支払っていない者に比して有利な条件で利用できるものとなっていないので、課税仕入れに該当しないとした事例

裁決事例集 No.65 - 920頁

 請求人は、賃貸用大規模小売店舗を建設するに当たり、進入道路について国道直下を横断する地下道を設置する必要が生じたことから、F市及びM工事事務所と協議し、請求人が事業費の全額を負担したものであるから、F市に対して納入した工事負担金については、その名目が何であれ実質は工事代金で、工事負担金と地下道の設置とは明白な対価関係があり、また、F市からは課税仕入れに係る支払対価に該当する旨指導されたと主張する。
 しかしながら、請求人は本件地下道工事の工事主体とも工事委託者ともなり得ないことから、やむなく「事業費の全額負担」を条件にF市及びM工事事務所に同工事の施工を要請した者であり、また、本件地下道は完成後にF市道として認定されており請求人だけが便益を受けるものとは認められない。
 さらに消費税法基本通達5−5−6《公共施設の負担金等》注2に定める取扱い通知は必須条件ではないから請求人の主張には理由がない。

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仕入れに係る歩引き及び売上げに係る歩引きは、金融取引(非課税取引)に該当せず、消費税法第32条第1項及び同法第38条第1項に規定する「対価の返還等」に該当するとした事例

裁決事例集 No.70 - 381頁

 請求人は、請求人の仕入れに係る歩引き(以下「本件仕入歩引」という。)及び売上げに係る歩引き(以下「本件売上歩引」という。)は、財務取引及び金融取引であるから、消費税法第32条第1項に規定する「仕入れに係る対価の返還等」及び同法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」には該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件仕入歩引の額又は本件売上歩引の額は、市中金利の変動や通常の支払期日と実際に支払われた日との期間の日数の長短に対応して各月別に具体的に計算するのではなく、単に各月の取引金額に対して請求人と仕入先又は売上先との間で取り決めた歩引率を乗じて計算しているものにほかならない。
 本件仕入歩引又は本件売上歩引は、請求人と仕入先又は売上先との間において、手形ではなく現金で早期代金決済を行うことに対する奨励的な意味合いのもとに、買掛金又は売掛金の一部を減額するという決済条件の一つになっているものであり、その実質が値引き又は割戻しと同様であることから、消費税法第32条第1項に規定する「仕入れに係る対価の返還等」及び同法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」に該当すると認められる。

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労働者派遣事業を営む審査請求人が派遣労働者に支払う金員は、雇用契約又はこれに類する原因に基づき、労務の対価として請求人から本件派遣労働者に支給されたものであり、所得税法第28条第1項に規定する給与等に該当するものと認められることから、 課税仕入れに当たらないとした事例

裁決事例集 No.78 - 488頁

 請求人は、本件派遣労働者に対する業務上の指揮命令権はすべて本件派遣先にゆだねられており、また、労働者派遣法において派遣先にも一定の義務を課しているのは、請求人が本件派遣労働者に対してすべての責任を負うものではないことを裏付けたものであるから、請求人と本件派遣労働者との関係は、雇用として認識するより業務請負と考えるべきであり、本件金員は外注費(本件派遣労働者からのサービスの提供に対する対価)である旨主張する。
 しかしながら、請求人と本件派遣労働者との間には雇用関係が成立しており、本件派遣労働者は、請求人との雇用関係の下に、請求人の指揮命令に従うほか、本件派遣先の指揮命令を受けて、当該派遣先のために労働に従事していたものと認められ、本件金員は、請求人と本件派遣労働者との雇用契約又はこれに類する原因に基づき、請求人の指揮命令に服して提供した労務の対価として請求人から本件派遣労働者に支給されたものであり、所得税法第28条第1項に規定する給与等に該当するものと認めるのが相当である。
 したがって、本件金員を対価とする役務の提供を受けることは、消費税法第2条第1項第12号に規定する課税仕入れに当たらないので、同法第30条第1項に規定する課税仕入れに係る消費税額の控除をすることはできず、請求人の主張は、独自の見解というべきであって、採用することはできない。

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軽油引取税の特別徴収義務者ではない者から軽油を引き取る者が支払う軽油引取税相当額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するとした事例

平成23年12月13日裁決

《ポイント》
 軽油引取税は、特約業者等(地方税法第144条に規定する特約業者又は元売業者をいう。)から軽油を引き取る者に対し課される税であり、当該特約業者等が特別徴収の方法により、当該引き取る者から徴収することとなっている税であるところ、この事例は、軽油取引税名目の支払額につき、軽油の販売業者が特約業者等であるか否かによって、消費税法上の課税仕入れに係る支払対価の額に該当するか否かを判断したものである。

《要旨》
 納税義務者の租税の支払は、課税仕入れに係る支払対価の額には該当しないから、軽油引取税を納税義務者として支払う場合には、軽油引取税に相当する金額は課税仕入れに係る支払対価の額には該当しないと解するのが相当である。
 軽油引取税に関する地方税法の規定によれば、軽油引取税の特別徴収義務者である特約業者等又は特約業者等との間で委託販売契約を締結した受託販売業者から軽油を引き取る者が、当該特約業者等又は受託販売業者に支払う軽油引取税相当額は、納税義務者としての租税である軽油引取税の支払であるから課税仕入れに係る支払対価の額には該当せず、一方、当該特約業者等又は受託販売業者ではない者から軽油を引き取る者が支払う軽油引取税相当額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当すると解するのが相当である。
 請求人の取引先の一については、上記特約業者等又は受託販売業者ではない者であり、請求人が支払う軽油引取税相当額は課税仕入れに係る支払対価の額に当たるが、他の取引先については、軽油引取税の特別徴収義務者である特約業者等に該当することから、請求人が納税義務者として軽油取引税を支払うことになり、課税仕入れに係る支払対価の額には当たらない。

《参照条文等》
 消費税法第2条第1項第12号、第30条
 地方税法第144条第1項、第144条の2、第144条の13、第144条の14

《参考判決・裁決》
 平成9年5月28日裁決(裁決事例集No.53・477頁)

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区分所有者たる請求人の建物管理組合に対する管理費の支払は、当該管理組合の構成員たる地位に基づいて負担するものであるから、資産の譲渡等の対価には該当しないとした事例

平成24年11月29日裁決

《ポイント》
 本事例は、区分所有者として請求人が支払ったと認められる管理費の額の算定については、当該管理費の額が建物の区画(部屋番号)に応じて計算されていることから、共有持分割合によらず、区分所有する部分に対応するものとして算定するのが合理的として、処分の一部を取り消したものである。

《要旨》
 請求人は、請求人が区分所有する建物(本件建物)の管理組合(本件管理組合)に対して負担すべき管理費(本件管理費)は、本件管理費の額が本件建物の店舗、事務所等の使用形態による受益に応じて算定されていること及び本件管理組合は本件建物の維持管理が業務(本件管理業務)であることから、本件管理業務という役務の提供の対価として支払ったものであり、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項に規定する課税仕入れに該当する旨主張する。
 しかしながら、本件管理費の支払は、本件管理業務に要する費用を、請求人が本件管理組合の構成員たる地位に基づき負担するにすぎず、本件管理組合が本件管理業務を行う上において、請求人は、何らかの資産の譲渡等の反対給付として対価を支払っているものではないから、本件管理組合にとって本件管理費の収受は、資産の譲渡等の対価には該当せず、消費税法上はいわゆる不課税取引となり、請求人がこれを課税仕入れにすることはできない。

《参照条文等》
 消費税法第2条第1項第12号

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請求人が販売員に支払った金員は給与等に該当するとした事例

平成26年2月17日裁決

《ポイント》
 本事例は、百貨店の物産展において弁当の調理・販売を行っている請求人が、職業紹介事業者等を介して手配した各販売員(いわゆるマネキン)に支払った金員について、当該販売業務の具体的態様等に基づき、所得税法第28条第1項に規定する給与等に該当するとして、消費税の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないと判断したものである。

《要旨》
 請求人は、マネキン紹介所等からの紹介に基づいて請求人に対する役務の提供を行った販売員(本件各販売員)に金員を支払っていたところ、当該金員に関して、まるイ本件各販売員は販売のプロであること、まるロ販売業務に必要なエプロン等は本件各販売員が用意していたこと、まるハ本件各販売員は他者をして代わりに販売に当たらせることができること、まるニ請求人は業務委託契約を締結する意思であったこと等から、本件各販売員は業務委託契約に基づき役務の提供を行っていたのであり、請求人が本件各販売員に支払った金員は給与等に該当しない旨主張する。
 しかしながら、給与等とは、雇用契約又はこれに類する原因に基づき、自己の危険と計算によることなく、使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいうものと解され、具体的には、受給者がまる1指揮監督を受けているかどうか、まる2時間的な拘束を受けているかどうか、まる3材料や用具等の供与を受けているかどうか、まる4自己の責任において他者を手配して役務の提供に当たらせることが認められるものではないかどうか等の事情を総合勘案して判断するのが相当であると解されるところ、販売業務を行う際に必要なエプロン等については請求人が用意したものでなかったことが認められるが、本件各販売員は、請求人の指揮監督を受けるとともに、時間的拘束を受け、役務の提供の代替が認められていなかったこと、さらに、本件各販売員の役務提供に至る経緯等を併せ考慮すれば、本件各販売員に支払われた金員は、いずれも雇用契約に基づき、自己の危険と計算によることなく、使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として支給されたものといえ、給与等に該当すると認められる。

《参照条文等》
 消費税法第2条第1項第12号、第30条
 所得税法第28条第1項

《参考判決・裁決》
 最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決(民集35巻3号672頁)

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消費税法第30条第2項第1号の規定により控除する課税仕入れに係る消費税額を計算するに当たり、調剤薬品等の課税仕入れは、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分すべきと判断した事例

令和元年7月17日裁決

《ポイント》
 本事例は、請求人が問屋から医薬品等を仕入れた日の状況等を客観的にみれば、仕入れた医薬品等を全て非課税となる売上げのために使用するとは限らず、課税となる売上げのために使用する場合もあったと認められるから、当該問屋からの課税仕入れについては、課税資産の譲渡等のみに要するものにも、その他の資産の譲渡等のみに要するものにも区分することができず、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分するのが相当であると判断したものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人が消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第2項第1号に基づき医薬品等の課税仕入れの用途区分を課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等(その他の資産の譲渡等)のみに要するものに区分したことは、その目的等に照らして合理的であるから、用途区分を誤っていたことを理由とする請求人の更正の請求は、国税通則法第23条《更正の請求》第1項第1号の要件を満たさない旨主張する。
 しかしながら、請求人が問屋から医薬品等を仕入れた日の状況等を客観的にみれば、仕入れた医薬品等を全て非課税となる売上げのために使用するとは限らず、課税となる売上げのために使用する場合もあったと認められるから、当該問屋からの課税仕入れについては、課税資産の譲渡等のみに要するものにも、その他の資産の譲渡等のみに要するものにも区分することができず、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分するのが相当である。よって、請求人が、問屋からの医薬品等の課税仕入れをその他の資産の譲渡等のみに要するものに区分したことは、消費税法第30条第2項第1号の適用を誤ったものと認められ、国税通則法第23条第1項第1号に規定する国税に関する法律の規定に従っていなかった場合に該当する。

《参照条文等》
 消費税法第30条第2項

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請求人と取引先との売買契約は通謀虚偽表示には当たらないとした事例

令和2年5月19日裁決

《ポイント》
 本事例は、原処分庁が、請求人が取引先の法人から軽種馬を購入する取引に係る売買契約は、通謀虚偽表示により無効であるとして、請求人の課税仕入れに係る支払対価の額の一部を認めない旨の更正処分をしたところ、本件における売買契約は、契約内容のとおり履行されており、また、請求人と当該法人との間に通謀虚偽表示を行う十分な動機があったとまでいえない上、これを基礎付ける証拠もないから、通謀虚偽表示により無効であると認めることはできないと判断して、原処分を取り消したものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人が取引先の法人(本件法人)から軽種馬(本件軽種馬)を購入する取引(本件各取引)に係る売買契約は、通謀虚偽表示により無効であり、実体は、請求人が軽種馬生産に関する農業協同組合を通じて直接本件軽種馬を購入したものであるから、本件法人が当該農業協同組合から落札し購入した金額と、本件各取引に係る売買金額の差額分に相当する金額(本件各差額)は、請求人の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件各取引に係る売買契約については、契約内容のとおり履行されており、また、請求人と本件法人との間に通謀虚偽表示を行う十分な動機があったとまでいえない上、これを基礎付ける証拠もないから、通謀虚偽表示により無効であると認めることはできない。したがって、本件各差額は課税仕入れに係る支払対価の額に該当する。

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