税額控除等

帳簿等の記載不備

  1. 仕入税額控除
    1. 課税仕入れ等の範囲
    2. 課税仕入れ等の時期
    3. 課税仕入れ等の税額の算出
    4. 仕入税額控除の不適用
      1. 帳簿等の不存在
      2. 帳簿等の記載不備(7件)
    5. 簡易課税制度
  2. 貸倒れの場合の税額控除

帳簿等には、仕入先としてその氏名の氏に相当する部分が記載されているのみであり、また、請求人は、本件調査の際に本件仕入先を明らかにして記載不備を補完しようとしなかったことから、帳簿又は請求書等の保存がない場合に該当するとして、仕入税額控除の適用は認められないとした事例

裁決事例集 No.48 - 411頁

  1.  請求人は、[1]本件帳簿等は、消費税法第30条第8項及び第9項に規定する記載要件を充足し、かつ、それを保存しているのであるから、同条第7項に規定する仕入税額控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合には該当しない、また、[2]請求人は、本件取引の際に、仕入先に消費税を支払ったのであるから、仕入税額控除を認めるべきである旨主張する。
  2.  審判所の判断は、次のとおりである。
    1.  本件帳簿等には、仕入先としてその氏名の氏に相当する部分が記載されているのみで、住所、電話番号等の記載もないため、本件帳簿等から仕入先を特定することはできない。消費税法第30条第8項第1号のイは、明確に「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」を記載することと規定しているのであるから、当該記載が同項の帳簿としては不備なものであることは明らかである。
    2.  原処分に係る調査(「本件調査」)の際に、調査担当職員が、請求人に仕入先を特定できない場合には仕入税額控除が適用できない旨説明し、本件取引の仕入先を特定するよう求めたにもかかわらず、請求人が本件仕入先を明らかにして記載不備を補完しようとしなかったことが認められるから、その時点において保存されている帳簿等は、記載不備な状態における本件帳簿等のみであることになる。
    3.  請求人は、当審判所に対して、仕入先が特定できるものがあっても、仕入先を明らかにすると取引ができなくなるおそれがあるため明らかにすることはできない旨答述しているが、これをもって請求人が適法な帳簿又は請求書等を保存しないことにつき災害その他やむを得ない事情がある旨主張していると解しても、そのような主張は仕入先の相手方の氏名又は名称を記載した帳簿等の保存を求める消費税法第30条第7項ないし第9項の規定の趣旨とまったくあいいれないところであるから、このような理由をもってしては、同条第7項の「その他やむを得ない事情」に該当するとはいえない。
    4.  本件帳簿等に記載された氏の真偽について検討するまでもなく、本件取引については、消費税法第30条第7項に規定する仕入税額控除に係る帳簿又は請求書等の保存がない場合に該当し、同条第1項の規定による仕入税額控除を適用することはできない。
    5.  本件取引については、消費税法第30条第7項の規定により、同条第1項の仕入税額控除の規定は適用することができないのであるから、本件取引に係る仕入れの存否、その支払対価の額、消費税相当額の仕入先への支払の有無について検討するまでもなく、仕入税額控除をすることはできない。

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絵画美術品の仕入先元帳等に記載された取引の相手方の氏名又は名称について、その氏名又は名称が虚偽のものと推定されるとして、消費税の仕入税額控除を適用することはできないとした事例

裁決事例集 No.48 - 424頁

  1.  請求人は、次のとおり主張する。
    1. 請求人の保存する帳簿及び請求書等には、消費税法第30条第8項又は第9項に定める事項のすべてが記載されている。原処分庁は、仕入先の実在の確認とその特定が当該帳簿及び請求書等によって可能でない限り、課税仕入れに係る消費税額の控除は認められないとして原処分を行ったもので、これは、法令の規定によらない違法な処分である。
    2.  請求人には、取引の相手方の氏名等が真正なものであるか否かを相手方に問いただす法律上の権限は付与されておらず、請求人の取引先は遠隔地に所在するものも多いことから、請求人は、仕入先の実在の確認も特定も行い得る環境にはないというべきである。
    3.  請求人は、仕入れにおける後日のトラブルに備えて、当該絵画等の真実の所有者と推認される者の氏名等及び当該絵画等を持ち込んだ者と受領した領収証等の氏名等が相違する場合当該持ち込んだ者の氏名等を記載した手帳(「本件手帳」)を保有しているにすぎない。
  2.  原処分庁は、次のとおり主張する。
    1.  消費税法は帳簿方式を採っているから、帳簿によりその取引につきデータを保存し申告や調査の際に資することを求めているのは当然のことであり、その記載内容が真実であって、かつ、「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」についても、住所等を記載するなどの方法により、相手方を具体的に特定できる状態におくことが不可欠である。
    2.  本件取引については、取引の相手方の実在すら確認ができず、課税仕入れの相手方の真正な氏名又は名称が記載されているとは認められないから、消費税法第30条第8項及び第9項の記載要件を具備していず、仕入税額控除をすることはできない。
  3.  審判所の判断は、次のとおりである。
    1.  仕入税額控除に関する消費税法第30条第1項の規定が適用されるためには、保存されている帳簿又は請求書等に、真実の課税仕入れの相手方の氏名又は名称が記載されていることを要し、ただ単に課税仕入れの相手方ないし書類作成者の氏名又は名称として何らかの氏名又は名称と覚しきものが形式的に記載されていれば足りるというものではないことは、明らかである。
       もっとも、取引の相手側に立って交渉その他の取引に関連する行為を実際に行う者が、相手方本人なのか、その代理人にすぎないのかが判然としない場合もあり、かかる場合でやむを得ないときにおいては、取引の相手側に立って実際に行動する者の氏名又は名称の記載をもって、要件を満たすものと解し得ると認められる。
    2.  消費税第30条第1項の適用除外事由である法定の要件を具備した帳簿又は請求書等を保存していない事実については、事業者側が、まず、帳簿又は請求書等に課税仕入れの相手方の氏名又は名称として記載されているものが、真実の相手方のそれであることを、相当の根拠、資料に基づいて明らかにする必要があり、事業者がこれを果たさない場合には、当該課税仕入れにつき法定の要件を具備した帳簿又は請求書を保存していないことが、事実上推認されるというべきである。
    3.  取引の経緯等から、相手側に立って実際に行動する者から交付される請求書等に、真実の取引の相手の氏名又は名称が記載されているか否か、社会通念上要求されるところの注意の範囲内で相当程度疑われるにもかかわらず、あえて、これを確認しようとせず、漫然と当該請求書等を保存し、あるいは、当該請求書等に基づいて帳簿に記載するにとどまるときは、真実の相手方のそれであることを明らかにする必要を果たしたということはできない。
    4.  他方、原処分庁の主張が、相手方の氏名又は名称のみならず、その住所又は所在地も帳簿又は請求書等自体に記載されていない限り、消費税法第30条第8項、第9項の要件を充足しないというものであるとすれば、これは、明文の規定に反する解釈といわなければならない。真実の相手方の氏名又は名称の記載であることは、帳簿又は請求書以外の資料によっても明らかにし得るものであるからである。
    5.  本件取引については、請求人は、[1]直接請求人と接触して売買の手続を行う者(「本件持込人等」)が取引対象物件の真正の所有者である場合とない場合とが混在していることを認識しており、また、[2]本件持込人等が記載等した領収書等の書類により取引の相手方の氏名又は住所を本件仕入先元帳に記載していることを自認しているものと認められる。
    6.  もっとも、上記Eの[2]のとおり記載していた場合でも、これが必ずしも真正でない可能性があることを考慮して、本件持込人等の氏名等を記載した書類を別途作成し、保存していた(税務職員の求めに応じて提示することを含む。)ときには、当該書類は、一種の補助帳簿として位置づけられ、帳簿に記載等をした氏名等が真正のものでないと認定された場合でも、当該書類の保存によって、仕入税額控除の適用をすることができるというべきである。
    7.  [1]本件取引において本件仕入先元帳及び本件請求書等に記載されている住所等については、請求人もこれが真偽不明と認識しており、[2]本件持込人等が自身の氏名等を明らかにされることを回避しようとしている以上、経験則上、本件持込人等が記載した氏名等が真正の所有者等の氏名又は名称であるとは考え難く、加えて、[3]請求人は本件手帳を作成し、保管していながら、原処分の調査担当職員、異議担当職員及び当審判所のいずれにも本件手帳を提出しないとしていることが認められるから、上記記載の氏名等は真正の取引の相手先の氏名等ではないと推定され、かつ、本件持込人等の真正の氏名等でもないと推定される。
    8.  そうすると、請求人は、当該事業を営む上で社会通念上要求されるところの相当の注意の範囲で、相手方の氏名等が必ずしも真正なものでないことを認識していたにもかかわらず、本件持込人等が記載等した氏名等を仕入先元帳に記載し、調査担当職員の要求にもかかわらず本件持込人等の氏名等を記載した手帳を提示せず、かつ、相手方の氏名又は名称は虚偽と認定されるのであるから、当該氏名等は、消費税法第30条第8項第1号イ又は同条第9項第1号イの「氏名又は名称」ということはできない。
       したがって、同条第7項の「課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に該当し、同条第1項の規定による仕入税額控除を適用することはできない。
    9.  請求人は、仕入先の真正な氏名の記載がないことをもって、当該仕入れを否定することはできないと主張するが、上記判断は、本件仕入先元帳等が消費税法第30条第7項ないし第9項の帳簿又は請求書等に該当しないと判断したものであり、当該仕入れが同条第1項の課税仕入れに当たらないと判断したものではない。たとえ、同条第1項の課税仕入れに当たっても、同条第7項の要件を満たさなければ仕入税額控除はできない。
       しかし、たとえ帳簿等に記載された相手方の氏名等が虚偽の場合であっても、当該事業者がこれを真正と信ずべき相当な理由があり、そのため当該帳簿等が消費税法第30条第7項の帳簿又は請求書等として保存されていると認められる場合には、同条第1項の仕入税額控除は適用される。

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店頭における商品の仕入れに際し、仕入先が言うままの名称を帳簿等に記載している仕入取引については、その名称が真実のものでないと推認されるとして、消費税の仕入税額控除は適用できないとした事例

裁決事例集 No.49 - 490頁

  1.  請求人は、本件帳簿等は消費税法第30条第8項及び第9項に規定する帳簿及び請求書等の要件を満たし、保存すべき書類としては十分なものであり、本件調査においても本件帳簿等を提示していることから、仕入税額控除を認めるべきである旨主張する。
  2.  審判所の判断は、次のとおりである。
    1.  消費税法第30条第1項の適用を受けるためには、課税仕入れの真実の仕入先が記載されていることを要し、ただ単に仕入先の氏名として何らかの氏名が記載されていれば足りるというものではない。
    2.  仕入先が請求人の店頭に商品を持ち込み、発行者の氏名及び住所等が記載されている請求書及び領収書を持参しないという、通常一般に行われていない形の取引においては、仕入先の言うがままの氏名等が真実かどうか、社会通念上要求されるところの注意の範囲内では相当程度疑われるというべきである。
    3.  しかるに、請求人は、取引の経路等を確認せず、仕入先の言うままの名称を本件請求書に記載していたことは明らかであり、本件帳簿等に記載されている氏名は真実のものではないと推認されるから、本件帳簿等は、氏名等の記載を欠くものと認められ、消費税法に定める帳簿、請求書に該当せず、仕入税額控除の要件とされる帳簿等の保存がなかったことになるので、仕入税額控除をすることはできない。

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仕入税額控除に係る請求書等には、真実の仕入先の氏名等が記載されておらず、また、その仕入先が真実であると信じざるを得ない状況にはなかったとして仕入税額控除を否認した事例

裁決事例集 No.63 - 653頁

 請求人は、[1]本件仕入取引はいずれもMから持ち込まれたもので、請求書等に記載された仕入先(以下「本件各仕入先」)が真実のものと判断して取引を開始し、本件各仕入先の納品書、請求書及び領収書を収受していること、[2]本件仕入取引は現金取引であり、請求書等の氏名等が真実であるか否かは重要な意味を持つものでなく、その実在を徹底的に追及することが商取引の実態にそぐわないことからすれば、本件各仕入先が真実の取引先であったことは明らかであるか、請求人としては、本件各仕入先を真実の仕入先と信じることに相当の理由があったから、仕入税額控除が認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、本件仕入取引については、請求人の社長がMに商品を発注し、Mから納品があった際、A氏に代金を支払うという流れであり、M以外の者が関わっていた事実はなく、本件各仕入先は存在しないか、存在しても請求人と取引があったとは認められないことからすると、本件仕入取引はMが虚偽の名義を使用して行ったものと認められ、したがって、帳簿等に真実の取引先の氏名等が記載されているとはいえない。
 また、社長をはじめ請求人の社員等は、本件各仕入先の所在や業態等をMに確認することなく、当該取引を継続して行っていたものであるから、請求人が、本件各仕入先を真実の取引先であると取り扱わざるを得ない状況であったとか、そのように信じざるを得ない状況であったとは言えないため、本件各仕入先の氏名等を真実と信ずべき相当な理由があったとは認められない。

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本件浜買いに係る取引実態は、消費税法施行令第49条第2項に規定する再生資源卸売業に準ずる課税仕入れの取引実態にないとした事例

裁決事例集 No.68 - 255頁

 請求人は、本件浜買いの相手先は、請求書、納品書等の必要性や知識に乏しく、領収書の発行すら行っておらず、浜買いの相手先に住所、氏名を問い質すことは困難であり、強行すれば商取引の危機を招き、さらに、零細漁師、半漁で他に勤めている者など多種多様であって、概ね不特定多数の部類に属し、取引金額もほとんど3万円未満が多いから、消費税法施行令第49条第2項に該当すると主張する。
 しかしながら、消費税法施行令第49条第2項にいう再生資源卸売業とは、日本産業標準分類の中分類に規定されている空瓶・空缶等空容器卸売業、鉄スクラップ卸売業、非鉄金属スクラップ卸売業及び古紙卸売業等であり、また、再生資源卸売業に準ずるものとは、不特定かつ多数の者から課税仕入れを行う事業のうち、取引の実態から仕入れの相手方の氏名又は名称を確認することが不可能に近いという点で再生資源卸売業に準ずるものをいうと解されるところ、本件において、請求人がその帳簿書類に、浜買いに係る仕入れの相手先を記載していない理由は、請求人と当該相手先との関係及び請求人の営業上の問題に起因しているものであるから、本件浜買いは相手方の氏名又は名称を確認することができない取引実態にあると認めることはできず、再生資源卸売業に準ずるものに該当しない。

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真実の仕入先の名称等が記載されていない帳簿等は消費税法第30条第7項に規定する帳簿保存要件を満たす帳簿等には該当しないから、これに係る消費税の仕入税額控除は認められないとした事例

裁決事例集 No.77 - 518頁

 請求人は、軽油の仕入先G社、H社及びJ社(以下「本件仕入先3社」という。)はいずれも実在していた会社であり、取引当時の状況から本件仕入先3社を架空の会社などと疑う余地は全くなく、消費税法第30条は納税者が帳簿等の記載内容の真実性を調査し確認する義務まで規定していない旨主張する。
 しかしながら、G社は、商業登記がなく、領収証と請求書の住所が異なっており、H社は、商業登記はあるが、その住所地には別人が居住しており、J社は、商業登記がなく、領収書記載の住所が住居表示上存在しないことなどから、本件仕入先3社は実体のない会社であることが認められ、請求人の帳簿等には真実の仕入先の名称が記載されていないこととなる。
 そして、1軽油をとりまく業界においてはかつてから不正軽油の問題があることは公知の事実であり、取引当時も不正軽油の販売が行われていたこと、2本件仕入先3社へ注文する際の電話番号が同じであったこと、3本件仕入先3社の集金担当者が同一人物であったことなど、各仕入先の名称が真実のものかどうか、社会通念上からみて相当程度疑われる状態であったといえ、加えて、請求人と本件仕入先3社との取引は、回数も多く、金額も多額であり、すべて現金決済であることからすると、請求人が積極的に確認するのが自然であるところ、これを確認することなく漫然と請求書等を保存し、帳簿に記載していたといわざるを得ないから、請求人において、本件仕入先3社が真実のものと信ずべき相当の理由があったとはいえない。また、請求人は、真実の仕入先の名称等を記載した帳簿等の保存をすることができなかったことにつきやむを得ない事情があったという主張及び立証をしていない。
 したがって、本件仕入先3社の名称が記載されている請求人の帳簿及び請求書等は、いずれも真実の仕入先の名称が記載されていないことから、消費税法第30条第8項及び第9項に規定する記載要件を満たした帳簿及び請求書等に該当せず、同条第7項に規定する帳簿及び請求書等の保存がなかったものということとなり、本件仕入先3社との取引については、同条第1項に規定する課税仕入れ等の消費税額の控除を適用することができないとした原処分は適法である。

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請求人が提示した出面帳に記載された事項のうち、法定記載要件を具備している部分については、課税仕入れ等の税額に係る帳簿に該当するとして、消費税の納付すべき税額の計算上、当該部分に係る仕入税額控除の適用を認めた事例

平成23年3月30日裁決

《ポイント》
 消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項は、国内において行う課税仕入れについては、課税標準額に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除する旨規定しているところ、同条第7項において、第1項の規定は、事業者が課税仕入れの税額に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れに係る課税仕入れの税額については、適用しない旨規定している。そして、消費税法第30条第8項第1号においては課税仕入れに係る帳簿の記載事項を、また、同条第9項第1号及び第2号においては請求書等の記載事項をそれぞれ規定しているところである。
 この事例は、請求人が職人に支払った対価が課税仕入れに係る支払対価に該当し、課税仕入れに係る消費税額の控除が認められるか否か等が争われたものであり、請求人の出面帳が上記消費税法第30条第8項第1号の法定記載事項を具備したものか否か、また、当該出面帳に基づく課税仕入れに係る消費税額の控除の範囲を判断したものである。

《要旨》
 原処分庁は、本件出面帳について、その大半につき、消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第8項第1号に規定する法定記載事項のうち課税仕入れに係る支払対価の額の記載がないことから、法定記載事項が記載された法定帳簿の保存を定めた同条第7項の趣旨に照らして、これを法定帳簿と認める余地はない等と主張する。
 確かに、法定帳簿については、課税仕入れに係るまる1相手方氏名等、まる2課税仕入れの年月日、まる3その役務等の内容及びまる4支払対価の額の法定記載事項の各記載が必要であり、これらの要件を欠く帳簿は法定帳簿として認めることはできないものの、本件出面帳の記載内容等を法定帳簿の保存を法が定めた趣旨に照らせば、本件出面帳のうち、法定記載事項のすべてを満たしていると認められる部分のみを法定帳簿と認めることが法定帳簿の保存を定めた法の趣旨に反するとはいえない。したがって、当該原処分庁の主張を採用することができない。

《参照条文等》
 消費税法第30条第1項、第7項、第8項、第9項

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