国、地方公共団体等の特例

仕入税額控除の特例

  1. 仕入税額控除の特例(2件)

特定収入の使途を明らかにした文書が存在しないことからその全額が使途不特定の特定収入に当たるとした事例

裁決事例集 No.63 - 674頁

 請求人は、他会計からの繰入金の使途を特定した文書がないとしても、消費税法及び消費税法基本通達によりその使途を明らかにできるから、その使途は特定されていることになる旨主張するが、消費税法第60条第4項及び消費税法施行令第75条第1項第6号イ・ロ並びに消費税法基本通達16−2−2は、使途の特定について、文書によるべきこととしているから、請求人の主張には理由がない。

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宗教法人の消費税の計算上、収益事業部門と非収益事業部門を区分して経理している場合の非収益事業部門の収入であっても、初穂料等の資産の譲渡等の対価以外の収入は、消費税法第60条第4項の適用上、特定収入に該当するとした事例

平成24年2月7日裁決

《要旨》
 請求人は、収益事業部門(結婚式場等)と非収益事業部門(神社)における収支を厳密に区分経理しており、非収益事業部門における初穂料等の収入(本件収入)が収益事業部門における課税仕入れに使われることはないなどとして、本件収入が消費税法第60条《国、地方公共団体等に対する特例》第4項に規定する特定収入に該当しない旨主張する。
 しかしながら、消費税法施行令第75条《国、地方公共団体等の仕入れに係る消費税額の特例》第1項第6号イは、法令又は交付要綱等によって課税仕入れ等に係る支払対価以外の支出のみに使途が限定されている収入を特定収入から除く旨規定しているところ、本件収入は、法令の規定又は交付要綱等によって拘束されることなく請求人が自らその使途を選択できる収入であり、同号イに掲げる収入に該当しないことは明らかであるから、請求人が収益事業部門と非収益事業部門における収支を厳密に区分経理していたとしても、請求人が任意に本件収入の使途を定めているにすぎず、そのことをもって、本件収入が特定収入から除かれる収入に当たるということはできない。
 そうすると、本件収入は、特定収入から除かれる収入について規定する消費税法施行令第75条第1項第1号から第5号まで及び第6号ロに掲げる収入のいずれにも当たらず、同号イに規定する法令又は交付要綱等によって課税仕入れ等に係る支払対価以外の支出のために使用することとされている収入にも当たらないから、消費税法第60条第4項に規定する特定収入に該当する。

《参照条文等》
 消費税法第60条第4項
 消費税法施行令第75条第1項

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