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課税標準

固定資産課税台帳価格がない場合

  1. 課税標準の認定基準
  2. 固定資産課税台帳価格がない場合(18件)
  3. 課税標準及び税額の認定

課税台帳登録価格のない家屋の登録免許税の課税標準額を認定した事例

裁決事例集 No.18 - 127頁

 課税台帳に登録された価格のない家屋に係る登録免許税の課税標準とする価額については、[1]新築建物価格認定基準表による額又は[2]不動産取得税の課税標準額の算定基礎である家屋の価格に相当する額のいずれか低い価格によるのが相当である。

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課税台帳登録価格のない家屋の登録免許税の課税標準額を認定した事例

裁決事例集 No.33 - 155頁

 固定資産課税台帳に登録された価格のない新築建物(以下「本件建物」という。)の所有権保存登記において、原処分庁は、「新築建物課税標準価格認定基準表」に基づき本件建物の課税標準を認定したが、請求人の本件建物の取得価額は、本件登記後の本件建物の昭和61年度固定資産税評価額とほぼ同額(昭和61年1月1日現在)であるところ、原処分庁は前記認定基準に掲げる建物と本件建物との類似性を認めるに足る具体的事実を主張・立証しない上、当該認定基準を適用した場合、本件建物の価額は、上記取得価額と昭和61年度固定資産税評価額との間に著しい開差が生ずるから、原処分庁主張の建物を本件建物に類似する不動産と認めることはできず、本件建物の価額は上記昭和61年度固定資産税評価額によるべきである。

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固定資産課税台帳に登録された価格のない建物の登録免許税の課税標準額を類似建物の価格を基礎として認定した事例

裁決事例集 No.39 - 429頁

 固定資産課税台帳に登録された価格のない建物の登録免許税の課税標準額について、請求人は当該建物の建築価額によるべきであると主張するが、当該建築価額には、本来建物の価額として当然に含まれるべき電気設備、ガス設備、衛生設備、給排水設備等、建物に附属して建物の機能を発揮するための設備に要する費用及び設計管理費用の額が含まれていないため採用することができない。また、本件建物は、簡易な種類の店舗であることが認められ、一般的な店舗についての適用を予定している「登録免許税課税標準額認定基準」の価格を適用して認定した原処分庁の課税標準も採用することができない。本件建物は登記申請時に固定資産課税台帳に登録された価格のない建物であるから、登録免許税法施行令附則第3項第2号の規定により、固定資産課税台帳に登録された本件建物と類似した建物の価格を基礎として認定するのが相当である。

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固定資産課税台帳に登録された価格のない建物の登録免許税の課税標準額を本件建物の建築価額により認定した事例

裁決事例集 No.39 - 438頁

 原処分庁は本件建物の価額の認定が登録免許税法施行令附則第3項に規定する類似不動産の登録価格を基礎としたことの主張・立証をせず、また、原処分庁の認定額と本件登記直後における本件建物の登録価格とは著しい開差があり、原処分庁の認定価額は類似不動産の登録価格を基礎としたものと認められず、請求人の主張する本件建物の建築価額は通常の取引による客観的な価額と認められ、本件建物の課税標準価額は、登録免許税法第10条第1項の規定に照らし、請求人の主張する本件建物の建築価額と認めるのが相当である。

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固定資産課税台帳に登録された価額のない土地の登録免許税の課税標準額は、近傍宅地の価格を基にその土地の状況を考慮して算定した価格によるのが相当であるとした事例

裁決事例集 No.42 - 237頁

 固定資産課税台帳に登録された価額のない本件土地の登録免許税の課税標準額について、原処分庁は近傍宅地の単位当たりの価格に本件土地の面積を乗じた金額と認定しているが、近傍宅地と本件土地が類似しているとは認め難いので、近傍宅地の価格を基に本件土地の状況を考慮した価額によって登録免許税の課税標準の金額を認定するのが相当である。

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固定資産課税台帳に登録された価格のない建物の登録免許税の課税標準額について、当該建物が経年変化が激しい等から、例外的なものとして、新築建物課税価格の補正によることなく、類似建物を個別的に選定し、それらの価格を基礎として認定した事例

裁決事例集 No.46 - 247頁

 固定資産課税台帳に登録された価格のない建物の登録免許税の課税標準額は、類似する建物の固定資産税評価額を基礎として認定することとなるところ、原処分庁は、「建物の課税標準価額認定要領」(認定要領)に基づき、新築建物課税価格基準表に掲げる価額に経過年数に応じた補正率を乗じて算出する方法により認定している。
 しかし、本件建物は、一棟が工場、事務所及び倉庫と3種類に分かれ、鉄骨及び軽量鉄骨造りと構造の異なる建物であり、更に建築年が昭和44年と昭和55年に分かれており、経年変化による損耗が激しい部分があり、登記事務の迅速な処理を図ることを目的の一つとして、一般的な建物についての適用を予定している認定要領を採用することが不相当な例外的な建物であると認められる。
 そこで、固定資産課税台帳の閲覧、市担当職員の意見聴取に基づき、本件建物と同一市内にあって種類、構造及び床面積等の類似する建物各5件計10件を採用し、これらの建物の固定資産税評価額を基礎として、本件建物の登録免許税の課税標準額を算定すると、原処分庁の認定額は過大となるから、原処分の一部を取り消すのが相当である。

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分筆前の土地の平成7年度の台帳価格と登記土地の同年度の台帳価格は、約2倍以上の開差があるから、分筆前の土地を類似地とすることができないとして原処分の全部を取り消した事例

裁決事例集 No.51 - 743頁

 請求人は、原処分庁は登記土地に類似する土地の固定資産課税台帳価格を分筆前の土地としているが、[1]分筆前の土地と登記土地は、道路状況等から効用価値に著しい差があること、[2]登記土地に付された台帳価格に基づき計算した登録免許税の課税標準の額と原処分庁が認定した同税の課税標準の額には2倍以上の差があることから、通知処分が全部取り消されるべきである旨主張する。
 ところで、登録免許税法第10条(不動産等の価額)によれば、課税標準たる不動産の価額は、登記時の不動産の価額とされているが、同法附則第7条(不動産登記に係る不動産価額の特例)によれば、当分の間は台帳価格によることができるとし、同法施行令附則第3項は、台帳価格のない不動産については、課税台帳に登録された当該不動産に類似する不動産の価格として、登記官が認定した価額とする旨定められている。
 審判所の現地及びP県税事務所の調査によれば、[1]登記土地は国道○号線から入り込んだ幅員6メートルの道路(正面道路)に面する画地であること、[2]分筆前の土地は国道○号線と正面道路に面する画地であること、[3]正面道路に面し登記土地の北側の甲土地の平成6年度及び平成7年度並びに登記土地の平成7年度の1平方メートル当たりの台帳価格は、いずれも507千円であること、[4]分筆前の土地の平成7年度の1平方メートル当たりの台帳価格は1,095千円であること、[5]登記土地は住宅地区、分筆前の土地は商業地区であることが認められる。
 以上のことを総合すると、登記土地の類似土地を分筆前の土地とするのは相当でなく、登記土地と同じ正面道路に面している甲土地を類似土地と認定するのが合理的かつ相当であるから、原処分の全部を取り消し、2,364千円を請求人に還付するのが相当である。

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いわゆる台帳価格のない建物の価額について、原処分庁がA法務局の部長通達による認定基準に基づき認定したのに対し、同認定基準は一般的な建物に適用されるものであるから、本件建物のような特殊な建物に適用すべきではないとして、本件建物と類似する建物の台帳価格によるべきであるとした事例

裁決事例集 No.61 - 705頁

 原処分庁は、本件建物は本件登記の申請日において台帳価格のない不動産であるから、昭和60年2月28日付1不登4第151号A法務局民事行政部長依命通達「不動産登記法の登録免許税課税標準価格の認定基準」に基づいて認定した価額が本件建物の価額となる旨主張する。
 しかしながら、本件認定基準は、一般的な建物について適用されることを前提に、建物の構造、種類の区分ごとに、画一的にその基準となる単価を定めているものにすぎないのであって、本件のように、特殊な建物についてなされた本件認定基準に基づく認定を、本件建物と類似する建物の台帳価格を基礎として登記機関が認定した価額ということはできない。

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原処分庁が採用した比準地を本件土地の類似土地とは認めず、審判所が調査した近傍類似地の台帳価格の路線価を基に、課税標準の額を算定した事例

裁決事例集 No.63 - 689頁

 固定資産税課税台帳に登録された価格(以下「台帳価格」という。)のない本件土地の登録免許税の課税標準の額及び税額の算定について、原処分庁は、本件土地の分筆及び合筆前の土地を本件土地の類似土地(以下「本件比準地」という。)とし、その土地の1平方メートル当たりの台帳価格に、本件土地の地積を乗じた額を本件土地の価額と認定しているが、本件土地と本件比準地を比較すると、その規模、立地条件及び利用条件等において明らかに異なるから、本件比準地を本件土地の類似土地とは認められず、また、請求人の主張する本件土地の台帳価額は平成13年度の価額であることから採用できない。
 そこで、当審判所が調査した近傍の土地は、その規模、立地条件及び利用条件等から本件土地に類似する土地(以下「近傍類似地」という。)とするのが相当であり、その土地の台帳価格の基礎となる平成12年1月1日現在の路線価を基に、本件土地の形状等を考慮した上で、算定するのが相当である。
 したがって、本件土地の価額は、近傍類似地の平成12年1月1日現在の基準路線価に、市が本件土地の平成13年度の修正後の台帳価格の計算に用いた補正率等を乗じて算定した額とするのが相当であるから、原処分庁が認定した登録免許税に係る課税標準の額及び登録免許税の額は、その一部を取り消すべきである。

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台帳価格のない建物の保存登記に係る登録免許税の課税標準額について、建築価額相当額が妥当であるとする主張を認容した事例

裁決事例集 No.64 - 565頁

 原処分庁は、固定資産課税台帳に登録された価格のない本件建物に係る登録免許税の課税標準を、法務局長通達により定められた「建物の課税標準価格認定要領」に従って認定したものであり、原処分は適法である旨主張する。
 しかしながら、原処分庁が適用した認定要領は、台帳価格のない建物に係る登録免許税の課税標準の額の認定の妥当性と課税の公平を図り、併せて登記事務の迅速な処理を図ることを目的とし、標準的な仕様・構造の建物についての適用を予定しているところ、本件建物は間仕切り及び特別の造作等のないワンフロアー形式で、天井、壁面及び床には化粧パネル等の装備がなく、構造がむき出しであり、認定要領をそのまま適用することが相当でない例外的な建物であると認められる。
 登録免許税の課税標準たる不動産の価額は当該登記の時における当該不動産の価額による(登録免許税法第10条第1項)こととされているから、本件建物に係る課税標準の額は、本件建物の時価によるものと解される。
 そして、本件建物の建築価額は通常の取引による客観的な価額と認められることから、本件建物の建築価額をもって時価とするのが相当であり、この価額を本件建物の登録免許税の課税標準の額とするのが妥当であるから、原処分はその全部を取り消すべきである。

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登記嘱託書に記載されていた類似地と本件土地の形状等に比較検討を加え、課税標準額を認定した事例

裁決事例集 No.65 - 961頁

 原処分庁は、固定資産課税台帳に登録された価格(台帳価格)のない土地に係る登録免許税の課税標準の額の算定について、本件土地近傍の宅地(本件類似地)の台帳価格の1平方メートル当たりの価額に本件土地の地積を乗じた金額を基としているが、本件土地と本件類似地の形状は大きく異なることから、たとえ本件類似地の台帳価格を基に固定資産税評価額を算定するとしても、本件土地が有する特殊事情について所要の調整を行った上、本件土地の登録免許税の課税標準の額及び登録免許税の額を認定するのが相当である。
 したがって、還付の通知をすべき理由がないとした本件通知処分は、その限りにおいて違法であるから、その一部を取り消すべきである。

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固定資産課税台帳価格のない土地について登記官が認定する価額は、類似する土地の路線価に画地計算法を適用して求めた価格によるべきであるとした事例

裁決事例集 No.67 - 767頁

 租税特別措置法施行令第44条の2第1項は、固定資産税評価額の付されていない土地の価額は、その土地に類似する土地の固定資産税評価額を基に、登記官が認定した価額とする旨規定しているところ、原処分庁の行った本件土地の価額の認定方法についてみると、本件土地に類似する土地の固定資産税評価額をP市長に照会し、その回答額を基として本件土地の価額を認定したことが認められる。
 本件土地は、二方の道路に接面した、間口が狭小の不整形な形状をした土地であると認められるところ、この回答額は、不整形等の事情が一切考慮されない価額であるところの本件土地が接面する道路に付された路線価の額と同額であり、結果として原処分庁が認定した本件土地の価額は、本件土地に類似しない土地の価額を基礎として認定されたものであることが認められ、租税特別措置法施行令第44条の2第1項の規定に従って算定されたものということはできない。
 登録免許税における土地の課税標準の額は、固定資産税評価額を基礎としているところ、その固定資産税評価額は、地方税法第388条第1項に規定する固定資産評価基準に基づき行うこととされており、認定事実のとおり、本件土地と間口、奥行き、形状及び接道状況が類似する土地が存在しない本件にあっては、本件土地が接面する道路の路線価を基として、固定資産評価基準に定める不整形の補正率等を適用して本件土地の価額を算定することが、租税負担の公平の観点からも合理的であると認められる。

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登記機関が認定する価額の算定に当たり、本件土地の現況地目と登記嘱託書に添付された固定資産課税台帳記載事項証明書の課税地目とは異なるとして、現況地目に基づき課税標準を認定した事例

裁決事例集 No.70 - 397頁

 原処分庁は、登録免許税法施行令附則第3項に規定する類似する不動産の台帳価格を基礎として登記機関が認定する価額の算定に当たり、登記嘱託書に添付されていた近傍宅地の固定資産課税台帳記載事項証明書には法務局提出用近傍証明書との記載があるから当該近傍宅地は本件土地に近傍類似していることが証明されており、当該証明書の評価額に基づいて本件土地の価額を算定したことは適法である旨主張する。
 しかしながら、本件各土地の登記申請時の現況は、市道沿いから中央にかけて雑草が密生し、奥の部分は竹やぶが進入してきているが、かつて整地されたこともうかがえる状況にあり、P市の固定資産評価事務取扱要領によれば、「その他の雑種地」で、人の手は加えられているが、駐車場、運動場及び資材置場等として利用できる程度の造成が加えられていない土地(以下「その他の雑種地で直ちに利用可能でないもの」という。)に該当すると認められるのに対し、当該近傍宅地の課税地目は専用宅地であり、双方の土地は課税地目が異なるから、原処分庁の主張は採用できない。
 そうすると、本件各土地に類似する土地としては、本件各土地が接する路線(以下「本件路線」という。)に接する土地のうち、課税地目が「その他の雑種地で直ちに利用可能でないもの」を選定するのが合理的と考えられる。
 本件各土地の所在するP市では、「その他の雑種地で直ちに利用可能でないもの」の固定資産税評価額の算定は、面積、形状にかかわらず、画地調整をせずに、路線価に0.2を乗じた1平方メートル当たりの価格に面積を乗じて算定した価額によるとされており、この取扱いは相当と認められることから、本件各土地に類似する土地の価額は、特定の類似する土地を選定するまでもなく、本件路線に接面して本件各土地に類似する土地の平成15年1月1日現在の台帳価格、すなわち、平成15年1月1日現在の本件路線の路線価に0.2を乗じた1平方メートル当たりの価格に本件各土地の面積を乗じて算定した価額によることが合理的である。

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分筆及び合筆された土地については、課税台帳に登録された価格のない土地に該当し、登記機関が認定した価額が登録免許税法附則第7条に規定する政令で定める価額であるとした事例

平成23年2月16日裁決

《ポイント》
 この事例は、課税台帳に登録された価格のない不動産の価額について登記官が認定した価額が妥当とはいえないものであったことから、審判所において価額の認定を行った上で、登記官の認定した価額は過大とはいえないとしたものである。

《要旨》
 請求人は、分筆登記により分筆された土地又は分筆登記により分筆された土地が合筆登記により合筆された14筆の土地(本件各土地)には、分筆前の台帳価格(本件分筆前台帳価格)があることから、所有権移転を目的とする本件各登記に係る登録免許税の課税標準の額は、本件分筆前台帳価格を基に算定した価額によるべきである旨主張する。
 しかしながら、不動産の価額は、登記申請の日がその年の4月1日から12月31日までの期間内であるものは、その年の1月1日現在において課税台帳に登録された不動産の価額を基礎として計算した金額に相当する価額とするとされているところ(登録免許税法附則7、登録免許税法施行令附則3前段)、本件各土地は、平成21年2月の分筆登記により分筆された土地又は同日の分筆登記により分筆された複数の土地が同年5月の合筆登記により合筆された土地であることから、本件各登記がされた平成21年6月においては、平成21年度の台帳価格がなかったと認められる。そうすると、台帳価格のない不動産の価額は、当該不動産の登記の申請の日において当該不動産に類似する不動産で台帳価格のあるものの価額を基礎として、登記機関が認定した価額とするとされていることから(登録免許税法施行令附則3後段)、本件各土地の価額は、それらの近傍類似の土地で平成21年度の台帳価格のあるものの当該台帳価格を基礎として登記機関が認定した価額となる。ところで、本件各土地のうち12筆の土地(本件12筆土地)の価額の認定に当たり、その近隣類似の土地の平成21年度の台帳価格を基礎とするところ、本件登記官がその基礎とした比準宅地は、三角形状の不整形地であり、ほぼ長方形状の本件12筆土地と形状の類似性を著しく欠くなど、適切な比準宅地とはいえない。そこで、本件12筆土地の価格形成に影響を与えるような特性を有する地域の中から、本件12筆土地と近傍の分譲住宅地に所在する宅地(本件認定宅地)を選定し、本件認定宅地の平成21年度台帳価格を基に、地価下落率、画地条件及び場所的条件の格差を考慮して本件12筆土地の価額を算定し、認定したところ、本件12筆土地の本件各登記に係る登録免許税の課税標準の額は、本件登記官の認定した課税標準の額を上回ることから、本件登記官の認定した課税標準の額は過大とはいえない。

《参照条文等》
 国税通則法第15条、第36条
 登録免許税法第9条、第10条、第28条、第29条、第31条、附則第7条
 登録免許税法施行令附則第3項

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台帳価格のない建物の登録免許税の課税標準について登記機関が認定した価額が類似する建物の台帳価格を基礎として算定されていない場合は、客観性が認められる当該建物の建築価額によるのが相当であるとした事例

平成23年6月30日裁決

《要旨》
 原処分庁は、請求人が所有権保存登記を受けた倉庫(本件倉庫)は、新築されたものであり、いわゆる台帳価格のない不動産であるから、その課税標準の額の算定に当たっては、認定基準表によるべきである旨主張する。
 しかしながら、登記機関が、台帳価格のない建物について認定基準表に基づき認定する価額は、認定基準表の作成に当たり選定した類似する建物の台帳価格を基礎として合理的に算定されたものであれば適法と解されるものの、台帳価格のない建物が、認定基準表の作成に当たり選定された建物の状況と類似しているとは認められず、認定基準表に基づき認定された価額が、登録免許税法施行令附則第3項に規定する「類似する不動産で台帳価格を基礎として登記機関が認定した価額」を表していない場合には、登記申請人は、当該建物と類似する近傍の建物の台帳価格があればその台帳価格を基にして求めた価額を、当該建物と類似する近傍の建物の台帳価格がなければ他の方法により求めた不動産の価額(時価)を採用できると解するのが相当である。本件倉庫については、一般的な倉庫に比して簡易な仕様・構造の建物であり、認定基準表の作成に当たり選定された建物の状況と類似していないことは明らかであるから、認定基準表に基づく本件倉庫の価額は、「類似する不動産の台帳価格を基礎として登記機関が認定した価額」を表しているとは認められず、また、本件倉庫に類似する建物は、本件倉庫の登記の申請の年の前年12月31日現在において認められないことからすると、請求人は、本件倉庫の課税標準の額の算定に当たり、他の方法により求めた本件倉庫の価額(時価)を採用することができることとなる。そこで、本件倉庫の価額(時価)を検討すると、建築価額(工事費及び設計監理料の合計額)によるのが相当と認められるから、本件倉庫の課税標準の額は、当該建築価額とするのが相当である。

《参照条文等》
 登録免許税法第10条、附則第7条
 登録免許税法施行令附則第3項

《参考判決・裁決》
 平成14年11月22日裁決(裁決事例集No.64・565頁)

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台帳価格の決定後に既存建物の一部を利用して増築された部分の登録免許税の課税標準たる価額は、固定資産評価基準を基礎として算定するのが相当とした事例

平成24年3月6日裁決

《ポイント》
 この事例は、建物の台帳価格の決定後に既存建物の一部を利用した増築工事により当該建物の床面積が増加した場合の当該増築部分の登録免許税の課税標準たる価額は、まる1登記実務上、法務局長が定める認定基準表により算定することになるが、当該認定基準表は平均的な新築建物の価額を基準として定められていることから、当該認定基準表により難いときには、まる2当該増築部分の工事費用が通常の取引における客観的な価額であると認められれば、当該増築工事費用の額を基礎とするのが最適であるが、当該増築工事費用の額が不明であるときには、まる3固定資産税法上の固定資産評価基準を基礎として算定するのが相当であると判断したものである。

《要旨》
 原処分庁は、平成22年6月における所有権移転登記の目的となった建物(本件建物)は、既存建物(本件旧建物)に事務所部分(本件事務所部分)を増築したものであって、その増築は、固定資産課税台帳(課税台帳)に本件旧建物の同年1月1日現在における価額が登録された後になされているから、本件建物の登録免許税の課税標準たる価額は、本件旧建物については、課税台帳に登録された同年1月1日現在の本件旧建物の価格(本件旧建物台帳価格)を基礎として計算した金額とし、本件事務所部分については、法務局長が定めた「登録免許税課税標準額認定基準」(本件通達)の新築建物課税標準額認定基準表(本件認定基準表)により算定した価額として、これらを合計した価額とするのが相当である旨主張する。
 しかしながら、登記の目的となる建物について登録免許税法施行令附則第4項に規定する「特別の事情」が認められる場合には、本件通達が定めた本件認定基準表を一律に適用して登記官がその価額を認定することは、簡易迅速な税額の確定が求められる登録免許税において課税の公平を担保するという観点から相当であると認められるものの、本件認定基準表により難い場合には、これによらないことができるものと解するのが相当であり、本件認定基準表は法務局長が平均的な新築建物の価額の基準として定めたものであるのに対し、本件事務所部分は既存の物置の一部を使用するなどして増築されたものであることからすると、本件事務所部分については、本件認定基準表に定める方法により難い場合に該当すると認められるから、他の方法により求めた登記の時の価額を課税標準の額とするのが相当である。そして、その価額は、市役所の職員が本件事務所部分を実地調査して固定資産評価基準に基づき算定した増築時点の再建築費評点を基礎として算出した価額(本件事務所部分価額)とするのが相当である。したがって、本件建物の登録免許税の課税標準たる価額は、本件旧建物台帳価格を基礎として計算した金額と本件事務所部分価額とを合計した金額とするのが相当である。

《参照条文等》
 登録免許税法第10条、附則第7条
 登録免許税法施行令附則第3項、第4項

《参考判決・裁決》
 最高裁平成15年7月18日第二小法廷判決(判タ1139号62頁)
 平成23年6月30日裁決(裁決事例集No.83)

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固定資産課税台帳に登録された価格のない不動産について類似する不動産が存在しない場合における登録免許税の課税標準の額は、固定資産評価基準を基礎として算定するのが相当とした事例

平成24年10月12日裁決

《ポイント》
 本事例は、固定資産課税台帳に登録された価格のない不動産について類似する不動産が存在しない場合又は類似する不動産が把握できない場合における登録免許税の課税標準の額のたる不動産の価額(時価)は、登録免許税における不動産の課税標準の額が、固定資産課税台帳に登録された価格を基礎としていることなどから、固定資産課税標準によってその価額を算定し、その算定した価額が時価を上回らない限り、その価額とするのが相当であると判断したものである。

《要旨》
 請求人は、固定資産課税台帳に登録された価格のない本件土地の登記に係る登録免許税の課税標準たる本件土地の価額について、本件土地の周辺に本件土地の時価と同水準の土地が見当たらない場合には、本件土地の売払いに際して売払人が依頼した民間精通者による評価額(本件精通者評価額)とすべきである旨主張する。
 しかしながら、登録免許税の課税標準の額たる土地の価額は、当該土地と類似する土地が存在しない場合にあっては、固定資産評価基準によって算定した価額が時価を上回らない限りにおいて、その価額は相当と認められるところ、本件の場合、本件土地と類似する土地は存在せず、また、固定資産評価基準によって算定した本件土地の価額(本件固定資産評価額)は、仮に本件精通者評価額が時価として相当と認められるとしても、本件精通者評価額を下回るものであること及び他に本件固定資産評価額が時価を上回ることを認めるに足る証拠もないことから、本件登記に係る登録免許税の課税標準の額たる本件土地の価額として相当なものと認められる。したがって、本件登記に係る登録免許税の課税標準たる本件土地の価額は、本件固定資産評価額とするのが相当である。

《参照条文等》
 登録免許税法第10条、附則第7条
 登録免許税法施行令附則第3項

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原処分庁が認定した登録免許税の課税標準たる土地の価額は、当該土地に類似する不動産の登録価格を基礎としたものということはできないとして処分の一部を取り消した事例(平成27年2月登記により納付された登録免許税に係る還付通知をすべき理由がない旨の通知処分・一部取消し・平成28年4月7日裁決)

平成28年4月7日裁決

《ポイント》
 本事例は、平成27年2月にした平成26年12月31日現在の固定資産課税台帳に登録された価格(登録価格)がない土地の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準について、他に当該土地の登記の時における適正な価額とは認められるものがないときは、平成26年度の固定資産評価基準の定めにより計算した価額が当該土地の登記の時の価額として相当なものであると認められるとしたものである。

《要旨》
 請求人は、平成27年2月にした平成26年12月31日現在の固定資産課税台帳に登録された価格(登録価格)がない土地(本件土地)の所有権移転登記に当たり、納付した登録免許税は過誤納となっている旨主張し、原処分庁は、登録免許税法施行令附則第3項の規定に基づき付近の土地の登録価格から認定した価額は適正であり、過誤納はない旨主張する。
 しかしながら、本件土地の周辺で、本件土地と形状、間口、奥行き、利用状況及び接道状況等が類似する不動産は存在しなかったと認められる上、登記官が認定した価額は、単に近傍の固定資産評価の路線価に雑種地等補正をして算定されただけであるとうかがわれ、これを本件土地に類似する不動産の登録価格を基礎としたものということはできない。本件の登記申請は、平成27年2月になされており、用いるべき登録価格は平成26年12月31日現在のものであって、これと異なり、平成27年1月1日を基準日とする平成27年度の登録価格を用いる請求人の主張額は、登録免許税法施行令附則第3項第1号の規定に反しており、また、平成27年2月と平成27年1月1日とでは、本件土地の造成工事が完了していたか否かという差異があるから、平成27年度の登録価格をもって直ちに同項所定の登記官が認定する価額とは認められない。いずれの価額も本件土地の登記の時における適正な価額とは認められないから、平成26年度の固定資産評価基準の定めにより計算した価額が本件土地の登記の時の価額として相当なものであると認められる。

《参照条文等》
 登録免許税法第10条、同附則第7条
 登録免許税法施行令附則第3項

《参考判決・裁決》
 平成24年10月12日裁決(裁決事例集No.89)

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