交付要求

交付要求

  1. 交付要求(5件)

破産宣告後に土地を譲渡したことに係る土地重課税は破産法第47条第2号に規定する破産財団に関して生じたものに該当するとした事例

裁決事例集 No.23 - 214頁

 請求人は、土地重課は国の土地政策の一環として設けられたもので、破産債権者にとって共益的な支出に当たらないから財団債権に当たらないと主張するが、破産法第47条第2号に規定する「破産財団に関して生じたる」租税債権とは、破産財団を構成する各個の財産のそれぞれからの収益そのものに対して課せられる租税と解されるところ、本件土地重課は、破産財団を構成していた土地の譲渡収益に対して課税されるものであるから、土地重課により生じた本件租税債権は、まさに「破産財団に関して生じたる」財団債権に該当する。

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賦課処分と滞納処分とは、それぞれその目的を異にする独立の行政処分であるから、課税処分が取り消されるか無効でない限り、課税処分の違法を理由として、交付要求の取消しを求めることは出来ないとした事例

裁決事例集 No.49 - 624頁

 請求人は、本件課税処分が違法であるから、当該処分を前提としてなされた本件交付要求も違法で取り消すべきであると主張するが、賦課処分と滞納処分とは、それぞれその目的を異にする独立の行政処分であるから、課税処分が無効であるか、又は違法を理由として取り消された場合には当該処分を前提とした交付要求の違法を招来するものの、課税処分に存する違法が単に取り消し得べき瑕疵にすぎないときには、それが取り消されない限り課税処分は依然として有効であって、当該処分の違法性を理由として交付要求の取消しを求めることは出来ない。
 本件についてみると、本件課税処分が取り消されたという事実はなく、また、本件課税処分を無効ならしめるような重大かつ明白な瑕疵があると認めるに足る証拠もないから、本件課税処分に係る違法を理由として本件交付要求の取消しを求めることはできない。

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破産宣告後の更正処分により確定した本件消費税は、破産財団に関して生じたもので財団債権に該当し、したがって、破産管財人に対する本件消費税の滞納を理由とする交付要求処分の取消しを求める審査請求は、不適法なものであるとした事例

裁決事例集 No.53 - 522頁

  1.  消費税は、破産宣告後の原因に基づくものであっても「破産財団に関して生じたもの」として財団債権に当たるところ、本件消費税は破産宣告前の原因に基づくものであるから、いずれにしても、財団債権に該当する。
  2.  破産管財人に対する滞納国税の交付要求は、破産管財人に対し既に発生している納税義務について、その弁済を催告するものにすぎないというべきであり、交付要求によって新たに権利義務は発生せず、何ら国民の地位、権利義務に変動を生じさせるものではないことは明らかであるから、本件交付要求は、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に該当せず、したがって、その取消しを求める審査請求は不適法なものである。

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国が担保として徴していた不動産抵当権の一部解除をした場合において、当該物件に抵当権を設定した請求人の強制換価手続に対しては、信義則上、国が交付要求することは許されないとの請求人の主張が排斥された事例

裁決事例集 No.57 - 568頁

 請求人は、[1]国税徴収法第85条第1項第2号に該当する事由の有無の判断は、信義則の法理に従い、抵当権設定時を基準とすべきである、[2]請求人の抵当権設定に何ら落ち度はないから、同条の立法趣旨に照らして当然保護されるべきである、[3]滞納国税は法定納期限から16年も経過しているから、その間徴税を放置したことは職務怠慢であり、また、本件交付要求は権利の濫用であると主張する。
 しかしながら、[1]国税徴収法第85条第1項第2号の交付要求解除請求の要件の判断時点は、当該交付要求解除請求のときと解するのが相当であり、また、原処分庁が抵当権の一部を抹消したことをもって、請求人に対し、以後交付要求を行わない旨の公的な見解を表示したものとはいえず、信義則の法理を適用する特別の事情が存在したとは認められないこと、[2]同条は、一定の要件を充足した場合に債権者を保護する規定であり、請求人に落ち度がないことをもって本件交付要求解除請求を認めることはできないこと、[3]原処分庁は、納税猶予を認め、猶予期限の確定後は原処分庁において担保物処分の手続を経た上で本件交付要求に至ったことが認められ、交付要求に至る徴収手続に職務怠慢があったとは認められないことから、請求人の主張に理由がない。

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交付要求が失効しているとして審査請求を却下した事例

裁決事例集 No.64 - 607頁

 請求人は、原処分庁が行った交付要求及び交付要求の解除請求に対する解除拒否通知は、違法・不当な処分であり、その全部の取消しを求める旨主張する。
 しかしながら、交付要求に係る執行機関である裁判所が競売手続の取消しを決定し、それに対する請求人の執行抗告も棄却されたことにより、取消決定が確定し、裁判所の差押えも抹消登記され、事件の終了も裁判所から請求人に通知されていることから、本件交付要求及び交付要求解除拒否通知は、その効力を失っており、本件審査請求は、その対象となる処分を欠く不適法なものである。

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