法人税法の特例

特定設備等の特別償却

  1. 特定設備等の特別償却(6件)
  2. 中小企業者の機械等の特別償却
  3. 新築貸家住宅等の割増償却
  4. 交際費等の課税の特例
  5. 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例
  6. 土地の譲渡等がある場合の特別税率
  7. 収用等の場合の課税の特例
  8. 特定資産の買換えの場合等の課税の特例
  9. 準備金
  10. 税額控除
  11. 新規取得土地等に係る負債の利子の課税の特例
  12. 移転価格税制
  13. タックスヘイブン対策税制

騒音防止のために設置された本件しゃ音壁は租税特別措置法第43条第1項の表第1号に規定する公害防止用設備に該当しないから特別償却は認められないとした事例

裁決事例集 No.24 - 178頁

 騒音規制法施行令で定めた別表第1に掲げる施設から発生する騒音の防止の用に使用するしゃ音壁に限って租税特別措置法(昭和56年法律第13号による改正前のもの)第43条第1項の適用を認めることとしたのは、騒音規制法が工場又は事業場の騒音を発生する施設のすべてを対象として規制するものではなく、著しい騒音を発生する施設であって政令で定められた施設に限って規制しようとしているものであるところ、租税特別措置法においても、騒音規制法施行令で定めた別表第1に掲げる施設を大蔵省告示別表1の1においてそのまま採用したものであり、本件しゃ音壁は、騒音規制法施行令で定めた別表第1に掲げる施設から生ずる騒音を防止するものとは認められず、特別償却を認めないこととした原処分は相当である。

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租税特別措置法第58条の3第1項に規定する「新鉱床探鉱費の額」とは、現に支出した新鉱床探鉱費の額から新鉱床の探査のため受け入れた補助金の額に相当する金額を控除した額によるべきであるとした事例

裁決事例集 No.38 - 233頁

 租税特別措置法第58条の3第1項に規定する「新鉱床探鉱費の額」の算定に当たり、新鉱床の探査のために受け入れた補助金の額に相当する金額を控除すべきか否かについては、[1]新鉱床探鉱費の特別控除の制度が探鉱準備金の制度と連動していることから、その計算に当たっても採掘所得金額を計算する場合と同様、補助金の額を控除することが相当であること、[2]補助金交付の実質が国自ら新鉱床探鉱費を支出したことと変わらないことから、補助金によって補てんされた部分についてまで免税効果を与えることは不合理であること、[3]新鉱床探鉱費の額の算定に当たって補助金の額を控除する経理処理は、当該業界における公正妥当な会計処理の基準として定着していることから、新鉱床探鉱費の額は、補助金の額に相当する金額を控除して算定するのが相当である。

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クレーンに装着して使用されるリフティング・マグネットについて租税特別措置法第42条の7第1項の規定に基づく特別償却の適用があるとした事例

裁決事例集 No.40 - 284頁

 リフティング・マグネットについて租税特別措置法第42条の7第1項の規定に基づく特別償却の適用が認められるためには、それが機械部品等のように単体として取引の対象となるというだけでは足りず、それ自体独立した機械及び装置といえる程度の固有の機能を有していることを要すると解されるところ、本件リフティング・マグネットは、クレーンに装着して使用されているものの、それ自体単体として取引され、かつ、電力を利用して単体として磁力を発生し、電磁石として、クレーンとは離れて固有の機能を有していることが認められるから、上記特別償却の適用があるものと解すべきである。

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租税特別措置法第45条に規定する「新設又は増設に係る減価償却資産の取得」とは、その法人の生産量等が具体的な増加に結びつく工業用機械等の取得であるとした事例

裁決事例集 No.43 - 488頁

 租税特別措置法第45条の立法趣旨は、同条第1項の表に規定する地域内で一定規模以上の設備投資をした場合には、税制上、租税の一部を軽減することにより設備投資の導入あるいは振興開発を行い、低開発地域工業開発促進法等の政策目的である工業の開発、導入あるいは振興開発を行い、もって、雇用の増大、雇用構造の高度化、住民福祉の向上等に寄与し、地域経済の発展に資することにあるから、同条の「新設又は増設に係る減価償却資産の取得」とは、その法人の生産量等が具体的な増加に結びつく工業用機械等の取得であると解するのが相当である。
 請求人は、既に賃借により事業の用に供していた本件工業用機械等を取得したもので、その後工場の増築等に伴うレイアウトの変更及び機械等の据付位置の移動が認められるにしても、本件工業用機械等の取得により生産量等に実質的な増加があったとは認められない。したがって、本件工業用機械等は、租税特別措置法第45条に規定する資産の取得には該当しない。

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本件機械装置は、租税特別措置法第42条の7第2項に規定する事業基盤強化設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除の対象となる事業の用に供していると認められないとした事例

裁決事例集 No.56 - 281頁

 請求人は、化粧品容器の卸売業を主として営む同族会社であるが、化粧品容器を製造する中空成形機及び原材料を乾燥させる除湿乾燥機を取得し、租税特別措置法第42条の7に規定する法人税額の特別控除を適用して申告をしている。請求人は、本件機械装置を生産手段として、純然たる卸売商品と全く同種類の製品を製造販売しているのであるから、小規模かつ部分的に製造部門を有しているとしても、これも卸売業の一環としての、企業活動としてとらえるべきであり、単に製造部門の存在のみをもって、税額控除の適用を認めないのは誤りであると主張する。
 しかしながら、本件機械装置は、特定事業者の営む事業すなわち請求人の営む卸売業の用に供されていないのであるから、請求人は各事業年度において税額控除を適用することはできない。
 なお、本件機械装置は、専ら製造業の用に供されているものであって、製造された製品が卸売業のために購入した商品と同様に卸売りされているからといって、卸売業を遂行するための方法や手段として使用されているとはいえないから、このような関係をもって、卸売業の用に供されているとは認められない。

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本件鋳型造型機の附属機器等は通産省告示第145号で指定されていないことから特定設備等の特別償却の対象とはならないとした事例

裁決事例集 No.57 - 381頁

 請求人は、請求人が取得した鋳型造型機及びその附属機器等について、その全てが租税特別措置法第42条の5に規定する特別償却の対象になると主張するが、平成4年3月の通産省告示第145号の別表一では、鋳型造型機本体が租税特別措置法第42条の5の特別償却の対象となる減価償却資産として定められており、その附属機器等については定められていない。
 したがって、請求人が取得した附属機器等については、租税特別措置法第42条の5の特別償却の対象とはならない減価償却資産であると解するのが相当である。

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