法人税法の特例

その他

  1. 特定設備等の特別償却
  2. 中小企業者の機械等の特別償却
  3. 新築貸家住宅等の割増償却
  4. 交際費等の課税の特例
  5. 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例
  6. 土地の譲渡等がある場合の特別税率
    1. 適用対象行為の範囲
    2. 土地等の取得の時期
    3. 収益の額
      1. 土地と建物の譲渡対価の区分
      2. その他(2件)
    4. 譲渡利益金額の計算
  7. 収用等の場合の課税の特例
  8. 特定資産の買換えの場合等の課税の特例
  9. 準備金
  10. 税額控除
  11. 新規取得土地等に係る負債の利子の課税の特例
  12. 移転価格税制
  13. タックスヘイブン対策税制

現況が山林であり、宅建業法で定める報酬基準では採算が取れないという特殊状況にある仲介手数料については、土地譲渡益重課税の対象とすべきではないとの請求人の主張に対して、当該基準を適用した原処分は相当であるとした事例

裁決事例集 No.44 - 348頁

 土地譲渡益重課税制度は、土地又は土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)の譲渡等により短期間に得た利益に対して重ねて課税することにより土地等の価額の高騰を抑制するために設けられた制度であって、租税特別措置法(以下「措置法」という。)施行令第38条の4第2項は、土地等の売買又は交換に係る仲介手数料を受ける行為についても、その額が宅建業法の報酬の上限の額を超えた場合には土地等の譲渡に準ずるものとして土地譲渡益重課税制度の適用がある旨規定している。また、土地譲渡益重課税制度においては、宅建業法第46条第1項に規定する報酬の上限の額を基準とするのみであって、同法がもっぱら対象とする宅地及び建物に係る仲介行為のみを対象とするものではなく、山林原野等宅地以外の土地等の仲介も含まれるものと解される。
 これを本件についてみると、本件各土地の取引が特殊な状況にあるとしても、請求人が受領した本件各仲介手数料の額は、宅建業法の報酬の上限の額を超えており、土地譲渡益重課税制度の適用を免れるべき理由はないから、この点に関する請求人の主張は採用できない。

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請求人が作成した土地売買契約書及び建物売買契約書は、土地の譲渡価額の圧縮を目的として形式的に作成されたもので、建物売買契約は存在せず、土地を譲渡したものであるとした事例

裁決事例集 No.54 - 344頁

 請求人は、土地及び建物の売買を取り決め、土地売買契約書と倉庫を建築して譲渡する建物売買契約書を取り交わしているが、国土法の規制により、勧告価格を超えて譲渡することができないため、本件倉庫を建築し、当初予定した利益相当額を確保することで合意したもので、実際の契約に基づき作成されており、この記載内容に事実と異なるものはないと主張する。
 しかしながら、[1]本件請負契約書に添付されたとする仕様書は存在しておらず、また、契約書の検査引渡しの時期は完成から10日以内と記載されているが、完成時に検査をして引渡しを受けた事実も認められない等、契約が実行されたとは、にわかに信用し難いこと、[2]契約金額の決済については通常あり得ない不自然な決済方法であること、[3]請求人は、工事の進行管理や関係諸官庁への手続きなどの事実行為を一切行っていないことが認められ、発注者としての危険と責任を負っていた客観的事実も認められないこと、[4]本件倉庫の売買先に対しては、積算根拠が細部にわたって記載されている見積書が作成されているのに対して、請求人の見積書には、ほとんどその記載がないことが認められ、そうすると、請求人の見積書は、その見積金額が本件建物売買契約書の契約金額と同額であるところから、この契約金額に合わせて便宜上作成されたものにすぎないと認められる。
 以上のことから、本件請負契約書は形式的に作成されたもので実体がなく、実質的には、倉庫の請負契約は請負業者と建物売買契約先との間で行われたと認められ、本件建物売買契約書の実体もありえない。
 そうすると、本件建物売買契約書は、本件土地の売買金額の一部を本件倉庫の工事代金に仮託するために形式的に作成されたとみるのが相当である。

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