法人税法の特例

譲渡資産の範囲

  1. 特定設備等の特別償却
  2. 中小企業者の機械等の特別償却
  3. 新築貸家住宅等の割増償却
  4. 交際費等の課税の特例
  5. 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例
  6. 土地の譲渡等がある場合の特別税率
  7. 収用等の場合の課税の特例
  8. 特定資産の買換えの場合等の課税の特例
    1. 譲渡資産の範囲(4件)
    2. 圧縮限度額
    3. その他
  9. 準備金
  10. 税額控除
  11. 新規取得土地等に係る負債の利子の課税の特例
  12. 移転価格税制
  13. タックスヘイブン対策税制

譲渡資産は特定資産の買換えの特例の対象から除外される「たな卸資産」に当たるとした事例

裁決事例集 No.4 - 37頁

 事業に使用する目的をもって長期間保有されていた土地であっても、その土地を別荘地として分譲する目的で造成し、区画割が行われ、不特定多数の顧客を求めて売却された事実が認められる場合には、かかる目的の下に造成に着手した段階で、その土地は従来からの使用目的から離れて販売を目的とする土地に転換され、その売却時には棚卸資産の範ちゅうに入るものであると判断される。

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土地等が譲渡資産との関係において買換資産に該当しないときは当該譲渡資産との関係において建物等だけを買換資産とすることはできないとした事例

裁決事例集 No.17 - 96頁

 租税特別措置法(昭和51年法律第5号による改正前のもの)第65条の7第1項に規定する「その土地等の取得に伴い取得をされる建物等」の「その土地等」とは、同項の規定に該当する買換資産である土地等をいうものと解されるから、一つの譲渡資産との関係において土地等が同項の規定に該当しても、他の譲渡資産との関係において当該土地等が同項の規定に該当しないときは、当該他の譲渡資産との関係において当該土地上に建築される建物等だけを買換資産として同項の規定に該当するものとすることはできない。

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本件船舶の譲渡価額のうちには船舶建造引当権の対価の額が含まれており、当該船舶建造引当権の譲渡対価については、租税特別措置法第65条の7に規定する特定資産の買換えの特例の適用はないとした事例

裁決事例集 No.39 - 53頁

 請求人は、船舶の譲渡価額は船体価額であって建造引当権の対価は含まれていないと主張するが、[1]内航海運業界では、船腹量調整のため船舶の解撤等を引当てに代替船の建造等を認める方式がとられ、建造引当権を売買の対象とする慣行があること、[2]請求人所在地近辺の取引実例5件では、建造引当権の対価が定められていること、[3]転売に係る譲受人の所持する売買契約書原本には建造引当権の特約があること、及び[4]船舶を建造した造船所及び譲受人の答述を総合すれば、本件船舶の譲渡価額には、建造引当権の対価の額が含まれていることが認められ、その対価は、租税特別措置法(昭和59年法律第6号による改正後のもの)第65条の7“特定の資産の買換えの場合の課税の特例”に規定する特定の資産の買換えの特例の対象とはならず、したがって、同法第65条の8“特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例”に規定する特別勘定の金額のうち上記建造引当権の対価の額に相当する繰入限度超価額を益金の額に算入した原処分は相当である。

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建物を譲渡し土地を取得した買換えについては租税特別措置法第65条の7に規定する特定の資産の買換えの場合の課税の特例は適用されないとした事例

裁決事例集 No.71 - 459頁

 請求人は、租税特別措置法第65条の7の解釈及びその立法趣旨から、建物を譲渡し土地を取得した買換えの場合に本件特例が適用される旨主張する。
 しかしながら、租税特別措置法第65条の7第2項は、同条第1項の規定を適用する場合の条件を加重的に定めたものであり、第1項に定める表の区分ごとに、買換資産である土地等のうち、譲渡資産である土地等の面積の一定割合を超える部分の面積に対応するものは、買換資産に該当しないものとされている。そうすると、譲渡資産に土地等がない買換えの場合には、譲渡資産である土地等の面積は零となるので、買換資産である土地等のすべての面積が、譲渡資産である土地等の面積の一定割合を超える部分の面積に該当して買換資産に該当しないこととなる。
 この解釈は、国土政策に反する不要不急の土地の取得や仮需要の抑制を図り、不要の土地取得を制度上認めないという租税特別措置法第65条の7第2項の立法趣旨にも沿うものである。

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