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相続税法の特例

相続税の延納税額についての物納の特例

  1. 国等に対して相続財産を贈与した場合の相続税の非課税
  2. 農地等に係る贈与税等の納税猶予
  3. 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
  4. 相続開始前3年以内に取得した土地等又は建物についての相続税の課税価格の計算の特例
  5. 相続税の延納税額についての物納の特例(1件)
  6. その他

特例物納申請土地である本件貸地は、賃料が近傍類似の民間賃貸実例による平均的賃料と比較して低廉であることから、国において借地契約の円滑な継続が困難な土地に該当し、管理又は処分をするのに不適当な財産と認められるとして、本件特例物納申請土地につき、変更要求通知処分をしたことは相当であるとした事例

裁決事例集 No.53 - 465頁

  1.  本件特例物納申請土地の変更要求通知処分は、本件土地が「借地権者に対する賃貸料の低廉な財産に該当し、国において借地契約の円滑な継続が困難」として、変更を求める理由を具体的に明らかにしており、原処分庁は、その認定した事実に基づき管理又は処分をするのに不適当な財産であると認めて変更要求をしたのであるから、これを違法、不当ということはできない。
  2.  原処分庁が採用した算定基準は、物納財産の管理官庁である財務局が物納財産を引き受けた後、引き続き権利者に貸付けを行う場合の貸付料の算定基準であるから、原処分庁がこれを採用したことをもって行政指導の範囲の逸脱と認めることはできず、いわんや、その算定の過程においても本件土地の形状等の個別事情を考慮していることが認められるから、何ら違法、不当とはいえない。
     さらに、基準貸付料980,000円は、原処分庁が調査した近傍類似の民間賃貸実例に基づく年間賃貸料1平方メートル当たり3,424円に本件土地の面積289.07平方メートルを乗じて求めた金額989,775円と比較してみると、その差はきん差であることから、結果として算定された金額にも妥当性が認められるので、請求人の主張は採用できない。
  3.  本件土地の賃料相当損害金(年額600,000円)と上記近傍類似の賃貸料989,775円とを比較したところ40パーセントの開差が生じることから、本件賃料相当損害金は低廉であると言わざるを得ない。また、その増額の可能性についてみた場合においても、裁判所における調停で既に7割の増額が行われているなどの事情を勘案すると、適正額への値上げが容易に実現するとは考えられず、特例物納土地として管理又は処分をするのに不適当な財産と認めるのが相当である。

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