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国税審判官(特定任期付職員)からのメッセージ

山田 庸一

氏名
山田 庸一
(弁護士出身)
経歴
平成11年4月
弁護士登録
平成26年7月
大阪国税不服審判所
国税審判官として採用
平成28年7月
東京国税不服審判所に異動

Q 国税審判官(特定任期付職員)の募集に応募したきっかけを教えて下さい。

A 弁護士会のホームページで任期付審判官の募集があり、税法には必ずしも詳しくありませんでしたが、税法を勉強し、判断者の立場で事件を検討するのも面白そうであると思い、同時に、弁護士登録してから(応募の時点で)15年近く経過し、多少の停滞感もあったため、税法の専門家に囲まれて新たな仕事をすると経験と視野が広がると考えて、応募させていただきました。

Q 国税審判官として審判所でどのような業務を担当していますか。

A 私は、採用当初の2年間を大阪支部で勤務させていただき、3年目に東京支部に異動させていただいて、東西の2大支部の業務を行うことができ、大変幸運でした。
 現在は資産税に関する財産評価を担当する部門におり、財産評価の事案を掘り下げる機会を得ることができました。
 審判官の仕事は、通常は、記録を検討して、判例検索システムや図書室で先例や法令解釈を調べ、議決書を作成するというデスクワークが多いのですが、職権調査権があるため、審判所外で調査を行うこともあります。この職権調査が、審判官の職務の面白さの一つであり、また事案解明ための重責でもあるのですが、私は、東京では資産税の評価事案を担当する部門にいるため、現場に出かけて、地図を片手に、その土地と周りの環境を調査して、写真を撮り、道路の幅や土地の高さを測ったり、市役所に出かけて届出や行政規制を調査したりと、外部での調査を行う機会が比較的多くあります。

Q 弁護士としての経験が、国税審判官の業務にどのように活かされていると感じていますか。

A 課税処分は、原則として、私法上の法律関係の上に形成されることから、課税処分の適法性の検討は、前提として事実関係の解明と私法上の法律関係の検討が欠かせません。このため、弁護士として依頼人に事情を尋ね、資料を集めて事実の調査を行った経験や、民法や会社法などの基本的な法令の解釈及びその判例を知っていること並びにその調べ方を知っていることは、非常に役に立つと思います。
 また、審判所の手続や議決書は、民事訴訟の影響を受けている部分が多いので、弁護士には馴染みやすいと思います。

Q 審判所の職場環境について感じていることを教えて下さい。

A 審判所では、各部の中の部門ごとに合議体が組織され、事件を担当することになります。普段は各自で静かに事件の検討などを行っている場合が多いのですが、問題点を合議体で検討する際には、当該事件のことから、経験談などを交えた雑談まで含めて、いろいろな話をしながら議論を行います。審判所には、税務の知識経験の豊富な職員の方々はもとより、任期付で公認会計士、税理士、弁護士の方々もいらっしゃいますので、専門性の異なる人から様々な意見や経験談を聞くことができ、自分の考えの不十分なところに気づかされることも多くあります。最終的に合議体の判断となるためには、多くの人に自分の意見が正しいことを納得してもらう必要があり、この過程で皆さんと議論を積極的に行うことは大変楽しいと思います。
 なお、審判所の手続や基本的な知識については、採用された直後に、多くの弁護士には懐かしい土地である和光市の税務大学校で1週間程度の研修を受けることになりますし、そのほか、年に数回の研修が行われています。
 担当事件については、税務に関する実務的な知識経験や制度の趣旨などについて非常に詳しい方が多くいらっしゃりますので、いろいろ教えて頂きながら、それを基礎に、条文を精査し、書籍や判例等を調査し、考えを深めて、自分の意見を形成していくことができ、また、それが任期付の弁護士に期待される役割なのだろうと考えています。
 業務時間外でも、飲み会やレクリエーションの機会は多くあり、楽しく人間関係を形成することができます。

Q 国税審判官となって、良かったと思うことを教えてください。

A 3年間、ひたすら税法の事件のことを考えますので、税法やその考え方に非常に詳しくなることができます。他の法律についても前提問題の解決のために調べることが多く、むしろ知識が広がりました。
 また、弁護士時代にも、偏った主張をしても裁判所に容れられないことから、第三者の批判に耐えられる主張か否かを考えるよう心掛けていましたが、弁護士は一方当事者の代理人ですから、どうしても事件を中立的に検討できないおそれがあります。審判官として判断する経験は、中立的に事件を検討する経験を積むことになり、また、当事者の提出する書面の良し悪しが良く見えることから、自分の過去の仕事ぶりを顧みる良い機会になりました。
 さらに、多くの専門家の方々と知り合うことができ、皆さんに非常に良くしていただいています。このようにたくさんの方々と知り合えたことが、一番の収穫だと思っています。

Q 国税審判官(特定任期付職員)に応募する方へのメッセージをお願いします。

A 弁護士から常勤の公務員になるには、業務の後始末などハードルがあるかとは思います。しかし、審判官の経験は、弁護士とは異なる非常に役に立つと同時に楽しい経験となると思います。おそらく、外側から想像する以上に面白い仕事だと思います。
 是非、積極的に応募していただきたいと思います。

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