(平成30年9月21日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、原処分庁所属の職員の調査を受け、交際費勘定等に計上した費用は損金の額に算入されないなどとして法人税等の修正申告書を提出したところ、原処分庁が、当該費用については、請求人の代表取締役の個人的な飲食等の費用を損金の額に算入したという隠ぺい又は仮装の事実があったなどとして法人税等に係る重加算税の賦課決定処分をしたのに対し、請求人が、隠ぺい又は仮装の事実はないとして、原処分の一部の取消しを求めた事案である。

(2) 関係法令

国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のものをいい、以下「通則法」という。)第68条《重加算税》第1項は、通則法第65条《過少申告加算税》第1項の規定に該当する場合において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する旨規定している。

(3) 基礎事実及び審査請求に至る経緯

当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

  • イ 請求人は、平成20年7月○日に設立された、宣伝、広告の企画、制作等及び飲食店の企画、経営等を目的とする法人である。
  • ロ 請求人は、平成25年7月1日から平成26年6月30日まで、平成26年7月1日から平成27年6月30日まで及び平成27年7月1日から平成28年6月30日までの各事業年度(以下、順次「平成26年6月期」、「平成27年6月期」及び「平成28年6月期」といい、これらを併せて「本件各事業年度」という。)の総勘定元帳において、別表1の「勘定科目」欄記載の各勘定科目(以下「本件各費用勘定」という。)に、同表の「計上金額」欄記載の各金額を計上した。
     なお、請求人は、請求人が行う取引に係る消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の経理処理については、平成26年6月期及び平成27年6月期は税抜経理方式を、平成28年6月期は税込経理方式を、それぞれ採用していた。
  • ハ 請求人は、本件各事業年度の法人税、平成25年7月1日から平成26年6月30日までの課税事業年度(以下「平成26年6月課税事業年度」という。)の復興特別法人税及び平成27年7月1日から平成28年6月30日までの課税事業年度(以下「平成28年6月課税事業年度」という。)の地方法人税について、青色の確定申告書又は申告書にそれぞれ別表2及び別表4の各「確定申告」欄又は別表3の「申告」欄のとおり記載して、いずれも法定申告期限までに申告した。
     また、請求人は、平成25年7月1日から平成26年6月30日まで、平成26年7月1日から平成27年6月30日まで及び平成27年7月1日から平成28年6月30日までの各課税期間(以下、順次「平成26年6月課税期間」、「平成27年6月課税期間」及び「平成28年6月課税期間」といい、これらを併せて「本件各課税期間」という。)の消費税等について、確定申告書に別表5の「確定申告」欄のとおり記載し、いずれも法定申告期限までに申告した。
  • ニ 原処分庁所属の調査担当職員(以下「本件調査担当職員」という。)は、請求人に対する法人税等に関する実地の調査において、別表1の「計上金額」欄記載の各金額のうち、現金、銀行振込又は請求人の代表取締役であるE(以下「E代表」という。)の個人名義の複数のクレジットカード(以下「本件各カード」という。)の利用により支払われた飲食店等に対する支出で、同表の「飲食等の代金」欄記載の各金額(以下「本件各飲食等代金」という。)については、E代表の個人的な飲食等に係る金額であり、請求人の本件各事業年度の損金の額に算入されず、また、本件各飲食等代金(税抜経理方式を採用している課税期間については消費税等相当額との合計額)は本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額には該当しないことを指摘した。
  • ホ 請求人は、上記ニの指摘を受けて、平成29年5月15日に、別表2ないし別表5の各「修正申告」欄のとおりとする各修正申告書を提出した。
     なお、本件各事業年度の法人税に係る各修正申告書(以下「本件法人税各修正申告書」という。)には、次の内容が記載されている。
    • (イ) 本件法人税各修正申告書に添付された別表四「所得の金額の計算に関する明細書(次葉)」の「加算」項目の「総額」欄に、本件各飲食等代金が記載された上で、別表五(一)「利益積立金額及び資本等の額の計算に関する明細書」の「貸付金」項目の「当期の増減」の「増」欄に、本件各飲食等代金(税抜経理方式を採用している事業年度については消費税等相当額との合計額)が記載されている。
    • (ロ) 本件法人税各修正申告書に添付された別表四「所得の金額の計算に関する明細書(次葉)」の「加算」項目の「総額」欄に、「受取利息計上もれ」として次の金額が記載されている。
      • A 平成26年6月期 ○○○○円
      • B 平成27年6月期 ○○○○円
      • C 平成28年6月期 ○○○○円
  • へ 請求人は、平成29年5月18日付で、E代表との間で、要旨次の内容の金銭消費貸借契約書(以下「本件金銭消費貸借契約書」という。)を作成した。
    • (イ) 請求人は、次の合計金額○○○○円をE代表に貸し渡し、E代表は確かにこれを借り受け受領した。
       平成26年6月30日 金○○○○円
       平成27年6月30日 金○○○○円
       平成28年6月30日 金○○○○円
    • (ロ) E代表は、上記金員を平成30年6月30日に返済する。
  • ト 原処分庁は、平成29年5月31日付で、別表2ないし別表5の各「賦課決定処分」欄のとおり、本件各事業年度の法人税、平成26年6月課税事業年度の復興特別法人税、平成28年6月課税事業年度の地方法人税及び本件各課税期間の消費税等につき、それぞれに係る重加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)をした。
  • チ 請求人は、本件各賦課決定処分を不服として、平成29年6月19日に再調査の請求をしたところ、再調査審理庁は、同年9月28日付でいずれも棄却の再調査決定をした。
  • リ 請求人は、再調査決定を経た後の本件各賦課決定処分に不服があるとして、平成29年10月24日に審査請求をした。

2 争点

通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の事実はあるか否か。

3 争点についての主張

原処分庁 請求人
次のとおり、請求人には、隠ぺい又は仮装の事実があった。 次のとおり、請求人には、隠ぺい又は仮装に該当する事実はない。
(1) 請求人は、本件各飲食等代金について損金の額に算入されないとして所得の金額に加算し、また、本件各飲食等代金(消費税等を含んだ金額)を課税仕入れに係る支払対価の額から除いて法人税、復興特別法人税、地方法人税及び消費税等に係る修正申告書を提出しているところ、E代表は、E代表の個人名義のカードである本件各カードの利用明細書に記載のある飲食等の代金はE代表が利用したクラブやレストランの飲食等の代金を決済したものであり、平成25年7月以降は請求人の業務に関連するものではなく、E代表が個人で飲食等をした代金であると申述するとともに、請求人の取引先と利用することはなく、E代表が1人で行ったものや知人と利用したものである旨申述している。
 また、本件各カードの利用明細書に記載のある「G店」の平成26年1月から同年6月まで及び平成28年1月から同年6月までのE代表の利用状況においては、E代表のみ又は2名で利用していることが認められる。
  以上のことからすると、E代表は、本件各飲食等代金については、その全てがE代表個人で利用したものに係る支出の額であり、請求人の費用として計上できないものであると認識しながら、請求人の経理担当者に指示して、本件各飲食等代金を本件各費用勘定に請求人の費用として計上して、その金額の全部又は一部を損金の額に算入するとともに、本件各飲食等代金(消費税等を含んだ金額)を本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に含めていたと認められる。
(1) 原処分庁は、請求人が支出した交際費等のうち、E代表の個人名義のカードである本件各カードで決済したものを、E代表1人で飲食したものであるからとの理由で、請求人の業務に関連するものではないとして全額を個人的な飲食等の代金と認定しているところ、本件各カードで決済したのは、請求人名義のクレジットカードを作成していないためであり、また、1人で飲食したとあるが、大部分は取引先との飲食であり、1人分の飲食についても飲食店で得意先と同席して自分の分のみ負担したものや得意先の飲食店を利用しての1人での飲食であり、全て請求人の費用である。
 原処分庁が平成25年7月以降に本件各カード等で決済した本件各飲食等代金の全てを法人の業務に関連するものではないとしている根拠は、「請求人の取引先と利用することはなく、私が一人で行ったものや知人と利用したものである。」というE代表の申述のみであり、原処分庁は、当該申述のみに固執して事実確認を十分に行っていない。
(2) 請求人は、本件法人税各修正申告書において、本件各飲食等代金について損金の額に算入されないとして所得の金額に加算するとともに、これと同額の貸付金の額を記載した上で、当該貸付金に係る受取利息の額を所得の金額に加算しているところ、請求人とE代表は、当該貸付金と同額をE代表に貸し渡し、E代表は確かにこれを借り受け受領した旨の記載がある本件金銭消費貸借契約書を作成したことからすると、請求人とE代表は、本件各飲食等代金を基礎として算出された金額を請求人からE代表に対する貸付金とすることに合意していたものと認められる。
 そうすると、当該合意により、本件各事業年度において、総勘定元帳等に記載されていない当該貸付金(資産)から生じた利息収入について、本件各事業年度の総勘定元帳等の帳簿にいずれも記載しなかったと認められる。
(2) 上記(1)のとおり、本件各飲食等代金は、全て請求人の費用であり、E代表に対する貸付金は発生しないことから、当該貸付金に係る受取利息も発生しない。

4 当審判所の判断

(1) 法令解釈

通則法第68条に規定する重加算税は、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺい、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出しているときに課されるものである。ここでいう「事実を隠ぺいする」とは、課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、これを隠ぺいし又は故意に脱漏することをいい、また、「事実を仮装する」とは、所得、財産あるいは取引上の名義等に関し、あたかも、それが真実であるかのように装う等、故意に事実をわい曲することをいうものと解するのが相当である。

(2) 認定事実

請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

  • イ 「G店」の利用状況について
     本件調査担当職員は、本件各カードの利用明細書に記載された飲食店等のうち、「G店」を経営しているH社の事務所へ平成29年3月21日に臨場し、同社に保管されていた「御勘定明細書」を確認したところ、平成26年1月23日から同年6月12日までの期間及び平成28年1月14日から同年6月13日までの期間における当該「御勘定明細書」のうち、「氏名」欄に「E」と記載があるものが16件あり、このうち、「人数」欄に「1名」と記載があるものが14件、「2名」と記載があるものが2件あった。
  • ロ 「J店」の利用状況について
     再調査審理庁所属の職員は、本件各カードの利用明細書に記載された飲食店等である「J店」を経営しているK社の事務所へ平成29年8月24日に臨場し、同社に保管されていた「御勘定明細書」を確認したところ、平成27年7月2日から平成28年6月14日までの期間における当該「御勘定明細書」のうち、「得意先」欄に「E」と記載がある「御勘定明細書」が8件あり、その「人数」欄には、全て複数の人数が記載されていた。
  • ハ E代表の日程表について
    請求人が平成29年12月14日に当審判所に提出した本件各事業年度に係るE代表の日程表には、時刻の記載とともに「L」と記載がある日が認められ、当該記載のある日のうちに、本件各カードの利用明細書において本件各飲食等代金に係る支出をしていることが確認できる日がある。
  • ニ 本件各飲食等代金について
    本件各事業年度の総勘定元帳において、本件各飲食等代金に係る飲食等の相手方又は当該飲食等の目的等の記載はなく、当審判所の調査においても、これらの点を明らかにする資料等は認められなかった。

(3) E代表の申述等について

  • イ E代表の申述
     E代表は、平成29年4月6日、本件調査担当職員に対し、本件各カードは、以前は売上先の接待等で利用した際の決済に使っていたが、平成25年7月以降の利用分については請求人の業務に関連するものではなく、E代表が個人で利用した飲食代等であり、請求人の取引先と利用することはなく、E代表が1人で行ったものや知人と利用したものである旨申述し、その旨を記載した同日付の質問応答記録書(以下「本件記録書」という。)に署名及び押印した。また、本件調査担当職員が作成した平成29年4月6日付調査報告書には、E代表は、本件調査担当職員に対し、総勘定元帳に計上された現金支払の飲食代金等も個人的費用であると申述した旨記載されている。
  • ロ E代表の答述
     E代表は、平成30年1月25日、当審判所に対し、本件記録書は内容が全く違う旨本件調査担当職員に対し反論したが、当時の顧問税理士からもサインするように言われて署名及び押印したもので、その内容は全て真実に反しており、実際には、本件各飲食等代金は、個人的な飲食等に係る金額ではなく全て交際費である旨答述した。
  • ハ 請求人の取引先の従業員の答述
     請求人の取引先の一つであるM社の従業員であるL(以下「L氏」という。)は、平成30年4月11日、当審判所に対し、E代表とは業務上の必要から面識があり、E代表と飲食し、その際にE代表が代金を支払ったことが何度かある旨答述した。

(4) 検討

  • イ 本件各飲食等代金について
    • (イ) 「G店」の利用状況について
       上記(2)のイのとおり、「G店」の「御勘定明細書」のうち、「人数」欄に「1名」と記載があるものが14件認められるものの、その利用の目的・態様は明らかではなく、当該店舗の全ての利用がE代表の個人的な飲食等であることを裏付ける証拠は認められない。そうすると、「G店」の利用状況をもって、本件各飲食等代金について、その全てがE代表の個人的な飲食等に係る金額であると認めるには足りない。
    • (ロ) 「J店」の利用状況について
       再調査審理庁所属の職員が「J店」において確認した上記(2)のロの事実は、そもそも当該店舗の利用がE代表の個人的な飲食等であることを推認させるものではない。
    • (ハ) L氏との飲食等について
       上記(3)のハのとおり、L氏は、当審判所に対し、E代表と共に飲食を行っている旨答述し、かつ、上記(2)のハのE代表の日程表に「L」と記載がある日に、本件各カードの利用明細書において本件各飲食等代金に係る支出をしている日がある。そうすると、本件各飲食等代金の中には、E代表が請求人の取引先の従業員であるL氏と共に飲食等を行ったものが含まれていると推認される。当該飲食等がどのような目的・態様で行われたか等については明らかではないものの、少なくとも当該飲食等について、E代表が、請求人の事業に関係のある者との飲食等ではなく個人的な飲食等であると認識していたとは認め難い。
    • (ニ) E代表の申述及び答述について
       E代表は、本件調査担当職員に対し、上記(3)のイのとおり、平成25年7月以降の本件各カードの利用による飲食代の全てが個人的な飲食代である旨申述しているが、当該申述の内容は、本件各飲食等代金について概括的に述べたものであり、個々の支出について言及したものではなく、具体性が乏しい上、上記(イ)ないし(ハ)のとおり、その内容を裏付ける客観的証拠は認められない。そして、E代表は、当審判所に対し、上記(3)のロのとおり、本件記録書に署名及び押印したものの、その内容は全て真実に反しており、本件各飲食等代金は、個人的な飲食等に係る金額ではなく全て交際費である旨答述している。
       上記(2)のニのとおり、本件各飲食等代金の全てについて請求人の交際費であることを明らかにする証拠書類等はないことから、当審判所において本件各飲食等代金は全て交際費であるとの認定はできないものの、同(2)のロの「J店」の利用状況や、上記(ハ)のL氏との飲食等の状況などからすると、E代表の答述を直ちに信用性を欠くものとして排斥できない。
    • (ホ) 結論
       以上の事実のほか、その他の証拠及び当審判所の調査によっても、本件各飲食等代金の全てについてE代表の個人的な飲食等に係る金額であることを推認させるに足りる証拠はない。また、本件各飲食等代金の全てについて、E代表が個人的な飲食等に係る金額であることを認識しながら、請求人の本件各事業年度の総勘定元帳の本件各費用勘定に計上したとする仮装の事実を認めるに足りる証拠もないことからすれば、本件各飲食等代金の全てについて、個人的な費用であることをE代表が認識しながら本件各費用勘定に請求人の費用として計上したとは認められない。したがって、本件各飲食等代金について、通則法第68条第1項に規定するところの隠ぺい又は仮装の事実は認められない。
  • ロ 受取利息について
     上記1の(3)のホ及びヘのとおり、請求人とE代表との間において、本件各飲食等代金を基礎として算出された金額を請求人からE代表に対する貸付金とする旨の合意があり、本件金銭消費貸借契約書が作成されたことが認められる。しかしながら、上記イのとおり、当該貸付金の発生の基因となる事実について、隠ぺい又は仮装の行為があったとは認められないことからすれば、請求人が故意に当該貸付金の計上を脱漏していたものとは認められない。したがって、当該貸付金に係る利息についても、通則法第68条第1項に規定するところの隠ぺい又は仮装の事実は認められない。
  • ハ 原処分庁の主張について
     原処分庁は、1本件各カードがいずれもE代表の個人名義のカードであること、2E代表が、本件各飲食等代金は請求人の業務に関連するものではなく、E代表の個人的な飲食等に係る金額である旨申述していること及び3「G店」の利用状況を隠ぺい又は仮装の事実があったとする主張の根拠としている。
     しかしながら、本件各カードがE代表の個人名義のカードであることのみをもって、本件各飲食等代金はE代表の個人的な飲食等に係る金額であるとまではいえない。また、上記イの(ニ)のとおり、E代表の申述については、本件各飲食等代金について概括的に述べたものでその内容を裏付ける客観的証拠は認められず、その後のE代表の答述についても直ちに信用性を欠くものとして排斥できない。さらに、上記イの(イ)のとおり、「G店」の利用状況をもってして、当該店舗の全ての利用がE代表の個人的な飲食等であると認められる証拠とはならない。
     以上からすれば、原処分庁の主張は、隠ぺい又は仮装の事実が認められないとの上記イ及びロの認定を覆すものではない。

(5) 本件各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分の適法性について

上記(4)のイの(ホ)及び同(4)のロのとおり、本件各事業年度において、請求人に隠ぺい又は仮装の事実があるとは認められず、通則法第68条第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たしていない。他方、本件各事業年度の修正申告に基づき納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちに、その修正申告前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、請求人に通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められない。
 以上のことから、本件各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分のうち、過少申告加算税相当額を超える部分の金額については、それぞれ違法であるから、いずれも別紙1ないし別紙3の「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。
 なお、本件各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

(6) 平成26年6月課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の賦課決定処分の適法性について

上記(4)のイの(ホ)及び同(4)のロのとおり、平成26年6月課税事業年度において、請求人に隠ぺい又は仮装の事実があるとは認められず、通則法第68条第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たしていない。他方、平成26年6月課税事業年度の修正申告に基づき納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちに、その修正申告前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、請求人に通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められない。
 以上のことから、平成26年6月課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の賦課決定処分のうち、過少申告加算税相当額を超える部分の金額については、違法であるか、別紙4の「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。
 なお、平成26年6月課税事業年度の復興特別法人税に係る重加算税の賦課決定処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

(7) 平成28年6月課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分の適法性について

上記(4)のイの(ホ)及び同(4)のロのとおり、平成28年6月課税事業年度において、請求人に隠ぺい又は仮装の事実があるとは認められず、通則法第68条第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たしていない。他方、平成28年6月課税事業年度の修正申告に基づき納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちに、その修正申告前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、請求人に通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められない。
 以上のことから、平成28年6月課税事業年度の地方法人税に係る重加算税の賦課決定処分のうち、過少申告加算税相当額を超える部分の金額については違法であるが、通則法第65条第1項の規定により過少申告加算税相当額を計算すると○○○○円になる。そして、通則法第119条《国税の確定金額の端数計算等》第4項の規定により、加算税の額が5,000円未満であるときは、その全額を切り捨てることとなるので、その全部を取り消すべきである。

(8) 本件各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分の適法性について

上記(4)のイの(ホ)及び同(4)のロのとおり、本件各課税期間において、請求人に隠ぺい又は仮装の事実があるとは認められず、通則法第68条第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たしていない。他方、本件各課税期間の修正申告に基づき納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちに、その修正申告前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、請求人に通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められない。
 以上のことから、本件各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分のうち、過少申告加算税相当額を超える部分の金額については、それぞれ違法であるから、いずれも別紙5ないし別紙7の「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。
 なお、本件各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

(9) 結論

よって、審査請求には理由があるから、原処分の一部を取り消すこととする。

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