(令和2年1月20日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)の被合併法人であるE社が、使用人に対する福利厚生の一環として設けたカフェテリアプランにおける人間ドック等補助メニューに係る経済的利益は給与等として課税されない経済的利益に当たるとしていたところ、原処分庁が、E社に対して、当該プランにおいて、E社が当該使用人に付与するポイントには換金性があることから、当該使用人が当該ポイントを使用することにより受ける経済的利益はその全てが給与等として課税されるとして、当該人間ドック等補助メニューに係る経済的利益について源泉所得税等の納税告知処分等をしたのに対し、E社がその全部の取消しを求めた事案である。

(2) 関係法令

  • イ 所得税法第28条《給与所得》第1項は、給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下「給与等」という。)に係る所得をいう旨、同条第2項は、給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする旨、それぞれ規定している。
  • ロ 所得税法第36条《収入金額》第1項は、その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもって収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする旨規定している。
  • ハ 所得税法第183条《源泉徴収義務》第1項は、居住者に対し国内において給与等の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない旨規定している。
  • ニ 所得税基本通達(以下「基本通達」という。)36−29《課税しない経済的利益……用役の提供等》は、使用者が役員又は使用人の福利厚生のための施設の運営費等を負担することにより、当該施設を利用した役員又は使用人が受ける経済的利益については、当該経済的利益の額が著しく多額であると認められる場合又は役員だけを対象として供与される場合を除き、課税しなくて差し支えない旨定めている。
  • ホ 基本通達36−30《課税しない経済的利益……使用者が負担するレクリエーションの費用》は、使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、使用者が、当該行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。)に対しその参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えないと定め、その注書において、当該行事に参加しなかった者(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を含む。)に支給する金銭については、給与等として課税することに留意すると定めている。

(3) 基礎事実

当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

  • イ E社について
     E社は、平成22年1月○日に設立された、○○○○製品等の開発、製造及び販売等を目的とする法人である。
  • ロ E社におけるカフェテリアプラン規程について
     E社は、使用人の福利厚生の充実等を目的として、平成28年4月1日以後を実施日とする要旨次の内容の「カフェテリアプラン規程」を定めた。
    • (イ) この規程は、カフェテリアプランの取扱いについて定める(第1条)。
    • (ロ) この規程においてカフェテリアプランとは、「○○○○カフェテリアプラン利用ガイド」の中から社員が個人の優先度に合わせて選択して利用する制度をいう(以下、この制度を「本件プラン」という。)(第2条)。
    • (ハ) この規程は、全ての社員(以下「本件各使用人」という。)に適用する(第4条)。
    • (ニ) 本件プランのメニュー(以下「本件各メニュー」という。)は、「○○○○カフェテリアプラン利用ガイド」のとおりとする(第5条)。
    • (ホ) E社は、毎年4月1日に在籍している本件各使用人に通常ポイントとして20ポイントを付与する(以下、本件プランにおいて付与される当該ポイントを「本件ポイント」という。)(第7条第1項)。本件ポイントは1ポイント1,000円相当とし、本件ポイントの有効期間は翌年3月末日までで繰越しはしないものとする(第6条第2項、第7条第3項)。
  • ハ 本件プランについて
     本件プランにおける本件各メニューの内容の要旨、補助の方法並びにE社における当該補助に係る所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)の課税上の区分は、別表1のとおりであり、概要は次のとおりである。
    • (イ) 補助の方法について
       E社は、別表1の「補助の方法」欄のキャッシュバック又は差額精算の方法により、本件各使用人から申請があった本件各メニューの利用に当たり使用するポイント数に相当する金額を補助している(以下、本件ポイントの使用により本件各使用人が受ける各経済的利益を「本件各経済的利益」という。)。
       各補助の方法の概要は次のとおりである。
      • A キャッシュバック
         補助の方法がキャッシュバックとされている本件各メニューを利用する本件各使用人は、対象となる施設等の利用代金を一旦支払い、当該本件各使用人宛の領収書を取得し、所定の申請書に当該領収書を添付して使用ポイント数を申請する。当該申請の締切日は当該施設等の利用日の翌々月15日であり、E社は、当該締切日の翌月の当該本件各使用人の給料の額に、当該使用ポイント数に相当する金額を加算して支給する。
      • B 差額精算
         補助の方法が差額精算とされている本件各メニューを利用する本件各使用人は、指定された窓口等で使用ポイント数を申告して施設等の利用を申し込み、当該使用ポイント数に相当する金額を差し引いた金額の利用代金を当該施設等に支払い、当該施設等を利用する。
    • (ロ) 補助に係る所得税等の課税上の区分について
       E社は、別表1の「補助に係る課税上の区分」欄を「非課税」としている各補助について、給与等の源泉徴収に係る所得税等(以下「源泉所得税等」という。)の徴収の対象としておらず、同欄を「課税」としている各補助について、給与等の源泉所得税等の徴収の対象としており、その概要は次のとおりである。
      • A 非課税としていたもの
         E社は、本件各メニューのうち別表1の順号1の「人間ドック補助」、同2の「文レク(行事)補助」及び同3の「文レク(クラブ)補助」の各メニューに係る各補助(以下、これらの各補助を併せて「本件人間ドック等補助」という。)について、本件各使用人が受ける本件人間ドック等補助に係る経済的利益(以下「本件ドック等経済的利益」という。)は、基本通達36−29又は基本通達36−30に定める課税しない経済的利益に該当するとして給与等の源泉所得税等の徴収の対象としていなかった。
      • B 課税としていたもの
         E社は、本件各メニューのうち本件人間ドック等補助を除く別表1の順号4の「財形貯蓄補助金」(以下「本件財形メニュー」という。)及び同5〜21の「スポーツ施設利用料補助ほか16メニュー」の各メニューに係る各補助について、本件各使用人が受ける当該各補助に係る経済的利益(給与等)として源泉所得税等の徴収の対象としていた。
  • ニ 本件財形メニューについて
     本件財形メニューに係る補助(サービス)は、本件各使用人のうち財形貯蓄をしている使用人が対象であり、当該使用人が、本件ポイントの付与を受けた年(以下「ポイント付与年」という。)の前年10月からポイント付与年3月までの間に、又はポイント付与年4月から同年9月までの間に財形貯蓄として積み立てた合計積立額に対して、ポイント付与年6月1日から同年7月15日までの間に、又はポイント付与年12月1日から翌年1月15日までの間に使用するポイント数を申請し、それぞれポイント付与年8月又は翌年2月に当該各合計積立額の範囲内で申請したポイント数(使用するポイント数の合計は本件ポイントを限度とする。)に相当する金銭の支給を受けるというものである。
  • ホ 本件各メニューのうち本件財形メニュー以外のものについて
     本件各メニューのうち本件財形メニュー以外のもの(以下「本件財形以外メニュー」という。)は、いずれも一定の要件を充足しなければ補助(サービス)を受けられない内容のものであり、本件各使用人が補助(サービス)を受けないことによって金銭が支給されることを内容とするものはない。

(4) 審査請求に至る経緯及び合併について

  • イ E社の源泉所得税等の納税地を所轄していたH税務署長は、平成30年12月25日付で、本件ドック等経済的利益は課税しない経済的利益に該当せず給与等として課税すべきであるとして、別表2のとおり、源泉所得税等の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分をした(以下、これらの各処分を併せて「本件各納税告知処分等」という。)。
  • ロ E社は、平成31年2月25日、本件各納税告知処分等を不服として審査請求した。
  • ハ E社は平成31年4月○日に請求人に合併されたので、請求人はE社の審査請求人としての地位を承継した。また、請求人は、当該合併に伴い、E社の給与支払事務所等の所在地をe市f町○−○から肩書地に移転したので、原処分庁は、H税務署長からG税務署長となった。

(5) 国税庁が公表するカフェテリアプランに係る質疑応答事例について

国税庁は、国税庁質疑応答事例《カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合》において、企業が福利厚生の一環として、ポイント制のカフェテリアプランを導入し、従業員が付与されたポイントを利用して当該カフェテリアプランのメニューの中から選択してサービスを受ける場合における、当該ポイントに係る経済的利益についての照会に対し、要旨次のとおり回答している。
 当該カフェテリアプランのメニューの中には、課税扱いとなるものと非課税扱いとなるものが混在しているが、メニューの各項目は、一定の要件に該当しなければサービスを受けられないものであり、また、そのサービスを受けられないことによって金銭が支給されるものではないので、従業員に付与されるポイントについては、現に従業員がそのポイントを利用してサービスを受けたときに、その内容に応じて課税・非課税を判断するものとして差し支えない。ただし、企業の福利厚生費として課税されない経済的利益とするためには、役員・従業員にとって均等なものでなければならないことから、役員・従業員の職務上の地位や報酬額に比例してポイントが付与される場合には、カフェテリアプランの全てについて課税対象となる。また、課税されない経済的利益は企業から現物給付の形で支給されるものに限られるので、ポイントを現金に換えられるなど換金性のあるカフェテリアプランは、その全てについて課税対象となる(以下、この回答を「本件回答」という。)。

2 争点

本件各経済的利益はその全てが源泉所得税等の課税対象になり、E社には、本件ドック等経済的利益について源泉徴収義務があるか否か。

3 争点についての主張

原処分庁 請求人
   次の理由から、本件各経済的利益はその全てが源泉所得税等の課税対象になり、E社には、本件ドック等経済的利益について源泉徴収義務がある。
 本件各メニューのうち本件財形メニューは、E社が費用を負担するという性質の他のメニューとは異なり、本件各使用人から申請された本件財形メニューに使用するポイント数に相当する金銭が、E社から本件各使用人に支給されるものであるから、本件各使用人は、本件各メニューについて、E社から、費用負担を肩代わりしてもらうという経済的利益の供与と、金銭の支給という二つの供与の方法を選択することができるといえる。そうすると、本件各経済的利益は、いずれも無条件で金銭の支給が受けられるものではないものの、本件各使用人の選択により換金することができるものであると認められ、金銭により支給される給与等と何ら変わるものではないから、本件各使用人が本件各メニューから選択した現に受けるサービスの内容いかんにかかわらず、その全額が給与等として課税されるものと認めるのが相当である。
 なお、本件回答に記載のとおり、課税されない経済的利益は、企業から現物給付の形で支給されるものに限られるのであって、本件のように、使用されるポイントに相当する金銭が財形貯蓄補助金として支給される場合には、換金性があるというべきであり、上記の現物給付の形で支給されるものには該当しない。
  次の理由から、本件各経済的利益はその全てが源泉所得税等の課税対象になるのではなく、E社には、本件ドック等経済的利益について源泉徴収義務はない。
  • (1) 本件プランは、次のことから本件回答にある「ポイントを現金に換えられるなど換金性のあるカフェテリアプラン」には該当しない。
    • イ 本件財形メニューは、本件各使用人のうち財形貯蓄をしている使用人が対象であり、当該使用人が一定の期間に積み立てた積立額を上限とし、本件ポイントを限度として補助金を支給するものであるから、一定の要件に該当した場合に現金が支給されるものであり、ポイントを現金や商品券に換えられるものに該当しない。また、本件財形以外メニューも、何らの要件も必要とせず、単にポイントを現金や商品券に換えられるものに該当しない。
    • ロ 本件財形メニューにおける財形貯蓄の補助としての「金銭が支給される」と、本件回答の「ポイントを現金に換えられる」とは、その意味、内容は異なる。
       すなわち、カフェテリアプランのメニューの中にポイントを現金や商品券に換えられるものなどがある場合には、従業員は、他のメニューに代えてその現金や商品券の支給を選択できるから、他のメニューの全ての利用について、当該現金等の支給額に相当する給与等の支払があったものとして課税の対象となるが、この場合のポイントを現金や商品券に換えられるものとは、本件回答において「メニューの各項目は、一定の要件に該当しなければサービスを受けられないものであり、……現に従業員がそのポイントを利用してサービスを受けたときに、その内容に応じて課税・非課税を判断する」としていることからすると、一定の要件に該当した場合に現金が支給されるメニューは含まれず、何らの要件も必要とせず、単にポイントを現金や商品券に換えられるものを意味する。
       このように解さなければ、本来課税されない本件ドック等経済的利益を課税されるものとして取り扱う理由がない。
  • (2) 本件プランにおいて、本件各使用人のうち財形貯蓄をしていない使用人は本件財形メニューを選択することはできないのであり、また、財形貯蓄をしている使用人は本件財形以外メニューを選択しないで本件財形メニューを選択することは可能であるが、上記(1)のとおり、本件プランは、「ポイントを現金に換えられるなど換金性のあるカフェテリアプラン」に該当しないのであるから、本件各メニューの中に本件財形メニューがあることをもって、本来課税されない本件ドック等経済的利益を課税の対象とすることは、合理的でなく、法的根拠もない。
  • (3) 本件各メニューの利用に当たって、財形貯蓄をしていない本件各使用人は、本件財形メニューは選択できず、金銭の支給は受けられないから、原処分庁の「経済的利益の供与と、金銭の支給という二つの供与の方法を選択することができる」という主張には、論理に矛盾がある。

4 当審判所の判断

(1) 法令解釈等

所得税法第36条第1項は、各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額には、経済的利益の額を含む旨規定しているところ、給与所得者が使用人たる地位に基づいて、現物給与(金銭以外の物等により支払われる給与等をいう。以下同じ。)の支給を受けることにより生ずる経済的利益については、給与所得の収入金額に含まれることになる。
 ところで、現物給与については、金銭に比べ選択性が乏しく、換金性が低いあるいは換金性がないものも多く、使用人等の福利厚生としての性質を有するものであるところ、基本通達36−29は、使用者が役員又は使用人の福利厚生のための施設の運営費等を負担した場合に、役員又は使用人が受ける経済的利益については、経済的利益の額が著しく多額であると認められる場合又は役員だけを対象として供与される場合を除き、課税しなくて差し支えない旨を、基本通達36−30は、使用者が役員又は使用人のレクリエーションの費用を負担することにより、役員又は使用人が受ける経済的利益については、いわゆる自己都合によりレクリエーション行事に参加しなかった役員又は使用人に対してその参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない旨をそれぞれ定めており、これらの費用の負担による現物給与が福利厚生的な性質を有すること、そして、その経済的利益が少額である場合にはあえて課税しないこととしても弊害がないことを考慮すると、これらの取扱いは、当審判所においても相当と認められる。
 そして、基本通達36−30において、いわゆる自己都合による不参加者に対して金銭を支給する場合が課税しなくて差し支えない場合から除かれているが、このような場合には、その行事に参加しないで金銭支給を受けることを役員又は使用人が選択できるのであって、参加者、不参加者とも、その支給を受ける金銭の額に相当する給与の支払があったものと同様であることから、この取扱いは、当審判所においても相当と認められる。
 また、本件回答は、カフェテリアプランの中に、何ら要件なく金銭や商品券等の支給を受けることを選択できるとか、自由に品物を選択できるなどのメニューがある場合には、金銭を給付するのと同様とみられるから、現に選択したメニューにかかわらず、全ての経済的利益が課税対象となるとするものであり、その取扱いは、上記の基本通達の趣旨に照らして整合的と認められ、当審判所においても相当と認められる。

(2) 検討

  • イ 本件プランは、上記1の(3)のロのとおり、本件各使用人の福利厚生の充実等を目的として設けられたものと認められ、本件各使用人が本件各経済的利益として受ける額は、本件各使用人の職務上の地位や報酬額に比例して異なるものではなく、一律に1年間で20,000円を限度とするものであり、福利厚生費として社会通念上著しく多額であるとは認められない。
  • ロ 本件財形メニューは、上記1の(3)のニのとおり、本件各使用人のうち一定の期間内に財形貯蓄をした使用人に対して、その補助(サービス)として積立額の範囲内で申請したポイント数に相当する金銭が支給されるものであり、何ら要件なく本件ポイントを金銭に換えることを内容とするものとは認められない。
  • ハ そして、本件財形以外メニューについても、自由に品物を選択できることを内容とするものは認められず、上記1の(3)のホのとおり、いずれも一定の要件を充足しなければサービスを受けられない内容のものであり、何ら要件なく金銭や商品券等の支給を受けることを選択できることを内容とするものではない。また、本件各使用人がサービスを受けずに残ポイントがある場合においても、当該残ポイント数に相当する金銭がE社から支給されることを内容とするものでもない。
  • ニ 以上のことからすると、本件プランは、ポイントを現金に換えられるなど換金性のあるカフェテリアプランとは認められず、金銭を給付するのと同様とはみられないことから、現に選択したメニューにかかわらず、全ての経済的利益が課税対象となるものには該当しない。
  • ホ そうすると、本件各経済的利益は、本件各使用人が選択した現に受けるサービスの内容に応じて、課税しない経済的利益に該当するか否かを判断することになるところ、本件ドック等経済的利益は、本件人間ドック等補助の内容及び上記イの内容を併せ判断すると、基本通達36−29又は基本通達36−30に定める課税しない経済的利益に該当すると認めるのが相当であり、これを覆すに足りる証拠はない。
  • ヘ したがって、E社には、本件ドック等経済的利益について源泉徴収義務はないと認められる。

(3) 原処分庁の主張について

原処分庁は、上記3の「原処分庁」欄のとおり、本件プランに本件財形メニューが含まれていることをもって、本件プランは換金性のあるプランと認められ、E社は、本件各経済的利益の全てについて給与等として課税する必要がある旨主張する。
 しかしながら、本件プランに換金性が認められないことは、上記(2)のニのとおりであり、E社に本件ドック等経済的利益についての源泉徴収義務はないと認められることは、同(2)のヘのとおりであるから、原処分庁の主張には理由がない。

(4) 本件各納税告知処分等の適法性について

上記(2)のヘのとおり、E社には、本件ドック等経済的利益について源泉徴収義務はないと認められるから、本件ドック等経済的利益について源泉所得税等を徴収し納付する義務があるとしてされた本件各納税告知処分等は違法であり、その全部を取り消すべきである。

(5) 結論

よって、審査請求には理由があるから、原処分の全部を取り消すこととする。

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