(令和4年1月12日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)とは別法人名義で行われた土地売買取引等に係る収益が請求人に帰属するなどとして、原処分庁が、法人税の青色申告の承認取消処分、法人税等及び消費税等の更正処分等並びに源泉徴収に係る所得税等の納税告知処分等を行ったのに対し、請求人が、事実誤認があるなどとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。

(2) 関係法令

  • イ 法人税法第11条《実質所得者課税の原則》は、資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、その者以外の法人がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する法人に帰属するものとして、この法律の規定を適用する旨規定している。
  • ロ 法人税法第127条《青色申告の承認の取消し》(平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ。)第1項第3号は、同法第121条《青色申告》第1項の承認を受けた内国法人につき、その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し又は記録し、その他その記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由がある場合には、納税地の所轄税務署長は、当該事業年度までさかのぼってその承認を取り消すことができる旨規定し、この場合において、その取消しがあったときは、当該事業年度開始の日以後その内国法人が提出したその承認に係る青色申告書(納付すべき義務が同日前に成立した法人税に係るものを除く。)は、青色申告書以外の申告書とみなす旨規定している。
  • ハ 消費税法第13条《資産の譲渡等又は特定仕入れを行った者の実質判定》(平成27年10月1日前の資産の譲渡等については、平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ。)第1項は、法律上資産の譲渡等を行ったとみられる者が単なる名義人であって、その資産の譲渡等に係る対価を享受せず、その者以外の者がその資産の譲渡等に係る対価を享受する場合には、当該資産の譲渡等は、当該対価を享受する者が行ったものとして、この法律の規定を適用する旨規定している。
  • ニ 所得税法第183条《源泉徴収義務》第1項は、居住者に対し国内において同法第28条《給与所得》第1項に規定する給与等の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない旨規定し、同法第216条《源泉徴収に係る所得税の納期の特例》は、居住者に対し国内において給与等の支払をする者は、所轄税務署長の承認を受けた場合には、上記の規定にかかわらず、1月から6月までの期間に係る給与等について徴収した所得税の額にあっては当該期間の属する年の7月10日までに、7月から12月までの期間に係る給与等について徴収した所得税の額にあっては当該期間の属する年の翌年1月20日までに国に納付することができる旨規定している。

(3) 基礎事実

当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

  • イ 請求人等
    • (イ) 請求人は、平成〇年〇月○日、不動産の売買、賃貸借、管理、仲介等の取引に関する業務等を目的として設立された法人であり、E(以下「請求人代表者」という。)が代表取締役を務めている。また、請求人は平成〇年〇月〇日以降、G県知事から宅地建物取引業法第3条《免許》第1項に基づく宅地建物取引業の許可を受けている。
    • (ロ) 請求人は、青色申告の承認申請書を原処分庁に提出し、平成12年4月1日から平成13年3月31日までの事業年度以後の事業年度の法人税について、青色申告の承認を受けていた。
    • (ハ) H社は、平成〇年〇月○日に不動産業等を目的として設立された法人であり、平成〇年〇月○日にJ社に商号変更し(以下、商号変更の前後を問わず「本件法人」という。)、平成〇年〇月○日、株主総会の決議により解散した。
       請求人は、平成21年8月31日に本件法人の全ての発行済株式を取得し、請求人代表者は、本件法人の取締役に就任した(在任期間は平成22年9月13日から平成28年3月31日までであった。)。
    • (ニ) K(以下「本件法人代表者」という。)は、平成23年11月4日から平成〇年〇月○日まで、本件法人の代表取締役であった者である。
  • ロ 本件法人名義の宅地建物取引業の許可
     本件法人は、平成〇年〇月〇日付でG県知事に対して宅地建物取引業法第3条第1項に基づく宅地建物取引業の免許を申請し、同年〇月〇日、許可を受けた。本件法人が上記免許の申請において提出した書面には、宅地建物取引業に従事する者について、本件法人の役員のほか専任の取引主任者をLとする旨の記載がある。
     その後、本件法人は、平成〇年〇月〇日、G県知事に対し、専任の宅地建物取引士をLからMに変更する旨の宅地建物取引業者名簿登載事項変更届出書を提出した。上記届出書には、Mの略歴について、平成〇年〇月に請求人の専任取引主任者に就任、平成〇年〇月〇日に請求人の専任宅地建物取引士を退任、同月〇日に本件法人の専任宅地建物取引士に就任した旨の記載がある。
  • ハ 本件法人名義の土地売買取引等及び経理処理の状況
    • (イ) 本件法人を契約名義人として、平成24年4月頃から平成29年6月頃までの間に不動産売買及び仲介取引のほか、ハウスメーカーなどから依頼を受けて地主との交渉、物件の調査など(以下、これらを併せて「本件取引」という。)がなされた。本件取引に係る契約書、重要事項説明書などの各書類には、売主又は仲介人などの契約者として本件法人の名称が記載されており、また、本件取引に係る契約書の一部及び重要事項説明書には、本件法人の宅地建物取引士として、L又はMの氏名が記載されていた。
       本件法人は、平成24年4月5日から平成29年6月30日までの間の本件取引により収入があったとして、別表2のとおり総勘定元帳の売上高に記載した(当該記載された売上高を「本件収入」という。)。なお、本件取引に係る振込決済には、N銀行○○支店の本件法人名義の普通預金口座及びP銀行○○支店の同法人名義の普通預金口座(以下、N銀行の口座と併せて「本件各口座」という。)が使用された。
    • (ロ) また、本件法人は本件収入を含めて、平成23年7月1日から平成24年6月30日までの事業年度(以下「平成24年6月期」といい、他の事業年度も同様に表記する。)から平成29年6月期までの法人税並びに平成23年7月1日から平成24年6月30日までの課税期間ないし平成28年7月1日から平成29年6月30日までの課税期間の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の各確定申告を行った。
       なお、本件法人の平成22年6月期における翌期へ繰り越す欠損金の額は、〇〇〇〇円であったところ、平成29年6月期における翌期へ繰り越す欠損金の額は〇〇〇〇円であり、平成25年6月期から平成29年6月期までの間に繰越欠損金の当期控除額として〇〇〇〇円を損金の額に算入していた。

(4) 審査請求に至る経緯

  • イ 確定申告等
    • (イ) 法人税
       請求人は、平成24年4月1日から平成25年3月31日までの事業年度(以下「平成25年3月期」といい、他の事業年度も同様に表記する。)、平成26年3月期、平成28年3月期、平成29年3月期及び平成30年3月期(以下、これらの各事業年度を併せて「本件各事業年度」という。)の法人税について、青色の確定申告書に別表1−1の「確定申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までにそれぞれ申告した。
       また、本件各事業年度の確定申告においては、平成29年3月期につき、租税特別措置法(以下「措置法」という。)第67条の5《中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例》第1項(平成30年法律第7号による改正前のもの。以下同じ。)の規定、平成28年3月期から平成30年3月期までにつき、法人税法第57条《青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し》(平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ。)第1項の規定を適用して、所得金額及び税額が計算されていた。
       上記の各規定の適用要件を充足していることについては、請求人が後記ハ(イ)の青色申告の承認の取消処分により「青色申告書を提出する」者に該当しないこととなったか否かを除き、争いはない。
    • (ロ) 復興特別法人税
       請求人は、平成24年4月1日から平成25年3月31日までの課税事業年度(以下「平成25年3月課税事業年度」といい、他の課税事業年度も同様に表記する。)及び平成26年3月課税事業年度の復興特別法人税について、上記(イ)の確定申告書に記載された法人税額に基づき、青色の申告書に別表1−2の「申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までにそれぞれ申告した。
    • (ハ) 地方法人税
       請求人は、平成28年3月課税事業年度から平成30年3月課税事業年度までの地方法人税について、上記(イ)の確定申告書に記載された法人税額に基づき、青色の確定申告書に別表1−3の「確定申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までにそれぞれ申告した。
    • (ニ) 消費税等
       請求人は、平成24年4月1日から平成25年3月31日までの課税期間(以下「平成25年3月課税期間」といい、他の課税期間も同様に表記する。)から平成30年3月課税期間まで(以下、これらの各課税期間を併せて「本件各課税期間」という。)の消費税等について、確定申告書に別表1−4の「確定申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までにそれぞれ申告した。
  • ロ 修正申告等(争点外)
     請求人は、平成25年12月6日に、平成25年3月期の法人税、平成25年3月課税事業年度の復興特別法人税及び平成25年3月課税期間の消費税等について、別表1−1、別表1−2及び別表1−4の各「修正申告」欄のとおりとする各修正申告書を提出した。これに対し原処分庁は、平成25年12月24日付で別表1−1、別表1−2及び別表1−4の各「賦課決定処分」欄のとおり、各修正申告に基づき納付すべき税額を基礎とする過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分をした。当該各賦課決定処分は、本件取引とは無関係の事実に基づくものであり、本件においては、その適法性等について争いがない。
  • ハ 原処分
    • (イ) 法人税の青色申告の承認の取消処分
       原処分庁は、本件収入は請求人に帰属することから、請求人が本件収入を帳簿書類に記録しなかったことは、帳簿書類に取引の一部を隠蔽し又は仮装して記載し又は記録していたものと認められるとして、令和2年3月9日付で、平成25年3月期以後の青色申告の承認の取消処分(以下「本件青色取消処分」という。)をした。
    • (ロ) 法人税の更正処分等
       原処分庁は、令和2年3月9日付で、別表1−1の「更正処分等」欄のとおり、各更正処分(以下「本件法人税各更正処分」という。)をした。当該更正処分の主な理由については、次のとおりであった。
      1本件各事業年度の法人税について、本件収入は請求人に帰属することから、本件収入のほか、本件各口座に係る受取利息の計上漏れ、消費税等の還付金額の雑収入の計上漏れなど(以下、これらを併せて「本件収益等」という。)について別表3の「本件収益等」欄の金額を本件各事業年度の益金の額に、売上原価並びに販売費及び一般管理費の損金算入額など(以下、これらを併せて「本件原価及び費用等」という。)について別表3の「本件原価及び費用等」欄の金額を本件各事業年度の損金の額にそれぞれ算入した。また、2平成25年3月期の法人税について、本件原価及び費用等の金額のうち租税公課の金額130万円が過大に計上されたものであるとして益金の額に算入し、3平成28年3月期から平成30年3月期までの法人税について、平成27年3月期において請求人が適用した平成27年法律第9号による改正前の措置法(以下「旧措置法」という。)第42条の5《エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除》第6項の規定を適用しないことによる翌事業年度以後の各事業年度の減価償却不足額を損金の額に算入して、4上記イ(イ)の各規定をいずれも適用せずに、各事業年度の所得の金額を計算した。
       そして、原処分庁は、請求人が上記1に係る事実を隠蔽又は仮装していたなどとして、令和2年3月9日付で、別表1−1の「更正処分等」欄のとおり、本件法人税各更正処分に基づき納付すべき税額から上記1以外の事由のみによる更正があったとした場合におけるその更正により納付すべき税額を控除した税額を基礎とする重加算税及び上記1以外の事由のみによる更正があったとした場合におけるその更正により納付すべき税額を基礎とする過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件法人税各賦課決定処分」という。)をした。
    • (ハ) 復興特別法人税及び地方法人税の更正処分等
       原処分庁は、平成25年3月課税事業年度及び平成26年3月課税事業年度の復興特別法人税並びに平成28年3月課税事業年度から平成30年3月課税事業年度までの地方法人税について、上記(ロ)により増額した課税標準法人税額に基づき、令和2年3月9日付で、別表1−2の「更正処分等」欄のとおり、平成25年3月課税事業年度及び平成26年3月課税事業年度の復興特別法人税の各更正処分(以下「本件復興特別法人税各更正処分」という。)を、また、別表1−3の「更正処分等」欄のとおり、平成28年3月課税事業年度から平成30年3月課税事業年度までの地方法人税の各更正処分(以下「本件地方法人税各更正処分」という。)をした。
       そして、原処分庁は、請求人が上記(ロ)のとおり、事実を隠蔽又は仮装していたなどとして、令和2年3月9日付で、別表1−2の「更正処分等」欄のとおり、平成25年3月課税事業年度及び平成26年3月課税事業年度の復興特別法人税の重加算税の各賦課決定処分(以下「本件復興特別法人税各賦課決定処分」という。)を、また、別表1−3の「更正処分等」欄のとおり、平成28年3月課税事業年度及び平成29年3月課税事業年度の地方法人税の過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成30年3月課税事業年度の地方法人税の重加算税の賦課決定処分(以下、これらの地方法人税の過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分を併せて「本件地方法人税各賦課決定処分」という。)をした。
    • (ニ) 消費税等の更正処分等
       原処分庁は、本件各課税期間の消費税等について、本件収入は請求人に帰属することから、本件取引に係る資産の譲渡等を行った者は請求人であり、また、その事実を隠蔽又は仮装していたとして、令和2年3月9日付で、別表1−4の「更正処分等」欄のとおり、本件各課税期間の消費税等の各更正処分(以下「本件消費税等各更正処分」といい、本件法人税各更正処分、本件復興特別法人税各更正処分、本件地方法人税各更正処分と併せて「本件各更正処分」という。)及び重加算税の各賦課決定処分(以下「本件消費税等各賦課決定処分」という。)をした。
    • (ホ) 納税告知処分等
       原処分庁は、本件法人が計上した役員報酬及び従業員に対する給与手当(以下「給与手当等」という。)が本件取引に係る原価又は費用の一部であるから、本件法人の給与手当等は請求人が本件法人代表者及び従業員に支払ったものとして、当該給与手当等について、源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税(以下「源泉所得税等」という。)が納付されておらず、その事実について隠蔽又は仮装していたとして、令和2年3月9日付で、別表1−5の「納税告知処分」欄及び「賦課決定処分(重加算税の額)」欄のとおり、平成25年7月から同年12月まで、平成26年1月から同年6月まで、同年7月から同年12月まで、平成27年1月から同年6月まで、同年7月から同年12月まで、平成28年1月から同年6月まで、同年7月から同年12月まで及び平成29年1月から同年6月までの各期間の源泉所得税等の各納税告知処分(以下「本件各納税告知処分」という。)及び重加算税の各賦課決定処分(以下「本件源泉所得税等各賦課決定処分」といい、本件法人税各賦課決定処分、本件復興特別法人税各賦課決定処分、本件地方法人税各賦課決定処分及び本件消費税等各賦課決定処分と併せて「本件各賦課決定処分」という。)をした。
  • ニ 請求人は、上記ハの原処分を不服として、令和2年6月1日に再調査の請求をしたところ、再調査審理庁は、同年12月18日付で、原処分に対する再調査の請求をいずれも棄却する旨の再調査決定をし、その再調査決定書謄本を請求人に対し同月22日に送達した。
  • ホ 請求人は、再調査決定を経た後の上記ハの原処分を不服として、令和3年1月21日に審査請求をした。

2 争点

 本件収入は請求人に帰属する収益か否か。

3 争点についての主張

原処分庁 請求人
次のことを総合して判断すれば、本件取引に係る業務の主体は請求人であると認められるから、本件収入は、請求人に帰属する収益である。 次のことを総合して判断すれば、本件取引に係る業務の主体は請求人ではないと認められるから、本件収入は、請求人に帰属する収益ではない。
(1) 本件法人の事業の経緯
 請求人は、本件法人の欠損金を利用して税金を免れることを目的として、不動産に関する知識を有していない本件法人代表者を名義だけの本件法人の代表取締役として就任させた。
(1) 本件法人の事業の経緯
 本件法人は、自ら費用を負担して事務所を賃借し、本件法人代表者が管理している事務所に事業に関する資料を保管するなど、独立した法人として活動していた。
 また、本件法人代表者は請求人代表者と行動を共にすることにより不動産取引に関する知識を身に着け、本件法人の代表取締役に就任したものである。
(2) 本件取引に係る業務の遂行状況
 本件取引に係る契約書等の名義は本件法人であるものの、本件法人代表者、請求人の関係者及び本件取引の相手先の各申述からすると、本件法人代表者及び本件法人の従業員2名が本件取引に係る業務を行うことは不可能であり、本件取引は、請求人代表者や請求人の従業員であるQ等により行われていたから、請求人が主体となって本件取引に係る業務を遂行していたというべきである。
(2) 本件取引に係る業務の遂行状況
 本件取引は、本件法人代表者自らの意思決定に基づき行われ、また、その契約書等の名義は本件法人であり、契約書等の作成は本件法人代表者の指示の下請求人の従業員が代行していたにすぎないし、本件法人代表者が契約書に押印していたから、本件法人が主体となって本件取引に係る業務を遂行していたというべきである。
(3) 本件取引に係る費用の支払状況
 平成23年12月から平成27年11月まで本件法人の宅地建物取引業に従事していた宅地建物取引士の給与及びQの給与はそれぞれ請求人が負担していたほか、本件取引に係る契約書等の作成も請求人の従業員が請求人のパソコンで作成していたことからすると、請求人が本件取引に係る費用を負担していたというべきである。
(3) 本件取引に係る費用の支払状況
 請求人の従業員が本件法人代表者の手伝いをすることを請求人代表者は承認していた。その理由は、当時、請求人は本件法人と共同で事業を行っていたほか、本件法人代表者が請求人の元従業員であったためであり、この程度の手伝いは不動産業界ではよくある。
 また、請求人の従業員が本件取引に係る契約書等の作成をしていたことは認めるが、これは本件法人代表者はパソコンの操作ができないためであった。当該作成に係る事務費用を本件法人へ請求していないが、件数も多くなく、他方、共同業務の報酬を両社で折半する方法で補っていた。
(4) 本件取引に係る収益の享受
 本件法人代表者及び請求人の関係者の各申述からすると、請求人代表者が本件法人名義の預金通帳を管理していたこと、本件法人代表者が請求人代表者の指示により本件各口座から現金を引き出し同人に渡していたことが認められるから、本件取引に係る収益は請求人が享受していたというべきである。
(4) 本件取引に係る収益の享受
 請求人としては、本件法人名義の預金通帳、キャッシュカード、法人の実印を占有的に管理していた事実はなく、それらは本件法人代表者が常に所持していたと認識している。また、本件取引に係る収益に相当する金員は、本件法人から本件法人代表者に貸し付けられており、請求人及び請求人代表者が原処分の利益に見合う資産を保有している事実はなく、さらに原処分の利益に見合う金員を消費した事実もない。したがって、請求人は本件取引に係る収益を享受していない。
(5) 関係者の認識
 本件法人代表者、請求人の関係者及び本件取引の相手先の各申述によると、これらの者は、請求人が主体となって本件取引を行っていたと認識していたといえる。
(5) 関係者の認識
 本件法人代表者は、請求人代表者との間で金銭トラブルを抱えていたため事実と異なる申述をする動機があり、その申述内容も重要な部分が変遷しているから、信用性に欠けるものである。また、請求人の関係者及び本件取引の相手先の各申述も具体性がない上、限られた相手先の申述のみを証拠として取り上げており、信用性に欠けるものである。
 このことからすると、これらの者は請求人が主体となって本件取引を行っていたとの認識は無かった。

4 当審判所の判断

(1) 争点(本件収入は請求人に帰属する収益か否か。)について

  • イ 法令解釈
     法人税法第11条は、上記1(2)イのとおり規定するところ、同条は、法律上の所得の帰属の形式とその実質が異なるときには、実質に従って租税関係が定められるべきであるという租税法上の当然の条理を確認的に定めたものと解される。したがって、本件収入の帰属者が誰であるかは、本件法人の事業の経緯、本件取引に係る業務の遂行状況、当該業務に係る費用の支払状況などの事実関係を総合して、業務の主体が誰であるかにより判断することとなる。
     また、消費税法第13条は、上記1(2)ハのとおり規定するところ、上記法人税法第11条の実質所得者課税の原則と同趣旨の規定と解される。
  • ロ 認定事実
     請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
    • (イ) 本件法人代表者は、喫茶店を営んでいたところ、平成23年に請求人代表者から仕事の紹介を受け、請求人代表者専属の運転手として請求人において勤務し始めた。その後、本件法人代表者は、請求人代表者から本件法人の代表者にならないかと言われたことを受け、平成23年11月に本件法人の代表取締役に就任した。
       なお、本件法人代表者は、平成25年7月から平成29年6月までの間において本件法人から役員報酬の支払を受けていた。本件法人代表者を除く他の取締役には、本件法人から役員報酬の支払はなかった。
    • (ロ) 本件法人が平成24年7月から平成29年6月までの間において給与手当を支払っていたのは、従業員のR及びSの2名であった。なお、給与手当の支払期間は、Rについては平成25年7月から平成28年9月まで、Sについては平成25年7月から平成26年4月までであった。
       また、Mについては、平成27年12月から平成28年6月までの間において支払報酬料という勘定科目で7回(1回につき3万円)が現金で支払われていた。
       他方、請求人は、平成24年4月から平成30年3月までの間において、従業員のQ及びLに対し、給与手当を支払っていた。
    • (ハ) 本件取引に係る契約書や重要事項説明書の一部は、Qを含めた請求人の従業員により請求人の事務所のパソコンを使用して作成された。
    • (ニ) 本件各口座に入金された金員は、短期間に本件各口座から現金で引き出されており、また、本件法人が平成29年6月期の期末において総勘定元帳の長期貸付金に記載した残高1,136,856,717円のうち、795,000,000円は平成25年6月から平成27年6月までの間に本件法人代表者に対する現金の貸付けとして計上したものであった。
  • ハ 本件取引に係る業務の遂行状況、本件取引に係る収益の享受及び関係者の認識に関する本件法人代表者、請求人の関係者の各申述の信用性について
    • (イ) 本件法人代表者の申述  
      • A 本件法人代表者は、令和元年7月23日、原処分庁所属の調査担当職員に対し、要旨次のように申述した。
        • (A) 私の本件法人での主な仕事は、請求人の従業員であったときと変わらず、請求人代表者の運転手であったが、本件各口座から現金を出金するときに、請求人代表者から口頭で指示され、私が本件各口座から出金し、その全額を請求人代表者に手渡しする仕事があった。請求人代表者から直接言われて、私は、本件法人名義で作られる契約書や領収証の金額の記載、署名押印も行っていた。
        • (B) 平成23年11月から平成29年12月までの間に本件各口座に入金された金員は、請求人代表者や請求人の従業員が行った地上げの仲介手数料であり、本件法人が行った仕事の入金ではない。私が請求人代表者から言われて本件法人名義で契約した業務委託契約やコンサルタント契約を行った会社からの入金も、本件各口座に入金されているが、本件法人が仕事をした事実は全くない。本件法人には、私とRしかいなかったので、請求人代表者から言われて契約した業務を本件法人で行うことは不可能である。
      • B その後、本件法人代表者は、上記Aの申述について、内容に誤りがあったとして、令和元年8月20日付「陳述書」や令和2年2月3日付「陳述補充書」において、1本件法人代表者は請求人代表者と共同で仕事をしていたこと、2本件各口座から預金を払い出す際は、本件法人代表者の判断で行っていたこと、3本件収入は全て本件法人代表者が行った取引に関するものであり請求人が行ったものは含まれないこと、4本件法人からの借入金として受け取った現金は私的な借金の返済やギャンブルに使ったことを記載して原処分庁に提出した。その上で、本件法人代表者は、令和2年11月27日及び同年12月11日に、再調査審理庁所属の調査担当職員に対し、上記Aの申述を行った際には請求人代表者に対する悪感情があったことから、請求人代表者が不利になるようなことであればと原処分庁所属の調査担当職員が記載したものを全て認めてしまったものであり、後悔している旨申述した。
      • C 以上のとおり、本件法人代表者は、本件法人が本件取引に係る業務を全く行っておらず、請求人代表者から本件各口座に入金された金員を引き出すように指示され、出金した全額を請求人代表者に手渡しする仕事があった旨の上記Aの申述を、後に上記Bの申述において全面的に否定するに至っているが、上記Bの申述を積極的に否定すべき事情は認められず、上記Aの申述を的確に裏付ける証拠資料もない。また、請求人の関係者は上記Aの申述に沿う旨の申述をしているが、後記(ロ)のとおり当該関係者の申述をそのまま信用することはできない。したがって、上記Aの申述をそのまま信用して判断の基礎とすることはできない。
    • (ロ) 請求人の関係者の申述  
      • A 請求人の関係者は、令和元年9月12日、原処分庁所属の調査担当職員に対し、1本件法人は会社として何もしておらず、本件取引は全て請求人が行っていた、2請求人代表者が自分の机の引き出しの鍵を開けて、本件法人名義の預金通帳と印鑑を本件法人代表者に渡すところを何度も見た、3本件法人代表者は、不動産の知識もなく、実際には、請求人代表者の車の運転や本件法人名義の預金通帳の記帳を行うぐらいで、ほかには何もしておらず、ほとんど請求人の事務所にいて、ただ座っているだけであったなどと申述した。
      • B 請求人の関係者の上記Aの申述は、いつの時点の状況をいうものか明らかではない上、いずれも本件取引との関係において個別具体的な業務の遂行状況を述べたものとはいい難く、これらを的確に裏付ける証拠資料もないため、具体性と客観性を欠く申述といわざるを得ない。
         なお、当該申述は、本件法人代表者の上記(イ)Aの申述に沿うものであるが、そもそも上記(イ)Aの申述をそのまま信用することはできないことは、上記(イ)Cのとおりである。したがって、請求人の関係者の上記Aの申述をそのまま信用して判断の基礎とすることはできない。
  • ニ 検討
    • (イ) 本件法人の事業の経緯について
       上記1(3)イ(ハ)及び(ニ)並びに上記ロ(イ)のとおり、請求人は、平成21年8月に本件法人の全ての発行済株式を取得して請求人代表者が本件法人の取締役に就任するなどし、本件法人代表者は請求人代表者に誘われて平成23年11月に本件法人の代表取締役に就任したこと、上記1(3)ロ及び上記ロ(ロ)のとおり、本件法人は、請求人から給与手当の支払を受ける者を専任の取引主任者として宅地建物取引業の許可を受けたことからすると、請求人が本件法人の事業の経緯に密接に関係していたといえる。また、上記1(3)ハ(ロ)のとおり、本件法人は平成22年6月期の期末において約〇〇〇〇円の繰越欠損金を有し、平成25年6月期から平成29年6月期までの間に繰越欠損金の当期控除額として約〇〇〇〇円を損金の額に算入していた。しかしながら、これらのことのみをもって、請求人が本件法人の全ての発行済株式を取得し本件法人代表者を本件法人の代表取締役に就任させた目的が、請求人が税金を不当に免れるためであったとは認められない。
    • (ロ) 本件取引に係る業務の遂行状況について
       上記1(3)ハ(イ)並びに上記ロ(ロ)及び(ハ)のとおり、本件取引に係る契約書及び重要事項説明書の一部の作成は、請求人の従業員により請求人のパソコンを用いて行われたが、これは本件取引に係る業務の一部分にすぎない。また、本件法人代表者及び本件法人の従業員が本件取引に係る業務に従事していない旨の本件法人代表者及び請求人の関係者の各申述をそのまま信用することはできないことは上記ハのとおりである。そのほかに当審判所に提出された証拠資料等を精査しても、本件取引の全てについて、請求人が主体となって業務を遂行していたとは認められない。
    • (ハ) 本件取引に係る費用の支払状況について
       上記ロ(ロ)及び(ハ)のとおり、平成〇年〇月〇日まで本件法人の専任の宅地建物取引士であったLの給与手当を請求人が支払っていた事実及び本件取引に係る契約書等の一部が請求人の従業員により請求人のパソコンを使用して作成された事実は認められることから、本件取引に係る費用の一部については請求人が負担していたと認められる。しかしながら、請求人の従業員が作成していたのは契約書等の一部にすぎないし、本件法人の専任の宅地建物取引士であったLは請求人の事務所で請求人の業務を行い、必要に応じて本件法人の業務を行っていたことはうかがわれるものの、請求人が本件取引に係る費用をどの程度負担したか正確な確認はできない。
    • (ニ) 本件取引に係る収益の享受について
       上記ロ(ニ)のとおり、本件各口座から現金が引き出された事実は認められるものの、上記ハ(ロ)Aの請求人代表者が本件法人名義の預金通帳を管理していた旨の請求人の関係者の申述及び上記ハ(イ)A(A)の本件各口座から出金した全額を請求人代表者に手渡した旨の本件法人代表者の申述は上記ハ(ロ)B及び上記ハ(イ)Cのとおりそのまま信用することができない上、上記ロ(ニ)の貸付金の存在を否定する証拠はなく、また、本件各口座から引き出された現金が請求人に渡ったと認めるに足る的確な証拠もないことから、請求人が本件取引に係る収益を享受していたとは認められない。
    • (ホ) 関係者の認識について
       当審判所に証拠資料として提出された本件取引の相手先などの各申述には、本件取引について明確にその相手先が請求人であったと述べられているものはなく、本件取引の相手先などの関係者は、請求人が主体となって本件取引に係る業務を行っていたと認識していたとは認められない。
    • (ヘ) 小括
       上記(イ)から(ホ)までを総合的に判断すると、請求人が本件取引に係る業務を主体的に行ったとは認められず、また、請求人が本件取引に係る収益を享受したとも認められないことから、本件収入は請求人に帰属するとは認められない。
  • ホ 原処分庁の主張について
     原処分庁は、上記3の「原処分庁」欄のとおり、本件法人代表者や請求人の関係者などの各申述から、本件取引はいずれも本件法人名義で行われているが、請求人が主体となって本件取引に係る業務を遂行し、請求人代表者が本件法人名義の預金通帳を管理し、本件法人代表者が請求人代表者の指示により本件各口座から現金を引き出し同人に渡していたのであり、請求人が本件取引に係る収益を享受していたというべきである旨主張する。
     しかしながら、本件法人代表者や請求人の関係者の各申述についてそのまま信用することはできず、そのほかに当審判所に提出された証拠資料等を精査しても、請求人が本件取引に係る業務を主体的に行った事実や請求人が本件取引に係る収益を享受した事実は認められないことは、上記ニのとおりであるから、原処分庁の主張には理由がない。

(2) 本件青色取消処分の適法性について

上記(1)ニのとおり、本件収入はいずれも請求人に帰属するとはいえず、平成25年3月期の帳簿書類に取引の一部を隠蔽し又は仮装して記載し又は記録した事実も認められない。
 したがって、法人税法第127条第1項第3号に規定する青色申告の承認の取消事由があるとしてなされた本件青色取消処分は違法であり、取り消すべきである。

(3) 本件各更正処分の適法性について

  • イ 本件法人税各更正処分の適法性について
     上記(1)ニのとおり、本件収入はいずれも請求人に帰属するとはいえないから、請求人の本件各事業年度の所得金額の計算上、本件収益等の額は益金の額に算入されない。これに伴い本件原価及び費用等の額も、本件各事業年度の損金の額に算入されない。
     そうすると、請求人が国税通則法(以下「通則法」という。)第70条《国税の更正、決定等の期間制限》(平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ。)第4項に規定する「偽りその他不正の行為」により税額を免れたとは認められないことから、平成25年3月期及び平成26年3月期の法人税の各更正処分は、同条第1項の除斥期間の経過後にされたものと認められ、いずれもその全部が違法であって取り消すべきである。
     また、上記(2)のとおり、本件青色取消処分は取り消すべきであるから、平成29年3月期において措置法第67条の5第1項の規定を適用すべきであり、平成28年3月期から平成30年3月期までの各事業年度において法人税法第57条第1項の規定を適用すべきである。なお、平成27年3月期において旧措置法第42条の5第6項の規定も適用すべきであることから、平成28年3月期から平成30年3月期までの各事業年度において、損金の額に算入される減価償却不足額は生じない。
     これらを前提に、請求人の平成28年3月期から平成30年3月期までの各事業年度の所得金額及び納付すべき税額を計算すると、別表1−1の「確定申告」欄と同額となるから、平成28年3月期から平成30年3月期までの法人税の各更正処分は、いずれもその全部が違法であって取り消すべきである。
  • ロ 本件復興特別法人税各更正処分の適法性について
     上記イのとおり、平成25年3月期及び平成26年3月期の法人税の各更正処分は、通則法第70条第1項の除斥期間の経過後にされたものと認められ、いずれもその全部を取り消すべきであるから、本件復興特別法人税各更正処分についても、いずれもその全部が違法であって取り消すべきである。
  • ハ 本件地方法人税各更正処分の適法性について
     上記イのとおり、平成28年3月期から平成30年3月期までの法人税の各更正処分は、いずれもその全部を取り消すべきであり、平成28年3月課税事業年度から平成30年3月課税事業年度までの課税標準法人税額及び納付すべき税額を計算すると、別表1−3の「確定申告」欄と同額となるから、本件地方法人税各更正処分はいずれもその全部が違法であって取り消すべきである。
  • ニ 本件消費税等各更正処分の適法性について
     上記(1)ニのとおり、請求人が本件取引に係る資産の譲渡等を行ったとは認められないから、当該資産の譲渡等は請求人の本件各課税期間において消費税の課税の対象となるものではない。
     そうすると、請求人が通則法第70条第4項に規定する「偽りその他不正の行為」により税額を免れたとは認められないことから、平成25年3月課税期間及び平成26年3月課税期間の消費税等の各更正処分は、同条第1項の除斥期間の経過後にされたものと認められ、いずれもその全部が違法であって取り消すべきである。
     また、平成27年3月課税期間から平成30年3月課税期間までの各課税期間の消費税等の課税標準額等及び納付すべき税額等を計算すると、別表1−4の「確定申告」欄と同額となるから、平成27年3月課税期間から平成30年3月課税期間までの消費税等の各更正処分は、いずれもその全部が違法であって取り消すべきである。

(4) 本件各納税告知処分の適法性について

上記(1)ニのとおり、請求人が本件取引に係る業務を主体的に行ったとは認められないから、本件法人の従業員に対する給与手当について請求人がその支払義務を負っていたものとは認められない。また、本件法人は固有の法人格を有する会社であり、本件法人代表者はその代表取締役であったのであるから、その代表取締役の業務に係る報酬として支払われた本件法人代表者の役員報酬は、本件法人固有の費用であり、請求人の費用であるとは認められない。そうすると、請求人が当該給与手当等の源泉徴収義務者に当たるとは認められないから、本件各納税告知処分については、いずれもその全部が違法であって取り消すべきである。

(5) 本件各賦課決定処分の適法性について

  • イ 本件法人税各賦課決定処分の適法性について
     上記(3)イのとおり、本件法人税各更正処分は、いずれもその全部を取り消すべきであるから、当該各更正処分により納付すべき税額を基礎とする本件法人税各賦課決定処分は、いずれもその全部が違法であって取り消すべきである。
  • ロ 本件復興特別法人税各賦課決定処分の適法性について
     上記(3)ロのとおり、本件復興特別法人税各更正処分は、いずれもその全部を取り消すべきであるから、当該各更正処分により納付すべき税額を基礎とする本件復興特別法人税各賦課決定処分は、いずれもその全部が違法であって取り消すべきである。
  • ハ 本件地方法人税各賦課決定処分の適法性について
     上記(3)ハのとおり、本件地方法人税各更正処分は、いずれもその全部を取り消すべきであるから、当該各更正処分により納付すべき税額を基礎とする本件地方法人税各賦課決定処分は、いずれもその全部が違法であって取り消すべきである。
  • ニ 本件消費税等各賦課決定処分の適法性について
     上記(3)ニのとおり、本件消費税等各更正処分は、いずれもその全部を取り消すべきであるから、当該各更正処分により納付すべき税額を基礎とする本件消費税等各賦課決定処分は、いずれもその全部が違法であって取り消すべきである。
  • ホ 本件源泉所得税等各賦課決定処分の適法性について
     上記(4)のとおり、本件各納税告知処分は、いずれもその全部を取り消すべきであるから、当該各納税告知処分により納付すべき税額を基礎とする本件源泉所得税等各賦課決定処分は、いずれもその全部が違法であって取り消すべきである。

(6) 結論

よって、審査請求はいずれも理由があるから、本件青色取消処分を取り消し、本件各更正処分、本件各納税告知処分及び本件各賦課決定処分の全部を取り消すこととする。

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