(令和5年11月6日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、所得税等の確定申告等をした後、病院へ通院するために要したとする自家用車のガソリン代、高速道路利用料金及び駐車場利用料金が医療費控除の対象となる医療費に含まれていなかったとして更正の請求をしたところ、原処分庁が、当該ガソリン代その他利用料金は医療費控除の対象となる医療費に該当しないとして更正をすべき理由がない旨の通知処分をしたのに対し、請求人がその全部の取消しを求めた事案である。

(2) 関係法令等

  • イ 所得税法第73条《医療費控除》第1項は、居住者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払った場合において、その年中に支払った当該医療費の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)の合計額がその居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額、山林所得金額(以下「総所得金額等」という。)の合計額の100分の5に相当する金額(当該金額が10万円を超える場合には、10万円)を超えるときは、その超える部分の金額(当該金額が200万円を超える場合には、200万円)を、その居住者のその年分の総所得金額等から控除する旨規定している。
     また、所得税法第73条第2項は、同条第1項に規定する医療費とは、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう旨規定している。
  • ロ 所得税法施行令第207条《医療費の範囲》(令和4年政令第136号による改正前のもの。以下同じ。)は、所得税法第73条第2項に規定する政令で定める対価は、次に掲げるものの対価のうち、その病状その他財務省令で定める状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とする旨規定している。
    • (イ) 医師又は歯科医師による診療又は治療(第1号)
    • (ロ) 治療又は療養に必要な医薬品の購入(第2号)
    • (ハ) 病院、診療所又は助産所へ収容されるための人的役務の提供(第3号)
    • (ニ) あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第3条の2《名簿》に規定する施術者又は柔道整復師法第2条《定義》第1項に規定する柔道整復師による施術(第4号)
    • (ホ) 保健師、看護師又は准看護師による療養上の世話(第5号)
    • (ヘ) 助産師による分べんの介助(第6号)
    • (ト) 介護福祉士による社会福祉士及び介護福祉士法第2条《定義》第2項に規定する喀痰吸引等又は同法附則第3条《認定特定行為業務従事者に係る特例》第1項に規定する認定特定行為業務従事者による同項に規定する特定行為(第7号)
  • ハ 所得税基本通達73−3《控除の対象となる医療費の範囲》(以下「本件通達」という。)は、医療費控除の対象となる医療費の範囲について、その柱書において、次に掲げるもののように、医師、歯科医師、所得税法施行令第207条第4号に規定する施術者又は同条第6号に規定する助産師(以下、これらを併せて「医師等」という。)による診療、治療、施術又は分べんの介助(以下、これらを併せて「診療等」という。)を受けるため直接必要な費用は医療費に含まれるものとする旨定め、その(1)において、医師等による診療等を受けるための通院費で通常必要なものを掲げている。

(3) 基礎事実及び審査請求に至る経緯

当審判所の調査及び審理の結果によれば、次の事実が認められる。

  • イ 請求人は、平成30年分、令和元年分及び令和2年分の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)について、それぞれ青色の確定申告書に別表の「確定申告」欄のとおり記載して、いずれも法定申告期限までに申告した。
     なお、請求人は、病院へ通院するために要したとする自家用車のガソリン代、高速道路利用料金及び駐車場利用料金(以下「本件ガソリン代等」という。)について、請求人が算定した下記(イ)ないし(ハ)の各合計の金額を各年分の医療費控除の対象となる医療費の金額に含めなかった。
    • (イ) 平成30年分
       合計73,338円(ガソリン代23,308円、高速道路利用料金49,130円、駐車場利用料金900円)
    • (ロ) 令和元年分
       合計42,490円(ガソリン代8,150円、高速道路利用料金33,940円、駐車場利用料金400円)
    • (ハ) 令和2年分
       合計41,111円(ガソリン代12,041円、高速道路利用料金28,670円、駐車場利用料金400円)
  • ロ 請求人は、令和元年分の所得税等について、別表の「修正申告」欄のとおりとする修正申告書を令和2年8月3日に提出した。
  • ハ 請求人は、令和2年分の所得税について、別表の「純損失の繰戻し」欄のとおりとする純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書を令和4年2月28日に提出した。
  • ニ 請求人は、上記イの各年分の医療費控除の対象となる医療費の金額に本件ガソリン代等の合計の金額(上記イの(イ)ないし(ハ))が含まれていなかったとして、平成30年分及び令和元年分の所得税等については令和4年2月28日に、令和2年分の所得税等については同年6月8日に、それぞれ医療費控除の額及び所得税等の還付金の額に相当する税額を別表の「更正の請求」欄のとおりとすべき旨の更正の請求をした(以下、これらの平成30年分ないし令和2年分の所得税等の更正の請求を併せて「本件各更正の請求」という。)。
  • ホ 原処分庁は、本件各更正の請求に対し、令和4年6月28日付で更正をすべき理由がない旨の各通知処分(以下「本件各通知処分」という。)をした。
  • ヘ 請求人は、本件各通知処分を不服として、令和4年8月8日に再調査の請求をしたところ、再調査審理庁は、同年11月1日付で棄却の再調査決定をした。
  • ト 請求人は、再調査決定を経た後の本件各通知処分に不服があるとして、令和4年12月1日に審査請求をした。

2 争点

(1) 本件ガソリン代等は、医療費控除の対象となる医療費に該当するか否か。具体的には、本件ガソリン代等が本件通達にいう通院費に該当するか否か(争点1)。

(2) 本件各通知処分に信義誠実の原則(以下「信義則」という。)に反する違法があるか否か(争点2)。

3 争点についての主張

(1) 争点1(本件ガソリン代等は、医療費控除の対象となる医療費に該当するか否か。具体的には、本件ガソリン代等が本件通達にいう通院費に該当するか否か。)について

請求人 原処分庁
イ 本件通達において、医師等による診療等を受けるため直接必要な費用として通院費が医療費に含まれる旨定められている趣旨は、所得税法施行令第207条第1号が医療費控除の対象となる医療費として「医師又は歯科医師による診療又は治療」の対価を挙げているところ、医師又は歯科医師による診療行為又は治療行為それ自体の対価よりも、これに付随ないし関連する費用の負担の方が重くなっているという実情を踏まえれば、同号にいう「医師又は歯科医師による診療又は治療」の対価には、医師又は歯科医師による診療行為又は治療行為それ自体の対価のみならず、これに付随ないし関連する費用として通院費が含まれると解される旨を明らかにしたものである。 イ 所得税法施行令第207条第1号は、医師又は歯科医師による診療又は治療の対価を医療費控除の対象となる医療費として規定しているところ、通院費は、病院へ行くための費用であるから、同号に規定する対価には該当しない。
ロ 他方、所得税法施行令第207条第3号に規定する人的役務の提供の対価についてみると、1人的役務とは労務のことであることから、人的役務(労務)を提供できるのは自然人しかあり得ず、法人であるバス等の運送事業者は人的役務(労務)の提供をすることはできないこと、2バス等の乗務員の人的役務(労務)の提供の相手先は、雇用主である運送事業者であって、その対価は給料でしかあり得ず、利用者が人的役務(労務)の提供の相手先にはなり得ないことからすれば、人的役務の提供の対価に該当する通院費を観念すること自体ができないのであるから、人的役務の提供の対価に該当する場合に限り通院費が医療費に含まれるという解釈は誤っている。そして、本件通達も、通院費を人的役務の提供の対価に限ることなく医療費に含まれる例として挙げている。 ロ 本件通達は、通院費を医療費控除の対象となる医療費に含まれるものとして取り扱っているところ、この取扱いは、所得税法施行令第207条第3号が病院、診療所又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価(病院等へ入院するために要したタクシーの運賃等がこれに該当する。)を医療費控除の対象となる医療費として規定していることを受け、同号の医療費と同等と解される通院のために要する人的役務の提供の対価(病院等へ通院するために要したバス等の運賃等がこれに該当する。)について医療費控除の対象となる医療費に含まれるとするものである。すなわち、本件通達にいう通院費とは、通院のために要する人的役務の提供の対価をいうものと解される。
 なお、旅客運送契約によれば、バス等の運送料金は「労務提供を目的とする契約に基づいた他人の労務提供に対する報酬等の対価」に該当し、利用者が支払う運送料金は「人的役務の提供の対価」に該当する。
ハ 以上によれば、本件ガソリン代等は、通院に要した費用であるから、本件通達にいう通院費に該当する。
 したがって、本件ガソリン代等は、医療費控除の対象となる医療費に該当する。
ハ 以上によれば、本件ガソリン代等は、人的役務の提供の対価ではないから、本件通達にいう通院費に該当しない。
 したがって、本件ガソリン代等は、医療費控除の対象となる医療費には該当しない。

(2) 争点2(本件各通知処分に信義則に反する違法があるか否か。)について

請求人 原処分庁
仮に、本件ガソリン代等が医療費控除の対象となる医療費に該当しないとしても、本件通達は、通院費が医療費に含まれる旨定めるのみで、何らその通院手段を限定していないのであるから、通院費であれば人的役務の提供の対価でなくとも医療費に該当する旨の公的見解の表示である。しかるに、本件各通知処分は、本件通達の定めとは異なり、人的役務の提供の対価に限り通院費が医療費に該当するとの見解を前提とするものであって、上記の公的見解の表示に反している。
 したがって、本件各通知処分に信義則に反する違法がある。
税務官庁は、タックスアンサー(よくある税の質問)の「No.1122医療費控除の対象となる医療費」や質疑応答事例の「自家用車で通院する場合のガソリン代等」などの情報を国税庁ホームページ等に掲載し、本件ガソリン代等のような費用は本件通達にいう通院費(電車賃やバス賃などのように人的役務の提供の対価として支出されるもの)に含まれないから医療費控除の対象となる医療費には該当しない旨の公的見解の表示をしている。そして、本件各通知処分は、かかる公的見解の表示に沿ってなされたものである。
 したがって、本件各通知処分に信義則に反する違法はない。

4 当審判所の判断

(1) 争点1(本件ガソリン代等は、医療費控除の対象となる医療費に該当するか否か。具体的には、本件ガソリン代等が本件通達にいう通院費に該当するか否か。)について

  • イ 法令解釈
     所得税法における医療費控除の制度は、多額の医療費の支出を余儀なくされた場合における担税力の減殺を調整する目的で創設されたものである。そして、所得税法第73条第2項は、医療費控除の対象となる医療費の範囲を、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものと規定し、これを受けた所得税法施行令第207条は、当該医療費の範囲を、同条各号に掲げるものの対価のうちその病状等に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とする旨規定することにより限定し、もって所得税の公平な負担を図ることとしている。
  • ロ 検討
    • (イ) 本件通達にいう通院費について
       上記イの解釈を踏まえ、本件通達は、医師等による診療等を受けるため直接必要な費用について医療費控除の対象となる医療費に含まれるものとする旨の取扱いを定めているところ、かかる取扱いは、社会保険制度の充実や医療技術の進歩に伴い、医師等が行う診療等それ自体の対価よりも、これに付随ないし関連する費用の負担の方が重くなっているという実情や、医療費控除の制度が異常な出費に伴う担税力の減殺を調整する措置であるという趣旨を踏まえ、医師等による診療等を受けるための通院費で通常必要なものを、本来の医療費の支出に不可欠な一定の付随的費用として医療費に含めており、本件通達の取扱いは当審判所においても相当であると認める。
       もっとも、上記イのとおり、所得税の公平な負担を図るため、医療費控除の対象となる医療費の範囲は所得税法第73条第2項及び所得税法施行令第207条の規定により限定されているところ、同令第207条の規定中、旅費や交通費で医療費控除の対象とされているのは、同条第3号に掲げる病院、診療所又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価に限られていることからすると、本件通達にいう通院費の取扱いは、飽くまで同号の解釈として許容される範囲内に限るものと解することが相当である。
       したがって、本件通達にいう通院費は、人的役務の提供の対価に限られると解するのが相当である。
    • (ロ) 本件ガソリン代等の本件通達にいう通院費該当性及び請求人の主張について  
      • A 請求人は、上記3の(1)の「請求人」欄のイのとおり、所得税法施行令第207条第1号にいう「医師又は歯科医師による診療又は治療」の対価には通院費が含まれると解すべき旨主張する。
         しかしながら、通院費は、病院等へ往復するための旅費や交通費であって、医師又は歯科医師による診療行為又は治療行為に対して支出されるものでも、医療機関に対して直接支払われるものでもない。そして、上記イのとおり、法令が医療費控除の対象となる医療費の範囲を限定していることに照らせば、所得税法施行令第207条第1号に規定する「医師又は歯科医師による診療又は治療」の対価に通院費が含まれると解することはできない。
         したがって、上記請求人の主張は採用できない。
      • B また、請求人は、上記3の(1)の「請求人」欄のロのとおり、法人であるバス等の運送事業者は人的役務(労務)の提供をすることはできないし、乗務員の人的役務(労務)の提供先は当該運送事業者であって利用者ではないことからすれば、人的役務の提供の対価に該当する通院費を観念すること自体ができない旨主張する。
         しかしながら、所得税法施行令第207条第3号に掲げる病院、診療所又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価については、例えば、病状からみて急を要する場合にタクシーを利用して入院したときのタクシー代などがこれに当たると解され、そうすると、病院等へ通院するためのバス等の運賃等も、同号の解釈として定められている本件通達にいう通院費に含まれると解するのが相当である。
         この点について、請求人は、要旨、通院のための人的役務の提供があるとすれば、それは、人が患者を背負う、抱える等の行為が考えられるものの、当該行為に対する対価の授受は現実的にあり得ないとも主張するが、上記いずれの主張も請求人独自の見解であり採用できない。
      • C そして、上記(イ)のとおり、本件通達にいう通院費は、人的役務の提供の対価に限られると解するのが相当であるところ、本件ガソリン代等は、いずれも商品の購入の対価として支出されたもの又は設備若しくは施設等の利用の対価として支出されたものにすぎず、人的役務の提供の対価とはいえないものであるから、本件通達にいう通院費に該当しないと認められる。
    • (ハ) 小括
       上記(ロ)のCのとおり、本件ガソリン代等は本件通達にいう通院費に該当せず、他に本件ガソリン代等が所得税法施行令第207条各号(第1号及び第3号を除く。)所定のいずれかの対価に該当するということもできない。
       したがって、本件ガソリン代等は、医療費控除の対象となる医療費には該当しない。

(2) 争点2(本件各通知処分に信義則に反する違法があるか否か。)について

  • イ 法令解釈
     租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理である信義則の法理の適用により、当該課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理とりわけ租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、信義則の法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて信義則の法理の適用の是非を考えるべきものである。そして、この特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ、後にその表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか、また、納税者が税務官庁の上記表示を信頼し、その信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠のものであると解される(最高裁昭和62年10月30日第三小法廷判決・集民152号93頁参照)。
  • ロ 認定事実
     原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、次の事実が認められる。
    • (イ) 国税庁ホームページに掲載されているタックスアンサー(よくある税の質問)の「No.1122医療費控除の対象となる医療費」には、「自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金などは、控除の対象には含まれません。」と記載されている。
    • (ロ) 国税庁ホームページに掲載されている質疑応答事例の「自家用車で通院する場合のガソリン代等」には、「自己所有の自動車で通院する場合には、通院のための走行距離を基に計算したガソリンの消費量から換算したガソリン代や駐車場の料金は、医療費控除の対象になりますか。」との照会要旨に対して、「医療費控除の対象とはなりません。医療費控除の対象となる通院費は、医師等による診療等を受けるため直接必要なもので、かつ、通常必要なものであることが必要とされており(所得税基本通達73−3)、この場合の通院費は、電車賃やバス賃などのように人的役務の提供の対価として支出されるものをいいます。したがって、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金は、医療費控除の対象とはなりません。」との回答要旨が記載されている。
  • ハ 当てはめ及び請求人の主張について
    • (イ) 請求人は、上記3の(2)の「請求人」欄のとおり、本件通達は、通院費が医療費に含まれる旨定めるのみで、何ら通院手段を限定していないのであるから、通院費であれば人的役務の提供の対価でなくとも医療費に該当する旨の公的見解の表示をしているにもかかわらず、本件各通知処分は、かかる公的見解と異なる見解を前提にしており、信義則に反する旨主張する。
       しかしながら、上記ロの(イ)及び(ロ)のとおり、一般に広く閲覧可能な国税庁ホームページ上において、医療費控除の対象となる通院費は電車賃やバス賃などのように人的役務の提供の対価として支出されるものをいうのであるから自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金は医療費控除の対象とならない旨の説明がなされていることからすれば、本件通達の定めから、請求人の主張するような内容について税務官庁が公的見解の表示をしたと認めることはできない。
       したがって、上記請求人の主張は採用できない。
    • (ロ) そして、当審判所の調査及び審理の結果によっても、本件各通知処分において、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお本件各通知処分に係る課税を免れしめて請求人の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存するとは認められない。
       したがって、本件各通知処分に信義則に反する違法はない。

(3) 本件各通知処分の適法性について

上記(1)のロの(ハ)のとおり、本件ガソリン代等は医療費控除の対象となる医療費には該当せず、上記(2)のハの(ロ)のとおり、本件各通知処分に信義則に反する違法はない。そして、本件各通知処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。
 したがって、本件各更正の請求に対し、更正をすべき理由がないとした本件各通知処分はいずれも適法である。

(4) 結論

よって、審査請求には理由がないから、これを棄却することとする。

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