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(平4.5.18、裁決事例集No.43 313頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、平成元年7月21日に死亡した〇〇(以下「被相続人」という。)の共同相続人2人のうちの1人であるが、この相続に係る相続税の申告書に、A女(被相続人の配偶者で請求人の母、以下「A女」という。)と共同して次表の「申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までに原処分庁に提出した。
 原処分庁は、これに対して平成2年12月25日付で次表の「更正等」欄のとおり、更正及び過少申告加算税の賦課決定をした。

(単位:円)
区分 合計額 請求人
申告 課税価格 71,779,000 70,913,000
納付すべき税額 1,947,000 1,947,000
更正等 課税価格 82,358,000 71,223,000
納付すべき税額 3,521,900 3,521,900
過少申告加算税 157,000 157,000

 

 請求人は、これらの処分を不服として平成3年2月25日に異議申立てをしたところ、異議審理庁はこれに対し平成3年7月6日付で棄却の異議決定をした。
 請求人は、異議決定を経た後の原処分になお不服があるとして、平成3年8月7日に審査請求をした。

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2 主張

(1) 請求人の主張

 原処分は違法であるから、その一部の取消しを求める。
イ 更正について
 原処分庁は、平成元年3月6日にA女がB銀行P支店に設定した定期預金31,000,000円(口座番号1111111、以下「本件定期預金」という。)のうち、被相続人の株式売却代金によって充てられた10,268,440円(以下「本件株式売却金」という。)は、A女が被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けたものと認められるから、相続税法第19条《相続開始前三年以内に贈与があった場合の相続税額》の規定により、相続税の課税価格に加算すべき贈与財産である旨主張するが、次の理由により原処分は誤りである。
(イ) A女には、次のとおり昭和47年から昭和52年までの間に自己所有の土地譲渡による合計46,488,759円の収入(以下「本件譲渡収入等」という。)があった。
A 昭和47年7月27日契約に係る土地(P市〇〇町347番地1外2筆)の譲渡収入 32,475,000円
B 昭和48年3月4日受領に係る上記Aの土地譲渡関連収入(移転経費の補てん等) 1,500,000円
C 昭和50年1月24日契約に係る土地(P市××町126ー3外5筆)の譲渡収入及び昭和50年2月15日契約に係る当該譲渡に伴う移転補償金収入 10,613,759円
D 昭和52年1月14日契約に係る上記Aの土地譲渡関連収入(建築物の越境に伴う保障金) 1,900,000円
 このうち、A及びBの収入は、一部を借入金(譲渡した土地の購入資金として借り入れた10,000,000円)の返済及び税金の支払に充て、残りはそのまま開業医である被相続人に事業資金として貸し付けた。
 また、C及びDの収入は、うち3,000,000円を自己名義の定期預金とし、残りは被相続人に事業資金として貸し付けた。
 この貸付金については、A女と被相続人との間で総額が18,000,000円であり、返済は月割にすることを確認していた。
(ロ) その後、A女は被相続人より昭和52年10月から昭和54年2月1日までの間にほぼ毎月1,000,000円ずつ合計18,000,000円の返済を受け、返済を受けた都度B銀行P支店において自己名義の定期預金とした。したがって、昭和54年2月現在のA女の定期預金は上記(イ)のC及びDの収入から設定した定期預金3,000,000円と合わせて21,000,000円となった。
(ハ) このA女の定期預金はその後増加して、昭和56年4月現在では24,000,000円となっていたが、A女はこの定期預金を利率の良い債券に切り替えることとし、昭和56年4月25日に全額を解約してC證券P支店の被相続人の口座に振り込み、翌々日の4月27日に同支店で無記名の割引債券第999号25,524口を24,002,769円で購入した。
 この債券は、被相続人がA女から預かり信用取引の代用証券として利用していたが、満期近くにA女が返済を受け、昭和57年4月2日にC證券P支店で25,524,000円で売却し、売却代金の全額を被相続人に貸し付けた。
(ニ) また、A女は被相続人と共に昭和55年5月16日に△△県保険医協会保険医年金制度(以下「保険医年金制度」という。)に加入申込みをし、加入後毎月の掛金を被相続人に立て替えてもらっていた。当時A女には定期預金があり支払できたが解約しなかったものである。
 そして、保険医年金制度を脱退した昭和62年10月29日に、A女と被相続人は話合いの上、上記(ハ)の貸付金の一部とこの掛金の総額15,400,000円を相殺し、残りは被相続人が株を売却した時に返済することにした。また、A女は、受け取った脱退一時金19,998,000円を翌30日に20,000,000円の自己名義の定期預金とした。
 なお、この脱退一時金のうち掛金総額を超える分4,598,000円については、A女が昭和62年分の所得税の確定申告の際一時所得として申告している。
(ホ) その後、平成元年3月6日に被相続人とA女は話合いの上、未清算となっていた前記(ハ)の貸付金と上記(ニ)の掛金総額との差額として、被相続人がA女に10,268,440円を支払い清算することとし、被相続人が平成元年2月28日の株売却代金から同金額を支払い清算した。A女は、当該金額を上記(ニ)の定期預金と合わせて本件定期預金31,000,000円を設定したものである。
 したがって、本件株式売却金は、A女が被相続人から貸付金の返済を受けた金員であるからA女固有の財産であり、贈与財産ではない。
ロ 過少申告加算税の賦課決定について
 以上のとおり、更正はその一部を取り消すべきであるから、これに伴い、過少申告加算税の賦課決定についてもその一部を取り消すべきである。

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(2) 原処分庁の主張

 原処分は、次のとおり適法である。
イ 更正について
 本件株式売却金は、次の理由により、A女が被相続人から贈与により取得した財産であると認められるから、相続税法第19条の規定により相続税の課税価格に加算すべき贈与財産である。
(イ) 請求人は、平成元年3月6日にA女がB銀行P支店に設定した本件定期預金31,000,000円のうち本件株式売却金10,268,440円は、A女が被相続人から貸付金の返済を受けた金員である旨主張する。
 しかし、本件株式売却金は、被相続人が平成元年2月28日にC證券P支店で株式を売却した代金14,305,750円の一部が充てられたものであるから、A女が被相続人から贈与を受けたものと認めるのが相当である。
(ロ) 請求人は、昭和56年4月25日に解約した定期預金9口24,000,000円は、A女が本件譲渡収入等の一部を被相続人に貸し付け、昭和54年2月までにその返済を受けたことにより形成された財産である旨主張する。
 しかし、A女に本件譲渡収入等があったとしても、被相続人との間に貸借があったとする事実を認めるに足りる証拠はなく、両名の過去の所得金額、資産の異動状況及び蓄財等を総合的に検討した結果、本件譲渡収入等は夫婦共同の生活費、請求人に対する教育費等に費消されたと推認せざるを得ず、貸付金の返済を受けて定期預金としたとする根拠はない。
 また、この定期預金は被相続人の普通預金から払い戻して形成されており、被相続人に帰属すると認めることが社会通念上相当である。
(ハ) 請求人は、A女が昭和56年4月27日に割引債券25,524口を購入して翌年4月2日に売却し、その売却代金25,524,000円を被相続人に貸し付けたと主張する。
 しかし、この割引債券は、被相続人が買付約定をした上で、C證券P支店の被相続人の顧客勘定口座で購入した42,540口の一部であり、口座に振り込まれた購入資金はいずれも被相続人に帰属すると認められるA女名義、被相続人名義及び請求人名義の合計40,000,000円の定期預金が解約されたものである。したがって、この債券取引は、被相続人が自己の資金により自己の取引をしたものであると認められるから、A女と被相続人との間には金銭の貸借は存在しない。
(ニ) 以上のとおり、A女と被相続人の間には金銭の貸借が認められないのであるから、本件株式売却金10,268,440円は、被相続人から貸付金の返済を受けたものとはいえない。
ロ 過少申告加算税の賦課決定について
 上記のとおり更正は適法であり、かつ、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項の規定に基づき過少申告加算税の賦課決定をしたものである。

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3 判断

(1) 更正について

 本件株式売却金は、相続税の課税価格に加算すべき贈与財産であるか否かについて争いがあるので、以下審理する。
イ 次の事実については、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によってもその事実が認められる。
(イ) 請求人は、現在内科医院を営む開業医であり、昭和58年までは学生であったこと。また、被相続人は、昭和28年から請求人と同住所地において耳鼻咽喉科医院を営む開業医であったこと。
(ロ) A女と被相続人の間に金銭の貸借に関する書類等は作成されていないこと。
(ハ) 本件定期預金31,000,000円は、平成元年3月6日に解約したA女名義の定期預金20,000,000円の元利合計金20,731,560円と本件株式売却金10,268,440円を資金として設定されたものであること。
 この解約した定期預金は、昭和62年10月23日に脱退して受け取った保険医年金制度の脱退一時金19,998,000円を原資として、昭和62年10月30日にB銀行P支店に設定したものであり、本件株式売却金10,268,440円は、被相続人が平成元年2月28日にC證券P支店で株式を売却した代金14,305,750円の一部であること。
(ニ) A女は、昭和55年5月16日に保険医年金制度に加入し、毎月の掛金を被相続人に立て替えてもらっていたこと。また、上記(ハ)の脱退一時金19,998,000円のうち掛金総額15,400,000円を超える4,598,000円を、昭和62年分の所得税の確定申告の際一時所得として申告していること。
ロ 当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
(イ) A女には、本件譲渡収入等46,488,759円があり、この金額から支出した土地取得時の借入金10,000,000円、譲渡収入等に対する国税地方税の合計額14,072,700円を差し引いて22,416,059円が残ったと推認されること。
(ロ) A女名義の定期預金は昭和52年10月5日から昭和54年2月1日までに18,000,000円増加しており、これは開業医である被相続人が診療報酬を入金していた普通預金(口座番号2222222)から振替設定されたものであること。
(ハ) A女名義の定期預金は、昭和54年11月2日から昭和55年4月16日までの間に3,000,000円増加していること。その後、昭和56年4月25日までの間には増加していないこと。
 また、A女名義の定期預金が増加した昭和54年、昭和55年には被相続人に年間15,000,000円を超える事業所得の申告があるが、A女にはこれらの定期預金に見合う収入はないこと。
(ニ) 昭和56年4月27日にC證券P支店の被相続人の口座(番号3333)を通して購入した割引債券第999号42,540口の価額は、40,004,616円であること。
 この購入資金は、昭和56年4月25日にB銀行P支店の定期預金、被相続人名義5口9,000,000円、A女名義9口24,000,000円及び請求人名義6口7,000,000円が解約されたものであること。
(ホ) 上記(ニ)の割引債券は、C證券P支店において被相続人名義で保護預かりされ、昭和56年8月7日に被相続人の信用取引口座に信用取引代用証券として入庫したこと。そして、この債券は次のとおり処分されていること。
A 昭和57年3月6日に6,000口を売付けし、売付代金5,911,539円は現金で引き出している。
B 昭和57年4月2日に36,540口を売付けし、売付代金36,516,253円は、同日同支店において、割引債券第888号29,170口の買付けに27,597,737円を充て、昭和57年4月13日に同支店において利付国庫債券(10年45回4月発行)3,000口の買付けに2,947,500円を充てたほか、76,016円を被相続人の信用取引口座へ入金し、残りの5,895,000円は現金で引き出し、同支店のA女口座(番号4444)及び請求人口座(番号5555)へそれぞれ2,947,500円ずつ入金、利付国庫債券(10年45回4月発行)3,000口(購入価額2,947,500円)の購入に充てている。
(ヘ) A女名義の定期預金は、昭和60年10月23日にもB銀行P支店に3,000,000円が設定されて増加していること。また、A女にはこの定期預金の増加に見合う収入はないこと。
(ト) 相続開始日(平成元年7月21日)現在のA女名義の定期預金は、本件定期預金31,000,000円とA女のものとして相続財産から除かれている上記(ヘ)の定期預金3,000,000円の合計34,000,000円であること。
(チ) 加入者名A女の保険医年金制度の掛金は、加入者名被相続人の同掛金と合わせて、昭和55年8月26日から昭和62年6月26日まで被相続人の普通預金から振込みにより支払われており、そのA女の掛金総額は15,400,000円であること。
ハ A女は、当審判所に対し次の旨答述する。
(イ) 本件譲渡収入等から被相続人に貸付けした金員は、被相続人が同人の事業資金として費消したものであること。
(ロ) A女が受領した定期預金の利息は、同人が費消していたこと。
(ハ) 昭和54年11月2日から昭和55年4月16日までに増加した3,000,000円の定期預金及び昭和60年10月23日に設定した3,000,000円の定期預金については、定期預金となった原因、事情及びその資金源泉については分からないこと。
ニ 以上の事実を総合して判断すると次のとおりである。
(イ) 請求人は、前記2の(1)のイの(イ)及び(ロ)のとおり、A女が被相続人に対し本件譲渡収入等のうち18,000,000円を貸し付け、昭和54年2月1日までに返済を受けたので同時期にA女には21,000,000円の定期預金があった旨主張する。
 ところで、A女と被相続人との間には金銭の貸借に関する書類等が作成されていないため、貸借の時期、金額及び返済期日について明らかでない。
 しかし、次の理由により、A女と被相続人との間に金銭の貸借があったと推認されるから、このA女名義の定期預金21,000,000円は、A女に帰属するものと認めるのが相当である。
A 前記ロの(イ)のとおり、A女には本件譲渡収入等があり、この金額から支出した借入金や税金を差し引いても22,416,059円が手もとに残ることとなり、更に譲渡経費及び通常の生活費を考慮したとしても貸付けの資金はあったものと認められる。
B 原処分庁は、本件譲渡収入等は生活費や教育費に費消されたと推認される旨主張するが、それを認めるに足る証拠はない。
C 昭和52年10月5日から昭和54年2月1日までに増加したA女名義の定期預金18,000,000円は、開業医である被相続人の収入を源泉としていることから、被相続人にはA女からの借入金を現に返済し、かつ、将来確実に返済する意思があったものと認められる。
D そうすると、A女には貸付けの原資があり、当事者には返済を受け、また返済をする意思の存在を認めることができる。
(ロ) 請求人は、前記2の(1)のイの(ハ)のとおり、A女が24,002,769円で取得した割引債券を売却し、その売却代金25,524,000円を被相続人に対して貸し付けた旨主張するが、この割引債券の取得資金について請求人は、昭和54年2月1日現在の定期預金21,000,000円がその後増加して、これを解約した昭和56年4月25日には24,000,000円となったと主張するだけであり、A女も21,000,000円が24,000,000円に増加した原因については分からない旨答述する。
 ところで、前記ロの(ニ)及び(ホ)の事実からみると、被相続人は、1当時学生であった請求人の名義で定期預金を設定し、2A女や請求人名義の証券取引口座を設定して債券取引をし、この取引による債券の売却代金のほとんどは、引き続き他の債券の取得に充てていることから、被相続人は、各人の資産を明確に区分することなく適宜の名義で管理運用していたものと認められる。
 そうすると、預金等の帰属はその資金の源泉が裏付けられて初めて名義人の固有の財産となるとするのが相当であるから、当該取得資金のうち上記(イ)のA女名義の定期預金の金額21,000,000円を超える3,000,000円の定期預金は、被相続人がA女の名義を借用して設定していたものであって、当該金額に相当する収入がないA女に帰属するものではなく、開業医として収入の裏付けのある被相続人に帰属するものと認めるのが相当である。
 以上の結果、債券購入に充てられたA女名義の定期預金24,000,000円のうちA女に帰属する分は21,000,000円であるから、被相続人が昭和56年4月27日にC證券P支店で購入した割引債券42,540口のうちA女に帰属すると認められるものは22,331口であり、したがって、昭和57年4月2日のこの債券の売却金額は22,326,533円(一口当たり単価999.80円)となり、A女が昭和57年4月2日に被相続人に対して貸し付けた金額は22,326,533円とするのが相当である。
(ハ) A女と被相続人との金銭貸借の返済時期及び返済金額について、以下検討する。
A A女が昭和57年4月2日に被相続人に対し22,326,533円の金銭を貸し付けた後の昭和60年10月23日に設定されたA女名義の定期預金3,000,000円は、上記ロの(ト)のとおり、相続開始時まで継続して預けられA女のものとして相続財産から除外されている。
 ところで、この定期預金の設定時において、A女には当該預金の原資に見合う収入はなく、被相続人には収入の裏付けが認められ、また、この原資について、請求人は何ら主張せずA女も分からない旨答述していることから、この定期預金は、被相続人に対し貸付金を有しているA女が、被相続人からその返済を受けたことにより設定されたものと認定するのが相当である。
 したがって、同時期においてA女の被相続人に対する貸付金の残高は、22,326,533円から当該3,000,000円を控除した19,326,533円となる。
B 請求人は、A女が被相続人から保険医年金制度の掛金相当額15,400,000円の返済を受けた旨主張する。
 ところで、A女が保険医年金制度に加入したことは、同人が脱退一時金を一時所得として申告していることからも推認でき、被相続人がA女の掛金を立替えしていたことも、前記ロの(チ)の事実から明らかであるから、A女はこの立替えてもらっていた掛金相当額と貸付金とを相殺することにより、貸付金のうち15,400,000円を昭和62年10月29日に被相続人から返済を受けたと認められる。
 したがって、同時期においてA女の被相続人に対する貸付金の残高は、19,326,533円から当該15,400,000円を控除した3,926,533円となる。
C 請求人は、A女が被相続人から平成元年3月6日に10,268,440円の貸付金の返済を受け、貸付金の清算をした旨主張する。
 しかし、A女の被相続人に対する貸付金の同時期における残高は、上記Bのとおり3,926,533円であるから、10,268,440円の返済を受けたとする請求人の主張は採用できない。
D したがって、本件株式売却金のうち貸付金の返済金に相当する額は3,926,533円と認められるから、差額の6,341,907円は被相続人がA女に贈与したものと認めるのが相当である。
(ニ) 以上の結果、本件相続税の課税価格に加算する相続開始前3年以内の贈与財産の額は6,341,907円となり、この額は原処分の金額を下回ることとなるから、本件更正は、その一部を取り消すのが相当である。

(2) 過少申告加算税の賦課決定について

 過少申告加算税の賦課決定については、その計算の基礎となる税額は1,570,000円であったところ、前記で述べたとおり更正のその一部が取り消されることに伴い、当該計算の基礎となる税額は1,030,000円となる。
 ところで、この税額の計算の基礎となった事実が、その税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められない。
 したがって、請求人の過少申告加算税の額は103,000円となるところ、当該金額は、賦課決定に係る金額157,000円に満たないので、賦課決定は不相当でありその一部を取り消すべきである。

(3) 原処分のその余の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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