ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例 >> 裁決事例集 No.43 >> (平4.4.20、裁決事例集No.43 356頁)

(平4.4.20、裁決事例集No.43 356頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、昭和62年2月12日に死亡した○○(以下「被相続人」という。)の相続人であるが、この相続開始に係る相続税の申告書に、課税価格を75,128,000円、納付すべき税額を24,233,400円と記載して法定申告期限までに申告した。
 次いで、請求人は、平成元年7月28日に、相続税の課税価格を77,316,000円、納付すべき税額を25,271,200円と記載した修正申告書を提出し、これに対し原処分庁は、平成元年8月29日付で過少申告加算税の額を51,500円とする賦課決定をした。
 また、原処分庁は平成元年8月29日付で相続税の課税価格を87,510,000円、納付すべき税額を30,363,100円とする更正(以下「本件更正」という。)及び過少申告加算税の額を254,500円とする賦課決定(以下「本件賦課決定」という。)をし、本件更正及び本件賦課決定の通知書は、平成元年8月30日に請求人に送達された。
 請求人は、本件更正及び本件賦課決定を不服として平成元年10月30日に異議申立てをしたところ、異議審理庁はこれに対し、平成2年6月15日付で相続税の課税価格を87,491,000円、納付すべき税額を30,353,600円、過少申告加算税の額を254,000円とする一部取消しの決定をし、異議決定書謄本は、平成2年6月19日に請求人に送達された。
 請求人は、異議決定を経た後の原処分になお不服があるとして、平成2年7月16日に審査請求をした。

トップに戻る

2 主張

(1) 請求人の主張

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 本件更正について
 被相続人の遺産のうち、P市R町2丁目7番22、25及び27所在の宅地(これらの合計地積は、2,830.87平方メートルであり、以下「本件宅地」という。)を評価するに当たって、自用地(借地権等の他人の権利の目的とされていない宅地をいう。以下同じ。)としての価額(以下「自用地価額」という。)から控除すべき借地権等の価額を計算するときに用いる借地権割合(借地権の目的となっている宅地の自用地価額に対する借地権の価額の割合をいう。以下同じ。)は、次のとおり90パーセントとすべきであるのに、原処分庁は70パーセントとしている。
(イ) 本件宅地は、その全部がマンションAの敷地になっているが、このマンションAは、延床面積は11,772.54平方メートルで、構造は鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根11階建の堅固な建物であり、全体戸数は163戸(163の区分所有権)であり、そのうちの29戸(29の区分所有権)が被相続人の遺産である。
 そして、このマンションAの敷地利用権(以下「本件借地権」という。)は、次表の内容で本件宅地に設定の上登記された地上権であり、各区分所有者が共有している。

 

項目 内容
目的
存続期間
地代
特約
堅固な建物の所有
昭和46年2月6日より満120年
3.3平方メートルにつき月金80円
譲渡、転貸、抵当権等の設定ができる

 

(ロ) S国税局長が定めた昭和62年分相続税財産評価基準(以下「昭和62年分評価基準」という。)によると、本件宅地に係る借地権割合は70パーセントとされているが、本件借地権は、P市において慣行的に形成されてきた通常の借地権(以下「他の借地権」という。)とは異なるものである。すなわち、他の借地権は非堅固な建物の所有を目的とし、賃貸借期間は借地法(平成3年法律第90号による廃止前のもの。以下同じ。)により20年ないし30年であり、しかも、譲渡、転貸は禁止されているのに対し、本件借地権は、次のような内容である。
A 本件借地権は、登記された地上権であること。
B 本件借地権の存続期間は120年であり、これは他の借地権のそれの3ないし6倍であること。
C 本件借地権の譲渡、転貸は自由であること。
D 本件借地権は、本件宅地上に建築されたマンションAという鉄骨鉄筋造の堅固な建物のためのものであること。
 本件借地権の内容は、以上のとおり登記された地上権という他の借地権とは異なった強い度合いの権利であるから、各区分所有者は区分所有権を相応の値段で売却することができることになるが、他方、土地所有者からみると、本件宅地の財産的価値のほとんどがマンションAに移転していることになるから、本件宅地は他の借地権である場合に比してはるかに低額の値段しか付かないことになる。
 本件宅地に係るこのような特別な事情は、本件宅地を評価するに当たって当然に考慮されなければならないことである。
(ハ) 土地を使用する権利については、登記されていない賃借権、登記されている賃借権、登記されていない地上権、そして、登記されている地上権とあるが、これらは段階的に権利の度合いが強くなっている。登記されている地上権という内容の本件借地権は、他の借地権とは異なり権利の度合いが強いので、本件宅地を評価するに当たって用いる借地権割合は、現行認められている最大の借地権割合である90パーセントとすべきである。
(ニ) 建物の所有を目的とする地上権には借地法の保護があるので、借地法の保護がない建物の所有を目的としない地上権よりも権利の度合いは強いことになる。相続税法(平成3年法律第90号による改正前のもの。以下同じ。)第23条《地上権及び永小作権の評価》の規定では、建物の所有を目的とする地上権よりも権利の度合いの弱い地上権であっても、その存続期間が100年を超える場合は自用地価額に対する地上権の価額の割合が90パーセントになると規定していることは、建物の所有を目的とした地上権である本件借地権の借地権割合を90パーセントとすべきであるとする請求人の主張の正当性を裏付けている。
(ホ) また、地方税法第343条《固定資産税の納税義務者等》第1項の規定では、存続期間が100年より長い地上権の目的とされている土地については、当該土地に係る固定資産税の負担者を地上権者としていることも前記(ハ)の請求人の主張の正当性を裏付けている。
ロ 過少申告加算税の賦課決定について
 以上のとおり、更正は違法であり、その全部を取り消すべきであるから、これに伴い過少申告加算税の賦課決定もその全部を取り消すべきである。

トップに戻る

(2) 原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により適法である。
イ 本件更正について
 本件宅地を評価する際の自用地価額から控除すべき本件借地権の価額の算定に当たって用いる借地権割合は、次のとおり70パーセントとするのが相当である。
(イ) 原処分庁が調査したところ、次の事実が認められる。
A 被相続人は、株式会社B(以下「B社」という。)と、昭和46年2月6日付で次の内容の不動産交換契約及び地上権設定契約(以下「交換契約等」という。)を締結していること。
(A) 被相続人は、B社のために本件宅地上に堅固な建物の所有を目的として存続期間120年の地上権を設定する。
(B) 本件宅地上に建築する建物は、鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根11階建塔屋2階付共同住宅1棟全戸数163戸11,865.571平方メートルとする。
B 被相続人は、しゅん工したマンションAのうち1階部分27戸(マンションA全体の10,000分の1,573相当)、2階部分1戸(同10,000分の66相当)及び3階部分1戸(同10,000分の84相当)合計29戸(同10,000分の1,723相当)の区分所有権を取得していること。
C 本件の相続開始日現在、被相続人が所有するマンションAの1階部分27戸及び3階部分1戸は他人に貸し付け、2階部分1戸は相続人の居住の用に供していること。
D 昭和62年分評価基準によれば、本件宅地に面する道路に付された1平方メートル当たりの路線価は280,000円、借地権割合は70パーセントであること。
(ロ) ところで、相続税法第23条は地上権等の評価について規定しているが、同条のかっこ書でこの地上権から「借地法(大正10年法律第49号)に規定する借地権に該当するものを除く」旨規定している。そして、借地法第1条《借地権の定義》では、「本法ニ於テ借地権ト称スルハ建物ノ所有ヲ目的トスル地上権及ビ賃借権ヲ謂ウ」と規定している。
(ハ) また、昭和39年4月25日付国税庁長官通達「相続税財産評価に関する基本通達」(以下「評価通達」という。)の25《貸宅地の評価》において、地上権又は借地権の目的となっている宅地の価額は、評価通達の11《評価の方式》ないし24《土地区画整理事業中の宅地の評価》までの定めにより評価したその宅地の自用地価額から、相続税法第23条の規定により評価したその地上権の価額又は評価通達の27《借地権の評価》の定めにより評価したその借地権の価額を控除した金額によって評価することとされている。
 そして、評価通達の26《貸家建付地の評価》において、貸家の目的に供されている宅地の価額は、その宅地の自用地価額から、その自用地価額にその宅地に係る借地権割合と評価通達の94《借家権》の定めによるその家屋に係る借家権割合との相乗積を乗じて計算した価額を控除した価額によって評価することとされている。
(ニ) 本件宅地を評価するに当たって用いるべき借地権割合を70パーセントとすることについては、借地権の売買実例価額、精通者意見価格、地代の額等を基として評定した借地権割合がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長が定めた割合であり、合理的なものである。
 また、国土庁の借地権価格調査結果に基づく地域別・用途別の借地権割合等一覧表によると、S県の場合、借地権割合は次表のとおりであり、本件宅地を評価するに当たって用いた借地権割合を70パーセントとしたことには合理性がある。

 

(単位:%)
用途 借地権割合
住宅地区 65ないし75
商業地区 70ないし85
工業地区 65ないし80
周辺住宅地区 60ないし70

 

(ホ) 請求人は、本件借地権が登記された地上権であることから、他の借地権とは異なり強い度合いの権利であるので、本件借地権に係る借地権割合は90パーセントとすべきである旨主張するが、本件借地権が他の借地権とは異なり強い度合いの権利であるかどうかは定かでなく、また、借地権の価額の評価を行う場合、借地権の内容を特にしんしゃくすべしという法令等の規定はないので、本件借地権と他の借地権とを区別して評価する必要性はない。
(ヘ) 以上述べたとおり、本件宅地上には建物の所有を目的とした地上権が設定されているが、これは借地法でいう借地権に該当するので、本件宅地を評価するに当たり、相続税法第23条の規定に基づいて算出した地上権の価額を控除することはできない。
 以上により、本件借地権に係る借地権割合を70パーセントとして本件宅地を評価通達等に基づいて評価すると、次表のとおり217,982,936円となるから本件更正は適法である。

 

本件宅地 2
昭和62年分路線価
3
奥行価格逓減率
4
間口狭小補正率
5
奥行長大補正率
6
借地権割合
7
借家権割合
所在地 1地積
P市R町2丁目7番22、25及び27
平方メートル
2,830.87

280,000
0.80 0.99 0.90
70
30
8
本件宅地の1平方メートル当たりの自用地価額
(2×3×4×5)
9
貸宅地部分の割合
10
貸家建付地部分の割合
11
自用地部分の割合

199,584
1 −1,72310,000 1,57310,0008410,000 6610,000
12
貸宅地部分の評価額
8×1×9×(1−6))
13
貸家建付地部分の評価額
(8×1×10×|(1−6×7|)
14
自用地部分の評価額
(8×1×11)

140,294,244

73,959,717

3,728,975
15本件宅地の評価額
(121314)

217,982,936

(注)本件宅地の形状等は、次のとおりである。
形状:多角形
間口の距離:7.1メートル
奥行の距離:140メートル
利用区分:自用地、貸宅地及び貸家建付地
地区区分:普通住宅家内工業地区

 

ロ 過少申告加算税の賦課決定について
 以上のとおり、本件更正は適法であり、かつ、請求人には、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項の規定に基づき過少申告加算税を賦課決定したものである。

トップに戻る

3 判断

(1) 本件更正について

 本件審査請求の争点は、本件宅地を評価するに当たり、自用地価額から控除すべき本件借地権の価額の算定に用いる借地権割合を70パーセントとすべきか、それとも90パーセントとすべきかにあるので、以下審理する。
イ 次の事実については、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によってもその事実が認められる。
(イ) 被相続人は、本件宅地2,830.87平方メートルについて、B社と昭和46年2月6日付の交換契約等を締結していること。
(ロ) この交換契約等に基づき、被相続人は、B社のために本件宅地に堅固な建物の所有を目的とする存続期間120年の地上権を設定し、その地上権設定の対価として本件宅地上にB社が建設した全体戸数163戸のマンションAのうち、29戸の区分所有権及びこれに対応する地上権の持分を取得したこと。
(ハ) 本件宅地上に設定された地上権は、建物の所有を目的とする地上権であること。
(ニ) 被相続人は、相続開始時点において、マンションAの全体戸数163戸のうち29戸(マンションA全体の10,000分の1,723相当)を所有しており、うち28戸(同10,000分の1,657相当)を他人に貸し付け、1戸(同10,000分の66相当)を被相続人の三男の居住の用に供していたこと。
(ホ) 昭和62年分評価基準によれば、本件宅地が面する道路に付された1平方メートル当たりの路線価は280,000円、借地権割合は70パーセントであること。
(ヘ) 本件宅地の利用区分は貸宅地、貸家建付地及び自用地の部分に分けられるので、それぞれの利用区分に区分して評価することになること。
(ト) 貸宅地の価額については、宅地の自用地価額から借地権の価額を控除した価額によって評価すること、また、貸家建付地の価額については、宅地の自用地価額からその自用地価額に借地権割合と貸家に係る借家権割合の相乗積を乗じて計算した価額を控除した価額によって評価すること。
ロ 相続税法第22条《評価の原則》の規定によれば、相続又は遺贈(以下「相続等」という。)により取得した財産の価額は当該財産の取得の時における時価によることとされているところ、当該時価については、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいうものと解されているが、相続等によって取得した財産が、当該取得の時において取引の対象となっていることは極めてまれであることから、具体的な評価方法については、評価通達及び評価通達に基づきS国税局長が定めた評価基準に定めるところにより、相続税の課税価格の算定の基礎となる財産の価額についての評価が行われていることが認められる。そして、評価通達の27によると、借地権の価額は、その借地権の目的となっている宅地の自用地価額に、当該自用地価額に対する借地権の売買実例価額、精通者意見価格、地代の額等を基として評定した借地権の価額の割合がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長が定める割合(借地権割合)を乗じて計算した金額によって評価することとされているが、これは借地権割合を状況類似地域ごとに借地権売買の実例や権利金の授受の状況を基として実態に即して国税局長が定め、そして、その定めた借地権割合を用いて相続税の課税価格の算定の基礎となる借地権の価額を評価しようとするもので、合理的な評価方法と認められる。
ハ また、相続税法は、第22条に評価の原則を規定し、第23条以下に評価の特則を規定している。相続税法第23条は、地上権及び永小作権の評価を規定しているところであるが、同条かっこ書で同条でいう地上権からは借地法に規定する借地権に該当するものを除く旨規定していることから、借地法に規定する借地権の評価については、相続税法第22条の規定により評価することになる。
 ここに、借地法に規定する借地権とは、借地法第1条によれば、建物の所有を目的とする地上権及び賃借権をいうものとされている。
 ところで、地上権は物権であるのに対し賃借権は債権であり、両者は、その法的性格を異にするものであるが、借地法は、建物を所有するための地上権及び賃借権を借地権として、両者を統一的に扱うとともに特に債権関係に止まる賃借権についての特別の保護を与えているところである。すなわち、その存続期間につき、堅固な建物の所有を目的とするものは60年、その他の建物の所有を目的とするものは30年とし、契約で存続期間を定めた場合でも、その期間は前者については30年、後者については20年を下回ることができないものとして、民法上の賃借権の存続期間最長20年の例外としている。また、借地人からの契約更新の申出に対して地主は正当な事由がなければこれを拒否することができないこと、借地人が借地権消滅後土地の使用を継続する場合において、地主が遅滞なく異議を述べないときは法定更新がされること、そしてこれらの規定に反する契約条件で借地人に不利なものはこれを定めなかったものとみなすこととされている。このように建物の所有を目的とする賃借権は物権とはされないまでも物権的な傾向を強めており、経済的価値及び法的機能の面では建物の所有を目的とする地上権とその実態を同じくするといえる。
 このような事情から、相続税の課税価格の算定のための財産評価においては、建物の所有を目的とする地上権と賃借権とを区別することなく、ともに借地権という種類の財産として評価することは、財産の実態に即した評価を行う趣旨から合理性があると認められる。
ニ 請求人は、本件宅地の評価に当たり、本件宅地の自用地価額から控除すべき本件借地権の価額は、本件借地権が存続期間120年の地上権であるということなどの事情を考慮して他の借地権よりも高額に評価すべきであるとして、本件借地権に係る借地権割合を90パーセントとすべき旨主張するが、前記ハで述べたとおり、たとえ存続期間が120年の地上権であっても、建物の所有を目的とする地上権と建物の所有を目的とする賃借権は借地法の保護の下に経済的価値及び法的機能の面でその実態を同じくするものであるので、相続財産の評価上、本件借地権を他の借地権と区別して考慮すべき特段の事情は認められないから、請求人の主張は相当でない。
ホ また、請求人は、建物の所有を目的とする地上権は借地法の保護があるので、建物の所有を目的としない地上権よりも権利の度合いは強いところ、相続税法第23条で建物の所有を目的としない地上権でさえその存続期間が100年を超える場合、自用地価額に対する地上権の価額の割合を90パーセントとすると規定していることは本件借地権に係る借地権割合を90パーセントとすべきとする請求人の主張の正当性を裏付けている旨主張するが、前記ハで述べたとおり、相続税法は、地上権であってもそれが借地法に規定する借地権に該当する場合は同法第23条の規定によって評価するのではなく、同法第22条の評価の一般原則によることとしているのであるから、請求人の主張は相当でない。
ヘ 更に、請求人は、地方税法第343条第1項が、存続期間が100年より長い地上権の目的とされている土地については、固定資産税の負担者を地上権者としていることも請求人の主張の正当性を裏付けている旨主張する。
 しかしながら、固定資産税と相続税とでは課税要件、課税目的等が異なるから、存続期間が100年より長い地上権の場合、固定資産税の負担者を地上権者と規定していことをもって、本件借地権の価額を他の借地権と区別して評価すべきとする請求人の主張は相当でない。
ト 以上のとおり、本件借地権の内容は建物の所有を目的とする地上権であり、これは借地法に規定する借地権に該当するものであるから、前記ロで述べたとおり、評価通達及び評価基準を適用して評価した価額とするのが合理的であると認められるので、評価通達の27及び昭和62年分評価基準の定めにより、本件宅地の価額の評価に際し、本件宅地の自用地価額から控除すべき本件借地権の価額の算定に用いる借地権割合を70パーセントとして、本件宅地の価額を217,982,936円と評価した本件更正は相当である。

(2) 過少申告加算税の賦課決定について

 以上のとおり、本件更正は適法であり、また、請求人には、相続税の税額を計算するに当たり、原処分庁が過少申告加算税の基礎とした税額に係る事実を相続税の税額の計算の基礎としなかったことについて、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項の規定に基づいてした過少申告加算税の賦課決定は適法である。

(3)その他

 原処分のその余の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

トップに戻る