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(平4.3.31、裁決事例集No.43 369頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 共同審査請求人総代A男及びB男(以下「請求人ら」という。)は、平成元年12月21日に死亡した○○(以下「被相続人」という。)の共同相続人であるが、この相続開始に係る相続税について、次表のとおり記載した相続税の申告書を法定申告期限までに提出した。

(単位:円)
氏名 課税価格 納付すべき税額
A男 129,647,000 35,960,700
B男 41,864,000 7,971,600
合計 171,511,000 43,932,300

 

 これに対し、原処分庁は、平成3年2月4日付でそれぞれ次表の「更正」欄のとおり更正及び「賦課決定」欄のとおり賦課決定をした。

(単位:円)
項目
相続人
更正 賦課決定
課税価格 納付すべき税額 過少申告加算税の額
A男 167,644,000 49,393,600 1,343,000
B男 61,791,000 14,680,600 670,000
合計 229,435,000 64,074,200 2,013,000

 

 請求人らは、これらの処分を不服として平成3年3月22日にそれぞれ異議申立てをしたところ、異議審理庁は、平成3年6月18日付でいずれも棄却の異議決定をした。
 請求人らは、異議決定を経た後の原処分について、なお不服があるとして、平成3年7月16日に審査請求をした。

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2 主張

(1) 請求人らの主張

 原処分は、次の理由により違法であるから、その一部の取消しを求める。
イ 更正について
(イ) 本件土地の価額
 請求人らが相続により取得したP市R町48番の1の田1,745平方メートル及び同市同町同番の3の田955平方メートル(以下「本件土地」という。)は株式会社C(以下「C社」という。)に賃貸されている土地であり、本件土地に係る賃借権(以下「本件賃借権」という。)は、次に述べるとおり、地上権に準ずる賃借権に該当し、その賃貸借期間は残存期間の定めのないものに該当するので、本件土地の評価に当たって、本件土地の自用地価額(貸し付けられていないものとした場合における土地の価額をいう。以下同じ。)から控除すべき本件賃借権の価額は、相続税法第23条《地上権及び永小作権の評価》の規定(以下「地上権の評価規定」という。)に定める「残存期間の定めのないものの割合100分の40」を適用して評価すべきである。
A 本件賃借権
 本件土地に係る賃貸借契約(以下「本件契約」という。)は、被相続人とC社との間で本件土地を自動車教習コースに使用することを目的とし、賃貸借期間は3年として昭和36年2月20日に締結され、その後、本件契約は更新され現在に至っており、今後も恒久的に当該契約は更新するものと考えられ本件土地の返還は困難であること、また、本件契約では、期間満了1月前までに申出を行えば契約は終了することとなっているが、これがそのまま実行される可能性は極めて乏しく、本件土地上には自動車教習コースがあり、本件土地の返還を行えば直ちに賃借人C社の営業が不可能となり、他に同様な用地を求めるとすれば巨額の取得資金あるいは数倍の地代等が必要となり、これらのことからもC社が無償で本件契約どおりその返還に応じることは考えられないこと及び本件土地は30年近くにわたってS県公安委員会指定の自動車教習コースの用に供されており、その公共性からも一般の駐車場や資材置場の用に供されている場合とは状況が異なり、本件土地の価額の評価上、その賃借権は地上権に準ずる賃借権として考慮すべきである。
B 本件賃借権の残存期間
 C社は本件土地が事業遂行上不可欠のものであることを認識しており、このような契約を締結すること自体3年限りの短期契約を想定したものでないことを双方が暗黙の了解をしたものであり、このことは、1開業当初から30年近くにわたって契約が更新されている事実があること、2C社はS県公安委員会指定の自動車教習所で公共性があり、今後も現状の営業を継続していくことが予想され、本件契約は恒久的に継続するものと考えられること及び3自動車教習コースの敷地は、本件土地を含め複数の地主が賃貸しており、賃貸人の中から一人だけが更新を拒絶したところで、広大な敷地の中の一部の土地の返還を受けることは不可能に近いこと等からも明確であり、本件賃借権の存続期間は、存続期間の定めのないものに等しいものであることから、本件賃借権は残存期間の定めのないものとすべきである。
 以上により、本件土地の価額は、別表の「請求人主張額」欄のとおり、71,163,360円となる。
(ロ) 相続税の課税価格
 相続財産の価額の合計額は、前記(イ)の本件土地の価額71,163,360円及び争わない財産の価額495,004,807円を合計した566,168,167円となり、当該相続財産の価額の合計額から債務及び葬式費用の額255,375,449円を控除し、純資産価額に加算される贈与財産価額2,367,940円を加算した313,160,658円を基に、請求人らの課税価格(1,000円未満切捨て)及び納付すべき税額を算出すると、次表のとおりとなる。

(単位:円)
氏名 課税価格 納付すべき税額
A男 138,899,000 39,187,300
B男 46,059,000 9,350,100
合計 184,958,000 48,537,400

 

 したがって、上記の課税価格及び納付すべき税額は、更正による課税価格及び納付すべき税額を下回ることとなるから、各更正はその超える部分を取り消すべきである。
ロ 過少申告加算税の賦課決定について
 前記イのとおり、各更正はその一部を取り消すべきであるから、これに伴い過少申告加算税の各賦課決定もその一部を取り消すべきである。

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(2) 原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により適法である。
イ 更正について
(イ) 本件土地の価額
 本件賃借権は地上権に準ずる賃借権以外の賃借権(以下「その他の賃借権」という。)に該当し、その賃貸借期間は残存期間の定めがあるものに該当する。
A 本件賃借権
(A) C社は、本件土地が農地であったので、被相続人の承認を得て自己の費用で埋立てを行い、自動車教習コースの敷地として事業の用に供しており、本件土地上に建物等の地上物件は存在していないこと。
(B) 本件契約に係る昭和61年4月1日付の土地賃貸借契約書(以下「本件契約書」という。)によれば、賃貸料は坪当たり年1,326円14銭とし、当該賃貸料は、特別の事情がある場合を除き、C社において国家公務員等の給与が増額改定された都度、その改定率、時期に準じて増額改定するとされていること。
(C) 本件契約書によれば、C社は事前に被相続人の承認を受けなければならない事項として、1賃借地をその目的以外に使用するとき、2借地権を売買譲渡し又は転貸しするとき及び3賃借地内に恒久建物を建築するときの取決めがあること。
(D) 本件契約書によれば、賃貸借契約期間が満了したとき又は契約を解除したときは、速やかにC社の費用をもって賃借土地の上に存するすべての建物、工作物等を除去し、更地として被相続人に返却するとされていること。
(E) 本件土地について、不動産登記簿上に地上権、地役権及び賃借権等の土地に関する権利の設定が行われていないこと。
B 本件賃借権の残存期間
 被相続人は、昭和36年2月20日にC社と本件契約を締結し、その後数回その契約が更新され、本件の相続開始時には本件契約書が作成されており、賃貸借期間は昭和61年4月1日から昭和64年3月31日までの3年間とされ、賃貸借契約期間満了の1月前までに契約解除の申出があれば賃貸借は終了し、この場合賃借人は、本件契約書第8条に基づき、自己の費用をもって本件土地を更地として返還することとしていることから、本件土地の評価に係る地上権の評価規定の準用に当たっては、残存期間が10年以下のものの割合を適用することが相当である。
 以上のことから、本件土地の賃借権はその他の賃借権に該当し、その残存期間は10年以下であるので、本件賃借権の価額は、本件土地の自用地価額に地上権の評価規定に定める残存期間が10年以下の場合の100分の5の2分の1である100分の2.5を乗じた金額となる。
 そうすると、本件土地の価額は、別表の「原処分庁主張額」欄のとおり115,640,460円となる。
(ロ) 相続税の課税価格
 相続財産の価額の合計額は、前記(イ)の本件土地の価額115,640,460円に本件土地以外の相続財産の価額495,004,807円を合計した610,645,267円となり、当該相続財産の価額の合計額から債務及び葬式費用の額255,375,449円を控除し、純資産価額に加算される贈与財産価額2,367,940円を加算した357,637,758円を基に、請求人らの課税価格(1,000円未満切捨て)及び納付すべき税額を算出すると、次表のとおりとなる。

(単位:円)
氏名 課税価格 納付すべき税額
A男 167,644,000 49,393,600
B男 61,791,000 14,680,600
合計 229,435,000 64,074,200

 

 したがって、これらの課税価格及び納付すべき税額と同額でした各更正は適法である。
ロ 過少申告加算税の賦課決定について
 前記イのとおり、各更正は適法であり、かつ、請求人らが過少申告したことについて、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないことから、過少申告加算税の各賦課決定も適法である。

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3 判断

(1) 更正について

 本件土地の自用地価額から控除する賃借権の価額について争いがあるので、調査・審理したところ、次のとおりである。
イ 本件土地の価額
(イ) 次のことについては、当事者間に争いがなく、当審判所の調査によってもその事実が認められる。
A 本件土地は、被相続人とC社との間で締結された土地賃貸借契約の目的物とされていること。
B 本件土地の登記簿上の地目は田であるが、現況地目は雑種地であること。
C 本件土地の地積は2,700平方メートルであること。
D 本件土地の自用地価額は118,605,600円であること。
(ロ) 原処分関係資料等及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
A C社はS県公安委員会の指定を受けた自動車教習所であること。
B 本件契約は、被相続人とC社の間で昭和36年2月20日に賃貸借契約として締結され、それ以降本件の相続開始時においても更新され継続されていること。
C 本件土地の現況は、主としてコンクリート舗装された路面であり、C社の自動車教習コースとして使用され、本件土地上に建物は存在していないこと。
 また、本件土地は、C社の自動車教習コースのほぼ中央に位置する土地であること。
D 本件契約に係る昭和58年4月1日付の土地賃貸借契約書によれば、賃貸借期間は昭和58年4月1日から3年間とされ、賃貸借期間の満了したときは期限の利益を失い、本件土地を更地にして即時明け渡し返還することとした上で、なお、賃貸借期間終了するも双方協議の上、期限を伸長することができるとされていたこと。
E 本件契約に係る昭和61年4月1日付の本件契約書の内容は、次のとおりであること。
(A) 本件土地は、自動車教習所用地として使用することを目的としていること。
(B) 本件土地は農地であったため、C社が自己の費用をもって被相続人の承認を得て埋め立て、使用継続中のものであること。
(C) 賃貸借料は、坪当たり年1,326円14銭とし、当該賃貸借料はC社において、国家公務員等の給与に関する法律別表(俸給表)が増額改定された都度、その改定率、時期に準じて増額改定すること。
(D) 賃貸借期間は、昭和61年4月1日から昭和64年(平成元年)3月31日までの3年間とし、その期間満了の1月前までに被相続人、C社のいずれからも契約解除の申出のないときは、この期間は更に3年間延伸することができること。
(E) 賃貸借契約期間が満了したときは、C社は速やかに自己の費用をもって本件土地上に存するすべての建物、工作物等を除去し、更地として被相続人に返還すること。
(F) 事前に被相続人の承認を受けなければならない事項として、1本件土地をその目的以外に使用するとき、2借地権を売買譲渡又は転貸しするとき及び3本件土地に恒久建物を建築するときの取決めがあること。
(G) 賃借権設定の対価たる権利金の支払に関する取決めのないこと。
(ハ) C社の代表者及び事務長は、当審判所に対し次のとおり答述している。
A 本件土地の賃貸借に当たって、本件土地上に建物を建てないことを条件として借り受けたこと。
B 本件契約書による本件契約の更新の際、本件契約書に係る賃貸借期間満了日の1月前までに、当事者のいずれからも契約解除の申出のないときは、賃貸借期間を更に3年間延伸することを取り決めたこと。
C 本件契約書の内容と事実関係が相違していないこと。
D 本件契約に関し、本件契約書以外に取り決めたものはないこと。
E C社の貸借対照表に営業権、借地権、賃借権等の計上はないこと。
F 本件土地の賃貸借契約に当たって、賃借権の設定の対価及び保証金の支払はないこと。
G 不動産登記簿上、本件土地に関する権利の設定は行われていないこと。
(ニ) 相続税法第22条《評価の原則》の規定によれば、相続等により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価によるとされ、当該時価については、一般に不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額と解されているが、相続等によって取得した財産が、当該取得の時において取引の対象となっていることは極めてまれであり、また、相続税の課税においては統一的な方法によって財産の価額を算定する必要があるところから、その具体的な評価方法については、昭和39年4月25日付直資56直審(資)17「相続税財産評価に関する基本通達」(以下「評価基本通達」という。)に基づき、○○国税局長が定めた「平成元年分相続税財産評価基準」(以下「評価基準」という。)により、相続税の課税価格算定の基礎となる財産の価額についてその評価が行われていることが認められる。
 したがって、評価基本通達及び評価基準の定めるところにより算定した相続等によって取得した財産の価額は、特段の事情のない限り相続税の課税価格の計算においてその財産の時価と認めるのが相当と解される。
(ホ) これを本件についてみると、本件土地の現況地目が雑種地であること及び本件土地は貸し付けられていることについては争いはなく、評価基本通達86《貸し付けられている雑種地の評価》の定めによれば、貸し付けられている雑種地の価額は、その雑種地の自用地価額からその雑種地に係る地上権又は賃借権の価額を控除した金額によって評価することとされており、また、雑種地に係る賃借権の価額は、評価基本通達87《雑種地の賃借権の評価》の定めにより、その賃貸借契約の内容、利用の状況等を勘案して評定した価額によって評価することとされているところ、原処分庁におけるその具体的な評価方法は、次のとおり、雑種地の賃借権のうち、例えば賃借権の設定の対価として相当の権利金の授受がされているものなどは地上権に準ずる賃借権に該当するとし、それ以外の賃借権はその他の賃借権に該当するとして、それぞれの評価方法の定めに従っており、当該評価方法は、当審判所において審理したところによっても合理的であると認められる。
A 雑種地の賃借権のうち地上権に準ずる賃借権の価額は、その賃借権の目的となっている土地の自用地価額に、その賃借権の残存期間に応ずる地上権の評価規定に定める割合又はその賃借権が借地権であるとした場合に適用される借地権割合のいずれか低い方の割合を適用して評価すること。
B 雑種地の賃借権のうち上記A以外のその他の賃借権の価額は、その賃借権の目的となっている土地の自用地価額に、その賃借権の残存期間に応ずる地上権の評価規定に定める割合の2分の1に相当する割合を適用して評価すること。
(ヘ) ところで、請求人らは、本件土地がS県公安委員会指定のC社の用地として使用されており、将来にわたって事実上その返還が困難であることを理由に、本件賃借権は地上権に準ずる賃借権に該当する旨主張するが、1賃貸借当事者間における本件土地の賃貸借契約は、前記(ロ)のC及びEの(A)並びに前記(ハ)のAのとおり、建物の所有を目的とするものではなく、自動車教習所の自動車教習コース用地として使用することを目的としていること、2本件土地上には、前記(ロ)のCのとおり、現に建物が存在していないこと、また、前記(ロ)のEの(F)のとおり、本件土地上に恒久的建物を建築するときは賃貸人の承認を受けなければならないこととされていること、3前記(ハ)のFのとおり、その賃借権設定の対価たる権利金の授受がないこと及び4(ハ)のGのとおり、不動産登記簿上に本件土地に係る賃借権の設定登記がされていないことから、本件契約に基づく賃借権は、民法等により法的に保護されるべき権利としては地上権又は借地権に比較して極めて薄弱なものと認められるので、本件賃借権は、その評価上その他の賃借権に該当するものとするのが相当であり、この点に関する請求人の主張には理由がない。
(ト) つぎに、賃借権の存続期間については、原則として当事者の定めた賃貸借契約に基づく賃貸借期間によることとされているところ、相続開始時における本件契約上の賃貸借期間は、前記(ロ)のEの(D)のとおり、昭和61年4月1日から3年間を貸賃借期間とする本件契約書の第5条のただし書により、賃貸借の当事者のいずれからも契約解除の申出がないことから、賃貸借期間が3年間延伸され、平成元年4月1日から平成4年3月31日までの間とされており、相続開始時における本件土地に係る本件契約上の賃貸借期間の残存期間は、2年4か月と認められる。
 ところで、本件の賃貸借期間については、1本件契約は、前記(ロ)のB及びEの(D)並びに前記(ハ)のBのとおり、昭和36年2月20日に締結した賃貸借契約を当初契約とし、昭和61年4月1日以降の契約においては、当事者のいずれからも契約解除の申出のない場合には、自動的に賃貸借期間を更新することとされ、以後、これに従って更新されており、過去30年近くにわたって賃貸借契約が継続されてきたこと、2前記(ロ)のAのとおり、賃貸先はS県公安委員会指定のC社であり公共性が極めて高いこと及び3本件土地は、前記(ロ)のB及びCのとおり、賃貸借開始当初からC社の教習コースとして事業の用に使用されていること、また、本件土地の位置は、自動車教習コースのほぼ中央にあって、コンクリート舗装された自動車教習コースであり、その利用価値は極めて高いと認められることから、契約上、その賃貸借期間は3年とはいえ将来にわたり更新されることが予想され、長期間にわたるものと認められるので、事実上、残存期間の定めのないものと認めるのが相当である。
 そうすると、本件土地の価額の評価に当たって、本件土地の自用地価額から控除すべき本件賃借権の価額は、本件土地の自用地価額118,605,600円に地上権の評価規定を準用し、残存期間の定めのないものの場合の割合100分の40の2分の1に相当する割合100分の20を適用して評価した23,721,120円となる。
 したがって、本件土地の価額は、別表の「審判所調査額」欄のとおり、94,884,480円となる。
ロ 相続税の課税価格
 相続財産の価額の合計額は、前記イの本件土地の価額94,884,480円及び争わない財産の価額495,004,807円を合計した589,889,287円となり、当該相続財産の価額の合計額から債務及び葬式費用の額255,375,449円を控除し、純資産価額に加算される贈与財産価額2,367,940円を加算した336,881,778円を基に、請求人らの課税価格(1,000円未満切捨て)及び納付すべき税額を算出すると、次表のとおりとなる。

(単位:円)
氏名 課税価格 納付すべき税額
A男 154,230,000 44,962,700
B男 54,449,000 11,817,000
合計 208,679,000 56,779,700

 

 したがって、相続税の課税価格及び納付すべき税額が上記の課税価格及び納付すべき税額を上回ってされた各更正は、その一部を取り消すのが相当である。

(2) 過少申告加算税の賦課決定について

 前記(1)のとおり、各更正はその一部が取り消されるところ、当該取消しにより減額される部分以外の税額の計算の基礎となった事実が、更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、当該取消しにより減額される部分以外の税額について過少申告加算税が賦課されることは相当である。
 ところで、上記減額される部分以外の税額に国税通則法第65条第1項の規定を適用すると、過少申告加算税の額は賦課決定に係る過少申告加算税の額を下回ることとなるので、各賦課決定もその一部を取り消すのが相当である。
(3) 原処分のその余の部分については、請求人らは争わず、当審判所において調査・審理したところによっても、これを不相当とする理由は認められない。

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