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(平9.11.6裁決、裁決事例集No.54 46頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、不動産貸付業を営む同族会社であるが、平成2年10月1日から平成3年9月30日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の青色の法人税の確定申告書に所得金額を68,563,582円及び納付すべき税額を26,381,300円と記載して、また、平成2年10月1日から平成3年9月30日までの課税事業年度(以下「本件課税事業年度」という。)の法人臨時特別税の申告書に課税標準法人税額を21,951,000円及び納付すべき税額を548,700円と記載して、いずれも法定申告期限までに提出した。
 その後、請求人は、平成8年8月26日に本件事業年度の法人税について所得金額を21,336,055円及び納付すべき税額を7,240,500円とすべき旨、並びに本件課税事業年度の法人臨時特別税について課税標準法人税額を4,241,000円及び納付すべき税額を106,000円とすべき旨の各更正の請求(以下「本件更正の請求」という。)をした。
 原処分庁は、これらに対し、平成8年12月27日付で更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をした。
 請求人は、この処分を不服として、国税通則法(以下「通則法」という。)第75条《国税に関する処分についての不服申立て》第4項第1号の規定により、平成9年1月24日に審査請求をした。

2 主張

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(1)請求人の主張

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 申告から和解に至る経緯について
 請求人及び請求人の代表取締役F(以下「F」といい、両者を併せて「請求人ら」という。)は、平成2年10月4日にG(住所・P市R町122番地134)に対して、P市S町1丁目27番5所在の土地(地目・宅地)74.08平方メートル及びP市S町1丁目27番9所在の土地(地目・宅地)191.80平方メートル(以下、両土地を併せて「本件土地」という。)並びにP市S町1丁目27番地5所在の建物(以下「本件建物」といい、本件土地と併せて、「本件譲渡物件」という。)を208,416,000円で売却する旨の土地付建物売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し、同日、Gからその代金の一部として100,000,000円を受領した。請求人は、本件土地の借地権及び本件建物を所有しており、また、本件土地は借地権割合が6割地区に所在することから、本件売買契約金額の60パーセント相当額の125,049,600円を本件事業年度の確定決算に譲渡収入金額として計上し、法人税の確定申告をした。
 ところで、本件譲渡物件の引渡しは代金完済時に行われることになっており、上記のとおり、請求人らは100,000,000円の内金の支払を受けた後、残金の支払について督促を重ねていたところ、Gから本件土地の転売を受けたH(住所・P市S町1丁目2番10号)から、100,000,000円の支払を理由に、本件土地の引渡しを求められた。しかしながら、請求人らは代金の残金全額が支払われた時に本件上地の引渡しをする旨反論した。
 Hはその後、本件土地について、所有権移転の仮登記請求訴訟をJ地方裁判所K支部に提起したのでその撤回を求めて、同人と請求人らとの間で訴訟(以下「第一次訴訟」という。)が始まった。
 第一次訴訟は、主張の繰り返しにより一向に進行せず長期間経過してしまい、いつになったら残金が回収できるのか全く不明であったことから、請求人らは、平成8年になってGに対し、債務不履行を理由とした訴訟(以下「第二次訴訟」という。)をL地方裁判所に提起した。
 その後地価は急落したことから、転売を受けたHから当初の契約どおりの代金は支払いたくない旨の主張がなされ、Gに支払を求めようにも同人は資産が全くなく、単なる転売業者にすぎず、既に支払を受けた内金の100,000,000円も、HがGを通して支払っていたことも判明して、残金の支払はHの資力に頼るほかないことが明らかになった。
 以上の事情及びL地方裁判所から早く裁判を終結するよう訴訟指揮もあったことから、三者が歩み寄って時価に近い金額で和解が成立することとなった。
 そして、平成8年7月31日、L地方裁判所において本件売買契約による売買代金を122,500,000円に減額する旨の和解(以下「本件和解」という。)が成立し、同年8月13日に請求人らは本件和解による残代金22,500,000円を受領した。
 したがって、本件和解により、請求人の譲渡収入金額は73,500,000円となり、51,549,600円減少することから、通則法第23条《更正の請求》第2項第1号の規定に該当する。
ロ 本件通知処分に係る理由附記について
 原処分庁は、本件通知処分に関し、「理由」欄に更正の請求の内容及び手続上の不備等について一言も指摘することなく、法人税の後発的損失が発生した場合の所得計算の決まりを記載しただけの、本件更正の請求を認めない旨の通知書を送付してきたものであり、なぜ請求人の本件更正の請求が認められないのか、その理由が明らかでない。
ハ 本件更正の請求の適否について
(イ)法人税の更正の請求
A 通則法第23条第2項には、納税申告書を提出した者が、一定の事実が発生した場合には、2月以内に更正の請求をすることができる旨規定されている。
 本件和解は、確定した判決ではないものの裁判官立会いの下に成立した和解であり、その結果請求人は、バブル破たんの影響で本件売買契約に係る売買金額の多額な変更を余儀なくされ、本件事業年度の法人税の確定申告の収入金額も変動したのであるから、上記の規定に基づき、本件更正の請求は当然認められるべきものである。
B 原処分庁は、通則法第23条第2項では、法人税の課税標準額は、現年度ベースにより計算されることとなっているので、当初申告ベースでは更正の請求ができない旨主張する。
 しかしながら、通則法は、各税法に共通に適用される事項についての規定をおいているほか、納税者の権利救済規定を定めている。このうち、更正の請求は、納税者の過大な所得金額、過大な納付税額についての救済を目的としたものであると思われる。
 そして、通則法第23条第1項には「納税申告書を提出した者は、当該申告書に係る国税の法定申告期限から1年以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等につき更正をすべき旨の請求をすることができる」と規定されており、ここでいう「当該申告書」とは、申告年度ベースを意味するものと解される。
 また、この更正の請求の規定は他の税法中には規定がなく、過大申告等を救済することに関してのみ優先的に適用されることにより他の税法を拘束するものであるから、現年度ベースによってのみ過大申告を解決するとしてなされた原処分は通則法第23条の趣旨に反するものと思われる。
C 原処分庁は、「決算を修正するような慣行は全くない」とか「減額した事業年度において、前期損益修正とするのが常例であると認められるから、これが一般に公正妥当と認められる」と主張する。
 しかしながら、納税者救済を目的とする特殊な更正の請求を「慣行」とか「常例」とか「一般」とかの言語を使って門前払いすることは、法の趣旨に反するものであり、また、法人については申告年度ベースによる救済から門戸を閉ざされることとなり、法の下における平等原則に反するとのそしりを受けることになる。
(ロ)法人臨時特別税の更正の請求
 法人臨時特別税の更正の請求については、その課税の基礎となった事実を上記(イ)の法人税の更正の請求と同じくするものであり、上記(イ)と同様の理由により当然認められるべきものである。

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(2)原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。
イ 本件通知処分に係る理由附記について
 請求人は、本件通知処分に係る通知書の記載理由に不備がある旨主張する。
 しかしながら、そもそも通則法第23条第4項では、更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する際にその理由を附記すべきこととはされておらず、また、通知書に記載された、本件和解に係る損失はその和解があった日を含む事業年度の損金となるから本件事業年度について更正をすべき理由が認められない旨の理由も十分理解可能なものであるから、その記載理由に不備はない。
ロ 本件更正の請求の適否について
(イ)法人税の更正の請求
A 原処分庁が調査したところによれば、次の事実が認められる。
(A)請求人らを売主、Gを買主とする平成2年10月4日付土地付建物売買契約書により本件売買契約が成立し、請求人は、本件事業年度の確定決算上、本件売買契約に係る譲渡代金を収入に計上し、これに基づいて平成3年11月22日に法人税の確定申告書を原処分庁に提出していること。
(B)売主、買主間で裁判となったが、平成8年7月31日に利害関係人Hを交え、売買金額を減額して紛争を解決する旨の本件和解が成立したこと。
(C)請求人は、本件和解の成立を理由として本件更正の請求をしたこと。
B 通則法第23条第2項第1号には、納税申告書を提出した者が、その申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したときは、その確定した日の翌日から起算して2月以内に、その申告に係る課税標準等又は税額等について更正の請求ができる旨規定されている。
C ところで、各事業年度の所得に対する法人税の課税標準は各事業年度の所得の金額(法人税法第21条《各事業年度の所得に対する法人税の課税標準》)であり、その所得の金額は当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額(同法第22条《各事業年度の所得の金額の計算》第1項)であり、これらの益金の額及び損金の額は一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとし(同条第4項)、法人は確定した決算に基づき確定申告をしなければならない(同法第74条《確定申告》)旨それぞれ規定されているところ、法人が収入に計上した譲渡代金が減額されたような場合、既に確定した決算を修正するような慣行は全くなく、その減額された事業年度において「前期損益修正」とするのが常例であると認められるから、これが一般に公正妥当と認められる会計処理の基準と言わなければならない。
 そうすると、仮に後の事業年度中に譲渡代金の減額があったとしても、そのことによって譲渡した事業年度の収益の額、ひいては課税標準等である所得又は純損失等の金額に変動を及ぼすものではないから、通則法第23条第2項第1号に規定する更正の請求ができる場合に当たらないことは明らかである。
D また、請求人の場合、通則法第23条第2項第2号及び第3号並びに法人税法第82条《前事業年度の法人税額等の更正等に伴う更正の請求の特例》に規定する後発的事由による更正の請求が認められる場合のいずれにも該当しない。
(ロ)法人臨時特別税の更正の請求
 法人臨時特別税は、法人税法及びその他の法令の規定により計算した法人税の額を基として、その課税標準額及び税額を計算するものとされており、法人税の更正の請求については上記(イ)のとおり更正の請求が認められる場合には該当しないから、法人臨時特別税の更正の請求についても通則法第23条第2項第1号に規定する更正の請求ができる場合に当たらない。
 また、通則法第23条第2項第2号及び第3号並びに湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成2年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律(以下「法人臨時特別税法」という。)第16条《更正の請求の特例》に規定する後発的事由による更正の請求が認められる場合にも該当しない。

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3 判断

 本件の争点は、本件通知処分に係る通知書の理由附記に違法があるか否か及び本件更正の請求を認めるべきか否かであるので、以下審理する。
(1)請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
イ 平成2年10月4日付の土地付建物売買契約書により、請求人らを売主、Gを買主として本件売買契約が成立したこと。
ロ 請求人は、本件事業年度の決算上、本件売買契約に係る譲渡代金を収入に計上し、これに基づいて平成3年11月22日に法人税の確定申告書を原処分庁に対して提出していること。
ハ 本件譲渡物件に関し、J地方裁判所K支部においてHを原告及びFを被告とする訴訟(平成3年(ワ)第○○○号抵当権設定仮登記の本登記手続請求事件)、Fを原告及びHを被告とする訴訟(平成6年(ワ)第×××号抵当権設定仮登記抹消登記手続請求事件)、Gを原告及びHを被告とする訴訟(平成3年(ワ)第△△△号債務不存在確認請求事件)並びにL地方裁判所において請求人らを原告及びHを被告とする訴訟(平成8年(ワ)第◇◇◇号事件)が提起されたが、売主である請求人らと買主であるG及び利害関係人であるHとの間で、平成8年7月31日L地方裁判所において、本件和解が成立したこと。
(2)本件通知処分に係る理由附記について
 請求人は、本件通知処分に係る通知書に理由が附記されておらず、原処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、更正をすべき理由がない旨の通知処分については、その理由を附記すべき旨を定めた規定はないから、更正をすべき理由がない旨の通知書にその理由が附記されていなくても違法とはならず、その「理由」欄に記載された事項の適否について判断するまでもなく、この点に関する請求人の主張には理由がない。
(3)本件更正の請求の適否について
イ 通則法第23条第2項第1号によれば、その申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定した時は、その翌日から起算して2月以内に、更正の請求をすることができる旨規定されている。
 ところで、上記(1)のハのとおり、本件譲渡物件に係る第一次訴訟及び第二次訴訟について、売主である請求人らと買主であるG及び利害関係人であるHとの間で、平成8年7月31日L地方裁判所において、本件和解が成立したところ、本件和解は、通則法第23条第2項第1号かっこ書に規定される「判決と同一の効力を有する和解」に該当すると認められる。
 そして、本件和解が成立したのが平成8年7月31日であり、本件更正の請求は、その翌日から起算して2月以内になされていることが明らかであるから、本件更正の請求は、手続上、適法になされたものということができる。
ロ ところで、通則法は、その第1条《目的》で「国税についての基本的な事項及び共通的な事項」を規定しているところ、これを更正の請求についていえば、その基本的な手続に関して規定しているにとどまり、課税の実体的要件である納税義務者、課税物件、帰属、課税標準、税率等については、所得税法、法人税法などの各租税実体法がこれを規定しているのであって、通則法の関知するところではないから、課税標準や税額の過大等の更正すべき実体的要件が満たされているか否かということについても上記租税実体法の規定するところによるものと解するのが相当である。したがって、更正の請求が手続上適法になされ、租税実体法の規定に照らし、税額が過大である場合等には更正の請求が認められることになるが、課税標準、税額等に変動がない場合には更正すべき理由がないことになる。
 そして、その場合、税務署長が、更正すべき理由がない旨をその請求をした者に通知することになる(通則法第23条第4項)。
ハ そこで、まず法人税に係る本件通知処分について検討すると、本件更正の請求が更正すべき実体的要件を満たしているかどうかを検討することになるが、それは、法人税法上、後の事業年度において売買契約に係る譲渡代金が減額された場合に、その効果がさかのぼり、本件売買契約が成立した事業年度における課税標準、税額が過大であることになるかどうかということである。
(イ)法人は継続的な企業として永続的な存在であるのが原則(いわゆる継続事業の原則)であるから、その損益計算もまた、その永続的な経済活動を区切り、一定の期間を単位として、その期間ごとの損益を計算し(いわゆる期間損益の計算)、それらによって算出された企業の利益を配当等として分配することになる。そしてこの場合の企業の利益は、企業会計、すなわち、健全な会計慣行に従って計算されており、また、されなければならない。法人税法もまた、このような期間損益計算を前提とした上、各事業年度に帰属する所得金額に課税する建前をとり(同法第21条)、法人は事業年度ごとにその確定した決算に基づいて所得の金額、法人税額等を記載した確定申告書を提出すべき旨規定している(同法第74条)。したがって、税務上の所得計算は、この事業年度に応じた法人の決算を前提とし、かつ、これに計上された利益を基礎として算出された所得の金額によって行われることになる。
(ロ)すなわち、法人の各事業年度の所得金額の計算に関し、法人税法第22条第1項は、「各事業年度の所得金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額」と規定し、さらに、同条第4項は、当該事業年度の益金の額に算入すべき収益の額及び損金の額は、一般的に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算すべきである旨規定している。
 したがって、法人税法上、後の事業年度において売買契約に係る譲渡代金が減額されたような場合において、それによって所得の金額がさかのぼって変動することになるかどうかについては直接規定することなく、これを一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従うものとしたと言うことができる。
(ハ)ところで、企業会計原則は、その性格上、公正な会計慣行を要約し、成文化したものであるが、これは昭和24年7月経済安定本部企業会計制度対策調査会によって定められ、これを基礎として、昭和25年に証券取引委員会によって、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下「財務諸表等規則」という。)が制定され、これが会計慣行として定着していることは公知の事実である。
 企業会計原則第2の1(損益計算書の本質)は、「損益計算書は・・一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載して経常利益を表示し、これに特別利益に属する項目を加減して当期純利益を表示しなければならない。すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない」旨定め、さらに、同原則第2の6(特別損益)、財務諸表等規則第95条の3並びに株式会社の貸借対照表、損益計算書、営業報告書及び附属明細書に関する規則第42条等は、前期以前の損益に対する修正項目を前期損益修正損益として特別損益に計上すべき旨定めていることからも明らかなように、企業会計原則等は、法人の収益、費用及び損失について発生主義(いわゆる権利確定主義)を建前としているものということができる。
 そうすると、法人の所得の計算につき、法人税法第22条第4項は法人の当該事業年度の収益の額及び費用、損失の額についていわゆる権利確定主義を採っており、それが一般に公正妥当と認められる会計処理の基準であるものということができる。
 したがって、法人の所得の計算については、当期において生じた損失は、その発生事由を問わず、当期に生じた益金と対応させて当期において経理処理すべきものであって、その発生事由が既往の事業年度の益金に対応するものであつても、その事業年度にさかのぼって損金としての処理はしないというのが一般的な会計の処理であるということができる。
(ニ)以上のとおりであるから、本件和解によって本件譲渡物件に係る譲渡代金が減額されたとしても、その損失額は、本件和解のあった日の属する平成7年10月31日から平成8年9月30日までの事業年度の損金の額に算入すべきものであり、本件事業年度の経理処理及び納税義務には何ら影響を及ぼさないことになるから、本件更正の請求は、課税標準等又は税額等が過大であるとの更正すべき実体的要件を欠くものといわざるを得ない。
ニ したがって、法人税に係る本件通知処分は適法であり、請求人の主張には理由がない。
ホ また、法人臨時特別税に係る本件通知処分については、法人臨時特別税法第6条《納税義務者》に「法人は、基準法人税額につき、この法律により、法人臨時特別税を納める義務がある」と規定し、さらに、同法第8条《基準法人税額》に「『基準法人税額』とは、法人の法人税の課税標準である各事業年度の所得の金額につき、法人税法その他法人税の税額の計算に関する法令の規定により計算した法人税の額をいう」と規定しているとおり、法人臨時特別税は法人税額を基に算定されるものであるところ、上記ニのとおり、法人税に係る本件通知処分は適法であり、法人税額は変動しないから、法人臨時特別税に係る本件通知処分も適法である。
 したがって、法人臨時特別税に係る本件更正の請求を当然認められるべきものとする請求人の主張には理由がない。
(4)原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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