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(平10.3.20裁決、裁決事例集No.55 316頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、会社員であるが、平成6年分の所得税について、確定申告書(分離課税用)に次表の「確定申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までに申告した。
 原処分庁は、これに対し、平成7年12月26日付で次表の「当初更正処分等」欄のとおりの更正処分(以下「当初更正処分」という。)及び重加算税の賦課決定処分(以下、「当初賦課決定処分」といい、当初更正処分と併せて「当初更正処分等」という。)をした。

 請求人は、当初更正処分等を不服として、平成8年2月26日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、平成8年6月14日付で棄却の異議決定をし、その決定書謄本を請求人に対し同月18日に送達した。
 請求人は、異議決定を経た後の当初更正処分等に不服があるとして、平成8年7月17日に審査請求をした。
 なお、原処分庁は、平成8年6月26日付で上表の「再更正処分等」欄のとおりの再更正処分(以下、「再更正処分」といい、当初更正処分と併せて「本件更正処分」という。)及び重加算税の賦課決定処分(以下、「再賦課決定処分」といい、当初賦課決定処分と併せて「本件賦課決定処分」という。)をした。
 そこで、再更正処分及び再賦課決定処分についてもあわせ審理する。
 おって、請求人は平成9年11月22日に住所をp市n町1丁目2番10―607号から肩書地へ移動したが、これに伴い、原処分庁は○○税務署長から××税務署長となった。

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2 主張

(1)請求人の主張

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 当初更正処分について
 原処分庁は、次のとおり、事実関係を誤認しており、請求人は、平成6年7月15日に請求人と、t市g町725番地6のW(以下「W」という。)との間で交わしたt市m町1864番1所在の土地(以下「本件土地」という。)及び本件土地上の建物(以下「本件建物」といい、本件土地と併せて「本件資産」という。)に係る土地付建物売買契約(以下「本件資産売買契約」といい、この契約内容を記載した書類を「本件資産売買契約書」という。)により本件資産をWに譲渡したが(以下、この譲渡を「本件譲渡」という。)、本件建物へは居住の用に供する目的で入居しており、また、将来にわたり本件建物を生活の拠点とするつもりであったことが真実であるから、本件建物は居住用家屋と認められるべきであり、本件資産の譲渡に係る譲渡所得の計算に当たっては、租税特別措置法(以下「措置法」という。)第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項に規定する特例(以下「本件特例」という。)が適用されるべきである。
(イ)平成5年11月30日付本件土地に係る土地売買約定書(以下「本件土地売買約定書」という。)は、請求人の父T(以下「T」という。)が主宰する株式会社K(以下「K社」という。)の当座資金を調達するために、有限会社J(以下「J社」という。)の主宰者であるX(以下「X」という。)を介してTがWから10,000,000円を借り入れたことに伴う担保代わりとして、Tが請求人名義で形式上の売買に仮託したものであって真実の売買によるものではなく、また、請求人は、当該約定書の作成に全く関与していない。
 なお、当該借入金については、平成6年2月15日にWに返済し、その領収書のあて先もTとなっている。
(ロ)原処分庁は、本件建物の一階部分は建築当初から住宅ではなく、事務所として使用する予定であったと解釈しているが、Wは本件資産の取得後同部分を大幅に増改築していることからして、Wの事務所として使用する予定などあり得ないものであり、本件建物は請求人の居住用として建てたものである。
(ハ)原処分庁は、本件建物に係る電気及び水道の使用実績が極めて僅少と主張するが、電気の使用開始が平成6年6月3日となったのは、同年4月25日の入居日から6月3日までの間工事用の配線を継続して使用しており、また、電気、水道の使用実績が少ないのは、独り住まい、食事は外食、昼間は不在等の事情からであって、原処分庁は、請求人の生活実態を全く理解していないための誤った解釈をしている。
(ニ)本件建物は、請求人が結婚後の生活を営むために建築し、平成6年4月25日に入居したが、同年6月中旬の婚約解消後、当該建物に継続して生活することに耐え難い事情が生じたことや、本件建物の建築資金に充てた借入金の返済が一人では不可能となったことから、平成6年7月15日に本件資産を売却したものであり、本件建物への入居は本件特例の適用を目的とした一時的なものではない。
ロ 当初賦課決定処分について
 上記イのとおり、原処分庁は事実を誤認しており、請求人が本件建物に住民登録を異動させたことは、本件建物への入居の実態に合わせたものであり、また、その居住期間は短期間ではあるが一時的な目的をもって入居したものでなく、本件特例の適用は適法である。したがって、当初更正処分は違法であり、その全部を取り消すべきであるから、これに伴い当初賦課決定処分も取り消すべきである。

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(2)原処分庁の主張

当初更正処分等は、次の理由により適法であるから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。
イ 当初更正処分について
 本件建物は、次の理由により本件特例の対象となる居住用家屋には該当しないから、本件譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、本件特例を適用することはできない。
(イ)原処分庁が調査したところによれば、次の事実が認められる。
A 請求人及び請求人の弟Y(以下「Y」という。)は、昭和57年6月10日に被相続人Hからt市m町1864番1の畑491平方メートルを相続により取得して持分各2分の1の共有登記をしたこと。
 また、請求人及びYが、平成4年10月12日にこの畑の共有物分割を行って本件土地を請求人名義にしており、請求人は、平成6年5月9日に本件土地の地目を畑から宅地に変更していること。
B 請求人は、平成4年11月11日付でt市の建築主事から次の事項が記載されている「確認通知書(建築物)」(以下「本件建築確認通知書」という。)を受領したこと。
(A)建築主 t市m町860―1 請求人
(B)工事施工者 t市s町1121―6 L株式会社
(C)地番 t市m町1864―1 239.20平方メートル
(D)用途地域 市街化調整区域
(E)工事期間 平成4年7月20日から平成4年12月15日
(F)申請部分 1階78.28平方メートル 2階76.88平方メートル3階56.48平方メートル
C 請求人は、平成5年11月30日にWと次の事項が記載されている本件土地売買約定書を作成したこと。
(A)土地の所在 t市m町1864番1 畑 74.24坪
(B)売買価格 平成5年12月に保証金として10,000,000円(代金に充当)、平成6年4月末日までに残金41,968,000円を支払う。
(C)引き渡し 平成6年4月末日
(D)特約 Wは建築確認申請通りの建築を、平成6年3月末日までに全額Wの負担で完成させる。
(E)立会人 t市e町606番地の3 X
D 請求人は、平成5年12月25日付でt市s町1121番地6のL株式会社(代表取締役はW及びZであり、以下「L社」という。)と次の事項が記載されている本件建物の工事請負契約書(以下「本件工事請負契約書」という。)を作成したこと。
(A)工期 平成6年1月17日から平成6年5月
(B)請負代金額 45,011,000円
(C)支払方法 完成引渡しのとき45,011,000円
E 請求人は、平成6年5月24日付でB農業協同組合◎◎支店(以下「B農協」という。)に自宅建設資金として45,000,000円の借入れ(以下「本件借入れ」という。)を申し込んだこと。
F 本件建物は、登記簿の謄本によると、平成6年6月17日に平成6年5月9日新築を原因として、請求人名義で所有権保存登記されていること。
G 請求人は、平成6年7月8日付の領収証によると、L社に本件建物の建築代金45,011,000円を支払っていること。
H Wは、平成6年7月8日付で請求人から本件資産を購入するために株式会社A銀行※※支店に借入れを申し込んだこと。
I 請求人は、平成6年7月15日付でWと次の事項が記載されている本件資産の売買契約書を作成したこと。
(A)売買代金 96,979,000円(手付金30,000,000円、残金66,979,000円)
(B)引渡日 平成6年7月28日
(C)特記事項 建物代金45,011,000円、土地代金51,968,000円
(D)仲介人 t市e町606番地の3 M社 代表者 X
J 請求人が、本件建物で使用した電気の使用料金は次のとおりであること。

(A)使用開始年月日平成6年6月3日 
(B)使用終了年月日平成6年8月1日 
(C)使用料金平成6年7月2,990円
 平成6年8月4,747円

K 請求人が、本件建物で使用した水道の使用量及び使用料金は次のとおりであること。
(A)使用開始年月日平成6年2月23日 
(B)使用終了年月日平成6年7月31日 
(C)使用量平成6年4月〜平成6年5月9立方メートル
 平成6年6月〜平成6年7月7立方メートル
(D)使用料金平成6年2月〜平成6年3月587円
 平成6年4月〜平成6年5月1,174円
 平成6年6月〜平成6年7月1,174円

L 請求人は、平成6年6月30日付でp市r町2丁目27番22号の株式会社Nとp市n町1丁目15番3所在の鉄骨鉄筋コンクリート造り10階建ての建物の6階607号室(家屋番号がn町1丁目15番地3の27であり、かつ、建物の番号が607のものをいい、以下「本件マンション」という。)を購入する専任媒介契約(以下「本件専任媒介契約」という。)を締結したこと。
M 請求人は、平成6年7月21日付で本件マンションを13,000,000円で購入する売買契約を締結したこと。
N 請求人の住民登録の異動状況(以下、この異動状況が記載された住民票を「本件住民票」という。)は、平成8年6月14日現在次のとおりであること。
(A)昭和43年5月28日〜平成6年4月28日 t市m町860番地1
(B)平成6年4月28日〜平成6年9月5日 t市m町1864番地1
(C)平成6年9月5日〜現在 p市n町1丁目2番10―607号
O 請求人は、本件資産の売却代金の一部をt市e町606番地の3に存するJ社に、次のとおり貸し付けたこと。
(A)平成6年7月22日  金10,000,000円
(B)平成6年10月30日 金15,000,000円
P K社は、J社に前渡金275,000,000円を、また、L社はJ社に57,000,000円を貸し付けていること。
Q 請求人は、平成8年4月9日に原処分庁の異議審理担当者(以下「異議担当者」という。)に、次のとおり申述していること。
(A)婚約者とは、平成3年ころから交際をしていた。
(B)平成5年春ころに婚約し、翌年秋ころに結婚する予定であった。
(C)本件建物の新築については、交際中結婚したら住みたいと思い、建築を決意した。
(D)本件建物の1階部分の用途は決めていなかった。
(E)借入金の返済は月約250,000円であり、婚約者の月収約600,000円と請求人の月収約200,000円を合わせれば返済可能と考えた。
R 異議担当者が、本件建物の利用状況を確認したところによれば、本件建物の1階は、Wが事務所として使用していること。
S 異議担当者が、平成8年5月7日にt市農業委員会を調査したところ、請求人は、平成4年8月27日に分家住宅の建築を目的として農地法第5条《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》に規定されている許可を受けたこと。
(ロ)上記(イ)の事実を総合すると、次のとおりと判断される。
A 本件土地売買約定書においては、請求人が主張するように当該契約が借入金の担保代わりに締結されたことを示す事実は認められず、また、本件土地売買約定書における本件土地の売買価額は、本件資産売買契約書における本件土地の売買価額と同額であり、本件土地売買約定書が作成された時から本件土地を売却する目的があったと認められる。
B 請求人は、平成6年秋ころに結婚する予定で本件建物に居住するつもりであった旨主張するが、請求人が本件建物を新築するに当たって本件借入れに係る具体的な返済計画を作成していない等、請求人の主張には合理性がなく、にわかに措信することはできず、むしろ、請求人は、Wに本件土地を売却する目的であったが、同人では市街化調整区域に存する畑であった本件土地上に建物を建築できないことから、Wの希望する本件建物を請求人名義で建築し、本件土地とともに売買することを計画したものであり、請求人は、この過程において本件建物に居住したかのように装って本件特例を適用することにより租税負担の軽減を図ったものと認められる。
 このことは、(a)本件土地が市街化調整区域内に存する畑であり、本件土地売買約定書に本件土地を51,968,000円で売買すること及び本件建物をWの全額負担で完成させる旨が記載されていること、(b)本件建物がWが主宰するL社によって建築されており、請負金額45,011,000円は、手付金及び中間金の支払いがなく完成時一括払いであること、また、請求人は、L社に本件建物の建築費として請負金額どおり45,011,000円を支払っていること、(c)本件資産売買契約書に係る契約金額は96,979,000円であり、特記事項欄には、本件土地を本件土地売買約定書に係る金額と同額の51,968,000円で売買する旨及び本件建物を本件工事請負契約書に係る金額と同額の45,011,000円で売買する旨が記載されていること、(d)本件建物の1階は建築確認申請時から空間となっており、Wが事務所として使用する予定であったと認められること、(e)本件建物の所有権保存登記は平成6年6月17日に行われており、Wは平成6年7月8日に本件資産を購入するために借入れの申し込みを行っていること、(f)請求人、K社及びL社は、J社に多額の前渡金及び貸付けを行っており、また、Xは本件土地売買約定書及び本件資産売買契約書に仲介者として記載されていることから、請求人らは旧知の間柄であると認められること及び(g)請求人は、本件建物の電気を平成6年6月3日から平成6年8月1日までの2か月しか使用しておらず、平成6年6月30日には本件専任媒介契約を締結していること等を総合勘案すれば、明らかなものと認められる。
C 請求人は、水道の使用実績が少ないのは、独り住まいで、食事は外食等のためであり、請求人の生活実態を全く理解していない旨主張するが、女性が生活の本拠として利用しているのであれば、水道は炊事用、洗濯用、風呂用、掃除用等に使用されるはずであり、家庭用のユニットバスの1回当たりの使用量が通常1立方メートル前後であるにもかかわらず、本件建物における使用量が2か月で7から9立方メートルといかにも僅少であることからみれば、請求人が本件建物を生活の本拠として利用していたとは到底認められない。
D (a)請求人は、平成5年11月30日に本件土地を売買する旨の本件土地売買約定書を作成していること、(b)本件建物の電気は、平成6年6月3日から使用開始されており、Wは平成6年7月8日に本件資産を購入するために借入れの申込みを行っていること、(c)請求人が平成6年6月30日付で株式会社Nと本件マンションを購入するための本件専任媒介契約を締結していること、(d)本件建物における水道の使用量が極端に少ないこと及び(e)請求人が、本件建物に住民登録を異動させる必要が認められないこと等を総合勘案すれば、請求人は、本件建物を生活の拠点として使用する目的がないにもかかわらず、本件建物の所在地に住民登録を異動させて本件建物を生活の拠点として使用したかのような外観を作り出しているものに過ぎない。
(ハ)以上の結果、請求人の本件譲渡に係る譲渡所得の金額を算出すると44,995,200円となり、納付すべき税額は11,524,800円となるので、これらの金額の範囲内でなされた当初更正処分は適法である。
ロ 当初賦課決定処分について
 以上のとおり、当初更正処分は適法であり、また、(a)請求人は、平成5年11月30日に本件土地を売買する旨の本件土地売買約定書を作成していること、(b)本件建物の電気は、平成6年6月3日から使用開始されており、Wは平成6年7月8日に本件資産を購入するために借入れの申込みを行っていること、(c)請求人が、平成6年6月30日に本件専任媒介契約を締結していること、(d)本件建物における水道の使用量が極端に少ないこと及び(e)請求人が、本件建物に住民登録を異動させる必要が認められないこと等を総合勘案すれば、請求人は、本件建物を生活の拠点として使用する目的がないにもかかわらず、本件建物に住民登録を異動させて本件建物を生活の拠点として使用したかのような外観を作りだし、本件申告書に本件特例を適用する旨を記載するとともに、本件住民票を添付して提出したものと認められる。
 このことは、国税通則法(以下「通則法」という。)第68条《重加算税》第1項に規定されている「課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ペいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」に該当する。
 したがって、請求人の場合、当初更正処分により新たに納付すべきこととなった税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を賦課すべきところ、当初賦課決定処分はこの金額と同額で行われているので適法である。

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3 判断

(1)本件更正処分について

 本件審査請求の争点は、本件建物が本件特例の対象となる居住用家屋に該当するか否かであるので、以下審理する。
イ 次のことについては、請求人及び原処分庁の双方に争いはなく、当審判所の調査によってもその事実が認められる。
(イ)本件土地は、市街化調整区域内に存し、平成5年11月30日当時地目は畑であったこと。
(ロ)売主を請求人、買主をWとする本件土地売買約定書には、要旨次のとおり記載されていること。
A 売買代金 51,968,000円
B Wは請求人に対し、平成5年12月に保証金として10,000,000円(残代金支払時に代金に充当)、平成6年4月末日までに残金41,968,000円を支払う。
C 請求人は、平成6年4月末日までに残代金と引換えにWに対する本件土地の所有権移転登記の申請をする。
D Wは、建築確認申請通りの建築物を平成6年3月末日までに全額Wの負担で完成させる。
E 立会人 X
(ハ)注文者を請求人、請負者をL社とする本件工事請負契約書には、要旨次のとおり記載されていること。
A 請負代金 45,011,000円
B 工期 平成6年1月17日から同年5月
C 代金支払方法 完成引渡時一括払い
D 引渡時期 検査合格後7日以内
(ニ)売主を請求人、買主をWとする本件資産売買契約書には、要旨次のとおり記載されていること。
A 売買代金 96,979,000円(手付金30,000,000円、残金66,979,000円)
B 引渡日 平成6年7月28日
C 仲介人 M社代表者 X
(ホ)本件資産売買契約に係る売買代金は、本件土地売買約定書に記載されている売買代金と本件工事請負契約書に記載されている請負代金の合計額と同額であること。
(ヘ)本件建物は、3階建てで1階部分の過半は空間となっており、延べ床面積167.64平方メートルであること。
(ト)平成8年10月31日にWが当審判所に提出した陳述書によると、本件建物の完成引き渡しは平成6年5月9日であること。
(チ)請求人の住民登録の異動状況は、次表のとおりであること。
住所を定めた年月日   住所
昭和43年5月28日 t市m町860番地1
平成6年4月28日 t市m町1864番地1
平成6年9月5日 p市n町1丁目2番10―607号
(リ)K社は、Tが代表者となっており、アルミ建材及びガラスの販売のほか不動産売買仲介も業としていること。
ロ 請求人提出資料及び原処分関係資料によれば、次の事実が認められる。
(イ)請求人は、本件土地について平成4年8月27日に分家住宅の建築を目的として農地法第5条に係る許可を受けたこと。
(ロ)原処分庁の◆◆電力株式会社△△営業所に対する調査によれば、本件建物に係る電気の使用状況は、次表のとおりであること。

項目内容
使用開始年月日平成6年6月3日
閉鎖年月日平成6年8月1日
 期間使用量使用料金
使用量及び使用料金平成6年7月85キロワット 2,990円
 平成6年8月176キロワット 4,747円

(ハ)原処分庁のt市水道局□□営業所に対する調査によれば、本件建物に係る水道の使用状況は、次表のとおりであること。

項目内容
使用開始年月日平成6年2月23日
閉鎖年月日平成6年7月31日
使用量及び使用料金期間使用量使用料金
 平成6年2月〜平成6年3月3立方メートル587円
 平成6年4月〜平成6年5月9立方メートル1,174円
 平成6年6月〜平成6年7月7立方メートル1,174円

(ニ)請求人の母R(以下「R」という。)は、平成7年11月22日原処分庁の調査担当者に対し、TがWから借り入れた10,000,000円については、平成6年2月にRのへそくりで返済した旨申述していること。
(ホ)Wは、平成7年11月22日原処分庁の調査担当者に対し、平成6年2月に返済を受けた現金はそのまま保管しておき、同年5月の母親の葬式に使った残りを同年7月15日の本件資産売買契約に係る代金の支払いに充てた旨申述していること。
ハ B農協の貸付次長S(以下「S」という。)は、平成9年1月17日当審判所に対し、要旨次のとおり答述している。
(イ)請求人は、平成6年5月24日に本件建物の建築資金として本件借入れの申込みを行っているが、本件借入れの相談及び借入れ手続はTが代行していること。
(ロ)本件借入れの借入申込書によれば、借主は請求人、連帯保証人は請求人の父母であること。
(ハ)本件借入れの申込みに際し、Tから要旨次のとおりの発言があったこと。
A 本件借入れの申込みは本件特例の適用を受けることを目的としたものである。
B 本件建物完成後は3か月ほどで土地付建物として97,000,000円で売却する計画である。
C 購入者は本件建物の建築請負業者であるL社の会長Wであり、Wが自宅として購入するものである。
D 既に土地代金の一部として10,000,000円は受領済である。
E 現在受領済の10,000,000円を含めた土地代金52,000,000円は、Tが経営するK社に運転資金として貸すものである。
(ニ)上記(ハ)のことについては、貸付禀議書の説明事項に記載されていること。
(ホ)貸出返済期間を30年間とし、割賦返済にて対応するが、実際には3から4か月ほどで返済となる計画であること。また、貸出金利も住宅ローンとしての利率年利4.4パーセントよりも高い5.1パーセントとなっていること。
(ヘ)本件借入れは、平成6年6月16日及び同月30日に実行され、請求人は、これを、同年8月2日に全額返済していること。
(ト)本件借入れの申込みについて最初に話があったのは、平成6年4月中旬ころであったこと。
(チ)本件借入れの申込みに際し、本件土地売買約定書、本件工事請負契約書及び本件建築確認通知書等の写しの提出がなされていること。
ニ Wは、平成9年3月12日当審判所に対し、要旨次のとおり答述している。
(イ)請求人に会ったのは、本件資産売買契約の時だけであること。
(ロ)Tへの貸付金10,000,000円の返済は、受取書を発行している平成6年2月15日に、Xの事務所で借用書と引き替えになされたと思うが、真剣には考えていないのではっきりとは覚えていないこと。また、10,000,000円については、母親の葬式費用に使ったこと。
(ハ)本件資産の購入代金として平成6年7月15日に30,000,000円支払っており、その資金のうち20,000,000円はL社から借り入れたが、差額の10,000,000円についてどのように手当てしたか覚えていないこと。
ホ 請求人は、平成9年12月8日当審判所に対し、要旨次のとおり答述している。
(イ)本件建物には平成6年4月25日に入居したこと。
(ロ)本件建物に入居した日には、電気、水道及びガスはすべて使用できる状態であり、契約手続は父か母が行ったと思うが、請求人自身はいつ契約をしたのか、ガスは都市ガスであるのかプロパンガスであるのかも知らないこと。
(ハ)本件建物に引っ越した時点で、本件建物の工事はおおむね完了しており、住める状態にはなっていたこと。
(ニ)本件工事請負契約の代金支払方法は完成引渡時一括払いとなっているが、平成6年7月8日まで支払がされなかった理由については、建築資金の借入れの交渉及び建築代金の決済等をTに任せていたのでわからないこと。また、借入れの申し込みの際、住所及び氏名を書いた記憶はあるが、借入れ先の金融機関の名前すら知らないこと。
(ホ)本件マンションへは平成6年7月下旬に引っ越したこと。
(ヘ)本件建物の完成引渡前に住民登録を異動したのは、特別な理由ではなく実際に居住したためであること。
(ト)本件借入れの申込書等で請求人名義の記載欄を実際に記載した者は、次のとおりであること。
A 本件借入れの申込み書の「借主」欄 請求人
B 平成6年7月15日付でWあてに発行した30,000,000円の領収書 R
C 本件工事請負契約書の「甲(注文者)」欄 R
D 本件土地売買約定書の「甲(売主)」欄 T
ヘ 本件建物におけるプロパンガスの使用状況について、当審判所が調査したところ次のとおりである。
(イ)平成6年7月2日に、プロパンガス供給設備及び消費設備の検査が行われ、同日開栓されていること。
(ロ)開栓日から平成6年8月8日までのガスの使用量は3.8立方メートル、使用料金は2,380円であること。
ト ところで、措置法第35条第1項に規定する「その居住の用に供している家屋」とは、その者が生活の拠点として利用している家屋をいい、これに該当するかどうかは、その者の日常生活の状況、その家屋への入居目的、その家屋の構造及び設備の状況その他の事情を総合勘案して判定するもので、本件特例の適用を受けるためのみの目的及び一時的な目的で入居したと認められる家屋はこれに当たらないと解される。
チ 以上の事実等に基づき検討すると、次のとおりである。
(イ)請求人は、本件土地売買約定書はTがWからの借入れに伴う担保代わりとして売買に仮託したものであって真実の売買ではない旨、また、請求人は当該約定書の作成にまったく関与していない旨主張するので、以下検討する。
A 上記イの(イ)及びロの(イ)のとおり、本件土地は市街化調整区域内に存する畑であり、請求人は、本件建物を建築するに当たって、農地法第5条の許可を受けたこと。
B 上記イの(ロ)のDのとおり、本件土地売買約定書には土地の売買とは無関係の建物の建築についての取決めが明示されていること。
C 上記ハの(ハ)のAのとおり、本件借入れ申込みは、請求人が本件特例の適用を受ける目的で行われたと認められること。
D 上記ハの(ハ)のDのとおり、請求人は本件借入れ申込みの時点では既に土地代金の一部として10,000,000円を受領済であったことが認められること。
E 上記イの(ホ)のことから、本件土地の売買代金については、本件土地売買約定書と本件資産売買契約書との間に違いがないと推認されること。
F 建物の建築に当たっては、その建築資金の調達についてある程度確実であるとの認識の下に行われるところ、上記ハの(ト)のとおり本件借入れの最初の交渉は、請求人が本件建物に入居したとする平成6年4月と同じ月に行われていること。
G 上記ハの(チ)のとおり、本件借入れの申込みに際し、本件建物の建築とは関係のない本件土地売買約定書の写しが提出されていること。
H 以上のことから、請求人は本件土地をWに売却する契約をしたが、Wでは市街化調整区域内に存する畑であった本件土地上に建物を建築できないことから、本件建物を請求人名義で建築した後、本件資産として売買する形式を採るとともに、本件特例を適用することにより租税負担の軽減を企図したものであり、その形式を整えるため、本件工事請負契約書及び本件資産売買契約書を作成したものと認めるのが相当である。
 したがって、本件土地売買約定書に係る売買は真実の売買ではないとする請求人の主張は採用することができない。
I また、請求人は本件土地売買約定書の作成に全く関与していない旨主張する。
 しかしながら、(a)上記ハの(イ)のとおり請求人は本件借入れの手続をTに代行してもらっていること、(b)上記ホの(ト)のBのとおり平成6年7月15日付のWあての30,000,000円の領収書の発行をRが代行していること、(c)上記ホの(ト)のCのとおり本件工事請負契約書の注文者欄の記載をRに代筆してもらっていること、(d)上記イの(リ)のとおりTが代表者となっているK社は、不動産売買仲介の業も行っていること及び(e)請求人とT及びRは親子関係にあることからすれば、請求人は必ずしも自身に係る重要な手続等を自身で行わず、不動産取引に精通していると認められるTが本件土地売買の交渉及び手続等を代行したとしても、請求人にとって有益でこそあれ何ら不都合な点はなく、むしろ、その後、本件土地が本件土地売買約定書に記載されたとおりの金額で同じ買主に売却されていることからみて、請求人は当該約定書の内容を承知していたものと認めるのが相当であるから、請求人の主張は採用することができない。
J さらに、Tが本件土地売買約定書の作成に合わせWから受け取った10,000,000円は借入金であり、当該借入金は平成6年2月15日にWに返済し、その領収書のあて先もTになっている旨主張する。
 しかしながら、(a)請求人は当該10,000,000円は借入金であることを証するものとして、預金入金取次表、当座預金利用明細及び小切手の写しを提出しているが、これらの書類では金銭の動きしか確認できず、当該10,000,000円が借入金であると認めることはできないこと、(b)請求人は、借入金の返済を証するものとして、「受け取り書」の写しを示しているが、当該「受け取り書」には受取人の押印がなく、高額な金銭の領収書としては不自然であること、(c)借入金返済の資金源泉については、Rのへそくりであるとの同人の申述のみであり、客観的に確認できないこと、(d)仮にRの申述のとおり同人において、10,000,000円の調達が可能であり、かつ、Tにおいて借入れの必要があったとすれば、Tは、まず、Wではなく、妻であるRから借り入れるのが通常であると認められること、(e)Wは、本件資産の売買代金のうち平成6年7月15日に決済されたとする30,000,000円のうち資金源泉が不明な10,000,000円については、平成7年11月22日の原処分庁の調査において、平成6年2月に貸付金の返済を受けた現金をそのまま保管しておき、同年5月の母親の葬式に使った残りを同年7月15日の決済に充てたと申述し、平成9年3月12日に当審判所に対しては、平成6年7月15日の決済の10,000,000円の資金調達については覚えていないと答述し、その内容が一致しておらず、また、当審判所の調査によっても、その資金調達及び具体的な決済状況が確認できないことから、請求人の主張は採用できない。
(ロ)請求人は、本件建物の一階部分は、Wの事務所として使用する予定であったとの原処分庁の認定は誤っており、本件建物は請求人の居住用として建てたものである旨主張する。
 なるほど、原処分庁は、本件建物の一階部分の利用方法を定めていなかったとの請求人の申述及び本件建物取得後のWの当該部分の利用状況から、本件建物の一階部分はWの事務所として使用する予定であったと認定しているが、他に原処分庁の主張を裏付ける証拠はなく、原処分庁の認定には無理がある。しかしながら、請求人の主張のとおりと認めるに足る証拠もない上、上記ハの(ハ)のCのとおり本件建物はWが自宅として購入するものであったとのSの答述もあることから、請求人の主張を採用することもできない。
(ハ)請求人は、本件建物に係る電気及び水道の使用実績が少ないのは、独り住まい等の事情によるもので、原処分庁は請求人の生活実態を全く理解しておらず、誤った解釈をしている旨主張するので、以下検討する。
A 上記ロの(ロ)及びヘのとおり電気及びプロパンガスの使用開始は、請求人が本件建物に入居したとする平成6年4月25日からそれぞれ1か月又は2か月以上も経過した後となっていること。
B 人が生活の本拠において水道を使用するとすれば、少なくとも一般的には洗濯用、風呂用及び水洗便所用等に使用されるものと考えられ、家庭用のユニットバスの一回当たりの使用量が1立方メートル前後であることからみても、本件建物における使用量が、上記ロの(ハ)のとおり2か月間で7から9立方メートルではいかにも僅少であること。
C 以上のことから、仮に、請求人が本件建物に寝泊まりしていたとしても、本件建物を生活の本拠として利用していたとは認められない。
D なお、請求人は電気の使用開始が平成6年6月3日になったのは、請求人が入居したとする同年4月25日から6月3日までの間工事用配線を使用していたためであると主張しているが、建物が完成して入居した後1か月以上も工事用配線が存在することは通常考えにくく、むしろ、生活に必要な電気及び水道に加え、上記ヘの(イ)のとおりガスの使用が可能となった同年7月2日以降が入居日と考えるのが自然であること、及び同年4月25日には、電気、水道及びガスがすべて使える状態であったとする請求人の答述は上記ヘの(イ)の事実から信用できず、この点からも請求人の主張を採用することはできない。
(ニ)請求人は、本件建物へは結婚後の生活を営むため入居したが、平成6年6月中旬の婚約解消後は、本件借入れに係る借入金の返済が一人では不可能となったこと及び継続して生活することに耐え難い事情が生じたことから本件資産を売却したものであり、本件建物への入居目的は本件特例の適用を目的とした一時的なものではない旨主張するので、以下検討する。
A 請求人は生まれた時から本件資産の所在地と同じ町内に居住する両親及び弟と同居していたところ、結婚後の生活を営むために平成6年4月25日に本件建物に入居した旨主張するが、通常、結婚が決まったとはいえ、結婚前に、しかも、建物完成前で、なおかつ、電気及びガスが調う前にそれまで同居していた親元を離れ、急拠独り住まいをしなければならない必要性はないものと認められ、仮に、住民登録の異動のとおり請求人が本件建物へ入居していたとしても、上記ハの(ハ)のAのとおり、本件借入れの申込みは、請求人が本件特例の適用を受ける目的で行われていることから、請求人は本件建物へは本件特例の適用を受けるためのみの一時的な目的で入居したものと認められる。
B また、上記ハの(ロ)のとおり本件借入れに係る借主は請求人のみであり、請求人の収入のみでは本件借入れに係る返済が不可能なことは明らかであるところ、Sの答述によれば、請求人は、本件借入れの申込みは本件特例の適用を受けるためのものであって、本件建物を3か月程度で売却し、その代金で本件借入れに係る弁済をする旨明らかにしていることから、請求人の主張は採用できない。
C さらに、上記ハの(ハ)のとおり、本件借入れの申込みを行った平成6年5月24日あるいはその日以前の平成6年4月の段階で、既に本件資産は売却する予定であり、購入者も決まっていたのであるから、請求人の平成6年6月中旬の婚約解消後は継続して生活することに耐え難い事情が生じたことから本件資産を売却したとの主張は採用できない。
リ 以上のとおり、請求人の主張はいずれも理由がなく、本件建物は本件特例の対象となる居住用家屋とは認められないから、本件譲渡について本件特例を適用することはできない。
 したがって、請求人の総所得金額等は、次表のとおりとなり、この金額は、本件更正処分に係る金額と同額となるから、本件更正処分は適法である。

(単位 円)
区分金額
総所得金額(給与所得の金額)2,016,200
分離短期譲渡所得の金額0
分離長期譲渡所得の金額44,995,200
特別減税額2,000,000
源泉徴収税額104,800
納付すべき税額11,524,800

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(2)本件賦課決定処分について

 本件賦課決定処分の適否に争いがあるので、以下審理する。
イ 通則法第68条第1項の規定によれば、重加算税の賦課決定については、納税者が国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したことが要件となっている。
ロ これを本件についてみると、次のとおりである。
(イ)上記(1)のチの(イ)のHで認定したとおり、本件土地売買約定書が当初請求人が意図したものであり、本件工事請負契約書及び本件資産売買契約書に基づき本件建物を建築し、本件資産を譲渡したことは、本件特例を適用することを目的としたものと認められる。
(ロ)上記(1)のチの(ハ)で認定したとおり、本件建物は請求人が生活の本拠として活用していたとは認められない。
(ハ)請求人が提出した平成6年分の確定申告書には、本件譲渡につき本件特例を適用するためのものと認められる本件住民票が添付されており、本件住民票に係る住民登録の異動状況は、上記(1)のイの(チ)のとおりとなっている。
(ニ)請求人は、上記(ハ)の住民登録の異動状況について、住民登録を本件建物に異動させたのは、請求人の入居の実態に合わせたものである旨主張するが、(a)上記(1)のイの(ト)のとおり、Wが陳述している本件建物の引渡日は平成6年5月9日であること、(b)本件工事請負契約書によれば本件建物の引渡日は請負代金決済と同時となっており、当該請負代金の決済は平成6年7月8日であること、(c)上記(1)のチの(ハ)のDのとおり入居日に疑問があることから、平成6年4月25日に請求人が本件建物に入居したとは認められない。また、請求人が本件建物から本件マンションに引っ越したのが平成6年7月下旬と答述しているところ、住民登録の異動が平成6年9月5日となっていることから、請求人が居住の実態に合わせた住民登録の異動を行ったとは認められないので、この点からも請求人の主張は採用できない。
(ホ)以上のとおり、請求人は(a)本件工事請負契約書を作成して本件建物を建築し、(b)生活の本拠とは認められない本件建物に住民登録を異動して、本件建物に住民登録上は平成6年4月28日から同年9月5日の間の居住状態を作り出し、(c)そのことを記載した本件住民票を確定申告書に添付している。
 これら一連の行為は、本件土地を譲渡するに際し、本件特例を適用するために行ったものと認められる。そして、上記(b)及び(c)の行為は、本件建物が本件特例の対象となる住居用家屋に該当するかのごとき外形を整えるために行われ、かつ、それに基づき確定申告を行ったと認められるから、これらの行為は通則法第68条第1項に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したとき」に該当するものというべきである。
 したがって、通則法第68条第1項の規定に基づき、これらの事実に係る部分の税額を基礎としてなされた本件賦課決定処分は適法である。

(3)その他

 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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