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(平14.12.5裁決、裁決事例集No.64 114頁)

《裁決書(抄)》

1 原処分庁は、審査請求人(以下「請求人」という。)の別表1に記載した滞納国税(以下「本件滞納国税」という。)を徴収するため、請求人が株式会社A銀行(B支店扱い)に対し、別紙の債権目録に記載した各債権(以下「本件各債権」という。)を有するとして、平成14年9月3日付で本件各債権の差押処分(原処分)を行った。
 なお、本件各債権については、株式会社A銀行に対して、平成13年9月18日に、C地方裁判所の仮差押命令が、それぞれ送達されていた。
2 これに対し、株式会社A銀行は、滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律第36条の12《仮差押えの執行がされている債権に対する滞納処分》第1項で準用する同法第20条の6《第三債務者の供託》第1項の規定に基づき、G地方法務局に対して、別表2に記載したとおり、本件各債権の金額に各供託日までの税引後の利息を加算した金額を供託するとともに(以下、当該供託された金額を「本件各供託金」という。)、同条第2項の規定に基づき、原処分庁に対し供託をした事情を届け出た。
3 原処分庁は、平成14年10月8日にG地方法務局に対し、本件各供託金の払渡しを請求し、同月31日にこれを受け入れた上、請求人の本件滞納国税に充当した。
4 請求人は、本件各債権のうち、名義人をD、E及びFとする債権(以下「本件個人名義債権」という。)は、請求人に帰属しないから本件差押処分は違法である旨主張し、その部分の取消しを求めている。
5 ところで、差押処分等の国税に関する処分に対し審査請求をすることができる者は、その処分の取消しを求めることに法律上の利益を有する者、すなわち当該処分によって直接自己の権利又は法律上の利益を侵害された者に限られる。
 この点、請求人は、上記4のとおり本件個人名義債権が請求人に帰属しないことを理由として、原処分のうち、本件個人名義債権に係る部分の取消しを求めるものであるが、請求人に帰属しない債権につき差押処分がなされたとしても、これにより権利又は法律上の利益が侵害されるのは当該債権の真正な帰属者であるとされる第三者であり、請求人が原処分により権利又は法律上の利益の侵害を受けるわけではない。
 したがって、本件個人名義債権の帰属に争いがあるというだけで、請求人が原処分の取消しを求めることに法律上の利益を有することにはならず、他に請求人が当該法律上の利益を有するとすべき事情も認められないのであるから、本件審査請求は不適法であるといわざるを得ない。

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別紙 債権目録

1 請求人が、株式会社A銀行に対して有する下記預金及び債権差押通知書到達日までの確定利息の払戻請求権。

  記
預金種類口座番号金額
普通預金○○○○2,801,913円
普通預金○○○○5,998円

2 請求人が、下記の表の各名義で株式会社A銀行に対して有する各預金及び債権差押通知書到達日までの確定利息の払戻請求権。

 記
名義人預金種類口座番号金額
株式会社H普通預金○○○○193,326,617円
D普通預金○○○○2,919,801円
D普通預金○○○○1,080,199円
E普通預金○○○○199,993,946円
E定期預金○○○○50,000,000円
E定期預金○○○○50,000,000円
F普通預金○○○○2,000,000円

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