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(平14.12.17裁決、裁決事例集No.64 607頁)

《裁決書(抄)》

1 審査請求に至る経緯は、次のとおりである。
(1)E地方裁判所は、審査請求人(以下「請求人」という。)の申立てに基づき、平成12年7月26日に競売手続を開始し、株式会社F所有の別表の不動産に対して差押えをした(平成○年(○)第○○号不動産競売事件。以下「本件競売事件」という。)。
(2)そこで、原処分庁は平成12年9月12日付で株式会社Fに係る滞納国税額140,795,936円を徴収するため、E地方裁判所に対して滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律第20条《競売》により準用される同法第10条第3項の交付要求(以下「本件交付要求」という。)をした。
(3)E地方裁判所は、平成12年12月12日付で本件競売事件を取り消す決定(以下「本件競売取消決定」という。)をした。
(4)請求人は、本件競売取消決定を不服として、平成12年12月21日にG高等裁判所に執行抗告(平成○年(○)第○○号不動産競売手続取消決定に対する執行抗告事件。以下「本件執行抗告事件」という。)をした。
(5)請求人は、本件交付要求について平成12年12月21日に原処分庁に対して解除請求を行ったが、原処分庁は平成12年12月26日付で本件交付要求の解除拒否を通知(以下「本件解除拒否通知」という。)した。
(6)請求人は、原処分庁に対し、平成13年1月11日に本件交付要求を不服として異議申立てを行い、さらに、平成13年2月23日に本件解除拒否通知を不服として異議申立てをした。
(7)異議審理庁は、本件交付要求に係る異議申立てについては平成13年1月25日付で、本件解除拒否通知に係る異議申立てについては平成13年3月22日付でいずれも棄却の異議決定をした。
(8)請求人は、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、本件交付要求については平成13年2月23日に、本件解除拒否通知については平成13年4月20日にそれぞれ審査請求をした。
2 請求人は、本件交付要求及び本件解除拒否通知は違法・不当なものでその取消しを求める旨主張する。
 しかしながら、次の事実から、審査請求の対象となる原処分はいずれも失効していることが認められる。
(1)本件執行抗告事件については、G高等裁判所が平成14年6月24日付で棄却の決定をしたことにより、本件競売取消決定が確定し、E地方裁判所は、平成14年8月14日付の通知書で本件競売事件が全て終了した旨を請求人に通知している。
(2)本件交付要求の対象となる本件競売事件が取り消されたことにより、本件交付要求はその効力を失っている。
(3)本件解除拒否通知も、本件交付要求が効力を失うことにより、交付要求解除拒否通知としての効力を失っている。
したがって、本件交付要求及び本件解除拒否通知に対する審査請求は、その対象となる処分を欠く不適法なものである。

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