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(平15.1.28裁決、裁決事例集No.65 401頁)
《裁決書(抄)》
1 事実
(1)事案の概要
本件は、建築材料の販売を営む同族会社である審査請求人(以下「請求人」という。)が所有するP市Q町○○番地に所在する固定資産である土地(以下「本件土地」という。)の評価換えに伴う評価損(以下「本件評価損」という。)の額が、法人税法第33条《資産の評価損の損金不算入等》第2項に基づき損金の額に算入することができるか否かを主たる争点とする事案である。
(2)審査請求に至る経緯
イ 請求人は、平成12年4月1日から平成13年3月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税について、本件評価損の額66,513,064円を損金の額に算入し、青色の確定申告書(以下「本件確定申告書」という。)に次表の「確定申告」欄のとおり記載して法定申告期限までに申告した。
ロ 原処分庁は、これに対し、本件評価損の額は法人税法第33条第1項に基づき損金の額に算入することは認められないとし、平成14年1月21日付で、上表の「更正処分等」欄のとおり、本件事業年度の法人税の更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。
ハ 請求人は、これらの処分を不服として、平成14年3月20日に審査請求した。
(3)関係法令
イ 法人税法第130条《青色申告書に係る更正》第2項は、税務署長は、内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合には、その更正に係る国税通則法第28条《更正又は決定の手続》第2項に規定する更正通知書にその更正の理由を附記しなければならない旨規定している。
ロ 法人税法第22条《各事業年度の所得の金額の計算》第1項は、内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とすると規定し、同条第3項において、損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、売上原価、完成工事原価等の原価の額(同項第1号)、販売費、一般管理費等の費用の額(同項第2号)、資本等取引以外の取引に係る損失の額(同項第3号)である旨規定し、資産の評価損の取扱いについては、同法第33条に別段の定めが規定されている。
ハ 法人税法第33条第1項は、内国法人がその有する資産の評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない旨規定し、同条第3項は、第1項に規定する評価換えにより減額された金額を損金の額に算入されなかった資産については、その評価換えをした日の属する事業年度以後の各事業年度の所得の金額の計算上、当該資産の帳簿価額は、その減額がされなかったものとみなす旨規定している。
また、同条第2項は、内国法人の有する資産(預金、貯金、貸付金、売掛金その他の債権を除く。)につき災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下ることとなった場合において、その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、その減額した部分の金額のうち、その評価換えの直前の当該資産の帳簿価額とその評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額との差額に達するまでの金額は、同条第1項の規定にかかわらず、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する旨規定している。
ニ 法人税法施行令(以下「施行令」という。)第68条《資産の評価損の計上ができる場合》第3号は、固定資産に関する法人税法第33条第2項に規定する政令で定める事実として、同号イで当該資産が災害により著しく損傷したこと、同号ロで当該資産が1年以上にわたり遊休状態にあること、同号ハで当該資産がその本来の用途に使用することができないため他の用途に使用されたこと、同号ニで当該資産の所在する場所の状況が著しく変化したこと、同号ホで内国法人について会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続開始の決定又は商法の規定による整理開始の命令があったことにより当該資産につき評価換えをする必要が生じたこと、及び同号ヘでイからホまでに準ずる特別の事実を規定している。
ホ 法人税法第2条《定義》第22号は、固定資産の定義について、土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産で政令で定めるものをいう旨規定している。
(4)基礎事実
以下の事実は、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 請求人は、平成元年8月3日付の土地売買契約書に基づき、本件土地を有限会社Hから1億2千万円で買い入れて、これを所有している。
ロ 本件土地の取得価額は、取得時の付随費用を含め、120,932,843円であり、本件評価損減額前の本件土地の帳簿価額も同額である。
2 主張
(1)請求人
原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 更正の理由附記について
本件更正処分に係る更正通知書(以下「本件通知書」という。)には、理由附記として、法人税法第33条及び施行令第68条第3号の規定が羅列され、同号のイからヘまでのいずれにも該当しないと記載されているだけである。
本件土地については、施行令第68条第3号ロに規定する「当該資産が1年以上にわたり遊休状態にあること」に該当する事実があるにもかかわらず、本件通知書には、本件土地が同号のイからヘまでのいずれにも該当しないとする具体的理由が記載されておらず、請求人が本件更正処分の理由を理解することができないから、本件更正処分は法人税法第130条第2項の規定に反し違法である。
ロ 本件評価損について
(イ)請求人は、材木販売の営業上、顧客である大工等に材木刻み場を提供する必要があったが、以前から賃借していた材木刻み場の立ち退きを迫られたため、その代用地として平成元年に本件土地を急遽購入した。
ところが、平成10年ころから、材木の仕入先メーカーが顧客の注文に応じて材木を加工して納入するようになったため、材木販売業者が材木刻み場を顧客に提供する必要がなくなるという、本件土地の取得時において全く予想し得なかった業界の変化が起きた。
このため、本件土地は、平成10年4月ころから本来の用途である材木刻み場として使用することができず、閉鎖されたままの遊休状態となり、請求人にとっては利益形成に結びつかない資産として、利用価値を失したものとなった。
そして、本件土地は、土地相場の下落に伴い、取得時の3分の1程度の価額となっている。
(ロ)法人税法第33条第2項は、取得時において全く予想し得ない事由により資産が遊休状態等に陥り事業上の利用価値を失した場合には、資産の評価損の額を損金の額に算入することを認める趣旨で設けられた規定であり、施行令第68条は、その趣旨に基づき資産の評価損の額を損金の額に算入することが認められる事実を列挙した規定であるから、同条に規定する事実が生じ、当該資産の価額がその帳簿価額を下ることとなっている場合には、当該資産の価額が低下した理由を問わず、当該資産の評価損の額を損金の額に算入することを認めるべきである。
(ハ)したがって、本件土地は、施行令第68条第3号ロに規定する「当該資産が1年以上にわたり遊休状態にあること」に該当し、本件土地の価額は帳簿価額を下ることとなっているので、法人税法第33条第2項の規定により、本件評価損の額は、本件事業年度の損金の額に算入すべきである。
原処分庁は、本件土地の取得の経緯、当時の経済実態をよく理解しないで、本件評価損の額を本件事業年度の損金の額に算入することを認めなかったのであり、このような事実誤認に基づく本件更正処分は違法である。
(2)原処分庁
原処分は、次の理由により適法であるから、本件審査請求をいずれも棄却するとの裁決を求める。
イ 更正の理由附記について
本件通知書には、本件評価損の額が損金の額に算入できない理由及びその根拠となる法令が記載されており、本件確定申告書に記載された所得金額の算出根拠のいかなる点にどのような誤りがあると判断し、どのような根拠に基づいて本件更正処分の結論に達したものであるかを客観的に明らかにしているのであるから、本件更正処分の理由附記に何ら違法はない。
ロ 本件評価損について
(イ)法人税の所得金額の計算上、固定資産の評価損の額については、上記1の(3)のハ及びニのとおり、原則として、損金の額に算入することが認められておらず、例外として、災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額が帳簿価額を下ることとなった場合に限り損金の額に算入される。
すなわち、固定資産に係る評価損の額を損金の額に算入するためには、当該事実が生じたことのみでは足りず、当該事実が生じたことにより当該資産の価額が帳簿価額を下ることとなることが必要とされている。
(ロ)固定資産に関する法人税法第33条第2項のその他の政令で定める事実の一つとして、施行令第68条第3号ロが「1年以上にわたり遊休状態にあること」を規定した趣旨は、いったん事業の用に供された減価償却資産が、その後何らかの事情により長期にわたる遊休状態に陥った場合、減価償却は認められないにせよ、物理的又は経済的な減耗が生ずることは避けられないから、このような場合は、評価損の額を損金の額に計上することによりその損耗部分の費用化を認めるというものと解される。
(ハ)本件土地については、1年以上にわたり遊休状態にある事実は認められるが、非減価償却資産である本件土地については、遊休状態となったことによりその価額が下落するものではないから、たとえ本件土地の時価が低下していたとしても、法人税法第33条第2項に規定する当該事実が生じたことにより当該資産の価額が帳簿価額を下ることとなった場合には該当せず、そのことは上記(ロ)の趣旨からも明らかであり、施行令第68条第3号ロの規定の適用は認められない。
(ニ)本件土地については、固定資産の評価損の額を損金の額に算入する要件として施行令第68条第3号が規定する事実のうち、同号ロ以外の事実も認められず、同号イからヘまでの規定のいずれにも該当しないこととなる。
(ホ)したがって、法人税法第33条第1項の規定により、本件評価損の額は本件事業年度の損金の額に算入することはできないので、本件更正処分は適法である。
3 判断
(1)本件更正処分について
本件審査請求は、〔1〕本件更正処分に係る理由附記が法人税法第130条第2項に違反するか否か、〔2〕本件評価損の額を同法第33条第2項により損金の額に算入することができるか否かに争いがあるので、以下審理する。
イ 更正の理由附記
(イ)本件通知書には、要旨次の事項が更正の理由として附記されている。
A 請求人は、同人の固定資産として計上している本件土地に係る評価損の額66,513,064円を、本件事業年度の法人税の所得金額の計算上、損金の額に算入していること
B 固定資産の評価損に関する法人税法の規定として、法人税法第33条第1項及び同条第2項並びに施行令第68条第3号の各規定の全文
C 上記Bの各規定に照らして判断すると、請求人の場合、本件土地については、施行令第68条第3号イからヘまでのいずれにも該当しないので、法人税法第33条第1項の規定により、本件評価損を本件事業年度の損金の額に算入することはできないこと
D したがって、本件評価損の額66,513,064円を、本件事業年度の所得金額に加算したこと
(ロ)ところで、法人税法は青色申告制度を採用し、青色申告に係る所得の計算については、それが法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上、その帳簿の記載を無視して更正されることがないことを納税者に保障している。
法人税法第130条第2項が、青色申告書に係る法人税につき更正をする場合には、更正通知書に更正の理由を附記しなければならないと規定しているのは、この青色申告制度の趣旨にかんがみ、原処分庁の判断の慎重、合理性を担保して、その恣意を抑制するとともに、更正の理由をその相手方である納税者に知らせて不服申立ての便宜を与えるとの趣旨によるものと解される。
したがって、帳簿書類の記載自体を否認して更正する場合において更正通知書に附記すべき理由としては、単に更正に係る勘定科目とその金額を示すだけでなく、その更正をした根拠を帳簿記載以上に信ぴょう力のある資料を摘示することによって具体的に明示することが必要であると解される。
一方、帳簿書類の記載自体を否認することなく、ただその法的評価につき納税者と見解を異にして更正をする場合には、納税者の帳簿の記載を覆すものではないから、更正処分の根拠を原処分庁の恣意抑制及び納税者の不服申立ての便宜という理由附記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り、法の要求する更正理由の附記として欠けるところはないと解される。
(ハ)これを本件更正処分についてみると、本件更正処分は、本件評価損の計上に関する請求人の帳簿書類の記載自体を否認せず、その帳簿書類の記載を前提にした上で、本件評価損の額が法人税法第33条第2項に規定する要件に該当するか否かの法的評価について納税者と見解を異にして更正をしたものである。
そして、本件通知書には、更正処分の対象となった事実が上記(イ)のAのとおり、それに対する法的評価が上記(イ)のCのとおり記載されている。
さらに、本件通知書には、法人税法第33条第1項で資産の評価損の額は損金の額に算入しない旨規定していること、同条第2項で資産につき災害による損傷その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下ることとなった場合には、評価損の額を損金の額に算入する旨規定していること、及び固定資産に関する同条第2項の政令で定める事実として、施行令第68条第3号のイからヘまでの規定が列挙して記載されている。
したがって、本件通知書には、固定資産の評価損の額を損金の額に算入することができる具体的要件のすべてを掲げて、本件評価損はこれらの要件に該当しない旨が記載されているのであるから、この理由附記により本件更正処分の根拠となる原処分庁の判断内容は明らかにされていると認められる。
(ニ)請求人は、本件土地については、施行令第68条第3号ロに規定する「1年以上にわたり遊休状態にあること」に該当する事実があるにもかかわらず、本件通知書には、本件土地が同号のイからヘまでのいずれにも該当しないとする具体的理由が記載されていない旨主張する。
しかしながら、本件通知書には、法人税法第33条第1項及び同条第2項並びに施行令第68条第3号の規定が記載されており、本件土地が1年以上にわたり遊休状態にあったとしても、施行令第68条第3号に規定する事実が生じたことにより本件土地の価額が帳簿価額を下ることとなった場合でなければ、本件評価損の額を損金の額に算入することはできないことを、請求人が本件通知書から理解することは可能であると認められる。
(ホ)したがって、本件更正処分の理由附記は、原処分庁の恣意抑制及び納税者の不服申立ての便宜という理由附記の制度の趣旨目的を充足する程度に更正処分の根拠が明示されていると認められ、理由附記不備による違法があるとまではいえず、当該理由附記が不十分であるとする請求人の主張には理由がない。
ロ 本件評価損
(イ)原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
A 本件土地の現状は、取引先の大工等が持ち込んだ木材加工用機械及び木材が放置されている状況にあり、請求人の事業の用には供されておらず、遊休状態にある。
また、本件土地には、電気及び水道が施設されており、請求人の総勘定元帳、電気料金支払証明書及び水道料金・下水道使用料収入証明書によると、平成10年4月以降の本件土地の電気料金及び水道料金は基本料金程度となっている。
以上のことから、本件土地は、請求人が主張するとおり、平成10年4月以降、本来の用途である材木の刻み場としては使用されておらず遊休状態にある。
B 請求人は、平成14年8月19日、当審判所に対し、本件評価損の額の算出方法について、要旨次のとおり答述している。
(A)請求人の代理人である顧問税理士が、本件土地の所在地周辺の不動産業者から意見聴取するとともに、同人が実地調査を行った結果、本件土地の取引時価は、坪当たり35万円から40万円が相当であると判断した。そこで、仮に坪40万円とすると、本件土地は335平方メートルであるので、40,606,060円と評価され、この金額は本件土地の取得価額の約34%に当たる。
(B)次に、本件土地の相続税評価額を基に時価相当額を算出すると、本件土地は倍率地域で倍率1倍のため、平成13年度固定資産税評価額40,585,734円がそのまま相続税評価額となる。そして、一般的に相続税評価額は公示価格水準の80%とされているので、相続税評価額を80%で割り返した50,732,167円が本件土地の時価相当の評価額となり、この金額は本件土地の取得価額の約42%に当たる。
(C)以上のことから、本件土地の時価は、少なくともその取得価額の45%まで下落していると判断されたので、本件事業年度において、本件土地の期末帳簿価額をその取得価額120,932,843円の45%である54,419,779円に評価換えし、本件評価損の額66,513,064円を損金の額に算入した。
C 請求人は、平成14年8月19日及び同年10月23日、当審判所に対し、本件土地の価額について、要旨次のとおり答述している。
(A)本件土地の価額が周辺土地の時価に比して特に低いといった事情は、市街化調整区域内にあることを除いて、本件土地の取得から本件事業年度終了の日までの間には認められない。
(B)本件土地が市街化調整区域に指定されたのは、本件土地を平成元年に購入する以前からであった。
(C)本件土地の時価の低下は、いわばバブル経済の崩壊に伴う一般的な土地相場の下落によるものであり、本件土地に固有な事情は特に認められない。
(ロ)ところで、法人税法第33条第1項及び同条第2項の規定は、上記1の(3)のハのとおりであり、法人税法は、資産の評価損の損金算入を原則として認めていないことから、その例外である資産の評価損の損金算入を認めるべき事実については、限定的に解するのが相当である。
したがって、資産の評価損の額を損金の額に算入するためには、政令で定める事実が生じたことのみでは足りず、当該事実が生じたことにより当該資産の価額が帳簿価額を下ることとなったことが必要であると解される。
(ハ)本件土地については、上記(イ)のAのとおり、施行令第68条第3号ロに規定する「1年以上にわたり遊休状態にあること」の事実は認められる。
しかしながら、請求人は、上記(イ)のB及びCのとおり、本件土地の価額の低下は一般的な土地相場の下落によるものであり、本件評価損の額は周辺土地の取引時価を参考にして算出した旨答述しており、当審判所の調査の結果においても、本件土地が1年以上にわたり遊休状態にあることによりその価額が低下した事実は認められない。
したがって、本件土地は1年以上にわたり遊休状態にあるが、遊休状態にあることにより本件土地の価額が帳簿価額を下ることとなったとは認められないので、本件評価損については、法人税法第33条第2項の規定を適用することはできない。
(ニ)請求人は、施行令第68条に規定する事実が生じ、当該資産の価額がその帳簿価額を下ることとなっている場合には、当該資産の価額が低下した理由を問わず、法人税法第33条第2項の規定が適用され、当該資産の評価損の額を損金の額に算入することができる旨主張するが、同項の解釈は上記(ロ)のとおりであり、請求人の主張は独自の解釈であることから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
(ホ)なお、本件土地について、施行令第68条第3号ロに規定する事実以外の事実がないことについては、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査の結果においても、その事実は認められない。
(ヘ)以上のとおり、本件評価損の額については、法人税法第33条第1項の規定により本件事業年度の損金の額に算入することはできず、本件更正処分は適法である。
(2)過少申告加算税の賦課決定処分について
上記(1)のとおり、本件更正処分は適法であり、これにより納付すべき税額の計算の基礎となった事実が、本件更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項及び第2項の規定に基づいてされた過少申告加算税の賦課決定処分は適法である。
(3)その他
原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。