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(平16.1.15裁決、裁決事例集No.67 464頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1)事案の概要

 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)の所有する預託金制ゴルフクラブの会員権の評価換えに伴う評価損が、法人税の計算上損金の額に算入できるか否かを争点とする事案である。

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(2)審査請求に至る経緯

イ 請求人は、平成12年8月1日から平成13年7月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税について、預託金制ゴルフクラブの会員権の評価換えに伴う評価損12,559,204円(以下「本件評価損」という。)を損金の額に算入し、青色の確定申告書(以下「本件申告書」という。)に次表の「確定申告」欄のとおり記載して法定申告期限までに申告した。

(単位:円)
項目/区分確定申告更正請求更正処分等
所得金額○○○○○○○○○○○○
納付すべき税額34,050,20033,741,300○○○○
過少申告加算税の額  400,000

ロ 請求人は、本件事業年度の損金の額に従業員の給与900,000円(以下「本件給与の額」という。)が計上漏れであったとして、平成14年6月14日付で本件事業年度の所得金額、納付すべき税額を上表の「更正請求」欄のとおりとする更正の請求(以下「本件更正の請求」という。)をした。
ハ 原処分庁は、これに対し、本件給与の額は損金の額に算入することができるが、本件評価損は法人税法第33条第1項の規定に基づき損金の額に算入することは認められないとし、平成14年12月24日付で、上表の「更正処分等」欄のとおり、本件事業年度の法人税の更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)並びに更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をした。
ニ 請求人は、これらの処分を不服として、平成15年1月27日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年4月25日付でいずれも棄却の異議決定をした。
ホ 請求人は、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、平成15年5月20日に審査請求をした。

(3)関係法令

イ 法人税法第2条《定義》第21号は、有価証券とは証券取引法第2条第1項に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるものをいう旨規定し、法人税法施行令(平成13年政令第274号改正前のもの。以下同じ。)第11条《有価証券に準ずるものの範囲》は、政令で定める有価証券について、第1号から第5号までに列挙している。
ロ 法人税法第2条第22号は、固定資産とは土地、減価償却資産、電話加入権その他の資産で政令で定めるものをいう旨規定し、法人税法施行令第12条《固定資産の範囲》は、政令で定める固定資産は、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権及びこれらの資産に準ずるものをいう旨規定している。
ハ 法人税法第22条《各事業年度の所得の金額の計算》第3項は、内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき損失の金額は、別段の定めがあるものを除き、資本等取引以外の取引に係るものとする旨規定し、同条第4項は、第3項に掲げる額は一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする旨規定している。
ニ 法人税法第33条《資産の評価損の損金不算入等》第1項は、内国法人がその有する資産の評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない旨規定している。
 また、同条第2項は、内国法人の有する資産(預金、貯金、貸付金、売掛金その他の債権を除く。)につき災害による著しい損傷その他の政令で定める事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下ることとなった場合において、その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、その減額した部分の金額は、第1項の規定にかかわらず、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する旨規定している。
ホ 法人税法施行令第68条《資産の評価損の計上ができる場合》第3号は、固定資産に関する法人税法第33条第2項に規定する政令で定める事実として、同号イで当該資産が災害により著しく損傷したこと、同号ロで当該資産が1年以上にわたり遊休状態にあること、同号ハで当該資産がその本来の用途に使用することができないため他の用途に使用されたこと、同号ニで当該資産の所在する場所の状況が著しく変化したこと、同号ホで内国法人について会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続開始の決定又は商法の規定による整理開始の命令があったことにより当該資産につき評価換えをする必要が生じたこと及び同号ヘでイからホまでに準ずる特別の事実と規定している。
ヘ 法人税基本通達9−1−16《固定資産について評価損の計上できる「準ずる特別の事実」の例示》は、法人税法施行令第68条第3号ヘに規定する「イからホまでに準ずる特別の事実」とは、例えば、〔1〕法人の有する固定資産がやむを得ない事情によりその取得の時から1年以上事業の用に供されないため、当該固定資産の価額が低下したと認められること、及び〔2〕民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったことにより、固定資産につき評価換えをする必要が生じたことである旨定めている。
ト 法人税基本通達9−7−12《資産に計上した入会金の処理》の(注)書きは、預託金制ゴルフクラブの会員権(以下「預託金制ゴルフ会員権」という。)については、退会の届出、預託金の一部切捨て、破産宣告等の事実に基づき預託金返還請求権の全部又は一部が顕在化した場合において、当該顕在化した部分については、金銭債権として貸倒損失及び貸倒引当金の対象とすることができる旨定めている。
チ 国税通則法(以下「通則法」という。)第23条《更正の請求》第1項第1号は、納税申告書を提出した者は、当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額が過大であるときは、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等につき更正の請求をすることができる旨規定し、同条第4項は、税務署長は、更正の請求があった場合には、その請求に係る課税標準等又は税額等について調査し、更正をし、又は更正すべき理由がない旨をその請求をした者に通知する旨規定している。

(4)基礎事実

 以下の事実は、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 請求人は、A株式会社が昭和49年3月1日付で発行したBカントリークラブのゴルフ会員権(以下「本件B会員権」という。)、E株式会社が平成4年9月28日付で発行したFゴルフクラブのゴルフ会員権(以下「本件F会員権」という。)並びに、H株式会社が平成10年10月16日付で発行したゴルフ会員権2口及び平成11年8月16日付で発行したゴルフ会員権(以下、これらH株式会社が発行した3口の会員権を総称して「本件L会員権」といい、本件B会員権及び本件F会員権と併せて「本件各会員権」という。)を、いずれも本件事業年度の末日において所有している。
ロ 本件事業年度の期首及び期末における本件各会員権の帳簿価額並びに本件各会員権の本件評価損については、次表のとおり請求人の本件事業年度の総勘定元帳のその他投資勘定及び有価証券台帳に記載があり、請求人は、本件評価損を、本件事業年度の確定した決算に計上している。

(単位:円)
区分/項目期首帳簿価額期末帳簿価額本件評価損
本件B会員権1,394,204500,000894,204
本件F会員権8,000,00010,0007,990,000
本件L会員権5,325,0001,650,0003,675,000
合計14,719,2042,160,00012,559,204

ハ 本件各会員権は、いずれも預託金制ゴルフ会員権である。
ニ 本件各会員権に係る各ゴルフ場(以下「本件各ゴルフ場」という。)は、本件事業年度終了の日現在、いずれもプレーをすることができる。

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2 主張

(1)請求人

 原処分は、次の理由により違法であるから、本件更正処分のうち本件評価損に係る更正処分及び本件賦課決定処分の全部並びに本件通知処分の取消しを求める。
イ 本件更正処分について
(イ)本件各会員権は、次のとおり法人税法の取扱上有価証券となるから、株式などの通常の有価証券と同じく法人税法施行令第68条第2号に該当し、法人税法第33条第2項の規定から、本件評価損は損金の額に算入することができる。
A 預託金制ゴルフ会員権は、施設利用権の要素よりも、取引相場における価値に大きなウエイトがあるので、法人税法第2条第21号の有価証券の規定に列挙されてはいないが、法人税法ではその他の有価証券として取り扱われる。
B 本件各ゴルフ場は、いずれも非会員を含む誰もがプレーすることができ、本件各会員権には実質的に優先的プレー権がなく、また、預託金の返還が期待できないものであるから、本件各会員権は転々と流通する有価証券に準ずるものであることからも、法人税法上の有価証券となる。
(ロ)仮に、本件各会員権が法人税法上の取扱いにおいて、有価証券とならない場合には固定資産である。そうすると、本件各会員権は実質的に優先的プレー権がなく、預託金の返還も期待できず、著しく価格が下落し紙切れ同然となったもので、法人税法施行令第68条第3号ヘに規定する特別の事実に該当し、本件評価損は損金の額に算入することができる。
(ハ)さらに、法人税法に本件評価損を損金の額に算入する明文の規定がないとしても、全く価値のないものを帳簿価額で計上することになるから、金融商品会計に関する実務指針等の一般に公正妥当と認められる会計基準により経理処理された、本件評価損は損金の額に算入できる。
ロ 本件賦課決定処分について
 上記イのとおり、本件更正処分のうち本件評価損に係る更正処分は違法であり、取り消すべきであるから、これに伴い、本件賦課決定処分は、その全部を取り消すべきである。
ハ 本件通知処分
 上記イのとおり、本件評価損が損金の額に算入できることから、本件通知処分は取り消すべきである。

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(2)原処分庁

 原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求をいずれも棄却するとの裁決を求める。
イ 本件更正処分について
(イ)本件各会員権のような預託金制ゴルフ会員権は、施設利用権を主とする会員のゴルフクラブに対する契約上の地位であると認められ、法人税法上、上記1の(3)のロに規定する固定資産に準ずるものとして、一種の無形固定資産に該当するものと認められる。
(ロ)請求人は、預託金制ゴルフ会員権は、施設利用権の要素よりも、取引相場における価値に大きなウエイトがあることから、その他の有価証券である旨主張する。
 しかしながら、ゴルフ会員権が取引相場における価値にウエイトがあったとしても、有価証券については、法人税法第2条第21号で限定列挙して規定しているのであるから、同号のいずれの規定にも該当しない本件各会員権は法人税法において有価証券とはならない。
(ハ)請求人は、本件各会員権が法人税法上の固定資産となる場合、法人税法施行令第68条第3号ヘに規定する「特別の事実」があることから、本件評価損は損金の額に算入することができる旨主張する。
 固定資産の評価損が損金の額に算入することができるのは、上記1の(3)のニ及びホのとおり法人税法施行令第68条第3号に掲げる事実がある場合に限られ、同号ヘに規定する「特別の事実」とは、例えば、固定資産が事故により著しく損傷したことやその法人に対して民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったことにより固定資産の評価換えをする必要が生じたこと等であると解されているところ、本件各ゴルフ場の場合、上記1の(4)のニのとおり、ゴルフ場施設が通常どおり利用できる状況にあり、かつ、和議決定がされたゴルフクラブについても請求人は脱会を申し出ておらず、預託金の切捨ても行われていないことからすれば、本件各会員権には、「特別の事実」が生じているとは認められない。そうすると、本件各会員権は法人税法施行令第68条第3号に規定する各事実が認められないから、本件評価損の額は本件事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されない。
 したがって、この点における請求人の主張には理由がない。
(ニ)また、請求人は、本件各会員権が全く価値のないものであるから、金融商品会計に関する実務指針等の一般に公正妥当と認められる会計基準により経理処理された本件評価損は、損金の額に算入されるべきである旨主張する。
 しかしながら、法人税法上認められない評価損の計上を、会計基準を根拠に、法律を改正することなく認めるべきとの請求人の主張は、租税法律主義に反し失当である。
 したがって、この点における請求人の主張には理由がない。
(ホ)以上のとおり、本件評価損については、法人税法第33条第1項の規定により本件事業年度の損金の額に算入することはできないから、本件評価損を損金の額に算入しなかった本件更正処分は適法である。
ロ 本件賦課決定処分について
 本件更正処分により、納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正前の税額の基礎とされていなかったことについて、通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由がある場合に該当しないから、同条第1項の規定に基づいてされた本件賦課決定処分は適法である。
ハ 本件通知処分について
 上記イのとおり、本件評価損が損金の額に算入できないことから、請求人の本件事業年度における納付すべき税額は、本件申告書における当該金額を上回ることとなるので、上記1の(3)のチの通則法第23条第1項に規定する「当該申告書の提出により納付すべき税額が過大であるとき」に該当しない。したがって、本件更正の請求に対し、同条第4項の規定により、更正すべき理由がない旨を通知した本件通知処分は適法である。

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3 判断

 本件評価損が本件事業年度の損金の額に算入できるか否かに争いがあるので、以下審理する。

(1)本件更正処分について

イ 請求人の提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ)請求人は、本件事業年度の末日において、本件各会員権の会員資格に基づき、〔1〕会員料金で施設を利用できる、〔2〕月例競技会などの行事に参加できる等の本件各ゴルフ場の優先的施設利用権を有している。
(ロ)本件事業年度の末日において、本件各会員権の表彰する会員資格を請求人が喪失した事実、本件各会員権に係る預託金の切捨ての事実及び本件各会員権の発行法人の破産宣告等により預託金の返還請求権が顕在化した事実はいずれも生じていない。
ロ 預託金制ゴルフ会員権の法的性格は、会員のゴルフ場経営会社に対する契約上の地位であって、会員資格に基づくゴルフ場施設の優先的利用権、入会とともに預託された預託金の返還請求権、所定の年会費等の権利義務を内容とする債権的法律関係であると解される。また、この預託金返還請求権は、一定の据置期間経過後において、退会を条件にゴルフ場経営会社に対して預託金の返還を請求し得る権利であると解される。
 したがって、預託金制ゴルフ会員権が表彰する会員資格に基づいてゴルフ場施設の優先的利用ができる間は、この施設利用権が顕在化していることから、預託金制ゴルフ会員権は、法人税法上の減価償却資産以外の無形固定資産に該当すると解するのが相当である。
 そして、ゴルフ場を経営する会社の倒産などによるゴルフ場の閉鎖又はゴルフクラブの退会などにより会員資格に基づくゴルフ場施設の優先的利用ができなくなった場合に、預託金制ゴルフ会員権の預託金部分は、はじめて預託金返還請求権という金銭債権になるものと解される。
ハ 請求人は、預託金制ゴルフ会員権は、施設利用権の要素よりも、取引相場における価値に大きなウエイトがあることから、その他の有価証券である旨主張する。
 しかしながら、預託金制ゴルフ会員権が、取引相場における取引価格に基づきその価値が決まるものであっても、法人税法上の有価証券は法人税法第2条第21号に規定されたものに限られ、預託金制ゴルフ会員権は同号の規定のいずれにも該当しないから、法人税法上の有価証券には該当しない。
 したがって、この点における請求人の主張には理由がない。
ニ 請求人は、本件各会員権が法人税法上の固定資産となる場合、本件各会員権には実質的に優先的プレー権がなく、預託金の返還も期待できず、著しく価格が下落したものであることが、法人税法施行令第68条第3号ヘに規定する「特別の事実」に当たるので、本件評価損は損金の額に算入することができる旨主張する。
 請求人が主張するとおり、本件各会員権は預託金制ゴルフ会員権であるから、上記ロのとおり、法人税法上の固定資産に該当すると認められる。
 しかしながら、固定資産の評価損が損金の額に算入されるのは、上記1の(3)のニ及びホのとおり、法人税法施行令第68条第3号に掲げる各事実がある場合に限られているところ、同号ヘに規定する「イからホまでに準ずる特別の事実」とは、上記1の(3)のヘのとおり解するのが相当である。
 このことを本件についてみると、請求人は、本件各会員権には、実質的に優先的プレー権がないと主張するが、上記イの(イ)のとおり、本件事業年度の末日までにおいて、請求人が、本件各ゴルフ場を優先的に利用する権利を失ったという事実は認められない。
 また、請求人は、本件各会員権は、その預託金の返還が期待できず、著しく価格が下落していると主張するが、単なる取引価格の下落は、法人税法施行令第68条第3号イからヘまでに掲げる、固定資産の評価損の要件とはされていない。
 そうすると、本件各会員権に係る請求人の主張は、法人税法施行令第68条第3号に規定する各事実とは認められず、また、そのほかにこれらの規定に該当する事実は認められないことから、本件評価損の額は本件事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されない。
 したがって、この点における請求人の主張には理由がない。
ホ なお、仮に、請求人が預託金の返還が期待できないことを要因として、本件各会員権の預託金部分について貸倒損失又は貸倒引当金を計上していたとしても、上記イの(ロ)の事実を上記ロに照らしてみると、本件事業年度の末日において、本件各会員権の預託金請求権が金銭債権として顕在化した事実はないのであるから、上記1の(3)のトの取扱いにより損金の額に算入することはできないと解するのが相当である。
ヘ 請求人は、本件各会員権が全く価値のないものであるから、金融商品会計に関する実務指針等の一般に公正妥当と認められる会計基準により経理処理された、本件評価損は認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、固定資産の評価損は、上記ニのとおり、法人税法第33条第2項及び法人税法施行令第68条第3項の規定により、その要件を満たした場合に限り認められるものであって、請求人が、金融商品会計に関する実務指針等により、ゴルフ会員権について評価損を計上することとなったとしても、そのことをもって税務上も評価損が認められることにはならない。
 したがって、この点における請求人の主張には理由がない。
ト 以上のとおり、本件評価損は法人税法第33条第1項の規定により本件事業年度の損金の額に算入することはできないから、本件評価損を損金の額に算入しなかった本件更正処分は適法である。

(2)本件賦課決定処分について

 本件賦課決定処分については、本件更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正前の税額の基礎とされていなかったことについて、通則法第65条第4項に規定する正当な理由がある場合に該当しないので、同条第1項の規定に基づいて行った本件賦課決定処分は適法である。

(3)本件通知処分について

 上記(1)のとおり、本件評価損の額が損金の額に算入できないことから、請求人の本件事業年度における納付すべき税額は、本件申告書における当該金額を上回ることとなるので、上記1の(3)のチの通則法第23条第1項に規定する「当該申告書の提出により納付すべき税額が過大であるとき」に該当しない。したがって、本件更正の請求に対し、同条第4項の規定により、更正すべき理由がない旨を通知した本件通知処分は適法である。

(4)その他

 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された資料によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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