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(平17.6.15裁決、裁決事例集No.69 31頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1)事実の概要

 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)に対してされた平成12年12月1日から平成13年11月30日までの事業年度(以下「平成13年11月期」という。)の法人税に係る重加算税の賦課決定処分並びに平成12年12月1日から平成13年11月30日までの課税期間(以下、「平成13年11月課税期間」といい、平成13年11月期と併せて用いる場合は「平成13年11月期等」という。)の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)に係る重加算税の賦課決定処分(以下、平成13年11月期の法人税に係る重加算税の賦課決定処分と併せて「本件各賦課決定処分」という。)について違法を理由として、その一部(それぞれ過少申告加算税に相当する金額を超える部分)の取消しを求めた事案であり、争点は次の2点である。
 争点1 請求人の平成13年11月期の法人税の確定申告書及び平成13年11月課税期間の消費税等の確定申告書(以下「本件各申告書」という。)の提出は、国税通則法(以下「法」という。)第68条《重加算税》第1項に規定する「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」に該当するか否か。
 争点2 本件各賦課決定処分及び異議決定処分の手続に違法性があるか否か。

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(2)審査請求に至る経緯等

 審査請求(平成16年11月8日請求)に至る経緯及び内容は、別表1−1及び別表1−2のとおりである。

(3)基礎事実

 次の事実は、請求人及び原処分庁の双方に争いはなく、当審判所の調査によってもその事実が認められる。
イ 請求人は、自動車整備業等を営む同族会社で、○○運輸局長の指定を受けた指定整備工場、いわゆる民間車検場を有し、C(以下「代表者」という。)が代表取締役を務めている。
ロ 請求人は、原処分庁が行った平成13年3月27日からの法人税の調査(以下「前回調査」という。)において、車検事務に係る代行手数料(以下「車検代行手数料」という。)のうち平成9年12月1日から平成12年11月30日までの間(以下「前回対象期間」という。)に行ったものに係る金額が益金の額及び仮受消費税等の額(以下「益金等の額」という。)に計上漏れとなっていることなどを指摘され、平成13年4月19日に、前回対象期間に対応する各課税期間の消費税等の各修正申告書をそれぞれ原処分庁に提出した。
ハ 原処分庁は、平成13年5月29日付で、前回対象期間に対応する請求人の各事業年度の法人税の各更正処分、重加算税の各賦課決定処分及び過少申告加算税の賦課決定処分並びに前回対象期間に対応する各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をした。
 なお、請求人はこれらの処分について不服申立てを行わなかった。
ニ 請求人は、前回調査終了後の平成13年6月初旬にD税理士(以下「旧顧問税理士」という。)との顧問契約を打ち切り、同年11月にE税理士(以下「新顧問税理士」という。)と顧問契約を締結した。そして、請求人は、新顧問税理士を代理人として、平成14年1月31日に本件各申告書を提出した。
ホ 請求人は、原処分庁が行った平成16年4月6日からの法人税の今回の調査において、車検代行手数料のうち平成12年12月1日から平成13年4月30日までの間(以下「本件期間」という。)に行ったものに係る金額4,494,000円(ただし、消費税等の金額214,000円を含む。以下「本件手数料収入」という。)が益金等の額に計上漏れとなっているとの原処分庁からの指摘及び修正申告のしょうようを受け、平成16年6月15日に平成13年11月期の法人税及び平成13年11月課税期間の消費税等の各修正申告書を提出した(以下「本件各修正申告書」という。)。

(4)関係法令

イ 法第65条《過少申告加算税》第1項は、期限内申告書が提出された場合において、修正申告書の提出又は更正があったときは、当該納税者に対し、その修正申告又は更正に基づき法第35条第2項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する旨規定している。
ロ 法第68条第1項は、法第65条第1項の規定に該当する場合(同条第5項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し(以下「隠ぺい仮装」という。)、その隠ぺい仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する旨規定している。

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2 主張

争点1 本件各申告書の提出は、「隠ぺい仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」に該当するか否か。

原処分庁

 本件各申告書は、以下の理由から、請求人が隠ぺい仮装したところに基づき提出していたものであるから、本件各修正申告書の提出による納付すべき税額の増加額を基礎として、法第68条第1項の規定を適用し、重加算税を賦課することは適法である。
(1)平成13年11月期等の益金等の額に算入すべき本件手数料収入について、次の事実が認められた。
イ 請求人は、車検整備作業の進行管理を大学ノート(以下「入場表」という。)に記載しており、この入場表から本件手数料収入を計算することは十分可能であった。
ロ 請求人は、本件手数料収入の額を正規の会計帳簿に記載せず、いわゆる簿外現金として請求人の代表者がこれを管理していた。
ハ 請求人は、本件手数料収入を記載した請求書の控えを破棄していた。
ニ 請求人は、代表者が立て替えている車検費用(自賠責保険料、自動車重量税、車検代行費)の明細書を破棄していた。
ホ 請求人は、前回調査における車検代行手数料収入の除外分(前回対象期間の分)を平成13年4月24日に雑収入勘定(及び仮受消費税等勘定)に計上して修正し、同年5月分以降は正規の会計帳簿に計上している。
 それにもかかわらず、本件手数料収入の修正を行っていないことは積極的な故意があったといわざるを得ない。
へ 以上のことから、請求人の行為は隠ぺい仮装に該当し、この隠ぺい仮装したところに基づいて本件各申告書を提出していたのであるから、重加算税の賦課要件を充たしている。
(2)納税者が申告手続を税理士等の第三者に委託したからといって、納税者自身の申告義務は免れず、その第三者がした申告の効果、態様はそのまま納税者の申告として取り扱われる。
 したがって、顧問税理士の変更及びその引継ぎが十分でなかったことをもって隠ぺい仮装の事実はないとの理由にはならない。
(3)前回の更正処分等に係る更正の理由書によれば、本件手数料収入の計上漏れが含まれていないことが明らかであり、請求人の主張に理由がない。

請求人

 本件各申告書は、次のとおり、請求人が隠ぺい仮装したところに基づき提出したものではないから、法第68条第1項が規定している場合に該当しない。
 よって、本件各賦課決定処分は違法であるから、その一部(それぞれ過少申告加算税相当金額を超える金額)を取り消すべきである。
(1)本件各申告書には、次のとおり、隠ぺい仮装したところの事実はない。
イ 請求書の控えを破棄した事実はない。また、請求書の控えがなかったとしても、他の書類等で収入金額は確認することができるので隠ぺいにはならない。
ロ 請求人は、平成13年5月以降は、車検代行手数料を請求人の益金等の額に適正に計上しており、車検代行手数料収受の事実を隠ぺい及び仮装しようとしていない。
(2)本件手数料収入が計上漏れとなったのは、次のことが原因であり、隠ぺい仮装により過少申告しようとしたものではない。
イ 新顧問税理士は、旧顧問税理士から請求人についての税務会計事務を引き継ぐ際の不手際で、本件手数料収入が漏れてしまっていた試算表を基に平成13年5月分から会計処理を行ってしまった。
ロ 請求人及び代表者は、前回調査の際、調査担当者から「今後計上漏れがないように」と言われた上、更正処分を平成13年5月29日に受けたので、本件手数料収入を含めたところで原処分庁により是正処理されたものと誤解した。
 原処分庁も、代表者等が誤解していたことは、理解したはずである。
(3)上記(1)及び(2)のとおりであり、請求人は、仮に、いったん隠ぺい仮装により本件手数料収入を計上しなかった事実があったとしても、上記(1)のロのようにその後、適正に申告しようと努めていたところ、上記(2)のような事情により、結果として、本件手数料収入が申告漏れとなったものであるから、隠ぺい仮装の事実は本件各申告書を提出した時には、治癒されて存在しないものと認めるべきであり、ついては請求人は過少申告になるとの認識も有していなかったものである。

争点2 本件各賦課決定処分及び異議決定処分の手続に違法性があるか否か。

原処分庁

 重加算税の賦課要件は、法第65条及び同第68条に規定されているとおりであり、事前に納税者に通知又は説明しなければならない旨を定めてはおらず、請求人に対して事前に重加算税が賦課される旨の説明がなかったことをもって、本件各賦課決定処分が違法となるものではない。

請求人

(1)本件手数料収入の計上漏れについて、重加算税が賦課される理由の説明を一切受けていない。
(2)異議決定書においても、本件手数料の収入計上漏れが隠ぺい仮装に該当するという具体的事実が明らかにされておらず、このような瑕疵ある異議決定書と一体である本件各賦課決定処分は取り消されるべきである。

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3 判断

(1)争点1(本件各申告書の提出は、「隠ぺい仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」に該当するか否か。)について
イ 「隠ぺい仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」の解釈
(イ)法第68条に規定する重加算税は、同第65条ないし第67条に規定する各種の加算税を課すべき納税義務違反が事実の隠ぺい仮装という不正な方法に基づいて行われた場合に、違反者に対して課される行政上の措置であって、故意に納税義務違反を犯したことに対する制裁ではないから、同第68条第1項による重加算税を課し得るためには、納税者が故意に隠ぺい仮装し、その隠ぺい仮装の行為を原因として過少申告の結果が発生したものであれば足り、それ以上に、申告に際し、納税者において過少申告を行うことの認識を有していることまでを必要とするものではないと解される(最高裁昭和59年(行ツ)第302号昭和62年5月8日第2小法廷判決)。
 また、「隠ぺい」とは、納税者がその意思に基づいて、特定の事実を隠匿あるいは脱漏することをいい、「仮装」とは、納税者がその意思に基づいて、特定の所得、財産あるいは取引上の名義を装う等事実をわい曲するものと解される。
(ロ)したがって、納税者が特定の事実を隠匿あるいはわい曲するなど、隠ぺい仮装の事実があり、この隠ぺい仮装により課税標準等又は税額等が過少となったところ、納税者がその過少となった状況をあるべき正当な状況に是正するための方策あるいは措置を納税申告書を提出するまでに具体的に実行せず、その結果、納付すべき税額の過少という形の申告が行われたときは、過少申告を行うことの意思及び認識の有無にかかわりなく、「隠ぺい仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」に該当するものと解するのが相当である。
 これを本件についてみると、次のとおりである。
ロ 認定事実
 原処分庁、請求人から提出された証拠資料及び当審判所の調査によれば次の事実が認められる。
(イ)請求人は、車検を請け負った場合、顧客から車検代行手数料を受領しているが、これに係る取扱いは、請求人の益金等の額への算入の有無を除けば、少なくとも前回対象期間から現在まで、次のとおりである。
A 作業の管理
 請求人は、顧客の車両が工場に入庫されると、作業の管理のため、本社事務室内の机上に備え付けた入場表に、〔1〕顧客名、〔2〕車両番号、〔3〕不良箇所又は作業内容、〔4〕請求人の整備工場への入出車の日付、〔5〕「済」印を記載していた。
 なお、車検の場合は、当該入場表の〔3〕欄に「大型車検整備」、「中型車検整備」、「小型車検整備」、「乗用車車検整備」等と表示していた。
B 顧客に対する請求
 請求人は、請求人名義の3枚複写の様式(請求書(控)、請求書、領収書のためのもの)の書類を使用し、顧客から預かる自動車損害賠償責任保険契約又は自動車損害賠償責任共済契約に係る保険料(以下「自賠責保険料」という。)、自動車重量税及び請求人の収益である車検代行手数料(以下、自賠責保険料及び自動車重量税と併せて「車検費用」という。)を顧客に請求する。
 なお、車検費用は、〔1〕車検を請け負った際に請求し受領する場合と、〔2〕車検終了後に車検整備費等の売上請求と併せて請求する場合がある。
〔1〕車検を請け負った際に車検費用を請求し受領する場合
 請求人は、請求書及び領収書を顧客に発行し、受領した金員については代表者が保管する。
 代表者は、保管していた金員から自動車重量税を国に納付し、自賠責保険料を保険会社に支払うが、車検代行手数料を代表者の手許に残す。
〔2〕車検終了後に車検費用を請求する場合
 車検整備費等の請求額と併せて車検費用を請求することから、請求人は、当該請求により受領した金員のうち車検費用に相当する金額を仮受金勘定で経理処理する。この場合、当該請求に先立って車検と同時に自動車重量税の納付及び自賠責保険料の支払が必要であることから、代表者は手許資金から立替払いをする。
 請求人は、代表者により立替払いされた金員について、明細表を作成した上、月1回程度その精算の名目で、車検代行手数料を含んだ対応する仮受金を代表者に支払う。
(ロ)請求人は、上記(イ)のBのとおり顧客から受領していた車検代行手数料について、前回対象期間から本件期間にわたって、その収受の事実を請求人の帳簿に計上せず、また益金等の額に算入しなかった。
(ハ)代表者は、平成13年4月24日に保有する金員から、前回調査において指摘された車検代行手数料収入の脱漏金額6,185,300円を、○○信用金庫○○支店の請求人名義の当座預金口座に戻し入れ、請求人は、平成13年11月期の雑収入の金額に5,890,762円を、平成13年11月課税期間の仮受消費税等の額に294,538円を、それぞれ計上した。しかし、本件手数料収入に関する金額については、計上しなかった。
ハ 隠ぺい仮装の事実
(イ)前回調査に係る原処分庁の関係資料及び上記1の(3)のロ及び上記ロの事実からみると、請求人は、前回対象期間において、車検代行手数料が請求人の益金等の額になるものであることを十分認識しながら、収受する車検費用の大半が顧客からの預り金であること、また車検代行手数料を請求する請求書と主たる事業収入である整備売上げの請求書とが別葉で収受の形態が異なることなどの取引の特異性を利用し、意図的に、これを収受した事実を請求人の経理処理に反映することなく、益金等の額に計上しなかったもので、このことにつき、法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分等を受けたものである。
(ロ)そして、原処分関係資料及び当審判所の調査によれば、請求人は、上記ロの(ロ)及び(ハ)のとおり、車検代行手数料に係る取扱いについて、前回対象期間末から前回調査が終了するまでの間にほぼ相当する本件期間においても、前回対象期間と同じく、やはりこれを益金等の額に計上せず、本件各申告書を提出した。
(ハ)そうすると、請求人は、本件期間について、上記のとおり隠ぺい仮装と評価すべき行為を行っていたものと認めるのが相当である。
(ニ)ところで、請求人は、請求書の控えを廃棄した事実はなく、また、請求書の控えがなかったとしても、他の書類等で収入金額等が確認できるので隠ぺいにはならない旨主張する。
 しかしながら、仮に請求人が当該請求書それ自体を廃棄した事実がなく、他の書類等で収入金額が確認できるからといって、上記の請求人の行為に関する判断が左右されるものではない。
(ホ)また、請求人は、平成13年5月以降は、車検代行手数料を請求人の益金等の額に適正に計上しており、その収受の事実を隠ぺい仮装していないと主張する。
 しかしながら、本件では、請求人はまさに本件各賦課決定処分が対象とする本件期間の車検代行手数料について、隠ぺい仮装を行ったものであるから、請求人の主張は理由がない。
ニ 本件各申告書の提出
(イ)上記ハのとおり、請求人は、隠ぺい仮装により、本件手数料収入を益金等の額に計上せず課税標準等を過少としていたところ、請求人が本件各申告書を提出するまでに当該過少の状況を是正しようとするなら、当該過少相当分の益金等の額を振替伝票あるいは修正仕訳等により決算書上計上する方法、同じく税務調整において加算する方法などがあると考えられる。
 しかしながら、当審判所の調査によっても、請求人が本件各申告書を提出するまでにこれら隠ぺい仮装により生じた状況を是正するための具体的な方策及び措置をとった事実は認められない。
(ロ)したがって、請求人が行った隠ぺい仮装は、本件各申告書の提出をもって具体的に納税額の過少額をもたらしたものであると認められるから、重加算税の賦課要件に関する判断に当たっては、本件各申告書は隠ぺい仮装したところに基づき提出されたものであると認めるのが相当である。
ホ ところで、請求人は、本件手数料収入が申告漏れとなったのは、〔1〕顧問税理士の変更の際の引継ぎに係る不手際及び〔2〕前回調査の更正処分等の金額に本件手数料収入相当額が含まれているとの誤解からであり、請求人は本件期間経過後の車検代行手数料について適正に計上するなど過少申告をしようとする意思は消滅し、隠ぺい仮装は治癒されているから、本件各申告書は隠ぺい仮装に基づいて提出されたものではないと主張する。
 しかしながら、請求人が原因とする事由は、飽くまでも、当該事由がなければ請求人は適正に申告したであろうという推測と仮定の域にあるものにすぎないから、本件各申告書の提出の合法性を裏付けるものとはなり得ない。また、請求人が隠ぺい仮装は治癒されたと主張する点についても、本件各申告書が提出される時に本件手数料収入相当額の益金等の額が計上されていなかった以上、隠ぺい仮装が治癒した状況に至っていないことは明らかである。
 したがって、請求人の主張はいずれも理由がない。
(2)争点2(本件各賦課決定処分及び異議決定処分の手続に違法性があるか否か)について
イ 重加算税の賦課決定処分の手続
 重加算税の賦課決定処分を行うに当たり、納税者に処分理由を事前に説明をしなければならない旨を定めた規定はないから、調査担当者等が処分理由を説明しなかったとしても、本件各賦課決定処分が違法となるものではない。
ロ 異議決定処分と本件各賦課決定処分
 異議決定処分は法第84条《決定の手続等》に基づき、本件各賦課決定処分は法第32条《賦課決定》の規定に基づきそれぞれ行われており、個々の処分であると認めるのが相当であるから、異議決定処分と本件各賦課決定処分が一体であるとした請求人の主張は、そもそも前提を欠くものである。
 また、異議決定処分は、法第75条《国税に関する処分についての不服申立て》に規定する不服申立てに対しての処分で、法第76条《不服申立てができない処分》に規定する審査請求ができない処分であるから、異議決定処分についての瑕疵の有無は、そもそも審査請求の理由とはなり得ない。
 したがって、請求人の上記主張は、その余の点について判断するまでもなく、採用できない。
(3)以上(1)及び(2)のとおり、本件手数料収入の申告漏れに基因して生ずる本件各修正申告書の納付すべき税額の増加額を基礎として法第68条を適用し重加算税を賦課した本件各賦課決定処分は適法と認められる。
(4)原処分のその他の部分については、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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