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(平17.9.12裁決、裁決事例集No.70 87頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1)事案の概要

 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、その所有する土地を権原なく使用(占有)する者から損害賠償金として金員を受領している場合に、それが課税所得に該当するか否か、及び請求人に対する課税処分が違法であることを理由に督促処分の取消しを求めることができるか否かを争点とする事案である。

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(2)審査請求に至る経緯

イ 請求人は、平成15年分の所得税について、確定申告書を提出していなかったところ、原処分庁は、平成16年8月31日付で別表1のとおりの決定処分(以下「本件決定処分」という。)及び無申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」といい、本件決定処分と併せて「本件課税処分」という。)をした。
ロ 原処分庁は、請求人が別表2記載の本件課税処分に係る未納の国税(以下「本件滞納国税」という。)を納期限である平成16年9月30日までに完納しなかったため、同年10月26日付で本件滞納国税の督促処分(以下「本件督促処分」という。)をした。
ハ 請求人は、本件課税処分を不服として平成16年10月29日に、また、本件督促処分を不服として同年12月23日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、平成17年1月26日付でいずれも棄却の異議決定をした。
ニ 請求人は、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、平成17年2月24日に審査請求をした。

(3)関係法令

イ 所得税法(平成16年法律第14号による改正前のものをいう。以下同じ。)第9条《非課税所得》第1項第16号は、損害保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるものについては、所得税を課さない旨規定している。
ロ 所得税法施行令第30条《非課税とされる保険金、損害賠償金等》は、上記イの政令で定める保険金、損害賠償金(これらに類するものを含む。)は、第1号ないし第3号に掲げるものその他これらに類するものとする旨規定しており、第1号には、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金が、第2号には、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金(これらのうち同令第94条《事業所得の収入金額とされる保険金等》の規定に該当するものを除く。)が、第3号には心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金(同令第94条の規定に該当するものその他役務の対価たる性質を有するものを除く。)がそれぞれ掲げられている。
ハ 所得税法施行令第94条第1項第2号は、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務を行う居住者が受ける当該業務の全部又は一部の休止、転換又は廃止その他の事由により当該業務の収益の補償として取得する補償金その他これに類するもので、その業務の遂行により生ずべきこれらの所得に係る収入金額に代わる性質を有するものは、これらの所得に係る収入金額とする旨規定している。
ニ 国税通則法第37条《督促》第1項は、納税者がその国税を納期限までに完納しない場合には、税務署長は、その納税者に対し、督促状によりその納付を督促しなければならない旨規定している。

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(4)基礎事実

 以下の事実は、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 請求人は、昭和53年1月から、P市p町○−○所在の○○平方メートルの雑種地(以下「本件土地」という。)を所有している。
ロ 請求人とE社とは、昭和58年4月22日、F簡易裁判所において、本件土地に関して、要旨次のとおりの裁判上の和解(以下「本件和解」という。)をした。
(イ)請求人は、E社に対し、本件土地を賃貸し、E社は、これを借り受ける。
(ロ)E社は、本件土地を駐車場としてのみ使用しなければならず、本件土地に何らの構築物を建設してはならない。ただし、駐車場に付随する照明灯は設置することができる。
(ハ)賃貸借期間は、昭和58年5月1日から昭和60年4月30日までの2年間とするが、この期間満了の際における更新は、当該期間満了前に当事者双方間で協議して定める。ただし、協議不成立の場合は、上記の期間満了と共に賃貸借契約は終了する。
(ニ)賃料は、1か月金15万円とし、毎月末日までに翌月分を請求人の指定する預金口座に送金して支払う。
(ホ)賃料は、契約更新ごとに協議して定めるが、協議が定まらないときは、総理府発表全国消費者物価指数の変動に応じて、その額を改定する。
(ヘ)E社は、本件土地を駐車場にするため宅地に造成し、地面の舗装、白線表示、照明灯の設置等の工事をし、これらの工事に要する費用、維持費は一切E社の負担とする。
(ト)E社は、請求人の書面による同意なくして、本件土地を転貸し、又はその権利を譲渡してはならない。
(チ)請求人は、次の場合、E社に対し、書面による通知により本件土地の賃貸借契約を解除することができる。
A 上記(ロ)及び(ト)に違反したとき。
B 上記(ニ)による賃料の支払を遅滞し、書面による催告を受けてもなお催告期限までに支払わないとき。
C 上記Bの催告が通算3回に及んだとき。
(リ)本件土地の賃貸借が終了した場合は、E社は、請求人に対し、本件土地を即時明け渡す。
ハ 請求人は、E社に対し、上記ロの(ハ)の賃貸借期間満了前である昭和60年4月4日に、内容証明郵便により本件土地の賃貸借契約の更新には応じられない旨記載した書面を送付し、その後も数回にわたり、本件土地の賃貸借契約の更新には応じられない旨及び当該賃貸借契約が終了することに伴い本件土地の返還を求める旨を記載した書面を送付した。
ニ E社は、上記ハの請求人の本件土地の返還請求に応じていない。
ホ E社は、平成6年2月18日付の内容証明郵便にて送付した文書により、請求人の増額要求に対して、請求人への送金額は昨今の土地事情からみても決して低い額ではない旨回答している。
ヘ E社は、平成15年中、本件土地を駐車場として使用している。
ト E社は、請求人に対し、本件和解に係る賃貸借契約期間中は本件土地の賃料として月額150,000円を支払っていたが、その後徐々に増額して、平成15年中は、本件土地の使用に見合うものとして毎月350,000円の金員(以下「本件金員」という。)を支払っている。
チ 本件金員のうち平成15年1月分は、平成14年12月5日付のG税務署長による請求人の本件金員に係る債権に対する差押えを受け、平成15年1月20日に同税務署長の指定に係る銀行普通預金口座に入金された後、請求人の滞納国税に充当されている。
リ 本件金員のうち平成15年2月分から同年12月分は、毎月20日ころ、請求人が納税地を変更したことに伴ってG税務署長からその事務を承継した原処分庁の指定に係る銀行普通預金口座に入金された後、請求人の滞納国税に充当されている。
ヌ 請求人は、所得税法第2条《定義》第1項第3号に規定する居住者である。

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2 主張

(1)請求人

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 本件課税処分について
 E社は、請求人とE社との間の本件土地に係る賃貸借契約が終了したにもかかわらず、長年にわたり本件土地を使用(占有)し続けている。そのため、請求人は、本件土地を自由に使用することができない状況となり、多大な損害を被り、また、長年にわたり重い身体的負担を負い、心身に対して深刻な損害を受けている。本件金員は、E社が本件土地を明け渡すまでの間、請求人がE社から受けている損害に対する賠償金である。
 したがって、本件金員は、所得税法第9条第1項第16号に規定する非課税所得の損害賠償金に該当するから、本件金員を不動産所得の総収入金額であるとしてなされた、本件課税処分は違法である。
ロ 本件督促処分について
 上記イのとおり、本件課税処分は違法であるから、本件課税処分に基づく本件督促処分は違法である。

(2)原処分庁

 原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。
イ 本件課税処分について
(イ)本件金員について
 本件金員が資産に損害を受けたことによる損害賠償金であっても、不動産の使用収益の補償として支払われたものやこれに類するものは、不動産所得に係る総収入金額に算入すべきものであると解されている。
 そして、〔1〕E社が本件土地の返還に応じないことにより、請求人が心身に著しい損害を受けたと認めるに足る証拠がないこと及び〔2〕E社は、請求人からの損害賠償金の額の引上げ要求に対して、本件土地の周辺の土地事情等を勘案したところで本件金員の額を決定したと認められることからすれば、本件金員は、請求人の心身に加えられた損害について支払を受けた損害賠償金に該当するとはいえず、請求人が本件土地を使用収益することができないことに伴う損害を補償するものであると解される。
 したがって、本件金員は、所得税法施行令第94条により、請求人の不動産所得に係る総収入金額に算入すべきものであると認められる。
(ロ)本件決定処分について
A 不動産所得の金額
(A)総収入金額
 本件金員の合計額4,200,000円である。
(B)必要経費
 本件土地に係る固定資産税及び都市計画税の合計額619,700円である。
(C)不動産所得の金額
 総収入金額4,200,000円から必要経費619,700円を控除した3,580,300円となる。
B 総所得金額
 上記Aの(C)の不動産所得の金額3,580,300円である。
C 所得控除の額
(A)社会保険料控除の額
 請求人が平成15年中に支払った介護保険料の額47,207円である。
(B)所得控除の額
 上記(A)の社会保険料控除の額47,207円、老年者控除の額500,000円及び基礎控除の額380,000円を合計した927,207円となる。
D 課税総所得金額
 以上の結果、課税総所得金額は、上記Bの総所得金額3,580,300円から上記Cの所得控除の額927,207円を控除した2,653,000円(1,000円未満の端数切捨て)となり、この金額は、本件決定処分に係る課税総所得金額と同額であるから、本件決定処分は適法である。
(ハ)本件賦課決定処分について
 上記(ロ)のとおり、本件決定処分は適法であり、請求人の場合、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項に規定する「正当な理由があると認められる場合」に該当しないから、本件賦課決定処分は適法である。
(ニ)以上のとおり、本件課税処分は適法である。
ロ 本件督促処分について
 国税通則法第37条第1項は、上記1の(3)のニのとおり規定しているところ、これを本件についてみると、平成16年10月26日現在、請求人には本件滞納国税があったことから、原処分庁は、同項の規定に基づいて本件督促処分を行ったものであり、何ら違法又は不当なものではない。

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3 判断

(1)本件課税処分について

 本件金員が所得税法第9条第1項第16号に規定する非課税所得に該当するか否かに争いがあるので、審理したところ、次のとおりである。
イ 認定事実
 原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ)E社は、請求人との間で本件土地の賃貸借契約の更新に係る協議が行われていないから当該契約が存続しているという理由で、本件和解後継続して本件土地を駐車場として使用(占有)し、請求人に対して、その対価と称して本件金員を支払っている。
(ロ)請求人は、E社に対し、昭和60年4月30日をもってE社との間の本件土地の賃貸借契約が終了したとして、内容証明郵便を送付する方法によって、その明渡しを求めている。請求人がE社に対して送付した各内容証明郵便の記載内容の要旨は、以下のとおりである。
A 平成元年5月29日付のもの
 本件土地を不法占拠され、多大な損害を受けている。1日も早く自動車を撤去して明け渡してほしい。明け渡すまで、平成元年6月分から損害賠償金を毎月20万円申し受ける。
B 平成5年12月27日付のもの
 本件賃貸借契約は、昭和60年4月30日をもって終了した。請求人には本件賃貸借契約を更新する意思はない。請求人はE社に対してこのことを繰り返し申し上げてきた。
 E社の、協議なき場合は従前のとおりの契約内容をもって更新することを賃貸人が了解したものと認めるという一方的意見によって本件土地を使用することは断る。本件土地は、駐車場として利用され、建物の敷地として利用されている場合と異なり借地法上の自動更新の定めはない。
 本件賃貸借契約終了後は、E社からの賃料を一度も受け取っていない。
 E社が本件土地の返還請求を無視して、これを使用することによって、私の生活権はひどく妨害され、精神的苦痛を含め多大な損害を受けている。
 E社が毎月送金してきている金額は、損害金として受け取っている。
C 平成6年2月8日付のもの
 本件賃貸借契約は、昭和60年4月30日をもって期間満了によって終了した。賃貸借満了後、E社からは一度も、1円の賃料も受け取っていない。送金されてくる金額は損害賠償金である。
 平成3年10月21日付内容証明郵便にて、平成3年11月分から損害賠償金を毎月30万円申し受けたい旨を通知したが、E社は拒絶し、毎月25万円しか支払わない。不足分については敷金から差し引く。
D 平成12年12月1日付のもの
 E社との間に賃貸借契約は存在しない。1日も早く明け渡して欲しい。平成12年6月には損害金として毎月40万円を請求したが、E社は毎月30万円しか支払わない。不足分については預り金から差し引く。
(ハ)原処分庁は、本件土地の賃貸借契約は終了しており、本件金員はE社の請求人に対する損害賠償金であることを前提に、本件課税処分をしている。
ロ ところで、所得税法第9条第1項第16号、同法施行令第30条及び第94条は、上記1の(3)のイないしハのとおり規定しているが、その趣旨は、損害賠償が他人の被った損害を補てんし、損害がないのと同じ状態にすることを目的とするものであって、その間に所得の観念を入れることが酷であるから、これを非課税所得とし、他方、損害賠償金の名目で支払われたとしても、そのすべてが非課税所得になるわけではなく、本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合にこれが賠償されるときは、喪失した所得(利益)が補てんされるという意味においてその実質は所得(利益)を得たのと同一の結果に帰着すると考えられるから、それを非課税所得としないとするものである。
ハ これを本件についてみると、請求人とE社との間の本件土地の賃貸借契約は終了しており、本件金員がE社から請求人に対して支払われた損害賠償金であることについては、請求人及び原処分庁の双方に争いはなく、上記1の(4)のロないしニの事実によっても、本件金員は損害賠償金と認められる。
 そして、上記のとおり、〔1〕請求人は、E社に対して、損害賠償金を請求するに当たって、本件土地をE社が使用(占有)することによる経済的損失に対する損害賠償の部分と精神的苦痛に対する損害賠償の部分とを明らかにしないで請求していること、〔2〕E社は本件和解において合意した賃貸借契約期間満了後も継続して本件土地を駐車場として使用し、請求人に対して、その使用の対価と称して本件金員を支払っていること、〔3〕請求人は、E社が支払う上記〔2〕の対価を損害賠償金として受領し、その増額を数度にわたり要求していること、〔4〕E社は、請求人に対して、本件和解に基づく賃貸借契約期間中は月額150,000円を支払い、当該賃貸借契約期間満了後も毎月の送金を継続し、その金額を徐々に増額して、平成13年5月以降は月額350,000円としていること、〔5〕E社は、請求人の損害賠償金の増額要求に対して、送金している金額が周辺の土地事情からみても決して低い額ではない旨回答していることが認められる。
 上記のとおりの、本件金員の支払を求めた請求人の請求方法、本件金員の額及びその金額の変遷、本件金員の支払態様、支払者であるE社の認識などの事実を総合すると、請求人がE社から支払を受けている本件金員は、請求人がその心身に受けた損害を賠償するためのものでも、資産に加えられた損害につき支払を受ける見舞金でもなく、請求人の本件土地に対する使用収益を妨げて請求人の得べかりし利益を喪失させて生じさせた経済的損害を賠償するためのものであると認めるのが相当である。
 そうすると、本件金員は、損害賠償金であるが、本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合にこれを賠償するためのものであるから、喪失した所得(利益)が補てんされるという意味においてその実質は所得(利益)を得たのと同一の結果に帰着すると考えられ、それは課税所得となるものというべきである。
ニ そして、上記1の(3)のハの所得税法施行令第94条の規定によれば、本件金員は、請求人の業務の遂行により生ずべき不動産所得に係る収入金額に代わる性質を有するものというべきである。
ホ 以上のとおり、本件金員は、所得税法第9条第1項第16号に規定する非課税所得の損害賠償金には該当せず、請求人の不動産所得の金額の計算上総収入金額に算入されることとなるから、この点に関する請求人の主張を採用することはできない。
ヘ 本件決定処分について
(イ)不動産所得の金額
A 総収入金額
 本件金員は、上記ホのとおり、不動産所得の総収入金額となるから、総収入金額は、本件金員の合計額4,200,000円である。
B 必要経費
 原処分庁は、必要経費は、本件土地に係る固定資産税及び都市計画税の合計額619,700円であると算定しているところ、当審判所の調査の結果によっても原処分庁の認定額は相当と認められる。
C 不動産所得の金額
 以上の結果、不動産所得の金額は、総収入金額4,200,000円から必要経費619,700円を控除した3,580,300円となる。
(ロ)総所得金額
 総所得金額は、上記(イ)のCの不動産所得の金額3,580,300円である。
(ハ)所得控除の額
A 社会保険料控除の額
 原処分庁は、社会保険料控除の額は、請求人が平成15年中に支払った介護保険料の金額47,207円であると算定しているところ、当審判所の調査の結果によっても原処分庁の認定額は相当と認められる。
B 老年者控除の額
 所得税法第80条《老年者控除》第1項は、居住者が老年者である場合には総所得金額から 500,000円を控除する旨規定しており、同法第2条第1項第30号は、老年者とは年齢65歳以上の者で、合計所得金額が10,000,000円以下であるものをいう旨規定している。請求人の生年月日は昭和9年○月○日であり、請求人の合計所得金額は10,000,000円以下であることから、請求人は同号に規定する老年者に該当し、500,000円の老年者控除の規定の適用がある。
C 基礎控除の額
 所得税法第86条《基礎控除》の規定により380,000円となる。
D 所得控除の額
 上記Aの社会保険料控除の額47,207円、上記Bの老年者控除の額500,000円及び上記Cの基礎控除の額380,000円を合計した927,207円となる。
(ニ)課税総所得金額
 以上の結果、課税総所得金額は、上記(ロ)の総所得金額3,580,300円から上記(ハ)のDの所得控除の額927,207円を控除した2,653,000円(1,000円未満の端数切捨て)となり、この金額は、本件決定処分に係る課税総所得金額と同額であるから、本件決定処分は適法である。
ト 本件賦課決定処分について
 本件決定処分は上記ヘのとおり適法であり、また、期限内申告書の提出がなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由がある場合に該当しないので、本件賦課決定処分は適法である。
チ 以上のとおり、本件課税処分は適法である。

(2)本件督促処分について

イ 国税通則法第37条第1項は、納税者がその国税を納期限までに完納しない場合には、税務署長は、その納税者に対し、督促状によりその納付を督促しなければならない旨規定している。
 そして、本件課税処分が適法であることは上記(1)のとおりであり、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、本件督促処分は、本件滞納国税がその納期限である平成16年9月30日までに完納されなかったことから、国税通則法第37条第1項の規定に基づいて行われたものと認められるので、本件督促処分は適法である。
 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。

(3)その他

 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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