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(平18.5.22裁決、裁決事例集No.71 413頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1)事案の概要

 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、機械を取得したとして、同機械に係る減価償却費を損金の額に算入して法人税並びに同機械に係る消費税額を課税標準額に対する消費税額から控除して消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の各申告をしたところ、同算入及び同控除はいずれもできないとして原処分庁が行った原処分に対し、請求人がその全部の取消しを求めた事案である。

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(2)審査請求に至る経緯等

 請求人は、平成17年6月13日に審査請求をしたところ、この審査請求に至る経緯は別表1及び別表2各記載のとおりである。
 なお、以下、次のとおり略称する。
イ 法人税関係
 平成14年1月1日から同年12月31日まで及び平成15年1月1日から同年12月31日までの各事業年度について、順次「平成14年12月期」及び「平成15年12月期」といい、これらを併せて「本件各事業年度」という。
 また、別表1「更正処分等」欄記載の法人税の各更正処分を併せて「本件法人税各更正処分」といい、同欄記載の重加算税の各賦課決定処分を併せて、「本件法人税各賦課決定処分」という。
ロ 消費税等関係
 平成14年1月1日から同年12月31日まで及び平成15年1月1日から同年12月31日までの各課税期間について、順次「平成14年12月課税期間」及び「平成15年12月課税期間」といい、これらを併せて「本件各課税期間」という。
 また、別表2「更正処分等」欄記載の消費税等の各更正処分を併せて「本件消費税等各更正処分」といい、同欄記載の重加算税の各賦課決定処分を併せて、「本件消費税等各賦課決定処分」という。

(3)関係法令(要旨)

 別紙記載のとおり。

(4)当事者間に争いがなく、証拠により容易に認定できる事実等(以下「争いのない事実等」という。)

イ 請求人は、プラスチック製品の精密加工業を主として営む同族会社(法人税法第2条《定義》第10号)であり、本件各事業年度において青色申告書を提出した中小企業者等(租税特別措置法第42条の6第1項)であった。
ロ 平成14年12月期
(イ)請求人は、G社(平成16年4月1日にH社と合併する以前の商号。)に対し、平成14年12月16日ころ、○○自動旋盤5台(機種○○○、機番393、394、395、396及び397、以下、これらを併せて「本件平成14年各旋盤」という。)を代金合計39,000,000円(別途消費税等1,950,000円)で発注した。
(ロ)請求人は、G社から、出荷先を請求人の○○工場、出荷日を平成14年12月20日とする平成14年12月24日付の本件平成14年各旋盤に係る各納品書(以下「本件各14年納品書」という。)を受領した。
(ハ)請求人は、本件平成14年各旋盤を平成14年12月24日に取得した旨買掛金元帳に記載し、同各旋盤に係る減価償却費として合計12,512,500円(普通償却限度額812,500円及び特別償却限度額11,700,000円)を損金の額に算入して平成14年12月期に係る法人税の、また、同各旋盤に係る消費税額1,560,000円を課税標準額に対する消費税額から控除して平成14年12月課税期間に係る消費税等の各確定申告をした。
ハ 平成15年12月期
(イ)請求人は、G社に対し、平成15年11月7日ころ、○○自動旋盤10台(機種○○○、機番539、540、541、542、543、544、545、546、547及び548、以下、これらを併せて「本件平成15年各旋盤」といい、本件平成14年各旋盤と併せて「本件各旋盤」という。)を代金合計75,400,000円(別途消費税等3,770,000円)で発注した。
(ロ)請求人は、G社から、出荷先を請求人の子会社であるJ社、出荷日を平成15年12月15日とする平成15年12月17日付の本件平成15年各旋盤に係る各納品書(以下「本件各15年納品書」といい、本件各14年納品書と併せて「本件各納品書」という。)を受領した。
(ハ)請求人は、本件平成15年各旋盤を平成15年12月17日に取得した旨買掛金元帳に記載し、同各旋盤に係る減価償却費として合計24,190,830円(普通償却限度額1,570,830円及び特別償却限度額22,620,000円)を損金の額に算入して平成15年12月期に係る法人税の、また、同各旋盤に係る消費税額3,016,000円を課税標準額に対する消費税額から控除して平成15年12月課税期間に係る消費税額等の各確定申告をした。

(5)争点

イ 法人税関係及び消費税等関係
 本件では、法人税関係について、本件各旋盤に係る本件各事業年度における減価償却の可否が争われているところ、法人税法第31条第1項及び租税特別措置法第42条の6第1項の各文理からすると、特別償却を含む減価償却が認められるためには、当該法人が減価償却の対象となる資産をその事業年度末までに「取得し」、又は「有する」ことが必要であると解され、ここでいう「取得し」又は「有する」か否かの判断は、引渡しがされたか否かによると解する。
 また、消費税等関係については、本件各旋盤に係る本件各課税期間における仕入税額控除の可否が争われているところ、消費税法第30条第1項及び第2条第1項第12号によれば、仕入税額控除が認められるためには、事業者が他の者から資産を「譲り受け」たことを要し、ここでいう「譲り受け」たか否かの判断も、引渡しがされたか否かによると解する。
 そうすると、結局、本件においては、本件平成14年各旋盤及び本件平成15年各旋盤について、それぞれ平成14年12月末及び平成15年12月末までに請求人に引渡しがされていないか否かが争点になる。
ロ 重加算税関係
 請求人がG社に依頼して本件各納品書を発行させた行為は「仮装」(国税通則法第68条第1項)に当たるか。

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2 主張

(1)争点イ(本件各旋盤の引渡しの有無)について

イ 原処分庁の主張
 本件平成14年各旋盤は平成14年12月末において、本件平成15年各旋盤は平成15年12月末において、いずれも製造過程にあり、それらが請求人に出荷されたのは、本件平成14年各旋盤については、平成15年2月14日、本件平成15年各旋盤については、平成16年1月14日及び同月15日であるから、本件平成14年各旋盤及び本件平成15年各旋盤は、それぞれ平成14年12月末及び平成15年12月末までに、いずれも請求人に引き渡されていない。
ロ 請求人の主張
 次のとおり、本件平成14年各旋盤は平成14年12月末までに、本件平成15年各旋盤は平成15年12月末までに、いずれも請求人に引き渡された。
(イ)本件各旋盤について、切削用の刃を取り付けるための部品や刃の取付けが完了していないことをもって、完成していないとすることは相当ではなく、本件平成14年各旋盤及び本件平成15年各旋盤はそれぞれ平成14年12月末及び平成15年12月末において、いずれも完成していた。
(ロ)本件平成14年各旋盤
A 請求人は、G社から本件各14年納品書を受領し、また、本件平成14年各旋盤の製造会社であるH社に対し、平成14年12月25日から平成15年2月10日までの間、同各旋盤を同社○○工場に保管することを依頼し、その旨記載した平成14年12月20日付「預り依頼書」(以下「本件平成14年各旋盤預り依頼書」という。)を交付した。これを受け、H社は、請求人に対し、同依頼を承諾し、その旨記載した平成14年12月20日付「預り書」(以下「本件平成14年各旋盤預り書」という。)を交付した。
B 請求人は、平成15年1月7日から実施した実習生の研修において、本件平成14年各旋盤を使用した。
(ハ)本件平成15年各旋盤
A 請求人は、G社から本件各15年納品書を受領し、また、本件平成15年各旋盤の製造会社であるH社に対し、平成15年12月10日から平成15年1月13日までの間、同各旋盤を同社○○工場に保管することを依頼し、その旨記載した平成15年12月11日付「預り依頼書」(以下「本件平成15年各旋盤預り依頼書」という。)を交付した。これを受け、H社は、請求人に対し、同依頼を承諾し、その旨記載した平成15年12月16日付「預り書」(以下「本件平成15年各旋盤預り書」という。)を交付した。
B 請求人は、平成15年12月末までに、本件平成15年各旋盤をJ社へ貸与するための手続を終えていた。

(2)争点ロ(「仮装」の有無)について

イ 原処分庁の主張
 本件平成14年各旋盤は平成14年12月末までに、本件平成15年各旋盤は平成15年12月末までにいずれも請求人に引き渡されていない以上、請求人がG社に依頼して本件各納品書を発行させた行為は「仮装」に当たる。
ロ 請求人の主張
 請求人は、G社に対して、本件各納品書の作成を強要した事実はなく、むしろ、本件各納品書の内容は本件各旋盤に係る取引の実態に合致したものであるから、請求人がG社に依頼して本件各納品書を発行させた行為は「仮装」に当たらない。
 仮に、請求人において、本件各旋盤の引渡しに係る判断に誤りがあったとしても、その誤った判断に基づき本件各納品書を請求し、本件各事業年度において本件各旋盤に係る減価償却費を損金の額に算入し、本件各課税期間において本件各旋盤に係る消費税を仕入税額控除したことは、各翌事業年度及び各翌課税期間に処理すべきものを単純な操作により本件各事業年度及び本件各課税期間に処理したものにすぎないから、「仮装」に当たるとすることは不当である。

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3 判断

(1)争点イ(本件各旋盤の引渡しの有無)について

イ 契約の目的物を引き渡す方法として、法は、現実の引渡し(民法第182条第1項)、簡易の引渡し(同条第2項)、占有改定(同法第183条)、指図による占有移転(同法第184条)を認めており、本件各旋盤の引渡しについても、これらのいずれかが行われていれば足りると解する。
ロ そこで、これを本件についてみるに、上記1(4)争いのない事実等記載の各事実に加え、原処分関係書類、請求人提出書類及び当審判所の調査の結果によれば、次の各事実が認められる。
(イ)○○自動旋盤の特質及び製造・納品過程
 G社の営業担当であったK及びH社○○工場管理本部次長Lの、原処分に係る調査を担当した職員及び異議審理庁の担当職員に対する各申述によれば、○○自動旋盤は、標準機本体を各顧客先の仕様にしないと現実には顧客において使用できない形態のものであり、M社(平成16年10月1日に「株式会社○○○」に商号変更する以前の商号。)が標準機本体を製造し、その納品を受けたH社において、顧客仕様の特別附属品及び特注品の取付けを行い、各種性能検査を実施した上、G社の社内手続に従って、顧客立会いの上で検査し、その立会議事録を作成して、H社の製造工場から顧客先に直送されていた。
(ロ)本件平成14年各旋盤について
A 請求人は、G社に本件平成14年各旋盤を発注するに先立ち、同社から平成14年12月16日付の見積書の提示を受けていたところ、同見積書によれば、本件平成14年各旋盤は、標準機本体に請求人仕様にするための特別附属品及び特注品を取り付ける仕様とされていた。
B G社は、請求人からの本件平成14年各旋盤の発注を受け、H社に対し、平成14年12月16日、同各旋盤の製造を発注し、H社は、M社に対し、同日、同各旋盤の標準機の製造を発注した。
C M社が保有するH社に対する本件平成14年各旋盤に係る標準機の各納品書(控)によれば、同各納品書(控)には、同各旋盤に係る標準機のうち、機番393は平成15年1月9日、機番394及び395は同月10日、機番396及び397は同月14日にそれぞれ納品した旨記載されている。
D H社○○工場において作成された試験報告書によれば、同報告書には、本件平成14年各旋盤に請求人仕様の部品の加工及び刃の取付けを行った後、同各旋盤のうち、機番393は平成15年1月29日、機番394は同月27日、機番395は同月28日、機番396及び397は同月30日にそれぞれ性能検査を行った旨記載されている。
E G社の営業担当であったKは、請求人に対し、平成15年1月29日、本件平成14年各旋盤についての完成度、研修生の習熟度の確認等の検査を行うに当たり、その立会いを依頼する旨の文書を送付した。Kが作成した立会議事録によれば、同議事録には、同検査は、同年2月7日、請求人のN副社長立会いの下実施された旨記載されている。
F H社○○工場において作成された本件平成14年各旋盤に係る受注マスターリスト及び機番台帳によれば、各書面には、本件平成14年各旋盤の出荷年月日として平成15年2月14日と記載されている。
(ハ)本件平成15年各旋盤について
A 請求人は、G社に本件平成15年各旋盤を発注するに先立ち、同社から平成15年11月7日付の見積書の提示を受けていたところ、同見積書によれば、本件平成15年各旋盤は、標準機本体に請求人仕様にするための特別附属品及び特注品を取り付ける仕様とされていた。
B G社は、請求人からの本件平成15年各旋盤の発注を受け、H社に対し、平成15年11月7日、同各旋盤の製造を発注し、H社は、M社に対し、同日、同各旋盤の標準機の製造を発注した。
C M社が保有するH社に対する本件平成15年各旋盤に係る標準機の各納品書(控)によれば、同各納品書には、同各旋盤に係る標準機のうち、機番539は平成15年12月29日、機番540、541及び542は平成16年1月5日、機番543は同月6日、機番544及び545は同月7日、機番546、547及び548は同月8日にそれぞれ納品した旨記載されている。
D H社○○工場において作成された試験報告書によれば、同報告書には、本件平成15年各旋盤に請求人仕様の部品の加工及び刃の取付けを行った後、同各旋盤のうち、機番539、540及び543は平成16年1月12日、機番541、544、545、546及び547は同月13日、機番542は同月10日、機番548は同月14日にそれぞれ性能検査を行った旨記載されている。
E H社○○工場において作成された本件平成15年各旋盤に係る受注マスターリストによれば、同リストには、本件平成15年各旋盤の出荷年月日として平成16年1月14日及び同月15日と記載され、本件平成15年各旋盤に係る機番台帳によれば、同台帳には、同各旋盤のうち、機番539から543までが同月14日に出荷され、機番544から548までが同月15日に出荷された旨それぞれ記載されている。
ハ 以上の各事実からすると、請求人は、請求人方工場で現実に自己の製品加工に本件各旋盤を使用する目的でG社に本件各旋盤を発注したというべきであるから、同社との間で、G社から提示された見積書に記載されたとおり、標準機に請求人仕様の特別附属品及び特注品を取り付けた仕様の○○自動旋盤を目的物とする売買契約を締結したものである。そして、請求人は、同仕様の状態に至った後の、本件平成14年各旋盤については平成15年2月14日、本件平成15年各旋盤については平成16年1月14日及び同月15日に、それぞれ現実の引渡しを受けたものとみるのが相当である。
ニ 請求人の主張について
(イ)これに対し、請求人は、上記2(1)ロ記載のとおり主張するところ、その趣旨は、請求人とG社との間の契約上、その目的物たる本件各旋盤は、請求人仕様の特別附属品及び特注品を取り付けた状態に至らなくとも足りるものとされており、その引渡しが、本件平成14年各旋盤については平成14年12月20日に、本件平成15年各旋盤については平成15年12月15日にそれぞれ占有改定又は指図による占有移転によって行われたとの点にあると解される。そして、これに沿う証拠として、本件各納品書、本件平成14年各旋盤預り依頼書及び本件平成14年各旋盤預り書並びに本件平成15年各旋盤預り依頼書及び本件平成15年各旋盤預り書を提出し、また、当審判所の調査の結果によれば、G社及びH社においても、本件平成14年各旋盤については平成14年12月中の、本件平成15年各旋盤については平成15年12月中の各売上げとして会計処理していたことが認められる。
(ロ)しかしながら、上記Kは、原処分に係る調査を担当した職員及び異議審理庁の担当職員に対し、Kが、請求人に対し、本件平成14年各旋盤を平成14年末まで、本件平成15年各旋盤を平成15年末までにそれぞれ納品することはできない旨伝えたところ、請求人のR課長から納品書の交付の依頼があり、請求人は大口の顧客先であったためこれを断ることはできなかったが、社内手続上、納品書を発行するためには立会議事録が必要なことから、本件平成14年各旋盤については平成14年12月20日に、本件平成15年各旋盤については平成15年12月15日に立会いを実施したとする、事実とは異なる立会議事録を作成し、請求人に本件平成14年各旋盤預り依頼書及び本件平成15年各旋盤預り依頼書を出してもらい、H社から本件平成14年各旋盤預り書及び本件平成15年各旋盤預り書を作成してもらって、本件各納品書を発行した旨申述している。また、上記Lは、原処分に係る調査を担当した職員及び異議審理庁の担当職員に対し、本件平成14年各旋盤は平成14年12月31日現在、本件平成15年各旋盤は平成15年12月31日現在いずれも完成しておらず、本件平成14年各旋盤及び本件平成15年各旋盤を請求人から預かった事実はないし、H社の売上計上基準は出荷基準であるが、営業上の配慮から、本件平成14年各旋盤預り書及び本件平成15年各旋盤預り書を作成した旨申述している。
 これらの各申述は、その各内容自体合理的である上、いずれも上記ロ認定の各事実と符合するとともに、各申述相互も高い整合性を有する上、両名の所属するG社及びH社にとって、請求人は大口の顧客であるという両名の置かれた立場からしても、その信用性は非常に高いというべきである。
 そうすると、本件各納品書、本件平成14年各旋盤預り依頼書及び本件平成14年各旋盤預り書並びに本件平成15年各旋盤預り依頼書及び本件平成15年各旋盤預り書や、G社及びH社における会計処理をもってしても、直ちに請求人の主張するような引渡しがあったと認定することはもちろん、上記認定を覆すに足りるものとはいえず、結局、請求人の上記主張は採用できない。
ホ 以上より、本件平成14年各旋盤及び本件平成15年各旋盤は、それぞれ平成14年12月末及び平成15年12月末までに、いずれも請求人に引き渡されていない。

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(2)争点ロ(「仮装」の有無)について

 国税通則法第68条第1項に規定する「仮装」とは、所得、財産あるいは取引上の名義等に関し、それが事実であるかのように装うなど、故意に事実をわい曲することをいうと解する。これを本件についてみるに、上記(1)認定のとおり、本件平成14年各旋盤は平成14年12月末までに、本件平成15年各旋盤は平成15年12月末までにいずれも請求人に引き渡されていないと認められるところ、同ロ記載の、Kの原処分に係る調査を担当した職員及び異議審理庁の担当職員に対する各申述によれば、請求人は、本件平成14年各旋盤及び本件平成15年各旋盤が平成14年12月末及び平成15年12月末までにいずれも納品されないことを承知した上で、G社に対して、本件各納品書の作成を依頼し、その交付を受けたことが認められ、これは、単純な会計処理上の過誤に止まるものでないことは明らかであるから、「仮装」に当たるというべきである。

(3)結論

イ 本件法人税各更正処分
(イ)平成14年12月期
 上記(1)より、請求人は、平成14年12月期において本件平成14年各旋盤を取得していないことから、同各旋盤に係る減価償却費合計12,512,500円は、損金の額に算入されない。
(ロ)平成15年12月期
 上記(1)より、請求人は、平成15年12月期において本件平成15年各旋盤を取得していないことから、同各旋盤に係る減価償却費合計24,190,830円は、損金の額に算入されない。
(ハ)本件法人税各更正処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。
(ニ)以上より、本件各事業年度の各納付すべき税額は本件法人税各更正処分の各納付すべき税額と同額となるから、本件法人税各更正処分はいずれも適法である。
ロ 本件消費税等各更正処分
(イ)平成14年12月課税期間
 上記(1)より、請求人は、平成14年12月課税期間において本件平成14年各旋盤を取得していないから、同各旋盤に係る消費税額1,560,000円は、課税標準額に対する消費税額から控除できない。
(ロ)平成15年12月課税期間
 上記(1)より、請求人は、平成15年12月課税期間において本件平成15年各旋盤を取得していないから、同各旋盤に係る消費税額3,016,000円は、課税標準額に対する消費税額から控除できない。
 逆に、上記(1)より、請求人は、平成15年12月課税期間において本件平成14年各旋盤を取得していることから、同各旋盤に係る消費税額1,560,000円は、課税標準額に対する消費税額から控除する。
(ハ)本件消費税等各更正処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。
(ニ)以上より、本件各課税期間の各納付すべき税額は本件消費税等各更正処分の各納付すべき税額と同額となるから、本件消費税等各更正処分はいずれも適法である。
ハ 本件法人税各賦課決定処分
 上記イ(ニ)のとおり、本件法人税各更正処分はいずれも適法であり、また、上記(2)のとおりであって、本件法人税各賦課決定処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。よって、本件法人税各賦課決定処分は、いずれも適法である。
ニ 本件消費税等各賦課決定処分
 上記ロ(ニ)のとおり、本件消費税等各更正処分はいずれも適法であり、また、上記(2)のとおりであって、本件消費税等各賦課決定処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。よって、本件消費税等各賦課決定処分は、いずれも適法である。

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別紙 関係法令(要旨)

イ 法人税法第31条《減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法》第1項は、内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として法人税法第22条3項(各事業年度の損金の額に算入する金額)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理した金額のうち、その内国法人が当該資産について選定した償却の方法に基づき政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額とする旨規定している。
ロ 租税特別措置法第42条の6《中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》(平成15年法律第8号改正前においては同法第42条の11)第1項においては、中小企業者に該当する法人等(以下「中小企業者等」という。)で、青色申告書を提出するものが、平成10年6月1日から平成18年3月31日までの期間内に、その製作の後事業の用に供されたことのない機械及び装置等の減価償却資産(以下「特定機械装置等」という。)を取得し、これを国内にある当該中小企業者等の営む製造業、建設業その他政令で定める事業の用(以下「指定事業の用」という。)に供した場合には、その指定事業の用に供した日を含む事業年度の当該特定機械装置等の償却限度額は、法人税法第31条第1項の規定にかかわらず、当該特定機械装置等の普通償却限度額と特別償却限度額との合計額とする旨規定している。
ハ 消費税法第30条《仕入に係る消費税額の控除》は、事業者が国内において行う課税仕入れについては、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額を控除する旨規定している。
ニ 国税通則法第68条《重加算税》第1項は、同法第65条《過少申告加算税》第1項の規定に該当する場合において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する旨規定している。

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