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(平18.5.8裁決、裁決事例集No.71 533頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

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(1)事案の概要

 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が相続により取得した土地を財産評価基本通達(以下「評価通達」という。)に基づき算定した評価額及び租税特別措置法(以下「措置法」という。)第70条の6《農地等についての相続税の納税猶予等》第1項に規定する特例(以下「本件特例」という。)の適用があるとした農地等について、原処分庁が、評価額及び本件特例の適用に誤りがあるとして相続税の更正処分を行ったことに対し、請求人が、同処分は違法であるとしてその全部の取消しを求めた事案である。

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(2)審査請求に至る経緯

イ 請求人は、平成13年12月○日に死亡した○○(以下「被相続人」という。)の相続人であり、この相続に係る相続税について、別表1の「当初申告」欄のとおり記載した申告書を法定申告期限内に提出した。
ロ 請求人は、J国税局所属の調査担当職員の調査を受けたが、平成16年6月9日、別表1の「修正申告等」欄のとおり記載した調査額に基づかない修正申告書を原処分庁に提出した。
ハ 原処分庁は、請求人に対し、相続した土地の一部について評価額が過少であること及び農地の一部について本件特例の適用が認められないことを理由として、平成16年6月28日付で別表1の「更正処分等」欄のとおりとする更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をした。
ニ 請求人は、上記ハのこれらの処分を不服として、平成16年8月26日に別表1の「異議申立て」欄のとおり異議申立てをしたところ、異議審理庁は、平成16年11月26日付で棄却の異議決定をした。
ホ 請求人は、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、平成16年12月27日に審査請求をした。

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(3)関係法令等

 関係法令等の要旨は、別紙1のとおりである。

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(4)基礎事実

 以下の事実は、請求人及び原処分庁の双方に争いはなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 審査請求の対象となっている土地は、別表2の番号1ないし10の土地(以下、それぞれ「土地1」、「土地2」、「土地3」、「土地4」、「土地5」、「土地6」、「土地7」、「土地8」、「土地9」及び「土地10」といい、これらをまとめて「本件各土地」という。)であり、本件各土地の地積及び利用状況は別表2の「地積」欄及び「利用状況」欄のとおりである。
ロ 本件各土地は市街化区域内に位置し、評価通達が定める路線価方式によりその相続税評価額を計算する地域に存する。
ハ 市街化区域内に存する地積が1,000平方メートル以上の土地に対し都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行う者は、同法第29条《開発行為の許可》第1項の規定により県知事の許可を受ける必要がある。同法第33条《開発許可の基準》等の規定を受け、K県は、平成13年当時、都市計画法に基づく開発行為に関する指導要綱(昭和○年○月○日決定。以下「開発指導要綱」という。)において開発行為の許可に関して必要な事項を定めていた。開発指導要綱の要旨は別紙2のとおりである。

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2 主張

 請求人及び原処分庁双方の主張は、別紙3「当事者の主張」のとおりである。

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3 判断

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(1)本件各土地の評価額について

 相続税法第22条は、相続により取得した財産の価額は当該財産の取得の時における時価による旨規定しているところ、この場合の時価とは、当該財産を取得した時において、それぞれの財産の現況に応じ不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額、すなわち、当該財産の客観的な交換価値をいうものと解されている。
 課税実務においては、財産評価の一般的基準が評価通達等によって定められ、これに定められた画一的な評価方法によって財産の時価、すなわち客観的交換価値を評価するものとしている。相続財産の評価について、このような画一的な評価方法が採用されているのは、相続財産の客観的な交換価値は必ずしも一義的に確定されるものではなく、的確に把握することは必ずしも容易でないため、これを個別に評価する方法をとると、その評価方式、基礎資料の選択の仕方等により異なる評価額が生じる結果となって租税負担の公平を害するおそれがあり、かつ、納税者及び課税庁の双方にともに過大な負担と費用を強いることになるから、課税庁が準拠すべき一般的で簡便な評価方法を定め、あらかじめ定められた評価方法によって画一的に評価することにより課税の適正や納税者間の公平を図ることが合理的であるという理由によるものと解されている。
 本件各土地の価額を評価通達等に基づき算定することについては合理的と認められ、請求人及び原処分庁の双方に争いはないが、本件各土地の評価額及び本件特例の適用について争いがあるので、審理したところ、以下のとおりである。
イ 土地1について
(イ)認定事実
 請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
A 土地1は不整形な土地で、県道△号線より2.9メートル低く、県道○号線と段差なく接している部分の距離は2.0メートルである。
B 土地1の想定整形図は別紙4のとおりであり、想定整形地の間口距離は35.8メートル及び奥行距離は13.6メートルである。なお、請求人及び原処分庁とも、想定整形地の間口距離等を不動産登記法第14条《地図等》第1項に規定する地図(以下「公図」という。)を基に測定しているところ、当審判所においても実測図が存しないことから公図を基に想定整形地の間口距離等を測定することとし、測定に当たっては面積・線長測定機で3回測定しその平均値によった。以下、土地8及び土地10を除き同じ方法により測定した。
C 平成8年2月17日付土地賃貸借契約書によれば、被相続人は土地1をN社に対し駐車場として賃貸しており、賃貸期間は1年間とされている。
D 被相続人の平成13年分所得税の確定申告書によれば、土地1に係る地代が不動産所得の収入として申告されている。
E K県建築指導課の担当者は、当審判所に対し、建築基準法第43条《敷地等と道路との関係》第1項に規定する接道義務を満たす部分とは道路と段差なく接している部分であり、当該部分が間口である旨答述している。
F N社の代表取締役○○は、当審判所に対し、要旨次のとおり答述している。
(A)土地1に存するアスファルト敷舗装路面は、平成5年ころ、自社において20万円に満たない金額で設置したもので、撤去は容易なものである。
(B)賃貸借の契約期間は上記Cのとおり1年であり、毎年自動更新されている。
(ロ)評価額
A 奥行価格補正率について
 請求人は、土地1は不整形で奥行距離が一様ではないため、県道○号線に接している部分の長さ35.0メートルを間口距離とみなし、土地1の地積279.11平方メートルを当該間口距離で除して得られる平均的な奥行距離7.97メートルが合理的な奥行距離であるから、奥行価格補正率は0.95である旨主張する。
 ところで、間口は上記(イ)のEのことからすれば道路と段差なく接する部分と解するのが相当であり、上記(イ)のAのとおり間口距離は2.0メートルである。
 土地1の形状からすれば評価通達20の(2)の方法により奥行距離を求めるのが相当であるから、計算上の奥行距離は139.6メートル(279.11平方メートル÷2.0メートル)、想定整形地の奥行距離は上記(イ)のBのとおり13.6メートルである。よって、土地1の奥行距離は想定整形地の奥行距離13.6メートルであるから、奥行価格補正率は1.00となる。
 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。
B 不整形地補正率について
 請求人は、想定整形地の間口距離を35.0メートル及び奥行距離を14.5メートルとし不整形地補正率は0.73である旨主張するが、想定整形地の間口距離及び奥行距離は、上記(イ)のBのとおりそれぞれ35.8メートル及び13.6メートルと認められるから、不整形地補正率は別表4の注1のとおり0.76となる。
 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。
C 利用価値の著しい低下について
 請求人及び原処分庁は、土地1は利用価値が著しく低下しているとして宅地としての価額の10%相当額を減額している。
 ところで、普通住宅地区にある宅地で、〔1〕道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比し著しく高低差のあるもの、〔2〕地盤に甚だしい凹凸のある宅地、〔3〕震動の甚だしい宅地及び〔4〕〔1〕から〔3〕までに掲げる宅地以外の宅地で、騒音、日照阻害、臭気、忌み等によりその取引金額に影響を受けると認められるもののように、その利用価値が付近にある他の宅地の利用状況からみて著しく低下していると認められるものの価額は、その宅地について利用価値が低下していないものとして評価した場合の価額から、利用価値が低下していると認められる部分の面積に対応する価額に1O%を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価して差し支えない旨取り扱われており、また宅地比準方式によって評価する農地又は山林についても、その農地又は山林を宅地に転用する場合において、造成費用を投下してもなお宅地としての利用価値が著しく低下していると認められる部分を有するものについて同様に取り扱うこととされており、この取扱いは相当である。
 土地1は上記(イ)のAのとおり県道△号線より2.9メートル低く上記〔1〕に該当すると認められるから、宅地としての価額の10%相当額を控除した価額によって評価するのが相当である。
D 賃貸されている駐車場の評価について
 請求人は、貸駐車場に設置されたアスファルト敷舗装路面は堅固な構築物であるから、評価通達87の(1)の定めにより賃借権の評価額は自用地としての価額の5%相当額である旨主張する。
 しかしながら、上記(イ)のD及びFの(A)のことからして、アスファルト敷舗装路面はN社が設置していることからすれば構築物の所有を目的とする賃借権は存すると認められるが、当該アスファルト敷舗装路面は撤去が容易であるから、堅固な構築物とは認められない。よって、土地1に存する賃借権は地上権に準ずる権利とは認められず、土地1に存する賃借権の評価に当たっては評価通達87の(2)が適用される。そして、残存期間は上記(イ)のC及びFの(B)のとおり1年未満であるから、賃借権の価額は自用地としての価額の2.5%相当額である。
 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。
E 土地1の評価額は、上記AないしDにより計算すると、原処分庁主張のとおり19,544,538円となる。
ロ 土地2について
(イ)認定事実
 原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
A 土地2には軽量鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺平屋建の倉庫(173.43平方メートル、平成5年2月15日新築、平成16年12月20日登記)が建っている。
B 土地2は不整形な土地で、アスファルト舗装されているものの、地面が露出している箇所が点在し、地面に高低がある。なお、アスファルト舗装の設置者は特定できない。
C 県道○号線の幅員は6メートルである。
D 被相続人の平成13年分所得税の確定申告書によれば、土地2に係る地代が不動産所得の収入として申告されている。
E 土地2の開発想定図兼想定整形図は別紙5のとおりであり、開発区域内道路の延長距離は51.0メートル、想定整形地の間口距離は39.7メートル、奥行距離は59.1メートルである。
F K県建築指導課の担当者は、当審判所に対し、平成13年当時、開発指導要綱3の(10)については、道路の長さが50メートルを超える場合でも、50メートル以内ごとに1か所転回広場を設置すれば許可していた旨答述している。
G 請求人は、当審判所に対し、相続開始時の土地賃貸借契約書は見当たらないが、被相続人はT社に対し土地2を資材置場として賃貸していた旨答述している。
H U(相続人の一人)は、当審判所に対し、要旨次のとおり答述している。
(A)相続開始時の土地賃貸借契約書はないが、被相続人はT社に対し土地2を資材置場として賃貸していた。土地2に建てられている倉庫は、T社が被相続人に無断で建てたものと思う。
(B)平成14年1月6日付土地一時使用賃貸借契約書は、土地の賃貸借条件を明確にするため、土地2を相続した私とT社との間で締結したものであり、その概要は賃貸借期間を2年間と限定した上で一時使用の資材置場として賃貸し、建物を建築し登記してはならない旨定めている。
(C)倉庫は、平成16年12月16日付で締結した和解契約書により、T社が負担する未払地代と倉庫の撤去費用に相当する債務の代物弁済として取得したものであり、借地権相当額は考慮されていないので、土地2に借地権が存するとは考えていなかったし、賃借人も借地権についてなんら主張はしなかった。
(ロ)評価額
A 広大地補正率について
 請求人及び原処分庁とも、土地2が広大地に該当することに争いはないが、請求人は、避難上及び生活環境の保持上開発区域内道路を袋路状とすべきではなく、この場合の公共公益的施設用地は370.50平方メートルとなり広大地補正率は0.73である旨主張し、原処分庁は、開発指導要綱3の(3)及び(10)に基づき、開発区域内道路の幅員を6メートルとすれば袋路状でも認められ、この場合の公共公益的施設用地は330.34平方メートルとなり広大地補正率は0.76である旨主張する。
 ところで、評価通達24−4は経済的に最も合理的であると認められる開発行為を行う旨定めており、また、上記(イ)のFのとおり開発区域内道路を袋路状とする場合で道路の長さが50メートルを超える場合でも50メートル以内ごとに1か所転回広場を設置すれば開発行為は許可されることとされている。
 これを請求人及び原処分庁の開発想定図についてみると、区画数の多寡、道路の設置状況、各画地の形状及び開発区域内道路に接する間口距離等を総合勘案すると、請求人の開発想定図の方が有効宅地の価値が高く経済的に合理的であると認められる。ただし、請求人の開発想定図には、〔1〕開発区域内道路は袋路状でも認められるから道路とする必要のない部分が存すること及び〔2〕開発道路が50メートルを超えるため転回広場の設置が1か所必要であることから、公共公益的施設用地の地積の算定に当たっては、請求人が算定した開発区域内道路の地積に、開発区域内道路とする必要のない地積88.36平方メートルを減算し、転回広場の地積30.75平方メートルを加算する必要がある。よって、請求人の開発想定図に基づく公共公益的施設用地の地積370.50平方メートルから57.61平方メートルを減算すると公共公益的施設用地の地積は312.89平方メートルとなる。
 これを基に広大地補正率を求めると別表5の注1のとおり0.77となる。
B 無道路地補正について
 請求人は、土地2が広大地に該当する場合でも、無道路地補正が適用される場合の間口距離は建築基準法第43条第1項に規定する接道義務2メートルであるから通路開設費用相当額は294,000円である旨主張し、原処分庁は、接道義務を6メートルとし通路開設費用は1,358,280円である旨主張する。
 ところで、接道義務について、評価通達20−2は建築基準法その他の法令において規定されている最小限の間口距離の要件と定めており、その他の法令には開発指導要綱も含まれると解するのが相当であるところ、開発指導要綱3の(3)は接続道路の幅員を6メートル以上と定めていることからすれば、接続道路の幅員は6メートル以上とする必要があり、また、接続道路の地積にはすみ切り部分も含まれることとなる。
 土地2は、地積が1,378.00平方メートルのため幅員6メートル以上の接続道路の設置が義務付けられるから、接道義務すなわち間口距離は6メートルと解するのが相当であり、請求人の主張には理由がない。また、上記(イ)のCのとおり幅員6メートル道路が交差するから、開発指導要綱3の(11)によりすみ切りの長さは5メートルとしなければならない。よって、接続道路の地積は、請求人の開発想定図を基に算出すると別表5の注3のとおり35.21平方メートルとなる。これにより通路開設費用相当額を求めると3,450,580円(98,000円/平方メートル×35.21平方メートル)となる。
C 不整形地補正率について
 請求人は、建築基準法第43条第1項の規定による2メートルを間口距離とする間口狭小補正率及び奥行長大補正率に基づき算出した0.81が不整形地補正率である旨主張するが、上記Bのとおり間口距離は6メートルと解するのが相当であるから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
 よって、想定整形地は上記(イ)のEのとおりであるから、土地2の不整形地補正率は別表5の注2のとおり0.87となる。
D 賃貸されている資材置場の評価について
 請求人は、上記(イ)のAのとおり倉庫が建っており、例え借地上の建物が土地所有者の承諾なしに建築されたとしても、その利用権は借地権と解されるべきであるから、借地権相当額を控除すべきである旨主張する。
 借地借家法第2条《定義》第1号は、借地権とは建物の所有を目的とする地上権又は賃借権をいう旨規定していることから、借地上に建物を所有していても、建物の所有が借地の主たる目的とは認められない場合は借地借家法の適用はないと解されている。また、土地2は上記(イ)のD、G並びにHの(A)及び(B)の事実からすれば、被相続人とT社との契約においても資材置場として賃貸借されていたものと認められる。
 そうすると、土地2の賃貸借の主たる目的は建物所有ではなく資材置場として利用することにあるから、土地2には借地権は存在しないと解するのが相当であり、このことは、T社が上記(イ)のHの(C)のとおり平成16年12月16日付和解契約書により借地権を含まない価額で建物をUに代物弁済していることからも明らかであり、請求人の主張には理由がない。
 ところで、土地2については、上記のように被相続人がT社に資材置場として賃貸していることが認められるため、土地2は賃借権が存する雑種地として評価するのが相当である。
 賃借権が存する雑種地の評価方法は評価通達86及び87のとおりであり、また上記(イ)のA及びBのとおり倉庫の構造及びアスファルト敷舗装路面の状況からすると、倉庫及びアスファルト敷舗装路面は撤去が容易であるから、堅固な建物あるいは構築物とは認められない。よって、土地2に存する賃借権は地上権に準ずるものとは認められず、土地2に存する賃借権の評価に当たっては評価通達87の(2)が適用され、上記(イ)のHの(B)から残存期間は5年以内と認められる。したがって、賃借権の価額は自用地としての価額の2.5%相当額となる。
E 造成費について
 請求人は造成費を控除していないが、土地2は上記Dのとおり雑種地であり、雑種地の評価は評価通達82において付近の宅地等の価額を基に形状等の条件の差を考慮して求める旨定められているところ、土地2は上記(イ)のBのとおり地面に高低があるから地ならしする必要が認められるので、原処分庁主張のとおり造成費(整地費)を控除するのが相当である。
F 土地2の評価額は、上記AないしEにより計算すると、別表5の「土地2」欄のとおり83,763,624円となる。
ハ 土地3について
(イ)認定事実
当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
A 土地3は不整形な広大地で、正面路線の幅員は4メートルである。
B K県建築指導課の担当者は、当審判所に対し、平成13年当時、開発指導要綱は1画地当たりの最低限の地積について定めてはいなかったが、運用に当たっては1画地当たり135平方メートル以上とするよう指導していた旨答述している。
C 区画数を8とした場合の開発想定図は別紙6のとおりである。
(ロ)評価額
A 広大地補正率について
 請求人は、開発区域内道路を袋路状とするべきではなく、この場合の公共公益的施設用地は318.00平方メートルとなり広大地補正率は0.80である旨主張し、原処分庁は、開発区域内道路の幅員を6メートルとすれば袋路状でも認められるとした上で、開発区域内道路の長さを43.0メートル、すみ切りの長さを2.8メートルとし、この場合の公共公益的施設用地は262.00平方メートルとなり広大地補正率は0.84である旨主張する。
 ところで、開発指導要綱によれば、同3の(3)により開発道路の幅員を6メートルとすれば開発区域内道路は袋路状でも認められ、(11)において6メートル道路と4メートル道路が交差する交差点のすみ切りの長さは3メートルであると定められている。
 これを請求人及び原処分庁の開発想定図についてみると、土地3の地積は1,614.68平方メートルのため開発道路の幅員は6メートル以上必要となることから袋路状でも認められるところ、原処分庁は開発区域内道路を袋路状とし、またすみ切りを行っていることからすれば原処分庁の開発想定図の方が相当である。ただし、原処分庁の開発想定図は、1区画当たりの地積が135平方メートルに満たない区画が存し、すみ切りの長さが2.8メートルとなっている部分については見直しが必要となる。K県は上記(イ)のBのとおり1区画当たり135平方メートル以上とするよう指導しており、区画数を8区画とすれば1区画当たりの地積は135平方メートル以上となり、また、上記(イ)のAのとおり正面路線の幅員は4メートルであるからすみ切りの長さは3メートル必要となるので、上記(イ)のCの開発想定図に基づき公共公益的施設用地の地積を算定すると、原処分庁が算定した開発区域内道路の地積262.00平方メートルに、開発区域内道路とする必要のない地積21.00平方メートルを減算し、すみ切りの地積0.50平方メートルを加算する必要がある。よって、原処分庁の開発想定図に基づく公共公益的施設用地の地積262.00平方メートルから20.50平方メートルを減算すると公共公益的施設用地の地積は241.50平方メートルとなる。
 これを基に広大地補正率を求めると別表5の注4のとおり0.85となる。
B 土地3の評価額は、上記Aにより計算すると、別表5の「土地3」欄のとおり137,913,782円となる。
ニ 土地4について
(イ)認定事実
 請求人提出資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
A 土地4は不整形な無道路地で、半分以上は空閑地である。また、土地4には北側と東側で道路に通じる二つの通路があり、土地4の北側は道路より1.9メートル低く、東側は道路より1.2メートル低い。なお、北側及び東側の道路に付された路線価はいずれも100,000円である。
B 正面路線を北側の道路とした場合の開発想定図兼想定整形図は別紙7のとおりであり、1区画当たりの地積を同等にした場合の開発道路の距離は34.8メートル、開発区域内道路の地積は129.23平方メートル、北側に接続道路を開設した場合の通路の地積は12.71平方メートル、東側に接続道路を開設した場合の通路の地積は請求人及び原処分庁が主張する40.00平方メートルである。また、想定整形地の間口距離は41.3メートル、奥行距離は42.2メートルである。
C 当該地域内の標準的な宅地の地積は151.00平方メートルである。
(ロ)評価額
A 利用路線及び無道路地補正について
 請求人及び原処分庁の双方とも、土地4の東側の道路が実際に利用している路線である旨主張する。
 ところで、評価通達20−2は、無道路地の価額は実際に利用している路線(以下「利用路線」という。)の路線価(以下「利用路線価」という。)に基づき評価し、通路開設費用は接道義務に基づき最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額とする旨定めているから、利用路線が二つある場合は、開設する通路に相当する部分の価額の少ない方の路線が利用路線であると解される。
 土地4は、上記(イ)のAのとおり北側の道路も東側の道路も実際に利用されているが、上記(イ)のBによれば北側の道路を利用路線とする方が必要となる地積が少ない結果、接続道路の価額が少ないこととなるので北側の道路が利用路線となる。したがって、土地4の東側の道路を利用路線として通路開設費用を算定している請求人及び原処分庁の主張には理由がない。
 よって、上記(イ)のBのとおり開設通路の地積は12.71平方メートルであるから、通路開設費用相当額は1,271,000円(100,000円/平方メートル×12.71平方メートル)となる。
B 広大地補正率について
 原処分庁は、土地4は〔1〕M自治会の建物及び敷地として使用され既に開発を了しており、〔2〕隣接地と比較しても著しく広大な地積とは認められないから、広大地補正の適用は認められない旨主張する。
 ところで、原処分庁の主張する開発を了しているか否かについては、評価対象地がその地域の土地の標準的な使用に供されているといえるかどうかで判定し、また著しく広大な地積とは近隣の標準的な宅地の地積を基に判定するものと解されている。
 土地4は、〔1〕M自治会の集会所敷地として利用されているものの、当該地域の標準的な使用は戸建住宅地と認められるところ、上記(イ)のAのとおり半分以上が空閑地となっていることからすれば標準的な使用に供されているとはいえないので開発を了しているとはいい難いこと及び〔2〕土地4は上記(イ)のCのとおり当該地域内の標準的な宅地の5倍程度の地積を有し、また、戸建住宅とする場合には都市計画法第4条第14号に規定する道路の負担が必要と認められることからすれば、広大地に該当するものと解するのが相当であり、原処分庁の主張には理由がない。
 以上のとおり、土地4が広大地に該当することは請求人主張のとおりであるが、請求人の開発想定図によれば、請求人は幅員4メートルの開発区域内道路の地積を袋路状道路とせずに159.00平方メートルと算定している。しかしながら、建築基準法施行令第144条の4《道に関する基準》第1項第1号イは道路の延長が35メートル以下の場合は幅員を4メートルとすれば袋路状道路とすることができる旨規定しているから、別紙7の開発想定図によるのが相当である。この場合の公共公益的施設用地の地積は上記(イ)のBのとおり129.23平方メートルとなる。
 これを基に広大地補正率を求めると別表5の注5のとおり0.84となる。
C 不整形地補正率について
 請求人及び原処分庁は、利用路線を東側の道路として想定整形図を作成しているが、評価通達20の(2)は想定整形地を正面路線に面するく形または正方形とする旨定めているので、無道路地の場合は利用路線を正面路線として取り扱うのが相当であり、利用路線は上記Aのとおり北側の道路であるから、請求人及び原処分庁の想定整形図は相当でない。
 よって、土地4の想定整形地は上記(イ)のBのとおりであり、間口距離は41.3メートル、奥行距離は42.2メートルであるから、不整形地補正率は別表5の注6のとおり0.81となる。
D 利用価値の著しい低下について
 原処分庁は、土地4は宅地として不都合なく利用されているから、著しく利用価値が低下しているとは認められない旨主張するが、土地4は、上記(イ)のAのとおり利用路線より1.9メートル低く、付近にある宅地に比し著しく高低差があり、上記イの(ロ)のCの取扱いの〔1〕に該当すると認められるから、宅地としての価額の10%相当額を控除した価額によって評価することが相当である。
 したがって、この点に関する原処分庁の主張には理由がない。
E 土地4の評価額は、上記AないしDにより計算すると、別表5の「土地4」欄のとおり33,276,974円となる。
ホ 土地5について
(イ)認定事実
 請求人提出資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
A 土地5は不整形な農地で、西側は正面路線に通じる土地より0.5メートル低く、東側は傾斜している道路に接しており、土地5の東側の南端は道路より1.5メートル、北端は3.5メートル高い。
B 土地5の西側は、請求人が所有する隣接地にコンクリート製の基礎が設置されている。また、東側は1.5メートルないし3.5メートルの高さを有するコンクリート製の擁壁があり、その上に高さ1.2メートルのブロック製の擁壁がある。
C 請求人は、当審判所に対し、東側のコンクリート擁壁はL型擁壁である旨答述している。
D K県建築指導課の担当者は、当審判所に対し、L型擁壁の上にさらにL型擁壁を重ねて擁壁とする方法は、一体としての構造を有していないため擁壁には該当しないから、建築基準法上家屋の建築は認められない旨答述している。
E 土地5の北、南及び東側の擁壁を要する長さは、別紙8のとおりそれぞれ27.1メートル、17.7メートル及び17.3メートルである。
(ロ)評価額
A 造成費について
 原処分庁は、擁壁は家屋の建築に耐え得るとして造成費は4,277円/平方メートルである旨主張し、請求人は、四方全てに擁壁が必要であるとして造成費は12,439円/平方メートルである旨主張する。
 ところで、評価通達40で定められている造成費は宅地転用を前提としていることから、擁壁は建築基準法上家屋の建築が可能なものであることが必要であり、仮に擁壁が存在しても家屋の建築ができないような場合には当該擁壁は存しないものとして造成費を算出し、また、隣接地に評価対象地の所有者が既に擁壁を設置している場合は擁壁の設置は必要ないものとして造成費を算出するのが相当と解される。
 土地5は市街地農地に該当するから造成費を控除する必要があるところ、上記(イ)のCのとおり東側の擁壁にL型擁壁が使用されているとしても、その上部にあるブロック製の擁壁を撤去しさらにL型擁壁を積み重ねる方式は上記(イ)のDのとおり建築基準法上家屋の建築は認められないから擁壁は存しないものとして、また西側は上記(イ)のBのとおり請求人の所有地と接し既にコンクリート製の基礎が設置されているから新たな擁壁の設置は必要ないものとして造成費を算出するのが相当である。
 よって、上記(イ)のAの事実及び擁壁を要する長さは上記(イ)のEのとおりであるから、造成費は別表5の注7のとおり15,034円/平方メートルとなる。
B 土地5の評価額は、上記Aにより計算すると、別表5の「土地5」欄のとおり17,573,400円となる。
ヘ 土地6について
(イ)認定事実
 原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
A 土地6は農地で不整形な無道路地であり、南側は北側より1.0メートル高く、南北の長さは43.0メートルである。また、実際に利用している路線は里道を通じて土地6の西側にある道路である。
B 原処分庁の想定整形図によれば、開設する通路に第三者の家屋が存する。
C 第三者の家屋を含まずに通路を開設する場合の想定整形図は別紙9のとおりであり、想定整形地の間口距離は59.9メートル、奥行距離は41.8メートル、接続道路の地積は66.82平方メートルである。
D 土地6の北側を除く三方には墓が存する。
(ロ)評価額
A 利用路線について
 請求人は、利用路線は私道である上、車両の通行もできないため、当該私道に路線価を設定することは実体にそぐわないから、最寄りの公道(県道○号線)を利用路線とすべきである旨主張する。
 しかしながら、評価通達14は、路線価は路線ごとに設定することとし、この場合の路線とは不特定多数の者の通行の用に供されている道路をいう旨定めているから、公道私道の区別及び車両の通行の可否は路線価の判定要素となっていないこと及び上記(イ)のAのとおり里道を通じて土地6の西側にある道路を利用しているため当該道路が利用路線となることから、請求人の主張には理由がない。
B 奥行価格補正率について
 上記Aのとおり、利用路線は里道が通じる土地6の西側の道路であり、想定整形地の奥行距離は上記(イ)のCのとおり41.8メートルであるから、奥行価格補正率は0.92となる。
C 無道路地補正について
 請求人は、利用路線を県道○号線とし、通路開設費用相当額は評価通達20−2に定める限度額である9,112,320円である旨主張するが、上記Aのとおり請求人の主張には理由がない。また原処分庁は、接続道路の地積は44.0平方メートルであるから通路開設費用相当額は3,960,000円である旨主張するが、評価対象地と利用路線との間に第三者の家屋が存する場合は当該家屋を含めて通路を開設するのは現実的ではないところ、原処分庁の想定整形図によれば開設する通路には上記(イ)のBのとおり第三者の家屋が存するため相当ではなく、原処分庁の主張にも理由がない。
 よって、接続道路の地積は上記(イ)のCのとおり66.82平方メートルであるから、通路開設費用相当額は6,013,800円(90,000円/平方メートル×66.82平方メートル)となる。
D 造成費について
 請求人及び原処分庁とも造成費のうち整地費のみを控除しているが、土地6は上記(イ)のAのとおり南側が北側より1.0メートル高い傾斜地であるため、宅地転用するには土止費及び土盛費も必要であるから、造成費は別表5の注8のとおり5,449円/平方メートルと認められる。
E 利用価値の著しい低下について
 原処分庁は、土地6は近傍宅地の利用状況と比較して著しく低下しているとは認められない旨主張するが、土地6は、上記(イ)のDのとおり造成後においても三方が墓地に囲まれており、上記イの(ロ)のCの取扱いの〔4〕に該当すると認められるから、宅地としての価額の10%相当額を控除した価額によって評価することが相当である。
 したがって、この点に関する原処分庁の主張には理由がない。
F 土地6の評価額は、上記AないしEにより計算すると、別表5の「土地6」欄のとおり12,580,696円となる。
ト 土地7について
(イ)認定事実
 原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
A 土地7は不整形でおおむね平坦な農地であり、無道路地かつ広大地である。また、土地7には南側と北側で道路に通じる二つの通路があり、実際に利用しているのは県道○号線に通じる南側の道路であり、当該道路の幅員は3メートル、長さは68.5メートルである。
B 原処分庁の開発想定図によれば、接続道路に第三者の家屋が存する。
C 県道○号線に通じる道路を利用路線とした場合の開発想定図兼想定整形図は別紙10のとおりであり、開発道路の延長距離は137.5メートル、接続道路の地積は205.32平方メートルで、また想定整形地の間口距離は74.3メートル、奥行距離は82.4メートルである。
(ロ)評価額
A 利用路線について
 原処分庁は、土地7が広大地に該当することから、開発行為を行うことを考慮した場合、最も経済的合理性が認められる開発行為は土地7の北側にある幅員6メートルの路線に接続道路を接続することであるから、利用路線は北側の道路である旨主張する。
 しかしながら、利用路線は実際に利用している路線をいうところ、上記(イ)のAからすれば県道○号線に通じる南側の道路が利用路線であり、さらにいえば原処分庁の開発想定図によれば、接続道路に第三者の家屋が存し現実的ではないため、原処分庁の主張には理由がない。
B 広大地補正率について
 請求人は、開発区域内道路の地積が621.60平方メートルであるから広大地補正率は0.71である旨主張し、原処分庁は、開発区域内道路の地積が694.00平方メートルであるから広大地補正率は0.68である旨主張する。
 ところで、開発指導要綱3の(3)、(10)及び(11)は、〔1〕接続道路の幅員は6メートル以上であること、〔2〕開発道路は50メートルにつき一か所転回広場を設置すること及び〔3〕幅員6メートルの道路の曲がり角は5メートルのすみ切りとすることを定めている。
 これを請求人及び原処分庁の開発想定図についてみると、土地7の地積は2,168.00平方メートルのため開発道路の幅員は6メートル以上必要となることから袋路状でも認められるところ、原処分庁は開発区域内道路を袋路状とし、またすみ切りを行っていることから原処分庁の開発想定図の方が相当である。ただし、原処分庁の開発想定図については転回広場の設置及びすみ切りの長さの見直しが必要となるところ、〔1〕開発道路の長さは上記(イ)のCのとおり137.5メートルと認められるため転回広場を2か所設置する必要があること、及び〔2〕すみ切りの長さ2.8メートルを5メートルとする必要があることから、原処分庁が算定した開発区域内道路の地積に転回部分の地積61.50平方メートル及びすみ切り部分の地積8.50平方メートルを加算する必要がある。よって、原処分庁の開発想定図に基づく公共公益的施設用地の地積694.00平方メートルに70.00平方メートルを加算すると公共公益的施設用地の地積は764.00平方メートルとなる。
 これを基に広大地補正率を求めると別表5の注9のとおり0.65となる。
C 無道路地補正について
 原処分庁は、利用路線を土地7の北側の道路とし、接続道路の幅員を6メートル、地積を260.00平方メートルとして通路開設費用相当額は27,300,000円である旨主張するが、上記Aのとおり原処分庁の主張には理由がない。また、請求人は、利用路線を県道○号線に通じる南側の道路としているものの、利用路線の長さを県道○号線までの123.3メートルとし、通路開設費用相当額は31,071,600円である旨主張するが、接続道路の長さに利用路線を含んでいることから、請求人の主張にも理由がない。
 土地7の利用路線は上記(イ)のAのとおり幅員3メートルであり、開発指導要綱3の(3)により接続道路の幅員は6メートルとする必要があるから、利用路線の幅員を6メートルに拡幅する必要がある。そうすると、利用路線の長さは上記(イ)のAのとおり68.5メートルであるから、開設通路の地積は土地7から利用路線までの地積205.32平方メートルと利用路線を幅員6メートルとするための地積205.50平方メートル(3.0メートル×68.5メートル)の合計410.82平方メートルとなる。
 よって、通路開設費用相当額は34,508,880円(84,000円/平方メートル×410.82平方メートル)となる。
D 不整形地補正率について
 請求人は、県道○号線を利用路線とした想定整形地を基に不整形地補正率は0.63である旨主張し、原処分庁は、北側の道路を利用路線とした想定整形地を基に不整形地補正率は0.80である旨主張するが、利用路線は上記Aのとおり県道○号線に通じる南側の道路であるから、請求人及び原処分庁の主張には理由がない。
 想定整形地は上記(イ)のCのとおりであり、利用路線の幅員すなわち間口距離は上記Cのとおり6メートルであるから、不整形地補正率は別表5の注10のとおり0.75となる。
E 土地7の評価額は、上記AないしDにより計算すると、別表5の「土地7」欄のとおり52,534,976円となる。
チ 土地8について
(イ)認定事実
 当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
A 土地8は不整形な土地で、南側はがけ地となっている。
B K県○○土木事務所○○課の担当者は、当審判所に対し、家屋を建築するため道路に設置されたガードレールの撤去が必要な場合は、道路法第24条《道路管理者以外の者の行う工事》の規定に基づき申請をすれば、私人の費用負担等を条件に撤去が認められる旨答述している。
(ロ)評価額
A 無道路地補正等について
 請求人は、土地8は県道○号線に接しているものの、接している部分は全てガードレールにより仕切られて出入りが許されず、県道○号線の利用に当たっては隣接する県有地を通行しているから、無道路地である旨主張する。
 しかしながら、上記(イ)のBのとおり申請すればガードレールの撤去は可能であるため無道路地には該当しないから、請求人の主張には理由がない。
 したがって、無道路地であることを前提とした奥行価格補正率及び不整形地補正率に関する請求人の主張にも理由がない。
B 土地8の評価額は、上記Aにより計算すると、原処分庁主張のとおり24,654,253円となる。
リ 土地9について
(イ)認定事実
 当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
A 土地9は不整形な土地である。
B 区画数を4とする場合の開発想定図は別紙11のとおりであり、1区画当たりの地積は約190平方メートル、開発区域内道路の地積は60.06平方メートルである。
(ロ)評価額
A 広大地補正率について
 原処分庁は、土地9を3区画として開発する場合は既存の道路に接する2区画を除く1区画は路地状敷地でも接道義務を満たすこととなり、この場合の路地状敷地は道路ではないため公共公益的施設用地は生じないから広大地には該当しない旨主張するが、原処分庁の開発想定図によれば、1区画当たりの地積は約270平方メートルであり、開発指導要綱2の(2)のイに照らすと標準以上の地積を有し区画数は3と少ないことから、経済的に最も合理的とはいえないため、土地9を3区画として開発行為を行うことは相当ではなく、原処分庁の主張には理由がない。
 また、請求人は、土地9を5区画として開発する場合は公共公益的施設用地165.00平方メートルが必要となるから広大地補正率は0.80である旨主張するが、K県は上記ハの(イ)のBのとおり1区画当たりの地積を135平方メートル以上とするよう指導していたところ、請求人の開発想定図によれば、1区画当たりの地積が135平方メートルに満たない区画が存することとなる。
 そこで、土地9を上記(イ)のBのとおり4区画として開発行為を行えばすべての区画が135平方メートル以上となる。この場合、既存の道路に接しない2区画は間口距離4メートルの路地状敷地を設置すれば接道義務を満たすこととなるが、建築基準法第42条《道路の定義》第1項第5号の規定による位置指定を受けた道路とする方が、〔1〕同法第44条第1項《道路内の建築制限》の規定により建築物等を道路内に建築等することが禁止されること及び〔2〕路面を砂利敷以上のぬかるみとならない構造とし、排水に必要な側溝及び2メートルのすみ切りを設置することにより、有効宅地の価値は高まるものと認められる。よって、土地9に開発行為を行う場合は公共公益的施設用地が必要となるため土地9は広大地に該当することとなり、上記(イ)のBのとおり開発区域内道路の地積は60.06平方メートルとなる。
 これを基に広大地補正率を求めると、別表5の注11のとおり0.93となる。
B 土地9の評価額は、上記Aにより計算すると、別表5の「土地9」欄のとおり75,360,411円となる。
ヌ 土地10について
(イ)認定事実
 当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
A 土地10は評価通達58−3に定める市街地原野に該当し、不整形な土地である。
B 土地10が接する県道○号線は北方面に向かって下っており、土地10と接している北端と南端の高低差は6.5メートルである。
(ロ)評価額
A 不整形地補正率について
 請求人は、間口距離を想定整形地の間口距離26.0メートルとし、不整形地補正率は0.82である旨主張し、原処分庁は間口距離を想定整形地の間口距離2.0メートルとし、不整形地補正率は0.73である旨主張する。
 ところで、評価通達58−3は、市街地原野の価額は宅地に転用した場合の価額とする旨定めていることからすれば、不整形地補正率については宅地転用後の状態により算出するのが相当である。そして、間口距離は上記イの(イ)のEのとおり道路と段差なく接している部分と解されている。そうすると、県道○号線は上記(イ)のBのとおり高低差が6.5メートルあるから、宅地転用後段差なく26メートル接することは不可能なため、請求人の主張には理由がない。
 よって、間口距離は原処分庁主張のとおり2.0メートルであるから、不整形地補正率は別表4の注2のとおり0.73となる。
B 造成費について
 土地10は上記(イ)のAのとおり市街地原野に該当するから造成費を控除する必要があるところ、造成費について、請求人は廃土を前提に算出し1平方メートル当たり38,745円である旨主張し、原処分庁は盛土を前提に算出し1平方メートル当たり24,412円である旨主張するが、造成に当たっては、隣接する宅地との高低差及び通風等を勘案すると、盛土をする方が隣接する宅地と同じ高さになり利用価値は高まると認められるから、原処分庁の主張が相当である。
C 利用価値の著しい低下について
 請求人は、土地10が傾斜地であることによる自動車騒音及び県道△号線バイパスの橋下の土地に隣接していることによる日照不良などの地価下落要因を勘案すると、利用価値の著しい低下が認められるから10%相当額の控除が認められるべきである旨主張する。
 しかしながら、造成後においては自動車騒音は減退するとともに良好な日照が確保できると認められるため、土地10の利用価値が著しく低下しているとする請求人の主張には理由がない。
D 土地10の評価額は、上記AないしCにより計算すると、原処分庁主張のとおり12,432,644円となる。

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(2)本件特例の適用について

イ 認定事実
 原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ)相続開始時、土地7の北側と南側には畑の防風林用のいぬ槙の種苗場かつ鶏の飼育場所(以下「種苗場等」という。)がそれぞれ24.25平方メートル及び75.75平方メートルあり、また南側の種苗場等に接して土地7における農作物の栽培に用いる肥料及び農機具の置場(以下「肥料等置場」という。)20.25平方メートルがあった。なお、肥料等置場の一部はコンクリート敷となっていた。
(ロ)請求人は、当審判所に対し、鶏は畑で採れた野菜と農協から購入した飼料で飼育していた旨答述している。
ロ 本件特例の適否
(イ)種苗場等について
 請求人は、種苗場等は畑の防風林を育成するためのいぬ槙の種苗場であり、併せて採卵・採肥をするために鶏を約50羽放牧していたことから、措置法第70条の6に規定する農地又は採草放牧地に該当する旨主張する。
 ところで、農地及び採草放牧地とは、措置法第70条の4《農地等を贈与した場合の贈与税の納税猶予》第2項第1号及び第2号において、農地法第2条《定義》第1項に規定する農地及び採草放牧地をいい、農地法第2条第1項は、農地とは耕作の目的に供される土地をいい、採草放牧地とは農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう旨規定している。そして、林業のための種苗場は農地に該当し、また、放牧とは家畜自身に直接草を採食させる飼育方法であると解されている。
 そうすると、種苗場等のうち種苗場は、上記イの(イ)のとおり畑の防風林育成用の種苗場であり林業用の種苗場ではないから農地とは認められず、また鶏の飼育場所は、上記イの(ロ)のとおり鶏に直接草を採食させていないため放牧しているとはいえないから、採草放牧地とも認められない。
 よって、請求人の主張には理由がない。
(ロ)肥料等置場について
 請求人は、農作業用の肥料等置場であるから農地に該当する旨主張する。
 ところで、農地とは上記(イ)のとおり耕作の目的に供される土地をいい、現に耕作されている土地のほか、現に耕作されていない土地のうち正常な状態の下においては耕作されていると認められるものが含まれるものと定められている。
 肥料等置場は、現に耕作の目的に供されている土地ではないこと及び上記イの(イ)のとおり肥料等置場の一部はコンクリート敷となっているため現に耕作されていない土地のうち正常な状態の下においては耕作されていると認められるものではないことから、農地には該当しない。
 よって、請求人の主張には理由がない。

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(3)課税価格及び納付すべき税額について

 以上の結果、請求人の課税価格及び納付すべき税額は別表1の「審判所認定額」欄のとおりとなり、これらの金額はいずれも本件更正処分の金額に満たないから、本件更正処分はその一部を取り消すべきである。なお、上記(1)のホないしトのとおり本件特例の適用を受けている農地等の評価額に誤りがあること及び上記(2)のとおりその農地等の一部は本件特例の適用が認められないことから、納税猶予税額は○○○○円となり、納税猶予税額控除後の納付すべき税額は○○○○円となる。

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(4)本件賦課決定処分について

 本件更正処分が上記(3)のとおりその一部が取り消されることに伴い、請求人の過少申告加算税の計算の基礎となる税額は○○○○円となるが、この税額の計算の基礎となった事実については、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項の規定に基づいて過少申告加算税の額を算定すると○○○○円となり、この金額は本件賦課決定処分の金額に満たないので、本件賦課決定処分はその一部を取り消すべきである。

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(5)その他

 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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別紙1

1 相続税法
(6)第22条《評価の原則》
 この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価による。
(7)第23条《地上権及び永小作権の評価》
 地上権及び永小作権の価額は、その残存期間に応じ、その目的となっている土地のこれらの権利を取得した時におけるこれらの権利が設定されていない場合の時価に、次に定める割合を乗じて算出した金額による。
 割合  残存期間が10年以下のもの  100分の5
4  評価通達
(1)評価通達14《路線価》
 路線価は、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線(不特定多数の者の通行の用に供されている道路をいう。)ごとに設定する。
(2)評価通達15《奥行価格補正》
 一方のみが路線に接する宅地の価額は、路線価にその宅地の奥行距離に応じて奥行価格補正率を乗じて求めた価額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。
(3)評価通達20《不整形地の評価》
 不整形地の価額は、評価通達15から評価通達18《三方又は四方路線影響加算》までの定めによって計算した価額に、その不整形の程度、位置及び地積の大小に応じ、「地積区分表」に掲げる地区区分及び地積区分に応じた「不整形地補正率表」に定める補正率(本文、別紙3及び以下において「不正形地補正率」という。)を乗じて計算した価額により評価する。
 そして、評価通達20(2)は、不整形地の価額を不整形地の地積を間口距離で除して算出した計算上の奥行距離を基として求めた整形地により計算する方法を示し、その注書で、計算上の奥行距離は、不整形地の全域を囲む、正面路線に面するく形又は正方形の土地(本文及び別紙3において「想定整形地」という。)の奥行距離を限度とする旨定めている。
 また、評価通達20(注)3は、下記(5)で定める間口狭小補正率の適用がある場合において、不整形地補正率に間口狭小補正率を乗じて得た数値を不整形地補正率とするが0.6を限度とする旨、及び奥行長大補正率の適用がある場合は、不整形地補正率を適用せず、間口狭小補正率に奥行長大補正率を乗じて得た数値によって差し支えない旨定めている。
(4)評価通達20―2《無道路地の評価》
 無道路地の価額は、実際に利用している路線の路線価に基づき評価通達20の定めによって計算した価額からその価額の100分の40の範囲内において相当と認める金額を控除した価額によって評価する。この場合において、100分の40の範囲内において相当と認める金額は、無道路地について建築基準法その他の法令において規定されている建築物を建築するために必要な道路に接すべき最小限の間口距離の要件(本文及び別紙3において「接道義務」という。)に基づき最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額(路線価に地積を乗じた価額。本文において「通路開設費用」という。)とする。
(5)評価通達20−3《間口が狭小な宅地等の評価》
 間口が狭小な宅地(不整形地及び無道路地を除く。)の価額は、評価通達15の定めにより計算した1平方メートル当たりの価額に間口狭小補正率表に定める間口狭小補正率を乗じて求めた価額に宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。
(6)評価通達24−4《広大地の評価》
 その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で都市計画法第4条《定義》第12項に規定する開発行為(本文、別紙3及び以下において「開発行為」という。)を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの(本文、別紙3及び以下において「広大地」という。)の価額は、原則として、その広大地が路線価地域に所在する場合は、広大地の地積から公共公益的施設用地となる部分の地積(その広大地について経済的に最も合理的であると認められる開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地となる部分の地積をいう。)を控除した地積がその広大地の地積に占める割合(小数点以下2位未満を四捨五入)すなわち広大地補正率を奥行価格補正率に代えて計算した金額によって評価する。
 なお、公共公益的施設用地とは、同法第4条第14項に規定する道路、公園等の公共施設の用に供される土地等をいう。
(7)評価通達36−4《市街地農地の範囲》
  市街地農地とは、市街化区域内にある農地等をいう。
(8)評価通達40《市街地農地の評価》
 市街地農地の価額は、その農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額からその農地を宅地に転用する場合において通常必要と認められる1平方メートル当たりの造成費に相当する金額として、整地費等の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額を控除した金額に、その農地の地積を乗じて計算した金額によって評価する。
(9)評価通達58−3《市街地原野の評価》
 市街地原野の価額は、その原野が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額から、その原野を宅地に転用する場合において通常必要と認められる1平方メートル当たりの造成費に相当する金額として、整地費等の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額を控除した金額に、その原野の地積を乗じて計算した金額によって評価する。
(10)評価通達82《雑種地の評価》
 雑種地の価額は、原則として、その雑種地と状況が類似する付近の土地についてこの通達の定めるところにより評価した1平方メートル当たりの価額を基とし、その土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて計算した金額によって評価する。
(11)評価通達86《貸し付けられている雑種地の評価》(1)
 賃借権の目的となっている雑種地の価額は、原則として、評価通達82から評価通達84《鉄軌道用地の評価》までの定めにより評価した雑種地の価額(本文及び以下において「自用地としての価額」という。)から、評価通達87《賃借権の評価》の定めにより評価したその賃借権の価額を控除した金額によって評価する。
(12)評価通達87《賃借権の評価》
 雑種地に係る賃借権の価額は、原則として、その賃貸借契約の内容、利用の状況等を勘案して評定した価額によって評価する。ただし、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところにより評価することができるものとする。
イ  地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権(例えば、賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金その他の一時金の授受のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどがこれに該当する。)の価額は、その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じその賃借権が地上権であるとした場合に適用される相続税法第23条に規定する割合(以下「法定地上権割合」という。)又はその賃借権が借地権であるとした場合に適用される借地権割合のいずれか低い割合を乗じて計算した金額によって評価する。
ロ  イに掲げる賃借権以外の賃借権の価額は、その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じその賃借権が地上権であるとした場合に適用される法定地上権割合の2分の1に相当する割合を乗じて計算した金額によって評価する。
5  評価通達に基づきJ国税局長が定めた平成13年分財産評価基準(本文において、評価通達と併せて「評価通達等」という。)は、市街地農地等の評価をする場合における宅地造成費の標準価額を、下表に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げる金額による旨定めている。

費目造成区分と単位金額
整地費整地を要する面積1平方メートル当たり○○○○円
伐採・抜根費伐採・抜根を要する面積1平方メートル当たり○○○○円
土盛費土盛りを要する体積1立方メートル当たり○○○○円
土止費土止めを要する面積1平方メートル当たり○○○○円

別紙2 開発指導要綱の要旨

2《住区・街区の構成》
(2)《街区の規模》
イ 一画地の面積は、200平方メートルから250平方メートル程度の規模を有するものを標準とし、狭小又は細長な画地割とならないよう考慮すること。
3《道路》
(3)《道路の幅員》
 開発区域内の道路(本文及び以下において「開発区域内道路」という。)及び開発区域外の道路と開発区域内道路とを接続する道路(本文及び以下において「接続道路」といい、開発区域内道路と併せて「開発道路」という。)の幅員は、予定建築物の用途及び開発区域の規模に応じ、表−1によらなければならない。
表−1(抜粋)
          1.0ha未満
住居 一般区画通路  6.0メートル以上
3(10)《袋路状況道路》
 開発区域内の道路を袋路状とするときは、次の各号に適合しなければならない。
イ 幅員は6メートル以上で、延長は50メートル以下とすること。
ロ 先端部に、半径6メートル以上の転回広場又は一定規模以上の転回広場が設けられ、かつ幅員2メートル以上の避難通路が設けられていること。
3(11)《道路のすみ切長さ》
 開発区域内道路の交差はできる限り直角に近い角度で交差させることとし、交差することによってできる街角は、相互道路の幅員により表−3に定める長さの二等辺三角形ですみ切りをしなければならない。
表−3(抜粋)
道路幅員  4メートル  6メートル
6メートル    3メートル  5メートル
4《公園等》(2)《公園の種別及び規模》
 公園の種別及び規模は、表−4、表−5に掲げるものを標準とする。
表−5(抜粋)
開発区域の面積(単位ヘクタール)  0.3以上1.0未満
開発区域の面積に対する公園の総面積(%)  5以上
内容  ただし1箇所の面積を150平方メートル以上

別紙3 当事者の主張

(1)本件各土地の評価額について

イ 土地1について

審査請求人

〔1〕奥行価格補正率について
 実際に間口として利用している部分2.0メートルが間口距離であることについて異議はない。
 評価通達上は、当該間口から垂線的に測定した奥行距離2.5メートルと、計算上の奥行距離139.5メートル(279.11平方メートル÷2.0メートル)のいずれか短い距離が奥行距離となるが、土地1は不整形地で奥行距離が一様ではないから、県道○号線に接している部分の全部の長さ35.0メートルを間口距離とみなして地積を除して得られる平均的な奥行距離7.97メートルの方が合理的な奥行距離であり、奥行価格補正率は0.95となる。
〔2〕不整形地補正率について
 想定整形地の間口距離は35.0メートル、奥行距離は14.5メートルであるから、不整形地補正率は0.73である。
〔3〕賃貸されている駐車場の評価について
 地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権として、堅固な構築物の所有を目的とするものが評価通達に例示されているところ、土地1は駐車場であり、堅固な構築物(アスファルト敷)の敷地として賃貸されているから、賃借権としての控除割合は5%である。

原処分庁

〔1〕奥行価格補正率について
 K県建築指導課は、道路との高低差から間口として利用できない部分は間口距離に含めない旨申述しているから、実際に間口として利用している部分2.0メートルが間口距離である。
 不整形地の奥行距離は、評価通達20(2)の定めにより、想定整形地の奥行距離を限度として計算上の奥行距離とされている。
 ここで、計算上の奥行距離139.5メートルは想定整形地の奥行距離13.6メートルより長いから、土地1の奥行距離は13.6メートルであり、奥行価格補正率は1.00となる。
〔2〕不整形地補正率について
 想定整形地の間口距離は35.8メートル、奥行距離は13.6メートルであるから、不整形地補正率は0.76である。
〔3〕賃貸されている駐車場の評価について
 賃借権が登記されていないこと及び堅固な構築物の所有を目的とした賃借権でないことから、地上権に準じる貸借権には該当せず、評価通達87(2)により、残存期間が10年以下の場合に適用される5%の2分の1に相当する2.5%が賃借権としての控除割合となる。
ロ 土地2について

請求人

〔1〕広大地補正率について
 開発行為を行うに当たり、道路を隣接地まで敷設することは、消防法上及び緊急避難上の問題解消、また最深部の土地を所有する者の生活環境の保持に寄与するものであり、また、地価の上昇にもつながるものであるから、道路は通り抜け可能とすべきであり、この場合の道路の地積は370.5平方メートルと認められるから、広大地補正率は0.73{(1,378平方メートル−370.5平方メートル)÷1,378平方メートル}となる。
〔2〕無道路地補正について
 評価通達20−2は、通路開設費用は接道義務に基づき最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額と定めており、無道路地補正と広大地補正とは別の考え方であるから、無道路地補正を行う場合の間口距離は、建築基準法第43条第1項に規定する接道義務2.0メートルであり、広大地補正の場合に必要とされる幅員6.0メートルを用いるべきではないから、通路開設費用相当額として98,000円/平方メートル×3.00平方メートル(2.0メートル×1.5メートル)=294,000円を控除すべきである。
〔3〕不整形地補正率について
 不整形地補正率を算出する場合の間口距離は、上記〔2〕のとおり、2メートルを基に算出すべきであり、そうすると間口狭小補正率及び奥行長大補正率とも0.90となるから、不整形地補正率は0.81(0.90×0.90)となる。
〔4〕賃貸されている資材置場の評価について
 建物はその敷地利用権を伴うことによって経済的効果を全うしうるものであるから、敷地利用権は建物所有権と一体となって一つの財産的価値を形成しているのであり、借地上の建物が土地所有者の承諾なしに建築されたとしても、その利用権は借地権と解されるべきであり、借地権相当額30%を控除すべきである。
〔5〕造成費について
 特に主張なし。

原処分庁

〔1〕広大地補正率について
 公共公益的施設用地となる部分の地積の算定は、その広大地について経済的に最も合理的であると認められる開発行為を行うことを前提条件とし、経済的に最も合理的であると認められる開発行為とは、都市計画法等の開発許可基準に該当し、かつ宅地開発業者にとって最大利潤を獲得できるような開発行為に基づくものと考えられるから、有効宅地面積が多い原処分庁の開発想定図がより合理的である。よって、道路の地積は330.34平方メートルと認められることから、広大地補正率は0.76{(1,378平方メートル−330.34平方メートル)÷1,378平方メートル}となる。
〔2〕無道路地補正について
 評価通達20−2は、通路開設費用は接道義務に基づき最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額と定めているので、基本的には、建築基準法第43条第1項に規定する接道義務であるが、土地2は広大地にも該当するから、開発行為を行う場合に必要とされる幅員6メートルを間口距離と判断するのが合理的であるから、通路開設費用相当額を算出すると、98,000円/平方メートル×13.86平方メートル=1,358,280円となる。
〔3〕不整形地補正率について
 不整形地補正率を算出する場合の間口距離は、上記〔2〕のとおり6メートルを基に算出すべきであり、そうすると間口狭小補正率は0.97、奥行長大補正率は0.90となるから、不整形地補正率は0.87(0.90×0.97)となる。
〔4〕賃貸されている資材置場の評価について
 賃貸借の主たる目的は建設資材置場であり、建物は建設資材を管理するための簡易な建物であるから、賃借人の権利は建物の所有を目的とする借地権ではなく、建設資材置場の目的で使用する賃借権に過ぎない。また、土地1のとおり、堅固な構築物の所有を目的とする賃借権には該当しないので、評価通達87(2)により、賃借権の控除割合は2.5%である。
〔5〕造成費について
 整地費○○○○円/平方メートルの控除が認められる。
ハ 土地3について(広大地補正率について)

請求人

 この場合の道路の地積は318.00平方メートルと認められるから、広大地補正率は0.80{(1,614.68平方メートル−318.00平方メートル)÷1,614.68平方メートル}となる。

原処分庁

 この場合の道路の地積は262.00平方メートルと認められるから、広大地補正率は0.84{(1,614.68平方メートル−262.00平方メートル)÷1,614.68平方メートル}となる。
ニ 土地4について

請求人

〔1〕利用路線について
 評価通達20−2は、「無道路地の価額は、実際に利用している路線の路線価に基づき」と定めていること及び評価基準書で路線価が定められていることから、利用路線は土地4の東側の私道である。
〔2〕無道路地補正について
 通路開設費用相当額は、4,000,000円(100,000円×40平方メートル)である。なお、40.00平方メートルは原処分庁が認定した地積である。
〔3〕奥行価格補正率または広大地補正率について
 〔1〕土地4にはM自治会所有の建物が建っているにすぎず、マンションの敷地のように開発を了していないこと及び〔2〕土地4の周辺は建売業者によって開発された街区であり、その地域における平均的な地積は165平方メートル程度であることから、原処分庁の主張は認められない。よって、道路部分の地積は159.00平方メートルとなるから、広大地補正率は0.80{(795.00平方メートル−159.00平方メートル)÷795.00平方メートル}となる。
〔4〕不整形地補正率について
 想定整形地の面積は2,002.50平方メートルであるから、不整形地補正率は、0.70{(2,002.50平方メートル−795.00平方メートル)÷2,002.50平方メートル≒0.60 0.78×0.90≒0.70}となる。
〔5〕利用価値の著しい低下について
 道路より1.5メートル低い位置にあり相当の造成費が見込まれるから、10%の評価減が認められるべきである。

原処分庁

〔1〕利用路線について
 評価通達20−2は、「無道路地の価額は、実際に利用している路線の路線価に基づき」と定めているところ、利用路線は土地4の東側の私道である。
〔2〕無道路地補正について
 通路部分の面積は40.00平方メートル(2.0メートル×20.0メートル)であるから、通路開設費用相当額は4,000,000円(100,000円/平方メートル×40平方メートル)である。
〔3〕奥行価格補正率または広大地補正率について
 奥行距離は42.0メートルであるから、奥行価格補正率は0.92となる。
 なお、請求人は広大地に該当する旨主張するが、〔1〕土地4はM自治会の建物及び敷地として使用されており、既に開発を了していること及び〔2〕隣接地と比較しても著しく広大な面積とは認められないことから、請求人の主張は認められない。
〔4〕不整形地補正率について
 想定整形地の面積は1,596.00平方メートルであるから、不整形地補正率は、0.78{(1,596.00平方メートル−795.00平方メートル)÷1,596.00平方メートル≒0.50 0.87×0.90≒0.78}となる。
〔5〕利用価値の著しい低下について
 宅地として不都合なく利用されており、付近の宅地と比較して著しく利用価値が低下しているとは認められない。
ホ 土地5について(造成費について)

請求人

 土地5は、正面路線に通じる土地より0.5メートル低く、また、反対側の私道に接する部分は私道より平均2.5メートル高い位置にあるから、造成費は次のとおり1平方メートル当たり12,439円を控除すべきである。
(造成費の内訳)
1 土止費:〔(東側高さ2.5メートル×長さ17.25メートル)+{南北側高さ(2.5メートル+0.5メートル)÷2×長さ44.25メートル}+西側高さ0.5メートル×長さ18.5メートル〕×○○○○円/平方メートル=○○○○円
2 土盛費:{390平方メートル×(0.5メートル+2.5メートル)÷2}×○○○○円/立方メートル=○○○○円
3 1平方メートル当たりの造成費:(12)÷390平方メートル=12,439円/平方メートル

原処分庁

 土地5は、正面路線及び隣接地より0.5メートル程度低い農地であるから、造成費は次のとおり1平方メートル当たり4,277円となる。
(造成費の内訳)
1 土止費:{(東側高さ0.5メートル×長さ17.3メートル)+(南北側高さ0.5メートル×長さ44.5メートル)}×○○○○円/平方メートル=○○○○円
2 土盛費:390平方メートル×0.5メートル×○○○○円/立方メートル=○○○○円
3 整地費:390平方メートル×○○○○円/平方メートル=○○○○円
4 1平方メートル当たりの造成費:(123)÷390平方メートル=4,277円/平方メートル
ヘ 土地6について

請求人

〔1〕利用路線について
 区画整理区域内で車両の進入が禁止されている路線には路線価が設定されていないこととの整合性を考慮すると、車両が通行できない私道に路線価を設定すべきではないから、公道(県道○号線)を利用路線とすべきである。
〔2〕奥行価格補正率について
 奥行距離は、公道から109.5メートルあるから、0.80となる。
〔3〕無道路地補正について
 通路部分の地積は202.5平方メートル(67.5メートル×3.0メートル)であるから、通路開設費用相当額は21,262,500円(105,000円/平方メートル×202.5平方メートル)となるが、評価通達20−2は100分の40の範囲内と定めているから、限度額である9,112,320円となる。
〔4〕造成費について
 整地費○○○○円/平方メートルの控除が認められる。
〔5〕利用価値の著しい低下について
 土地6は他人の墓に囲まれており、忌み等による利用価値の低下により、10%の評価減が認められるべきである。

原処分庁

〔1〕利用路線について
 実際に利用している私道が利用路線となる。
 なお、評価通達14は、路線とは不特定多数の者の通行の用に供されている道路と定めており、車両通行の可否及び公道・私道の別が判断基準とされていないから、請求人の主張には理由がない。
〔2〕奥行価格補正率について
 奥行距離は、利用路線から36.2メートルあるから、奥行価格補正率は0.94である。
〔3〕無道路地補正について
 通路部分の地積は44.00平方メートル{(22.5メートル+21.5メートル)÷2×2.0メートル)であるから、通路開設費用相当額は3,960,000円(90,000円/平方メートル×44.00平方メートル)となる。
〔4〕造成費について
 整地費○○○○円/平方メートルの控除が認められる。
〔5〕利用価値の著しい低下について
 正面路線価は接続する路線の路線価と格差があり、不整形地補正、無道路地補正、造成費等を控除した場合は、近傍宅地の利用状況と比較して著しく低下しているとは認められない。
ト 土地7について

請求人

〔1〕利用路線について
 実際に利用している県道○号線に通じる道路が利用路線である。
〔2〕広大地補正率について
 道路部分の地積が621.60平方メートルと認められるから、広大地補正率は0.71{(2,168.00平方メートル−621.60平方メートル)÷2,168.00平方メートル}となる。
〔3〕無道路地補正について
 通路部分の地積は369.9平方メートル(123.3メートル×3.0メートル)であるから、通路開設費用相当額は31,071,600円(84,000円/平方メートル×369.9平方メートル)となる。
〔4〕不整形地補正率について
 想定整形地の地積は10,632.30平方メートルであるから、不整形地補正率は0.63{(10,632.30平方メートル−2,168.00平方メートル)÷10,632.30平方メートル≒0.79
 よって、0.70×0.90=0.63}となる。

原処分庁

〔1〕利用路線について
 土地7は無道路地であると同時に広大地にも該当するので、開発行為を行うことも考慮した上で利用路線を判定すべきであるところ、○○小学校のプール付近まで延びている幅員6メートルの路線を土地7まで延長して開発することが最も経済的合理性のある開発行為であると認められる。
 したがって、○○小学校のプール付近まで延びている路線が正面路線である。
〔2〕広大地補正率について
 道路部分の地積が694.00平方メートルと認められるから、広大地補正率は0.68{(2,168.00平方メートル−694.00平方メートル)÷2,168.00平方メートル}となる。
〔3〕無道路地補正について
 通路部分の地積は260.00平方メートル(43.0メートル×6.0メートル+2.0平方メートル)であるから、通路開設費用相当額は27,300,000円(105,000円/平方メートル×260.00平方メートル)となる。
〔4〕不整形地補正率について
 想定整形地の地積は5,088.00平方メートルであるから、不整形地補正率は0.80{(5,088.00平方メートル−2,168.00平方メートル)÷5,088.00平方メートル≒0.57
 よって、0.83×0.97≒0.80}となる。
チ 土地8について

請求人

〔1〕無道路地補正について
 土地8の接道面は全てガードレールにより仕切られて出入りが許されず、隣接する県有地を通路として利用しているから、無道路地である。通路部分の地積は37.00平方メートル(18.5メートル×2.0メートル)であるから、通路開設費用相当額は3,885,000円(105,000円/平方メートル×37.00平方メートル)となる。
〔2〕奥行価格補正率について
 奥行距離は42.5メートルであるから、奥行価格補正率は0.92である。
〔3〕不整形地補正率について
 想定整形地の地積は1,147.50平方メートルであるから、不整形地補正率は0.60{(1,147.50平方メートル−365.00平方メートル)÷1,147.50平方メートル≒0.68
 よって、限度額である0.60}となる。

原処分庁

〔1〕無道路地補正について
 ガードレールに仕切られていても、道路に接していることは明らかであり、無道路地には該当しない。
〔2〕奥行価格補正率について
 計算上の奥行距離121.6メートル(365.00平方メートル÷3.0メートル)は、想定整形地の奥行距離25.5メートルより長いから、奥行距離は25.5メートル、奥行価格補正率は0.99である。
〔3〕不整形地補正率について
 想定整形地の地積は624.75平方メートルであるから、不整形地補正率は0.76{(624.75平方メートル−365.00平方メートル)÷624.75平方メートル≒0.41
 よって、0.85×0.90≒0.76}となる。
リ 土地9について(広大地補正率について)

請求人

 近傍宅地の標準的な地積と比較して著しく広大な宅地に該当し、この場合の道路部分の地積は165.00平方メートルと認められるから、広大地補正率は0.80{(821.00平方メートル−165.00平方メートル)÷821.00平方メートル}となる。

原処分庁

 開発を行うとした場合には公共公益的施設用地の負担が必要でないから、広大地には該当しない。また、計算上の奥行距離は22.5メートル(821.00平方メートル÷36.5メートル)、想定整形地の奥行距離は29.6メートルであるから、奥行距離は22.5メートルであり、奥行価格補正率は1.00である。
ヌ 土地10について

請求人

〔1〕不整形地補正率について
 想定整形地の地積は442.00平方メートル、間口距離は26.0メートルであるから、不整形地補正率は0.82{(442.00平方メートル−238.00平方メートル)÷442.00平方メートル≒0.46
 よって、0.82×1.00=0.82}となる。
〔2〕造成費について
 次のとおり1平方メートル当たりの造成費は40,863円を控除する必要があるが、当該金額は宅地としての評価額の50%を超えるから50%相当額である38,745円とした。
(造成費の内訳)
1 土止費:{東側高さ(8.0メートル+0メートル)÷2×長さ21.0メートル)+南側高さ(8.0メートル+3.0メートル)÷2×長さ24.5メートル+北側高さ(3.0メートル+0メートル)÷2×長さ23.75メートル}×○○○○円/平方メートル=○○○○円
2 廃土費:{238.00平方メートル×8.0メートル÷2)×○○○○円/立方メートル=○○○○円
3 1平方メートル当たりの造成費:(12)÷238.00平方メートル=40,863円/平方メートルとなるが、上限を50%とし38,745円/平方メートルとした。
〔3〕利用価値の著しい低下について
 傾斜地であるための自動車騒音、○○空港が近接していることの航空機騒音、県道△号線バイパスの下橋に隣接していることの日照、トンネル風の発生等の地価下落要因を勘案すると、著しく利用価値の低下が認められるから、10%の減額の適用がある。

原処分庁

〔1〕不整形地補正率について
 道路の高低差を考慮すると、間口距離は2.0メートルと認められるから、想定整形地の地積は442.00平方メートル、間口距離は2.0メートルとなり、不整形地補正率は0.73{(442.00平方メートル−238.00平方メートル)÷442.00平方メートル≒0.46
 よって、0.82×0.90≒0.73}となる。
〔2〕造成費について
 1平方メートル当たりの造成費は次のとおり24,412円が適正である。
(造成費の内訳)
1 土止費:130.60平方メートル(注)×○○○○円/平方メートル=○○○○円
2 土盛費:(25.0メートル−18.5メートル)÷2×238.00平方メートル×○○○○円/立方メートル=○○○○円
3 整地費:238.00平方メートル×○○○○円/平方メートル=○○○○円
4 1平方メートル当たりの造成費:(123)÷238.00平方メートル=24,412円/平方メートル
(注)東側:{(6.5メートル+2.5メートル)÷2×9.4メートル+(2.5メートル+0.5メートル)÷2×3.6メートル+(0.5メートル+0メートル)÷2×2.8メートル+(0メートル+0.4メートル)÷2×4.6メートル}=49.32平方メートル
南側:(0.4メートル+0メートル)÷2×24.5メートル=4.9平方メートル
北側:(0メートル+6.5メートル)÷2×23.5メートル=76.375平方メートル
 よって、東側+南側+北側≒130.60平方メートル
〔3〕利用価値の著しい低下について
 現地確認の結果、自動車及び航空機騒音等による利用価値の低下は認められない。

(2)本件特例について
請求人

〔1〕種苗場等について
 防風林を育成するための種苗場、併せて採卵・採肥をするために鶏を放牧していることから、農地法上の農地又は採草放牧地に該当する。当該種苗場の周囲には網を張り巡らせて鶏による被害を防止し、槙の梢にベニヤ板を乗せて雨対策をしただけのものであり、柱、壁及び屋根がないから鶏舎には該当しないにもかかわらず、原処分庁はこれを鶏舎であるから、特例適用農地には該当しないとの主張は違法である。
〔2〕肥料等置場について
 農機具の保管や雷雨の際の避難用小屋の敷地であり、農地に該当する。

原処分庁

〔1〕種苗場等について
 相続税調査時には、土地7の北側にある鶏舎24.25平方メートル及び南側にある鶏舎75.75平方メートル計100.00平方メートルについては、柱には角材及び鉄骨ポール等を用い、屋根材としてトタン板を、壁にはトタン板、ベニヤ板及びスチール製の網等を用いた構造物に鶏が飼育されているから、構造が簡易であっても鶏舎である。また暴風林のためのいぬ槙が成育しているとしても耕作の用に供されている土地とは認められない。よって、種苗場等については、耕作の目的に供されている農地及び家畜の放牧の目的に供されている採草放牧地とは認められないから、特例農地には該当しない。
〔2〕肥料等置場について
 農機具の保管や雷雨の際の避難用小屋として利用されているから、実質的に耕作の用に供されている土地ではなく、また、仮に耕作されていない土地であっても耕作に供せられ得る状態ではないから、特例農地には該当しない。
(3)過少申告加算税の賦課決定について

請求人

 更正処分はその全部を取り消すべきであり、これに伴い過少申告加算税の賦課決定処分もその全部を取り消すべきである。

原処分庁

 更正処分は適法であり、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由は認められなから、賦課決定処分は適法である。

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