ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例 >> 裁決事例集 No.72 >> (平18.12.8、裁決事例集No.72−565頁)>> 別紙
別紙
当事者の主張
原処分庁 | 請求人ら |
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以下のとおり、本件各土地は本件通達に定める広大地に該当しない。 イ 本件各土地は、本件公示地の近傍に位置し、本件公示地と同一の準工業地域に指定されている地域に所在する。また、本件各土地の地積は本件公示地の地積とほぼ同等であり、その利用状況についても、本件公示地及びその周辺地と類似するものであると認められる。 そうすると、本件各土地は、本件通達に定める「その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地」に該当しないため、本件各土地の価額の算定上、本件通達の定めを適用することはできない。地価公示の標準地(公示地)は、近隣地域(標準地を含む地域で、住宅地、商業地等当該標準地の用途と土地の用途が同質と認められるまとまりのあるものをいう。)内で土地の利用状況、環境、地積、形状等について標準的な画地として選定されたものであり、実際にも、本件各土地及び本件公示地を含む一帯の地域が、準工業地域に指定されており、また、評価通達にいう「その地域における標準的な宅地」の「その地域」とは、本件各土地及び本件公示地周辺で、準工業地域として区分された地域であると考えられる。 したがって、本件各土地と本件公示地を比較することにより本件各土地が広大地に該当するか否かを判定することには、合理性があると認められる。 なお、請求人らは、第一種住居地域の路線価と準工業地域の路線価との間に格差がないという不合理があると主張するが、評価通達14−2に定める地区区分は、当該地区の現況により判断されるものであり、第一種住居地域の現況が、準工業地域と同じ中小工場地区と認められるため、準工業地域の路線価と第一種住居地域の路線価とが同一であっても何ら問題はない。 本件公示地は、本件各土地と同一地区(中小工場地区)に区分されている地域内に所在しており、本件各土地と本件公示地を比較することには、より合理性があると認められる。 |
以下のとおり、本件各土地は本件通達に定める広大地に該当する。 イ 原処分庁は、本件公示地を「その地域における標準的な宅地の地積」として、本件通達を適用することはできないとしているが、公示地は道路沿いの標準的な価格を公示し、準工業地域の標準地としてサンプリングされただけのものであり、その地域における標準的な宅地の地積とはいえない。 ロ 本件更正処分の基礎とされた路線価は、準工業地域のみならず第一種住居地域であっても、評価通達14−2に定める中小工場地区に区分され、準工業地域の路線価と第一種住居地域の路線価が同一で格差がないから、本件通達でいう「その地域」が準工業地域であるとするのは不合理であって、原処分庁がいう広大地判定の基となる標準的な宅地の地積を準工業地域の地積とする必然性はなく、むしろ本件各土地から50 ![]() ![]() |
ロ 本件通達によれば、広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められる土地と定められているところ、本件各土地については、請求人らの主張する公共公益的施設用地の負担の有無を検討する以前に、その前提となる「その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地」には該当しないことから、本件各土地の価額の算定上、本件通達の定めを適用することはできない。 | ハ 本件各土地が住宅用地として開発されるときは、道路用地としての負担が当然発生するものであるから、本件通達の広大地として評価減をすべきである。 |
ハ 請求人らから原処分庁に対し、不動産鑑定評価額を示した不動産鑑定評価書の提出はなく、仮に、その提出があったとしても、本件通達においては請求人らの主張する事情をもって本件通達を適用する旨の定めはないことから、本件各土地の価額の算定上、本件通達の定めを適用することはできない。 | ニ 不動産鑑定士による鑑定評価書によれば、本件各土地の評価額は、路線価方式による原処分の本件各土地の評価額を下回るから、本件各土地は、本件通達を適用して評価額を減額すべきである。 なお、鑑定評価額は予備的主張ではなく、本件各土地の評価については、評価通達を適用することについて異論はなく、争うものではない。 |
原処分庁 | 請求人ら |
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原処分庁は、調査時に本件各土地の周辺地及び利用状況からみて、本件通達に定める「広大地」に当たらない旨を請求人らに対して説明しており、そもそも、相続税の更正処分については、請求人らの主張する「地域指定」等の調査内容をはじめとする処分の理由を付記しなければならないとする法令の規定はないから、請求人らの主張する事情をもって本件更正処分が違法、不当となるものではない。 | 原処分庁が更正時点において、本件通達でいう広大地に該当しない理由を明確に示しておらず、本件通達を適用できない理由を明確に説明せずにされた本件更正処分は不当であり、取り消されるべきである。 |