別紙2−1

請求人が従事する各業務に関する双方の主張
請求人の主張 原処分庁の主張
1 毎年の総勘定新元帳の作成
(1) 新元帳の各頁の口座名にゴム印押なつ、口取りの貼付、新旧繰越残高の突合、記載等を行う。
(2) もともと、総勘定元帳の記帳は請求人が行っていたが、各年分の記帳は、平成14年1月に死去した母の介護疲れなどで請求人が体調を崩して入院した等の事情から、夫Cが行っていた。
1 年間を通じて経常的に行う業務ではない。
 総勘定元帳各勘定の繰越欄の筆跡とそれ以外の欄の筆跡は同一であるから、当該事務を請求人が行っているとは認められない。
2 試算表の作成等
(1) 毎月末の試算表の作成は、各勘定残高のパソコン入力、プリントアウト、貸借不突合の捜索、発見等を行う。
(2) 請求人は、毎月の試算表をパソコンに上書き保存していたので、前月分の試算表しか保存されていない。元帳の修正は記帳者である夫Cが行っており、請求人が修正しているとは主張していない。試算表の作成は、単に各勘定科目の金額をパソコンに入力するだけではなく、貸借不突合に多大な時間を要している。
2 平成17年9月6日において、同年6月30日現在の試算表以外の保存がないことから、請求人が毎月試算表を作成していたとは認められず、また、請求人は、試算表作成に30分もかからないと申述していることから、204時間も従事しているとは認められない。
 また、総勘定元帳の修正箇所の筆跡は修正前の筆跡と同じであり、請求人が記帳過誤の修正をしているとは認められない。
3 確定申告書作成準備顧問税理士に提出する所得内訳書等の書類の取り揃え、依頼状の作成、発送を行う。 3 年間を通じて経常的に行う業務ではない。
4 税務署への申告書等の提出
 確定申告書等の提出に最低年3回税務署に出向いている。
4 年間を通じて経常的に行う業務ではない。
5 銀行に出向く業務
(1) E銀行F支店(以下「F支店」という。)及びG支店(以下「G支店」という。)に赴いて、夫C名義のF支店の普通預金口座(口座番号○○○○。以下「本件口座」という。)から、預金引き出し、振込送金、夫C名義の別口座への振替、各種税金の支払及び本件口座の通帳の記帳(以下「本件通帳の記帳」といい、これらの業務を併せて「本件銀行業務」という。)を行う。
 本件通帳の記帳を除く本件銀行業務は平成14年に57回、平成15に年60回、平成16年に70回であり、概算年平均62回である。
 また、顧問先からの振込入金の確認のため本件通帳の記帳が月4回、及び夫C所有の不動産の賃貸料の振込入金の確認のためH銀行J支店の通帳の記帳が月1回あるので、通帳の記帳回数の合計は年60回となる。
(2) 請求人は、原処分庁所属の調査担当者に対し、同人が利用するのはG支店が主で、夫Cの都合が悪いときにはG支店以外の銀行にも行っていると述べたのであり、銀行取引はどちらの支店でも支障なくできる。
(3) 振込依頼票には誰が振込みを行ったかの記載はなく、F支店において請求人が振込みを行ったものは当然ある。また、振込業務は本件銀行業務の一部にすぎない。平成16年中に銀行に出向いて行った取引及び記帳業務は250件あり、このうち当該振込みは41件で、全体の16.4%にすぎない。
5 請求人の申述によれば、夫Cの具合が悪いときには銀行預金の入出金や振込手続をすることはあるが、定期的に行っていないこと及び平成16年分の伝票綴りに保存されたE銀行振込依頼票41枚のうちF支店のものが40枚であることから、請求人が経常的に当該業務全般を行っているとは認められない。
6 現金の出納業務
(1) 現金の保管、入出金の管理を行っているが、元帳によれば各年分の入出金回数は年平均390回ある。
(2) 夫Cの事業に係る現金の保管、入出金の管理は、すべて請求人が行っているところ、原処分庁は何ら証拠を示していない。
6 上記5からすれば、請求人が事業上の現金出納に関する業務全般に従事しているとは認められない。
 また、支払の大半は夫Cが現金で行っていると認められるから、1回ごとの支払に請求人が5分を費やすとは認められない。
7 伝票、元帳等の整理
(1) 伝票、元帳等の整理や綴じ込み、保管業務を毎月行う。
(2) 「帳簿に記載がない」ことと請求人が「整理・保管」していることとの間には全く因果関係がなく、原処分庁の主張には理由がない。
7 夫Cが振替伝票、入出金伝票を起票していると申述していること、平成17年9月6日に提示された帳簿には同年6月30日以後の記載がないことから、請求人が毎月、伝票及び元帳等の整理、保管業務を行っていたとは認められない。
8 住所録の管理
 夫Cの場合、弁護士の営業活動として、書信交換を中心にしているので、住所録の整備はきわめて重要な業務であり、顧問先役員、弁護士仲間、高校、大学、運動部、過去の勤務先の知人等900名の住所録の管理は結構な事務量がある。
8 年間を通じて経常的に行う業務ではない。
9 挨拶状等の返信
 営業活動として、夫Cに対する転勤、昇進・退任、転居、時候の挨拶状等に対する返信業務を行う。
9 年間を通じて経常的に行う業務ではない。
10 年賀状のデザイン
 年賀状は事業の広告手段であり、デザインの考案、印刷所との折衝・校正等の作業に60時間を要する。
10 年間を通じて経常的に行う業務ではない。
11 年賀状の宛名書き・発送
 営業活動として出す900通の年賀状の宛名書き及び発送業務を行う。
11 年間を通じて経常的に行う業務ではない。
12 年賀状による住所の確認
 夫Cに来た年賀状の住所を確認し更新する作業を行う。
12 年間を通じて経常的に行う業務ではない。
13 贈答品の送付等
 夫Cに係る中元、歳暮、慶祝等の贈答品の選定、購入、発送業務を行う。
 選定・発送に16時間、礼状作成等を含め計28時間を要する。
13 年間を通じて経常的に行う業務ではない。
14 研究室における業務
(1) 夫CがQ市q町○○番地(以下「本件研究室」という。)で行う法律業務を補助するため、本件研究室の清掃、来訪者の接遇、書類のコピー作成、夫Cに対するお茶出し等を行う。また、本件研究室の維持管理業務として各種法定設備点検への立会い、修繕工事、機器据付工事への立会い等を行っている。
 本件研究室で従事したときは出勤簿に「ヶ」と記入しており、平成14年に55回、平成15年に92回、平成16年に67回、年平均で71回となり、少なくとも1回当たり3時間を要する。
(2) 夫Cは「14回」と述べた記憶はないし、平成17年の来客数をもって証拠とはなり得ない。請求人は上記の業務を行っている旨原処分庁所属の調査担当者に述べている。
(3) 本件研究室の壁の造付戸棚に法律に関する書物等を入れており、原処分庁所属の調査担当者はこの戸棚を見ていない。
 また、本件研究室で行っている法律事務は、各種契約書案作成や修訂が主で、法律書がほとんど必要ないのである。
14 夫Cは、平成17年1月から同年10月18日までの本件研究室への来客は14回であると申述したこと、また、請求人は、来客があった前後の清掃及びマンションの定期検査のための立会いを行っていると申述したことから、請求人が主張するような頻度で本件研究室に行っているとは認められない。
 また、本件研究室には美術書等が存在するものの法律書などの書物が存在していなかった。
15 自動車の運転
(1) 請求人は、他に用事がない限り、夫Cが所属事務所へ出勤したり、顧問先へ直行する場合等、自動車を運転して同人を送る業務を行う。週3回、車庫出し・車庫入れ及び往復に要する時間は最低2.5時間を要する。
(2) 請求人の自宅から所属事務所までは、往路に1時間(身支度、カバー脱着、門扉開閉、路上までの徐行を含む。)、帰路は渋滞のため1時間半を要する。
(3) 請求人が顧問先へ車で送るのは自宅から直行の場合であり、地下鉄の回数券は、請求人が業務のために使用するもので、夫Cは全く利用していない。
15 K社が提供する「○○○○」によれば、請求人の自宅から所属事務所までの距離は7.2キロメートルで、所要時間は片道20分程度であることから、請求人が夫Cを車で所属事務所まで送ることがあったとしても、1回当たり2時間30分を要することはない。
 また、夫Cは、原処分庁所属の調査担当者に対し、月に10回程度、請求人に運転してもらう旨申述しているところ、顧問先への訪問及び帰宅にタクシーを利用している旨申述し、これに沿う出金伝票が存在する一方、地下鉄の回数券の定期的購入がされていることからすれば、夫Cは所属事務所への出勤のほとんどを地下鉄又はタクシーで行っているものと認められる。
16 スケジュール管理等の秘書的業務
(1) 夫Cの業務日程、アポイントメントの管理等の秘書的業務を行う。
(2) 夫Cのスケジュールは週の初めに請求人に伝えられ、それにより夫Cの注意喚起を行う。また、出張の際の乗車券購入も行っている。
16 夫Cは、スケジュールを自己の手帳で管理している旨申述しているから、請求人が秘書的業務を行っているとは認められない。

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