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(平19.9.4、裁決事例集No.74 24頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 審査請求人(以下「請求人」という。)は、平成17年1月1日から同年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)について、確定申告書に納付すべき消費税等の税額を○○○○円と記載して、法定申告期限までに申告した(以下「本件申告」という。)。
(2) 請求人は、平成18年3月24日、本件申告により確定した納付すべき消費税等の税額○○○○円のうち、納付した○○○○円を除く○○○○円(以下「本件本税額」という。)について納税の猶予申請書を提出したところ、原処分庁は、同年6月21日付で納税の猶予不許可処分(以下「本件不許可処分」という。)をした。
(3) 請求人は、本件不許可処分を不服として、平成18年8月8日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年11月21日付で異議申立てを棄却するとの異議決定をした。
(4) 請求人は、異議決定を経た後の本件不許可処分を不服として、平成18年12月20日に審査請求をした。

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2 判断

(1) 認定事実

 当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
イ 原処分庁は、平成18年6月21日付で、本件本税額につき国税徴収法第151条《換価の猶予の要件等》第1項第1号の規定に基づき、猶予期間を平成18年4月1日から平成19年3月31日までとする換価の猶予(以下「本件換価の猶予」という。)をした。
ロ 本件本税額は、分割納付により平成19年3月23日までにその全額が納付され、これにより延滞税額は○○○○円(以下「本件延滞税額」という。)となった。
ハ 原処分庁は、平成19年3月29日付で、本件延滞税額について、国税通則法(以下「通則法」という。)第63条《納税の猶予等の場合の延滞税の免除》第1項及び租税特別措置法(以下「措置法」という。)第94条《延滞税の割合の特例》第2項の規定に基づき、平成18年6月1日から平成19年3月23日までの期間に対応する部分の金額のうち○○○○円(以下「本件延滞税免除額」という。)を免除した。
ニ 本件延滞税免除額は、仮に本件本税額につき納税の猶予が許可されたとした場合の通則法第63条第1項及び措置法第94条第2項の規定に基づく延滞税の免除額と同額である。

(2) 判断

 審査請求によって処分の取消しを求めるには、請求人にその取消しを求める利益があることが必要である。
これを本件についてみると、上記(1)のロないしニのとおり、本件本税額は既にその全額が納付されている上、本件延滞税額についても、本件換価の猶予によって、納税の猶予が許可されたとした場合の免除額に相当する額が免除されていることから、請求人には本件不許可処分の取消しを求める利益はないといわざるを得ない。
したがって、本件審査請求は請求の利益を欠く不適法なものである。

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