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(平20.4.25、裁決事例集No.75 401頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

 本件は、D等の○○教室業等を営む審査請求人(以下「請求人」という。)が、卒業式において供した昼食等に係る費用について、原処分庁が交際費等に当たるとして法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が、当該費用は交際費等に該当しないとして、これらの処分の全部の取消しを求めた事案である。

(2) 審査請求に至る経緯

イ 請求人は、平成18年1月1日から平成18年12月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税について、青色の確定申告書に所得金額を○○○○円及び納付すべき税額を○○○○円(中間納付額の還付金額○○○○円)と記載して提出期限(法人税法第75条の2《確定申告書の提出期限の延長の特例》第1項の規定により1月間延長されたもの。)までに原処分庁に提出した。
ロ 原処分庁は、これに対し、原処分庁所属の調査担当職員の調査に基づき、平成19年6月29日付で本件事業年度の法人税について、所得金額を○○○○円及び納付すべき税額を○○○○円とする更正処分(以下「本件更正処分」という。)並びに過少申告加算税の額を○○○○円とする賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をした。
ハ 請求人は、これらの処分を不服として、平成19年7月27日に審査請求をした。

(3) 関係法令の要旨

イ 租税特別措置法(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下「措置法」という。)第61条の4《交際費等の損金不算入》第1項は、支出する交際費等の額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない旨規定している。
ロ 措置法第61条の4第3項は、同条第1項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等(以下「事業関係者等」という。)に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」という。)のために支出するものをいう旨規定している。

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(4) 基礎事実

 以下の事実は、請求人と原処分庁との間に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 請求人は、請求人作成の会社案内によれば、○○教室「E会」の企画・運営、○○等の製造・販売並びに出版事業等を業としている。
ロ 請求人が作成するパンフレット「○○教室 E会入会案内 2007年春改訂版」には、要旨次のとおり記載されている。
(イ) 請求人は、請求人の営む○○教室について、全国をPエリア、Qエリア、Rエリア及びSエリアの四つのエリアに分け、合計約数千の○○校を有している。
(ロ) 請求人の営む○○教室の各講座の中で、本科コースのうち免状コースは、Dコース、Fコース、Gコース、Hコース、Jコース、Kコース、Lコース、Mコース及びNコースから成り、初級講座ないし上級講座の各講座、師範講座及びZ講座から構成される。
 免状コースに属する各コースの初級講座ないし上級講座の各講座に続き師範講座までの全授業課程を修了した受講生は、免状を取得することができ、さらに、Z講座を修了し、承認証を取得した者はE会○○校を開校できる資格を与えられる。
(ハ) 免状コースに属する各コースの師範講座までの授業課程を修了した受講生が上記(ロ)の免状を取得するためには、請求人に対して授業料とは別に免状料として○○円を支払う必要がある(以下、請求人が受講生から支払を受ける免状料○○円を「本件免状料収入」という。)。
(ニ) 請求人から免状又は承認証を授与された者は、それぞれの資格に応じ、講師セミナー、その他の講座を受講することができる。
ハ 上記ロの(イ)の各エリアの地理的範囲は、例えば、Pエリアは、○○、○○及び○○等にわたる。
ニ 請求人は、受講生に上記ロの(ロ)の免状を授与するに際し、夏期及び冬期の年2回、Pエリアについては○○及び○○、Qエリアについては○○及び○○、Rエリアについては○○、Sエリアについては○○及び○○の全国7か所のホテルを会場として、卒業式を行っている(以下、各地で行われる卒業式を「本件各卒業式」という。)。
ホ ○○教室の受講生で免状コースに属する各コースの師範講座までの全授業課程を修了した者のうち、請求人に対して、免状取得申込書を提出し、免状料を支払った者(以下「本件卒業生」という。)で、かつ卒業式への出席を希望した者が、本件各卒業式に出席できる。
ヘ Pエリア(会場:○○ホテル)の卒業式に係る平成18年11月○日付の「《卒業式進行予定表》第○回卒業式(○○ホテル)於11月○日」と題する書面には、要旨次のとおり記載されており、請求人は、本件各卒業式において、会場であるホテル側の料理長等によるメニュー紹介に続き、乾杯及び歓談等の時間帯において、出席者に対し昼食(乾杯用シャンパンを含む。)を供与している。
 なお、同会場以外の他の会場の卒業式進行予定表又は式次第においても、規模などによる相違はあるものの、基本的には同会場と同様の内容が記載されている。

時間 式次第
11時00分 開会
11時01分 開会の辞
11時03分 T理事長 祝辞
11時08分 U専務 祝辞
11時13分 5エリア長統括 祝辞
11時17分 Wエリア長 祝辞
11時21分 Xエリア長 祝辞
11時30分 免状授与式
12時40分 ○○長 送辞
12時45分 卒業生代表 答辞
12時50分 卒業生OG 祝辞
12時55分 メニュー紹介
12時58分 乾杯
歓談
祝電紹介
来賓祝辞
14時00分 Pエリア ○○長・○○補佐 紹介
請求人 役員・スタッフ紹介
14時20分 スローガン 全員 唱和 起立
14時30分 閉会
15時30分 スナップ撮影
終了

ト Qエリア、Rエリア及びSエリアの5会場の本件事業年度に係る卒業式進行予定表又は式次第によれば、昼食が供与される時間帯について「卒業祝賀パーティー」と記載されている。
チ 請求人は、本件事業年度において、別表の「ホテルへの支払額」欄のとおり、本件各卒業式の会場である各ホテルに支払った金額のうち、本件各卒業式を行うために要した費用の合計額18,108,111円(以下「本件各卒業式費用」という。)を広告宣伝費に計上し、損金の額に算入した。
リ 原処分庁は、本件各卒業式費用のうち、別表の「昼食等に係る費用の額」欄に記載した出席者に対する昼食等の供与に要した費用の合計額15,140,779円(以下「本件各昼食費用等」という。)を措置法第61条の4第3項に規定する交際費等に該当するとして、本件更正処分を行った。

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2 主張

(1) 原処分庁

 原処分は、次の理由により適法である。
イ 本件更正処分について
(イ) 請求人は、本件卒業生を本件各卒業式の出席資格者としていることから、本件各卒業式費用の支出の相手方は、請求人の事業関係者等であると認められるところ、本件各卒業式は、開会後「免状授与式」が行われ、その後、「卒業祝賀パーティー」(以下「本件各パーティー」という。)と題して、出席者に酒食の提供が行われていることから、本件各パーティーは請求人が出席者との親睦を深めることなどを目的に酒食のもてなし、すなわち、供応、接待のために行われているものと認められる。
(ロ) したがって、本件各卒業式費用のうち本件各パーティーに係る本件各昼食費用等は、措置法第61条の4第3項に規定する交際費等であると認められる。
ロ 本件賦課決定処分について
 上記イのとおり、本件更正処分は適法であるところ、請求人が本件事業年度の所得金額を過少に申告したことについて、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する「正当な理由があると認められるものがある場合」には該当しないから、本件賦課決定処分は適法である。

(2) 請求人

 原処分は次のとおり違法であるので、いずれもその全部を取り消すべきである。
イ 本件更正処分について
 本件各昼食費用等は、次のとおり税務上の交際費等に該当しないので、これを交際費等として認定して行われた本件更正処分は違法である。
(イ) 請求人は、本件各卒業式費用については、本件各卒業式において格式ある厳粛な免状授与式を行うこと等請求人の業務の遂行を目的に支出するものであり、また、これによって多額の収入を得ることができる。
(ロ) 本件各卒業式は、長時間にわたり、かつ昼食時間帯をまたがって行われることから、請求人は、その中間に出席者に対して昼食を提供しているにすぎず、また、請求人は、昼食代相当額も加味した上で免状料を受領していることから当然の義務として本件卒業生に対して昼食を提供するものであり、請求人が本件卒業生を接待するために昼食を提供しているものではない。
 また、その昼食の内容は、格式ある厳粛な免状授与式に見合う程度の社会通念上必要な程度のものであり、昼食時に提供される酒類は、食事に先立って行われる儀式としての乾杯のために供される極めて小さなシャンパングラス1杯のシャンパンのみであり、そのほかにはいかなる酒類も提供されない。
 なお、仮に、免状料に昼食代相当額が含まれていない場合においても、これらの昼食の内容に照らせば、本件各昼食費用等は、社会通念上通常要する程度の費用の支出に該当するということができ、税務上の交際費等には該当しない。
ロ 本件賦課決定処分について
 上記イのとおり、本件更正処分は、違法であるから、本件賦課決定処分もその前提を欠く違法な処分である。

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3 判断

 本件は、本件各昼食費用等が、措置法第61条の4第3項に規定する交際費等に該当するか否かについて争いがあるので、判断する。

(1) 認定事実

 原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
イ 本件各卒業式の出席者は、上記1の(4)のホにある条件を満たした者、請求人の代表取締役、その他の取締役、監査役、請求人の従業員及び来賓である。
ロ 本件事業年度における本件卒業生の数は、夏期が約1,800名、冬期が約1,900名である。
ハ 請求人が本件卒業生に授与するDコースに係る免状には、「あなたはE会のD師範講座課程を卒えたことを証し講師の称号を授与する」と記載されており、他のコースの免状も同様に記載されている。
ニ 本件各卒業式において供与された昼食の内容は、乾杯用シャンパンに加え、Pエリア(会場:○○ホテル)において平成18年11月○日に行われた卒業式に係る同ホテル作成のメニューによれば、スープ、メインディッシュ、サラダ、デザート及びコーヒーで構成されている。
ホ 本件各卒業式の会場である各ホテル発行の請求書によれば、本件各卒業式において供与される料理の単価は3,300円から5,000円程度であり、また、酒類は、昼食に先だって行われる乾杯で供与されるシャンパングラス1杯のシャンパンのみであり、そのほかに酒類は供与されていない。

(2) 代表者の答述

 請求人の代表取締役であるY(以下「Y社長」という。)は、当審判所に対して要旨次のとおり答述している。
イ 卒業式を行う趣旨は、免状コースに含まれる各コースの初級講座から上級講座及び師範講座までの全授業課程を修了した者が免状を取得して講師となる資格を取得するという区切りとしての儀式を行うことにある。
ロ 昭和60年までは、卒業式を各教室において開催していたが、請求人の事業の規模が拡大し、教室の数も増加するに伴って、請求人の役員等が各教室で行われる卒業式に出席することが困難となったことから、昭和61年から全国の主要都市に集約して卒業式を実施することとし、一定の規模以上の開催場所が必要となったため、本件各卒業式の会場としてホテルを利用することとなったものである。
ハ 本件各卒業式において供与する昼食は、卒業式が長時間に及び、昼食の時間帯をまたがって行われることから、出席者に供与するものである

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(3) 本件更正処分について

イ 法令解釈
 上記1の(3)のロのとおり、措置法第61条の4第3項は、交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、事業関係者等に対する接待等のために支出するものをいう旨規定しており、当該支出が交際費等に該当するかどうかについては、1支出の相手方が事業関係者等であり、2支出の目的が、事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図るためであるとともに3支出の原因となる行為の形態が、接待等であることの三要件に該当することが必要であると解される。
 そして、支出の目的が接待等のためであるか否かについては、当該支出の動機、金額、態様、効果等の具体的事情を総合的に判断して決すべきであり、また、接待等に該当する行為とは、一般的にみて、相手方の快楽追求欲、金銭や物品の所有欲などを満足させる行為をいうと解される(東京高等裁判所平成15年9月9日判決)。
ロ 本件各昼食費用等について
(イ) 支出の相手方
 本件各卒業式の出席者は、上記(1)のイのとおりとされており、本件卒業生については、上記1の(4)のロの(ロ)及び上記(1)のハのとおり、講師の資格を取得し、さらにZ講座を修了することによってE会○○校を開設することができ、また、上記1の(4)のロの(ニ)のとおり、講師セミナー等の各講座を受講する資格を取得することができることから、今後、請求人と一定の取引関係を有する可能性のある者である。
 したがって、本件各昼食費用等の支出の相手方である本件各卒業式への出席者は、請求人の事業関係者等に該当するものと認められる。
(ロ) 支出の目的
A 本件各卒業式の趣旨及び会場について
(A) 上記1の(4)のヘに記載した式次第によれば、本件各卒業式は、免状授与式を中心としてその前後に請求人の役員、従業員及び来賓による祝辞並びに役員及び従業員等の紹介が行われており、また、上記(1)のハの免状には、講師の称号を授与する旨の記載がされているとともに、Y社長は、上記(2)のイのとおり、卒業式は上記(1)のハの免状により講師の資格を取得するという儀式である旨答述していることからすれば、本件各卒業式の目的は、本件卒業生に免状を授与することにあるものと認められる。
 そして、上記(1)のロのとおり、本件卒業生の数が平成18年夏期が約1,800名、冬期が約1,900名であること、及び本件免状料収入の金額が○○円(1人当たり)であることから、本件事業年度において請求人の収益となる本件免状料収入は○○○○円を超える金額となり、請求人の本件事業年度の損益計算書に計上された売上高が約○○○○円であることにかんがみれば、本件各卒業式は請求人の事業を構成する重要な要素であることがうかがえる。
(B) また、本件各卒業式の会場としてホテルを利用するに至った理由及び経緯について、Y社長は、上記(2)のロのとおり、事業の規模が拡大し、役員等が各教室で行われる卒業式に出席することが困難となり、主要都市に集約して一定規模以上の開催場所が必要となった旨答述しており、このことは、上記(1)のイのとおり、本件各卒業式にはY社長その他の役員等が出席していること、及び本件卒業生の数が、平成18年夏期が約1,800名、冬期が約1,900名であることからすれば、相当な理由があるということができ、その他に当該答述内容を否定するに足る事実も認められない。
(C) したがって、本件各卒業式は請求人の事業における重要な収入源であるということができるとともに、本件各卒業式の式次第等からみても、本件卒業生に免状を授与することが本件各卒業式を行う本来の目的であると認められ、かつ、本件各卒業式がホテルを会場として行われることにも、一定の合理性が認められる。
B 昼食を供与する理由並びに内容及び程度について
(A) 請求人は、上記1の(4)のヘのとおり、本件各卒業式の歓談の時間帯において、昼食を供与しているが、当該昼食は、ホテル側からのメニュー紹介に続く乾杯で始まり、昼食を供与する時間帯においても引き続き来賓による祝辞及び祝電紹介等が行われていることから、昼食も本件各卒業式の一環であると認められる。
 そして、Y社長は、昼食を供与する理由について、上記(2)のハのとおり、卒業式が長時間に及び、昼食の時間帯にまたがっていることを理由としているところ、1上記1の(4)のニのとおり、本件各卒業式が、○○、○○及び○○等という主要都市の各ホテルを会場としていること、2上記1の(4)のロの(イ)のとおり、請求人の教室が全国にわたっていること、及び3上記1の(4)のハのとおり、各エリアの地理的範囲が極めて広いため、遠隔地から出席する者も想定されることから、本件各卒業式の開始時間及び終了時間がそれぞれ午前11時及び午後3時30分に設定されている(Pエリア(会場:○○ホテル)の場合)ものと認められ、これらのことを考慮すると、昼食を供与することに相当な理由があるものといえる。
(B) また、本件各卒業式で供与される昼食の内容及び程度については、上記(1)のニ及びホのメニューや単価からすると、殊更豪華な昼食とは認められず、さらに、昼食において供与される酒類は、上記(1)のホのとおり、乾杯において供与されるシャンパングラス一杯のシャンパンのみで、そのほかに酒類は供与されていないことからすれば、本件卒業生の講師の資格を取得することを目的とした区切りの行事において儀礼的に供与される程度のものであると認めるのが相当である。
(C) したがって、本件各卒業式において昼食を供与することには合理的な理由があるということができ、また、本件各卒業式が行われる場所、供与される酒類の量及び食事の程度を併せ考えれば、本件各卒業式において社会通念上供与されると認められる通常の昼食の範囲内にあるというべきである。
C 本件各昼食費用等の支出の目的について
 上記A及びBのとおり、本件各卒業式は、1所定の授業課程を修了した者が、請求人における講師の資格を取得して今後受講生を指導する立場になることについての区切りの行事として、免状授与式を中心に行われること、2規模の拡大等に伴いホテルを会場とするに至ったこと、3請求人の教室が全国に存在し、遠距離から出席する者もいることを考慮して開始時間及び終了時間が設定されていることに併せて、本件各卒業式が長時間に及ぶため、昼食時間帯をまたがって行われること、及び4供与される食事は、社会通念上供与されると認められる通常の昼食の範囲内にあり、酒類は、儀礼的な乾杯のためにのみ供与されていること等の事情を総合的に判断すると、免状を本件卒業生に授与することを目的とした区切りの行事であり、本件各卒業式の中間に出席者に昼食等を供与する行為は、本件各卒業式の式次第を構成する一要素にすぎないというべきである。
 したがって、本件各卒業式において昼食等を供与する目的は、事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図ることにあるとは認められない。
(ハ) 行為の形態
 本件各卒業式において昼食及び乾杯のための酒類を供与する行為は、上記(ロ)のとおり、本件各卒業式において、ホテルを会場として昼食を供与する必要性があること、及び供与される昼食は社会通念上供与されると認められる通常の昼食の範囲内にあり、酒類は儀礼的な乾杯のためにのみ供与されていることから判断すれば、当該行為が直ちに出席者の上記イの快楽追求欲を満足させる接待等に該当するものとまではいうことはできない。
 この点に関して、原処分庁は、本件各卒業式においては、免状授与式のほか本件各パーティーが行われ、本件各パーティーでは、出席者に酒食の供与が行われていることから、本件各パーティーは請求人が出席者との親睦を深めることなどを目的に酒食のもてなし、すなわち、供応、接待のために行われているものと認められる旨主張するが、本件各卒業式については前述のとおりであり、卒業祝賀パーティーと題して、当該昼食及び乾杯のための酒類の供与が行われたことについて、当該事実のみをもって、直ちに接待等に該当するとまではいえないから、この点に関する原処分庁の主張は採用できない。
ハ 以上のとおり、本件各昼食費用等は、上記イに掲げた1支出の相手方が事業関係者等とは認められるものの、2支出の目的が、事業関係者等との間の親睦の度を密にして取引関係の円滑な進行を図るためであるということはできず、3支出の原因となる行為の形態が、接待等であるとは認められない。
 したがって、本件各昼食費用等は、措置法第61条の4第3項に規定する交際費等には該当しないものと認められるから、本件更正処分についてはその全部を取り消すべきである。

(4) 本件賦課決定処分について

 上記(3)のとおり、本件更正処分は、その全部を取り消すべきであるから、本件賦課決定処分についてもその全部を取り消すべきである。

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