(平22.4.22、裁決事例集No.79)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が賃金格差を理由として勤務先であったD社に対して損害賠償を請求し、賃金相当額等の支払を命ずる判決を獲得し、それに基づいて支払を受けた金員のうち賃金相当額及び弁護士費用賠償金に係る各遅延損害金について、原処分庁が、当該遅延損害金は雑所得に該当するとして所得税の更正処分等を行ったのに対し、請求人が、当該遅延損害金は非課税所得である旨、仮に課税所得であるとしても一時所得に該当する旨主張して、その全部の取消しを求めた事案である。

(2) 審査請求に至る経緯

 平成19年分の所得税について、審査請求(平成21年4月27日請求)に至る経緯及び内容は、別表のとおりである。
 なお、以下、平成20年12月5日付でされた平成19年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を、それぞれ「本件更正処分」及び「本件賦課決定処分」という。

(3) 関係法令

イ 所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの。以下同じ。)第9条《非課税所得》第1項第16号は、損害保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるものについては、所得税を課さない旨規定している。
ロ 所得税法第34条《一時所得》第1項は、一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう旨規定している。
ハ 所得税法第35条《雑所得》第1項は、雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう旨規定している。
ニ 所得税法第36条《収入金額》第1項は、その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額とする旨規定している。
ホ 所得税法第37条《必要経費》第1項は、その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする旨規定している。
ヘ 所得税法施行令(平成22年政令第50号による改正前のもの。以下同じ。)第30条《非課税とされる保険金、損害賠償金等》は、所得税法第9条第1項第16号に規定する政令で定める保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)は、第1号から第3号までに掲げるものその他これらに類するもの(これらのものの額のうちに同法第9条第1項第16号の損害を受けた者の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合には、当該金額を控除した金額に相当する部分)とする旨規定しており、第1号には、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金が、第2号には、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金(これらのうち同令第94条《事業所得の収入金額とされる保険金等》の規定に該当するものを除く。)が、第3号には、心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金(同令第94条の規定に該当するものその他役務の対価たる性質を有するものを除く。)がそれぞれ掲げられている。
ト 労働基準法第13条《この法律違反の契約》は、同法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とし、この場合において、無効となった部分は、同法で定める基準による旨規定している。

(4) 基礎事実

イ 請求人は、平成○年○月○日、D社を相手に、賃金等の支給につき不合理な差別を受けたことを理由に、不法行為による損害賠償請求権に基づき、昭和○年から平成○年までの間に差別がなかったとすれば支給されたはずの賃金、一時金、世帯手当及び退職金と現実に支給された賃金、一時金、世帯手当及び退職金(以下「本件賃金等」という。)との差額相当損害額及びこれに対する支払済まで年5分の割合による金員の支払を求めて○○地方裁判所に提訴(以下「本件訴訟」という。)した。
 本件訴訟については、平成○年○月○日、○○地方裁判所において、損害賠償請求の一部を認容し、平成○年○月○日、○○高等裁判所において、同判決(附帯控訴あり)を一部変更し、D社に対し、請求人に、基本給、一時金、世帯手当及び退職金の損害額○○○○円(以下「本件損害賠償金」という。)、弁護士費用○○○○円(以下「本件弁護士費用賠償金」という。)及びこれらに対する支払済まで年5分の割合による金員の支払を命ずる判決(以下「本件判決」という。)がされ、本件判決は、平成19年○月○日、最高裁判所第二小法廷の上告棄却・不受理決定により確定した。
ロ 本件判決の確定により、D社は、平成19年○月○日、請求人の訴訟代理人名義の普通預金口座に、○○○○円(本件損害賠償金○○○○円、本件弁護士費用賠償金○○○○円、本件損害賠償金に係る遅延損害金○○○○円及び本件弁護士費用賠償金に係る遅延損害金○○○○円を合計した金額)を振り込んだ。

(5) 争点

争点1 本件損害賠償金に係る遅延損害金は、非課税所得か否か。
争点2 本件弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、所得を構成するか否か。

トップに戻る

2 主張

(1) 争点1(本件損害賠償金に係る遅延損害金は、非課税所得か否か。)

原処分庁 請求人
イ 請求人が受け取った本件損害賠償金に係る遅延損害金は、本件損害賠償金の支払が遅延したことに起因するものであり、D社が各事業年度の○月○日(ただし、平成○年○月までに支給されたものについては平成○年○月○日、同年○月以降に実際に支給された退職金の額と差別がなかったとすれば支給されたはずの退職金の差額相当額は退職金の支給日の翌日)からそれぞれ支払うまでの間、年5分の割合による金員を支払うこととされており、利息に相当するものであるということができるから、非課税所得に該当しない。  イ 本件損害賠償金は、その人の尊厳と人格権を侵害したという心身に加えられた損害に基因して取得した損害賠償金であるから所得税法施行令第30条第1号に規定する非課税所得に該当し、これに附帯して発生した本件損害賠償金に係る遅延損害金も非課税所得に該当する。
 また、本件損害賠償金に係る遅延損害金は、支払が遅延したことに対する損害賠償金であり、支払が遅れることで被る損害金を測定するため、民法の規定により金利概念を用いているものであり、これをもって利息として判断すべきではない。
ロ 本件損害賠償金に係る遅延損害金は、D社からの支払が一括して行われているものの、本件損害賠償金の支払が遅延しているという継続的行為に起因した利息に相当するものであり、偶発的に生じたものではなく、その経済的性格は、金銭の貸付として継続的に期間の経過とともに生じる利子と同様のものといえるから、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しており、一時所得に該当しない。
 したがって、本件損害賠償金に係る遅延損害金は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当せず、雑所得に該当する。
ロ 仮に、本件損害賠償金に係る遅延損害金が課税所得であるとした場合、遅延損害金が利息的な手法で測定されていても、あくまでも債務者が債務を履行しないことに起因したもので、請求人が役務を提供したものではなく、労務や資産の譲渡の対価でないことは明らかであるから、所得税法第34条の一時所得の定義、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」に該当すること及び最長○年間の遅延損害額を一時に受け取ったことから、一時所得に該当する。

(2) 争点2(本件弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、所得を構成するか否か。)

原処分庁 請求人
 本件弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、請求人が訴訟を行うために支払った弁護士費用について、仮に請求人が弁護士費用を支払わなければ得られたであろう利益(利息に相当する額)を遅延損害金で補てんしているといえるから、所得(雑所得)を構成する。  本件弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、主たる債権から派生する従たる債権であって、主たる債権と一体の関係にあることから、本件弁護士費用賠償金が所得から除外されるのであれば、本件弁護士費用賠償金に係る遅延損害金も所得を構成しない。

トップに戻る

3 判断

(1) 法令解釈

イ 所得税法は人の担税力を増加させる経済的利得はすべて所得を構成するという包括的所得概念を採用しており、人の担税力を増加させる経済的利得は、その源泉、形式、合法性の有無を問わず、すべて所得として把握するものとし、非課税とする趣旨の規定がない限り、これを課税対象としているものと解するのが相当である。
 そして、この人の担税力を増加させる所得をその担税力の違いに着目して、源泉ないし性質により10種類に分類し、それぞれ個別に所得の金額を計算することを基礎としているが、その計算の方法は、基本的には「収入すべき金額」から「必要経費」を控除することとし、具体的には所得税法第36条第1項において、別段の定めがある場合を除き、各種所得の金額の計算上計上すべき収入金額又は総収入金額を「収入すべき金額」としており、外部からの経済的価値の流入を収入と捕らえているものと解するのが相当である。
ロ 所得税法第9条第1項第16号に規定する「損害に基因して取得するもの」を非課税所得としている理由は、損害賠償が他人から被った損害を補てんし、損害がないのと同じ状態にすることを目的とするものであって、その間に所得の概念を入れることが酷であるから、これを非課税とし、他方、損害賠償金の名目で支払われたとしても、そのすべてが非課税所得になるわけではなく、本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合に、これが賠償されるときは、喪失した得べかりし所得(利益)が補てんされるという意味において、その実質は所得を得たと同一の結果に帰着するから、このような場合は、非課税所得としないものと解される。
ハ また、不法行為により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金等であっても、事業所得等の収入金額に代わる性質を有するもの又は各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための部分は所得税が課されることとされている。

(2) 争点1(本件損害賠償金に係る遅延損害金は、非課税所得か否か。)

イ 認定事実
 請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ) 本件判決は、要旨次のように判示した。
A 労働基準法は、合理的理由なく、賃金について差別的取扱いをすることを禁じている。
 したがって、○○であることのみを理由として賃金格差のある賃金制度を定め、あるいは、これを是正することなく維持することも禁じられているものであり、このような賃金制度の制定あるいは維持は違法であり、その適用を受けた従業員に対する不法行為を構成するものと解される。
B D社は、○○であることのみを理由として格差のある賃金表を定め、これを是正することなく維持してきたものであるから、違法であり、このことにより請求人に生じた損害を賠償する義務を負う。
 請求人は、D社における賃金等は、基本的に各従業員の年齢及び勤続年数を基準として定められていることから、各年度各月又は各期において請求人と同勤続年数、同年齢の従業員に支給されるべき賃金等と本件賃金等との差額が、D社の不法行為により請求人に生じた損害となると主張して、その賠償を請求しているところ、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約の当該部分を無効と定めた同法第13条が本来予定している労働時間(同法第32条《労働時間》)や年次有給休暇(同法第39条《年次有給休暇》)等の場合と比較してみても、○○である従業員に対する賃金差別に関してその従業員を救済する必要性は低くないことは明らかであるから、このような場合にも同法第13条の規定を類推適用して○○ではない従業員と同等の賃金等の請求権を認めるのが相当であると解される。
C 本件は、不法行為に基づく損害賠償請求であり、その損害額は不法行為がなかった場合と比較して算定されるべきものであるところ、○○ではない従業員に対する賃金等の性格及び労働基準法に違反する従業員の賃金等に対する救済についての同法の趣旨からすると、請求人には、D社の不法行為により、勤続年数、年齢において同等の従業員との賃金等の差額相当の財産的損害が生じたものと認めるのが相当である。
(ロ) 本件損害賠償金に係る遅延損害金は、本件判決において認定された遅延損害金の起算日から平成19年○月○日まで民法所定の年5分の割合で計算された○○○○円である。
ロ 判断
(イ) 本件損害賠償金及び本件損害賠償金に係る遅延損害金は、上記1の(4)のとおり、本件判決において、D社に対し請求人への支払を命じられたもので、D社から請求人の訴訟代理人名義の普通預金口座に振り込まれたのであるから、請求人がその担税力を増加させる経済的利得を得たといえ、請求人の所得を構成する。
(ロ) 本件損害賠償金は、上記イの(イ)のとおり、本件賃金等と差別がなかったとすれば支給されたはずの賃金等の差額に相当する財産的損害に係る賠償金であるから、その実質は請求人の労務の提供に対する対価として支給されるべきものであったといえ、上記(1)のロのとおり、本来請求人の所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失していたものが補てんされたものであるから、非課税所得には該当しない。
(ハ) 本件損害賠償金に係る遅延損害金は、上記イの(ロ)のとおり、不法行為による損害賠償金の支払が遅延したことに基づいて発生する法定の遅延利息(遅延損害金)で、本件損害賠償金が実際に支払われるまで民法所定の年5分の割合で計算された利息相当額である(民法第419条、第404条)。
(ニ) そうすると、所得分類の判断に際しては、上記(1)のイのとおり、その源泉あるいは性質により10種類に分類するところ、本件損害賠償金に係る遅延損害金は、本件損害賠償金の支払が遅延しているという継続的行為に起因した利息に相当するものであり、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しないことから、雑所得に該当することとなる。
(ホ) これに対して、請求人は、本件損害賠償金は心身に加えられた損害に基因して取得した損害賠償金であるから所得税法施行令第30条第1号に規定する非課税所得に該当し、これに附帯して発生した本件損害賠償金に係る遅延損害金も非課税所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件損害賠償金は、上記(ロ)のとおり、非課税所得には該当しないから、附帯して発生している本件損害賠償金に係る遅延損害金も非課税所得であるという請求人の主張には理由がない。
(ヘ) また、請求人は、仮に、本件損害賠償金に係る遅延損害金が課税所得であるとしても、対価性はなく、また、一時に受け取ったものであるから一時所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件損害賠償金に係る遅延損害金は、上記(ニ)のとおり、本件損害賠償金の支払が遅延しているという継続的行為に起因した法定利息に相当するものであり、いわゆる貸付金の利息と同様の性質を有すると認められることから、役務の対価としての性質を有しており、一時所得には該当しないこととなる。
 そうすると請求人の主張には理由がない。

(3) 争点2(本件弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、所得を構成するか否か。)

イ 認定事実
 請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ) 請求人は、第一審判決で認められた損害賠償金額の○%に相当する○○○○円が弁護士費用の損害額であるとして附帯控訴した。
(ロ) 本件判決は、請求人が本件訴訟遂行に要した弁護士費用もD社の不法行為と相当因果関係のある損害と認め、事案の内容、審理経過、認容額等に照らすと、D社に負担させるべき弁護士費用は○○○○円であるとし、遅延損害金の起算日は、附帯控訴状の送達の日の翌日である平成○年○月○日と判示した。
(ハ) 本件判決が弁護士費用として認定した○○○○円は、本件損害賠償金○○○○円の○%相当額であり、これに係る遅延損害金は、上記(ロ)の起算日(平成○年○月○日)から本件弁護士費用賠償金が支払われた日である平成19年○月○日までの期間について、民法所定の年5分の割合で計算された○○○○円である。
(ニ) 請求人は、平成19年○月○日、訴訟代理人に対し本件訴訟に係る弁護士費用として1,562,225円を支払った(以下、この支払を「本件支払」という。)。
ロ 判断
(イ) 本件弁護士費用賠償金及び本件弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、上記イの(ロ)のとおり、本件判決において、D社の不法行為と相当因果関係のある損害と認められてD社の負担とされ、上記1の(4)のロのとおり、本件判決において、D社に対し請求人への支払を命じられたもので、D社から請求人の訴訟代理人名義の普通預金口座に振り込まれたのであるから、請求人がその担税力を増加させる経済的利得を得たといえ、請求人の所得を構成する。
 そして、請求人は、上記イの(ニ)のとおり、D社の不法行為により弁護士に本件訴訟の提起とその追行を委任することを余儀なくされたことによって、本件支払をしたことが認められる。
(ロ) そうすると、本件弁護士費用賠償金及び本件弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、D社の不法行為によって、請求人が支出を余儀なくされる弁護士費用という財産的損害を補てんするための賠償金であることから、所得税法施行令第30条第2号に規定する非課税所得であると認められる。
 なお、本件弁護士費用賠償金及び本件弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、請求人が、業務の収益の補償として取得したものでないこと、また、本件支払は、請求人の業務に関して支出したものでないことはいずれも明らかである。
(ハ) これに対して、原処分庁は、上記2の(2)の原処分庁主張欄のとおり、本件弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、請求人が弁護士費用を支払わなければ得られたであろう請求人の利益(利息に相当する額)であり、所得(雑所得)を構成する旨主張する。
 しかしながら、本件弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、本件弁護士費用賠償金の支払が遅延しているという継続的行為に起因した利息に相当するものであるが、それも請求人において支出を余儀なくされる弁護士費用の一部に充てられたもので、当該遅延損害金が非課税所得に該当することは上記(ロ)のとおりであるから、原処分庁の主張には理由がない。

(4) 本件更正処分

 上記(2)のロのとおり、本件損害賠償金に係る遅延損害金は雑所得に該当し、上記(3)のロのとおり、本件弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は非課税所得に該当するから、これを前提として、当審判所が平成19年分の総所得金額(雑所得の金額)を算定すると○○○○円となり、本件更正処分のその額を下回るから、本件更正処分は、その一部を取り消すべきである。

(5) 本件賦課決定処分

 上記(4)のとおり、本件更正処分のその一部を取り消すべきであるから、本件賦課決定処分の基礎となる税額は○○○○円となる。
 また、当該税額の計算の基礎となった事実については、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められない。
 そうすると、過少申告加算税の額は○○○○円となり、本件賦課決定処分のその額を下回るから、本件賦課決定処分は、その一部を取り消すべきである。

(6) その他

 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によってもこれを不相当とする理由は認められない。

トップに戻る

トップに戻る