別紙8

当事者の主張

争点1 本件営業等委託料、本件事務等委託料及び本件R社営業委託料の金額は、法人税の所得金額の計算上、損金の額に算入されるか否か。
原処分庁 請求人
1 本件営業等委託料及び本件事務等委託料について
 次のとおり、請求人と新L社との間の本件営業等委託契約及び本件事務等委託契約は、実体のない架空の契約であり、本件営業等委託料及び本件事務等委託料は、架空経費であると認定するのが相当であることから、法人税の所得金額の計算上、損金の額に算入されない。
1 本件営業等委託料及び本件事務等委託料について
 次のとおり、請求人と新L社との間の本件営業等委託契約及び本件事務等委託契約において、委託業務を行っていたことは事実であり、当該契約は実体があることから、本件営業等委託料及び本件事務等委託料は、法人税の所得金額の計算上、損金の額に算入される。
(1) 本件営業等委託契約の締結経緯等
 一般に高額の業務委託料を支払う場合、委託者と受託者との間に何らかの事業の関連性があるのが通常であるが、請求人と新L社の行っている事業に直接的な関連性が認められない。また、本件旧営業等委託契約は、まる1請求人は、平成8年3月の契約時から、旧L社が毎月負担している旧L社を含めた関係会社の経費の支払に充てるため、請求人の資金を旧L社に送金していること、まる2当該契約に係る報酬額は旧L社に対する資金援助額に基づき決定していることから、資金援助の体裁を整えるためのものである。
 本件営業等委託契約は、新L社が旧L社から事業を引き継いだことにより締結したものであり、本件旧営業等委託契約と実質的に同一の内容である。
(1) 本件営業等委託契約の締結経緯等
 本件営業等委託業務である名刺営業行為については特に事業の関連性は必要とされず、また、Jの経理業務について必要とされるのは経理業務の経験等であり、事業の関連性が必要とされるものではない。また、本件営業等委託契約及び本件事務等委託契約は、請求人の業務の必要性をもとに旧L社の新しい事業として契約したものであり、当該業務委託契約の報酬額は、旧V社の算定方式を参考として、客観的なデータに基づいて算定しており、原処分庁の主張するような、資金援助を目的として、その体裁を整えるため契約したものではない。
(2) 本件営業等委託契約の従事状況
イ Hは、本件各事業年度において、請求人から役員報酬が支給され、また、本件営業等委託契約に基づく営業業務は請求人の役員として行ったものであり、本件営業等委託契約に基づくものではない旨供述していること。
(2) 本件営業等委託契約の従事状況
イ Hは、本件営業等委託契約に基づき、請求人の営業業務としての名刺営業を行っている。
 当社からの取締役としての役員報酬は、平成9年4月から支払われているが、m地域の情報提供業務に係るものであり、一方、本件営業等委託契約は平成8年3月に締結しているのであって、役員報酬の支払時期との間に関連性はない。
ロ Nについては、H及びJが、本件営業等委託契約に基づく営業業務に従事していなかった旨供述し、査察調査においても、当該業務を行っているものと認められないこと。 ロ Nは、本件営業等委託契約の営業業務の従事者であるが、体調が優れないため、HがNの営業範囲もカバーしていた。
ハ Jは、本件営業等委託契約に基づく経理業務は請求人の役員として行ったものであり、業務委託に基づくものでない旨供述し、また、本件各事業年度において請求人から役員報酬が支給されていること。 ハ Jは、毎月e市に2週間ぐらい滞在し、業務委託契約に基づき、請求人の経理業務を行っている。
 当社の監査役としての役員報酬は、平成9年4月から支払われているが、一方、本件営業等委託契約は平成8年3月に締結しているのであって、役員報酬の支払時期との間に関連性はない。
(3) 本件事務等委託契約の従事状況
 Pは、請求人の業務に従事していなかった旨供述し、Jも同様の供述をしていること。
(3) 本件事務等委託契約の従事状況
 Pは、請求人のh支店の電話応対、郵便物の受取、発送業務を行っている。
(4) T会長及び新L社に対する貸付利息について
 本件営業等委託料及び本件事務等委託料の計上によって生じた簿外資金のうち、新L社を経由してT会長に流用された部分については、請求人とT会長との間において、新L社に留保された部分については、請求人と新L社との間において、それぞれ金銭の贈与があったということはできないことから寄附金の額には該当せず、それぞれに対する無期限、無利息による貸付けと判断され、法人税法第22条第2項に規定する無償による役務の提供に該当するものと判断するのが相当であることから、これらの貸付けに係る利息相当額は、法人税の所得金額の計算上、益金の額に算入すべきである。
(4) T会長及び新L社に対する貸付利息について
 本件営業等委託料及び本件事務等委託料をそのままT会長へバックする事は常識的に無理であり、新L社に対する資金がT会長へバックされたという図式は本件査察担当職員において作られたものである。
2 本件R社営業委託料について
 Sが平成18年以降に役務提供した事実はなく、架空経費であると認定するのが相当であり、本件R社営業委託料の支払として行われた、請求人がR社に対して有していた貸付債権との相殺は、経済的な利益の無償の供与をした場合に該当することから、法人税法第37条第7項に規定する寄附金に該当する。
2 本件R社営業委託料について
 Sが、委託業務である名刺営業を行っていたことは事実であり、平成18年1月以降の本件R社営業委託料について、原処分庁が当社からR社への寄附金と認定したことは事実誤認である。
争点2 本件営業等委託料、本件事務等委託料及び本件R社営業委託料の金額を法人税の所得金額の計算上、損金の額に算入したことについて、通則法第68条第1項に規定する事実の隠ぺい又は仮装の行為に当たるか否か。
原処分庁 請求人
 本件営業等委託料、本件事務等委託料及び本件R社営業委託料に係る仮装又は隠ぺいの事実について
 請求人は、架空経費である本件営業等委託料、本件事務等委託料及び本件R社営業委託料を総勘定元帳に費用として計上し、これを法人税の所得金額の計算上損金の額に算入し、また、本件営業等委託料及び本件事務等委託料の計上により作出したT会長及び新L社に対する貸付金に係る利息を収入として計上していなかったところ、これらの行為は通則法第68条第1項に規定する「その国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していた」ことに該当する。
 本件営業等委託料、本件事務等委託料及び本件R社営業委託料に係る仮装又は隠ぺいの事実について
 本件営業等委託料、本件事務等委託料及び本件R社営業委託料は実体のある業務委託契約に基づいて支払われたものであり、架空経費であると認定した判断には誤りがある。

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