別紙3

当事者の主張

争点1 本件ABC各土地は、広大地通達に定める広大地として評価すべきか否か。

原処分庁 請求人ら
 本件ABC各土地の存する地域の状況及び土地の状況等は、次のとおりであり、本件ABC各土地は広大地として評価すべきではない。  本件ABC各土地の存する地域の状況及び土地の状況等は、次のとおりであり、これらの状況から判断すると、本件ABC各土地は広大地として評価すべきである。
1 広大地通達に定める「その地域」について
(1) 本件ABC各土地は、別紙4に示した本件甲地域(以下「本件甲地域」という。)に所在し、当該地域の一部は、その都市計画法第8条《地域地区》第1項第1号に規定する用途地域(以下「用途地域」という。)が平成11年2月に第二種住居地域から商業地域及び近隣商業地域に変更され、大規模店舗や商業施設を建築することが可能な地域となっている。
(2) また、本件A土地の北側に位置する区画(別紙4に示した本件乙地域をいい、以下「本件乙地域」という。)にはRマンション東棟及びRマンション西棟(いずれも13階建ての2棟の分譲マンションである。)が平成20年10月に完成し、平成23年2月には保育園が、同年6月には老人短期入所生活介護施設が建築されており、1,000平方メートルから3,000平方メートルの土地が細分化されることなく一体として有効利用されている。
(3) 上記(1)及び(2)のことから土地の利用状況、道路の状況等を総合勘案すると、本件ABC各土地の属する「その地域」は、本件甲地域及び本件乙地域を併せた地域(別紙4の太線で囲んだ地域をいい、以下「本件丙地域」という。)であると認められる。
1 広大地通達に定める「その地域」について
 広大地通達に「その地域」を定めている趣旨は、評価対象地の存する地域で、同様の発展を遂げている地域及び同様の効用を持つ地域を設定し、当該地域内の一定規模の土地には、何を建築するのが自然であるかという判断をするためと解釈すべきであるところ、これまでの都市整備の歴史的状況、現在の道路の状況、M駅に隣接する地域的一体性及び上記「その地域」の趣旨からすると、本件ABC各土地の属する「その地域」は、本件土地区画整理事業の区画とほぼ一致する地域である(別紙5の太線で囲んだ地域をいい、以下「本件丁地域」という。)。また、「その地域」には含めないとしても、r線東側の道路沿いの状況は、隣接地域の状況として当然考慮されるべきである。
2 広大地通達の適用があるか否かについて
 本件ABC各土地は、次のとおり、マンション適地に該当するから、広大地通達の適用はない。
2 広大地通達の適用があるか否かについて
 本件ABC各土地は、次のとおり、広大地通達を適用するのが相当である。
(1) 本件丙地域は、建ぺい率又は容積率に相違はあるものの、M駅に隣接し、教育、医療等の公的施設や商業地への接近性及び利便性に優れた地域と認められ、本件丙地域における用途地域の変更理由、土地区画整理事業の目的、同事業による公共公益施設の整備状況等を総合的に勘案すると、本件丙地域における容積率及び建ぺい率が最も経済的に利用される開発と、M駅、M駅西中心街、公的施設への接近性、利便性を考慮した本件丙地域における経済的に最も合理的な使用方法は、マンション及び中高層の店舗・事務所等の敷地の用に供することであると認められる。 (1) マンション適地とは、周りにマンションが建ち並び、どうみても需要と供給に従ってマンションが建ってもおかしくない土地のことであると解釈すべきであるところ、本件丁地域がそれに当たらないことは、本件相続開始日時点における、マンション建築の状況、隣接地域の状況、N鑑定士の意見等からも明らかである。
(2) また、M駅からの距離が本件甲地域より遠い本件乙地域にはマンション等が建築され、戸建住宅が存在しないことからも、本件ABC各土地はマンション適地に該当するものと認められる。 (2) 原処分庁の主張するRマンション東棟及びRマンション西棟なるマンション、保育園及び老人短期入所生活介護施設が建築されたのは、本件相続開始日後の事実にすぎず、仮に、その事実を取り上げた場合でも建築されたマンションは一か所にすぎないのだから、「平成16年6月29日付資産評価企画官情報第2号:財産基本通達の一部改正について」(以下「平成16年情報」という。)にある「近隣地域又は周辺の類似地域に現にマンションが建てられているし、また現在も建築工事中のものが多数ある場合、つまりマンション敷地としての利用に地域が移行しつつある状態で、しかもその移行の程度が相当進んでいる場合」には到底当たらない。
  (3) 平成16年情報においては、「戸建住宅とマンションが混在している地域にあっては、その土地の最有効使用を判断することが困難な場合もあると考えられる。このような場合には、周囲の状況や専門家の意見等から判断して、明らかにマンション用地に適していると認められる土地を除き、戸建住宅用地として広大地の評価を適用することとして差し支えない。」としているところ、上記1の「その地域」は戸建住宅とマンション等が混在している地域であり、N鑑定士の本件ABC各土地についての「明らかにマンション用地に適していると認められる土地ではない。」とする意見等から判断しても本件ABC各土地については広大地通達を適用すべきである。
  (4) 上記(1)の「その地域」における宅地の標準的地積は、N鑑定士の意見を踏まえると150平方メートルと考えられ、そうすると、本件ABC各土地の面積はいずれも3,000平方メートル前後であるから、著しく地積が広大な土地といえる。そして、自治体が定める開発許可を要する面積基準以上の面積があり、開発行為を行えば、地形からして道路、公園などの公共公益的施設用地の負担が当然必要である。

争点2 本件DEF各土地の評価に当たり、評価通達の定めにより難い特別な事情があるか否か。

原処分庁 請求人ら
1 相続財産の評価については、評価通達の定める評価によることが、実質的な租税負担の公平を著しく害し、法の趣旨及び評価通達の趣旨に反することとなるなど、評価通達に定める評価方式によらないことが正当として是認されるような特別な事情がある場合に、他の合理的な評価方式によることが許されると解すべきであり、請求人らに特別な事情があるものとは認められないことから、請求人らの主張には理由がない。 1 本件各鑑定評価額は、不動産鑑定評価基準に準拠し、適正に算定された価額であるから、相続税法第22条に規定する時価として妥当であり、当該評価額が原処分庁の評価額を下回ることから、評価通達の定めにより難い特別な事情があるとして、これを採用すべきである。
2 請求人らが主張する個別格差要因については、次のとおりであり、評価通達によらないことが正当として是認されるような特別な事情には当たらない。
(1) 接面街路条件(トンネル開口部による車線分断、中央分離帯及び一方通行)
 評価通達14の路線価が付された一連の宅地に共通する事項であり、本件DEF各土地の路線価の設定時点で考慮されている。
(2) 環境条件(上下水道管の未整備)
 上水道管については、整備済みの上水道管からの引き込みが可能であり、下水道管については、未整備の場合、建築主からの要請により整備することになっている。
(3) 行政的条件(都市計画道路予定地)
 評価通達24−7により手当てされている。
2 仮に本件各鑑定評価額を採用しないとしても、本件各鑑定書において個別格差要因として取り上げた接面街路条件(トンネル開口部による車線分断、中央分離帯及び一方通行の存在)、環境条件(上下水道管の未整備)及び行政的条件(都市計画道路予定地の存在)などは、評価通達において手当てがされていないのであるから、これらの事情についての減額補正をするのは当然である。

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