(平成25年7月5日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

 本件は、審査請求人E(以下「請求人E」という。)、同G(以下「請求人G」という。)及び同H(以下「請求人H」といい、これら3名を併せて「請求人ら」という。)が、請求人Eが相続により取得した宅地について、財産評価基本通達(昭和39年4月25日付直資56ほか国税庁長官通達をいい、以下「評価基本通達」という。)の定めによらず、不動産鑑定士による鑑定評価額により評価した価額に基づいて相続税の申告をしたのに対し、原処分庁が、当該宅地の価額は評価基本通達の定めにより評価した価額とすべきであるとして、相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分を行ったことから、請求人らが当該各処分の全部の取消しを求めた事案である。

(2) 審査請求に至る経緯

イ 請求人らは、平成22年1月○日(以下「本件相続開始日」という。)に死亡したJ(以下「本件被相続人」という。)の共同相続人であり、この相続(以下「本件相続」という。)に係る相続税(以下「本件相続税」という。)について別表1の「当初申告」欄のとおり記載した相続税の申告書を法定申告期限までに原処分庁へ提出し、相続税の期限内申告をした。
ロ 原処分庁は、原処分庁所属の調査担当職員の調査に基づき、平成24年3月27日付で、別表1の「更正処分等」欄のとおりとする各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下、「本件各賦課決定処分」といい、本件各更正処分と併せて「本件各更正処分等」という。)をした。
ハ 請求人らは、平成24年5月25日、本件各更正処分等を不服として異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年8月9日付で、いずれも棄却の異議決定を行い、その決定書謄本は、総代であった請求人Eに対し、同月16日に送達された。
ニ 請求人らは、平成24年9月12日、異議決定を経た後の本件各更正処分等に不服があるとして、審査請求をした。
 なお、請求人らは、同日、請求人Eを総代として選任し、その旨を届け出た。

(3) 関係法令等の要旨

イ 相続税法第22条《評価の原則》は、相続等により取得した財産の価額は、特別の定めがあるものを除き、当該財産の取得の時における時価による旨規定している。
ロ 評価基本通達9《土地の上に存する権利の評価上の区分》(1)は、区分地上権とは、民法第269条の2《地下又は空間を目的とする地上権》第1項の地上権をいう旨、評価基本通達9(4)は、区分地上権に準ずる地役権とは、地価税法施行令第2条《借地権等の範囲》第1項に規定する地役権をいう旨、それぞれ定めており、同項に規定する地役権は、特別高圧架空電線の架設、高圧のガスを通ずる導管の敷設、飛行場の設置、建築物の建築その他の目的のため地下又は空間について上下の範囲を定めて設定された地役権で、建造物の設置を制限するものと規定されている。
ハ 評価基本通達25《貸宅地の評価》(4)は、区分地上権の目的となっている宅地の価額は、その宅地の自用地としての価額から、評価基本通達27−4《区分地上権の評価》の定めにより評価したその区分地上権の価額を控除した金額によって評価する旨定めている。
 また、評価基本通達27−4は、区分地上権の価額は、その区分地上権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、その区分地上権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率を基とした割合(以下「区分地上権の割合」という。)を乗じて計算した金額によって評価する旨定めている。
 なお、評価基本通達27−4(注)2は、区分地上権が1画地の宅地の一部分に設定されている場合には、「その区分地上権の目的となっている宅地の自用地としての価額」は、1画地の宅地の自用地としての価額のうち、その区分地上権が設定されている部分の地積に対応する価額となることに留意する旨示している。
ニ 評価基本通達25(5)は、区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の価額は、その宅地の自用地としての価額から評価基本通達27−5《区分地上権に準ずる地役権の評価》の定めにより評価したその区分地上権に準ずる地役権の価額を控除した金額によって評価する旨定めている。
 また、評価基本通達27−5は、区分地上権に準ずる地役権の価額は、その区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の自用地としての価額に、その区分地上権に準ずる地役権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率を基とした割合(以下「区分地上権に準ずる地役権の割合」という。)を乗じて計算した金額によって評価する旨定め、この場合における「区分地上権に準ずる地役権の割合」は、まる1家屋の建築が全くできない場合は、100分の50又はその区分地上権に準ずる地役権が借地権であるとした場合にその承役地に適用される借地権割合のいずれか高い割合と、まる2家屋の構造、用途等に制限を受ける場合は、100分の30とすることができる旨定めている。

(4) 基礎事実

 以下の事実は、請求人らと原処分庁との間に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 本件相続に係る共同相続人は、請求人ら以外にはいない。
ロ 本件被相続人は、平成16年10月1日、同人の配偶者であり、請求人らの父であるKから別表2の順号1ないし6の宅地(以下、これらの宅地を併せて「本件土地」という。)の所有権を相続により取得し、本件相続開始日まで所有していた。上記イの共同相続人は、本件土地について、平成22年6月19日に、本件相続に係る遺産分割協議を成立させ、請求人Eが、本件土地を取得した。
ハ 本件土地の本件相続開始日における状況等
(イ) 本件土地は、南東側で歩道や街路樹等の設備が整った幅員約36メートルの幹線道路(以下「本件正面道路」という。)に約97メートル接し、北西側で幅員約6メートルの道路(以下「本件裏面道路」という。)に約80メートル接しており、本件裏面道路に接する中央付近及び北西端の各一部が欠けた長方形に近似する土地(地積2,873.89平方メートル)であった(別図1参照)。
(ロ) T国税局長が定めた平成22年分財産評価基準によれば、本件正面道路の路線価は200,000円/平方メートル、本件裏面道路の路線価は165,000円/平方メートルとされており、本件土地の正面路線となる本件正面道路沿いの地区は普通商業・併用住宅地区で、借地権割合70%とされている。
(ハ) 本件土地の最寄り駅は、L鉄道「d駅」、M鉄道「e駅」及びN鉄道「f駅」であり、L鉄道及びM鉄道の各駅は本件土地の南西方向約300メートルに、N鉄道駅は本件土地の南西方向約500メートルに、それぞれ位置しており、d駅からg駅までの所要時間は、特急利用で約30分である。
 また、当該各最寄り駅の近辺には、大規模な商業施設や業務施設が複数集中しているほか、大規模な娯楽施設も存在している。
(ニ) 本件正面道路に沿接する地域は、ほぼ平坦で、マンション、店舗兼共同住宅(下層が店舗又は事務所等で上層が共同住宅である建物)、店舗又は事務所等の用に供されている建物が連たんしており、当該沿接する地域の北側の地域は、北に向かって高くなっている住宅地域、公園及び緑地帯となっている。
(ホ) 本件土地が所在する地域の用途地域は、近隣商業地域であり、建ぺい率80%、容積率300%である。
ニ 本件土地に設定された区分地上権に準ずる地役権について
 本件土地のうち、別表2の順号1及び6の宅地(以下「本件承役地部分」という。)には、それぞれ昭和35年6月1日及び昭和54年4月18日に、P社による送電線路の架設等を目的とする地役権(以下「本件地役権」という。)が設定され、P社が敷設した使用電圧275,000ボルトの特別高圧線が架設され、建造物の築造が禁止されている(別図1参照)。
ホ 本件土地の賃貸借等について
(イ) Kは、平成3年7月1日に、本件土地を、昭和57年1月○日に設立され、平成3年7月1日当時は本件被相続人が代表取締役を務めていたQ社(以下「本件会社」という。)に賃貸した。
 Kは、平成4年2月4日、上記賃貸について、Kが将来本件会社から無償で本件土地の返還を受けることとなっている旨の、法人税基本通達(昭和44年5月1日付直審(法)25国税庁長官通達。)13−1−7《権利金の認定見合せ》に定める届出書を、本件会社と連名で原処分庁に提出した。
(ロ) 本件会社は、平成18年11月7日に、本件土地と請求人Eから賃借した隣接地(a市b町○−○、宅地、地積24.60平方メートル、所有者請求人Eである宅地(別図1で「○−○」と表示)をいい、以下、本件土地と併せて「本件土地等」という。)とを併せた土地に、当時建築予定で、その後本件会社が所有するに至った建物(a市b町○−○ほか所在の鉄骨造陸屋根亜鉛メッキ鋼板葺2階建て店舗工場(床面積1階1,169.77平方メートル、2階99.81平方メートル)及び倉庫(上記店舗工場の附属建物で床面積7.48平方メートル)をいい、以下「本件建物」という。)及び本件土地のうち本件建物の敷地以外の空地部分(以下、本件建物及び空地を併せて「本件建物等」という。)を、賃貸借期間を平成18年12月1日から平成38年11月30日までの期間、賃料を月額3,650,000円として、R社(以下「本件建物等賃借人」という。)に賃貸した。
 なお、上記の賃貸に当たり、本件会社は、本件建物等賃借人が本件建物等をS社系列会社へ転貸することを承諾していた。
(ハ) Kから本件土地を相続した本件被相続人と本件会社は、平成18年12月1日に、まる1賃貸人を本件被相続人、賃借人を本件会社、まる2目的物を本件土地、まる3本件土地の使用目的を本件会社が本件建物等賃借人に賃貸する本件建物の所有、まる4賃貸借期間を本件建物等賃借人に本件建物を賃貸する期間、まる5地代を月額1,200,000円とする土地賃貸借契約を締結した。
 なお、上記の土地賃貸借契約は、上記(イ)の賃貸に係る契約の変更によるもので、従来の建物の滅失及び本件建物の新築に伴うものであった。
 その後、本件被相続人及び本件会社は、上記賃貸借契約の変更に伴い、平成19年7月2日、上記(イ)の届出書に記載した契約の概要等に関する変更の届出書を連名で原処分庁に提出した。
(ニ) 本件相続開始日において、本件建物等は、S社系列会社による自動車の販売、展示及び修理工場等並びにそれらの来客者用自動車駐車スペース(出入り用部分を含む。)及び通路として使用されていた(別図2参照)。
ヘ 請求人らの期限内申告の内容等について
 請求人らは、本件相続税の期限内申告において、本件土地の価額を、請求人らの依頼した不動産鑑定士が作成した不動産鑑定評価書(以下「請求人ら鑑定評価書」という。)による本件土地の更地としての鑑定評価額(以下「請求人ら鑑定評価額」という。)389,000,000円を基に、貸宅地(80%)の価額として311,200,000円と評価した。
 なお、請求人らは、本審査請求に際して、請求人ら鑑定評価書において、本件土地には、その地域における標準的な画地に比べ画地規模が大きいことを要因として40%の規模格差(以下「本件規模格差」という。)があるとしていることの妥当性を検証するものとして、a地区において平成22年中に取引された面積1,000平方メートル以上の事例106件(以下「本件大規模画地取引事例」という。)に基づく検証(以下「本件請求人ら検証」という。)に係る資料を、当審判所に提出した。
ト 本件更正処分等における本件土地の価額について
 原処分庁は、本件更正処分等において、別表3の「原処分庁主張額」欄のとおり、本件土地の価額を434,339,784円と評価した(以下、同価額を「原処分庁主張額」という。)。
 なお、原処分庁は、本審査請求に際して、原処分庁の依頼した不動産鑑定士が作成した不動産鑑定評価書(以下、当該不動産鑑定評価書を「原処分庁鑑定評価書」といい、原処分庁鑑定評価書による本件土地の更地としての鑑定評価額632,300,000円を「原処分庁鑑定評価額」という。)を、当審判所に提出した。

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2 争点

(1) 本件土地の価額の評価について、評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情があるか否か。

(2) 仮に本件土地の価額を評価基本通達の定めにより評価する場合、評価基本通達27−5の定めにおける「承役地である宅地の自用地としての価額」とは、評価基本通達27−4(注)2における場合と同様に、本件土地全体を1画地として評価した価額のうち、本件承役地部分の地積に対応する価額をいうのか、又は本件承役地部分のみを1画地として評価した価額をいうのか。

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3 争点1について

(1) 主張

イ 原処分庁
(イ) 本件土地の更地の価額を評価基本通達の定めにより評価した原処分庁主張額は、以下のとおり、本件相続開始日における客観的交換価値を上回っているとは認められないから、本件土地の価額の評価について、評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情はない。したがって、本件土地の価額は、原処分庁主張額に基づき評価すべきである。
A 本件土地付近の基準地「a市○−○」(以下「本件基準地」という。)の価格は、平成21年7月1日時点よりも平成22年7月1日時点の方が低くなっており、両時点の間における本件土地付近の土地の価格は上昇傾向にはないものといえる。
B 上記Aからすると、本件土地について、本件相続開始日における客観的交換価値は、原処分庁鑑定評価書によって算定された本件土地の更地としての平成22年6月25日時点の価額である原処分庁鑑定評価額を下回ってはいないと認められるから、原処分庁鑑定評価額を下回る原処分庁主張額は、本件相続開始日における客観的交換価値を上回ってはいない。
(ロ) 請求人ら鑑定評価書は、以下のとおり、本件土地の本件相続開始日における時価を適正に評価しているとは認められない。
A 取引事例比較法による比準価格の算定における規模格差について
 本件土地はその地域における標準的な画地に比べ画地規模が大きいことを要因として本件規模格差(40%)があるとするが、次のとおり、本件規模格差は適正を欠いている。
(A) 請求人らの本件大規模画地取引事例に基づく本件請求人ら検証は、次のとおり、本件規模格差が妥当な水準であることを示すものではない。
a 本件請求人ら検証における取引事例には、本件土地の用途地域と異なる第一種低層住居専用地域の取引事例が含まれている。
b 本件請求人ら検証における取引事例の規模格差以外の個別的要因が適正に考慮されているか不明である。
c 本件請求人ら検証における取引事例には、本件土地の地積(2,873.89平方メートル)より2,000平方メートル以上も広い取引事例が含まれている。
(B) 原処分庁鑑定評価書において、地積が大きいことによる減価はないとされているように、まる1本件土地のように適度に大規模な画地であれば、居住戸数が増え、管理面や安全性の向上及び設備面の充実が期待され、また、まる2本件土地は、最寄り駅に近く、近隣商業地域に所在する希少な大規模画地であることなどからして、本件土地において地積が大きいことによる減価はないといえる。
B 開発法による価格の算定における建築工事費について
 請求人ら鑑定評価書が開発法において想定する分譲マンションの建築工事費(以下「本件査定建築費」という。)について、請求人らがその妥当性について検証できるとするまる1一級建築士による建築工事費の算出内容は不明であり、また、まる2財団法人建設物価調査会発行の建物実例データ集「建物の鑑定評価必携」(以下「本件実例データ集」という。)には、鉄筋コンクリート造のマンション事例が21事例掲載されているにもかかわらず、そのうちの2事例のみを検証事例としており、本件査定建築費の妥当性の検証は不十分である。この点、上記21事例及び本件実例データ集に掲載されている「工事費分布図」からの建築単価からすると、本件査定建築費はかなり高額といえるから、本件査定建築費は適正なものとはいえない。
ロ 請求人ら
(イ) 請求人ら鑑定評価額は、以下のとおり、本件相続開始日における本件土地の更地としての時価であり、当該価額は原処分庁主張額を下回るから、本件土地の価額の評価について、評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情がある。したがって、本件土地の価額は、請求人ら鑑定評価額に基づき評価すべきである。
A 請求人ら鑑定評価書では、近隣地域の標準的使用及び本件土地の個別性、将来の動向等から本件土地の最有効使用を中層共同住宅地と判定した上で、開発法による価格を重視し、比準価格を比較考量の上、収益価格を参考、公的価格を規準とした価格にも留意して、請求人ら鑑定評価額を適正に決定している。
B 請求人ら鑑定評価額は、一般的な画地と比較してまる1画地規模が大きいこと、まる2敷地内に一部高圧線下地があること及びまる3日影規制が厳しく基準容積率の消化が一部困難であることといった特異性がある本件土地について、主たる需要者であるマンション分譲業者等の観点を踏まえ、これらまる1ないしまる3の諸要因を適正に考慮したものである。
(ロ) 請求人ら鑑定評価書に対する原処分庁の主張は、以下のとおり、理由がなく、請求人ら鑑定評価書は、時価を適正に評価したものである。
A 取引事例比較法による比準価格の算定における規模格差について
 本件土地のように画地規模の大きい土地は、需要者が限定され必然的に規模格差(減価)が生じている画地であり、次のとおり、本件規模格差は適正である。
(A) 本件請求人ら検証に対する原処分庁の主張は、以下のとおり、理由がなく、本件請求人ら検証は、本件規模格差の妥当性を示すものである。
a 本件土地は、その特異性(上記(イ)のBのまる2及びまる3)から、基準容積率300%に対して、その消化可能容積率が約150%の画地であり、容積率の面からの検討も踏まえるため、容積率の低い第一種低層住居専用地域の取引事例をも含めたものである。
b 規模格差以外の個別的要因は、角地補正や不整形地補正などによって、多面的かつ客観的に修正率を把握の上、格差修正を行っている。
c 本件請求人ら検証では、「2,500平方メートル以上5,000平方メートル未満」の取引事例から分析しているが、仮に「1,000平方メートル以上2,500平方メートル未満」の取引事例でみても規模格差が平均40%〜30%での取引が多いことに変わりはない。
(B) 請求人らは、本件土地に大規模画地としての減価があることについて、本件大規模画地取引事例によって実証的に証明しているにもかかわらず、原処分庁の本件土地には地積が大きいことによる減価はないとする理由は、抽象的な説明に終始し、その依拠する原処分庁鑑定評価額も、何ら裏づけが明らかでなく、客観的かつ具体的な根拠を欠くものである。
B 開発法による価格の算定における建築工事費について
 本件査定建築費の妥当性を検証するため建築工事費を算出した一級建築士は、マンションの設計を多く手掛けている者であり、算出した建築工事費は、想定建物の個別性を考慮しつつ、自己の経験に基づいて、大手の建設会社や不動産会社からのヒアリングを行った上査定したものであり、また、本件実例データ集の検証事例は、開発法で想定する建物の類似性や建物規模等といった個別性、立地条件等も勘案の上、類似性の高い建設事例を選択したものであり、これらを考慮せずに単に本件実例データ集に掲載されている21事例や工事費分布によって査定できるものではない。

(2) 判断

イ 法令解釈等
 相続税法第22条は、相続により取得した財産の価額は、特別の定めがあるものを除き、当該財産の取得の時における時価による旨規定しているが、課税実務上は、財産評価の一般的基準が評価基本通達によって定められ、評価基本通達に定められた評価方法を画一的に適用するという形式的な平等を貫くことによって、かえって実質的な租税負担の公平を著しく害することが明らかであるといった特別の事情がある場合を除き、評価基本通達に定められた評価方法によって画一的に当該財産の評価をすることとされている。このような取扱いがされているのは、全ての財産の価額(客観的交換価値を示す価額)は必ずしも一義的に確定できるものではないため、相続財産の客観的な交換価値を個別に評価する方法を採ると、その評価方式、基礎資料の選択の仕方等により異なった評価額が生じること等から、画一的に評価する方が納税者間の公平、便宜、徴税費用の節減等の見地から合理的であるという理由に基づくものであり、評価基本通達が形式的に全ての納税者等に適用されることによって、租税負担の実質的な公平も実現できることとなる。
 当審判所においても、この取扱いは、納税者間の公平や効率的な租税行政の実現等の観点から、相当であると考える。
ロ 認定事実
 請求人らの提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ) 請求人ら鑑定評価額等について
A 請求人ら鑑定評価書の要旨は、別紙2のとおりであることが認められる(なお、別紙2及び別紙3において、略称等は本文中の例による。)。
B 本件請求人ら検証は、本件大規模画地取引事例について、その取引価格と標準的規模の価格(標準価格に規模格差以外の個別格差を加味した価格)との比較によって、各事例の規模格差を求めようとするものであること、当該標準価格は、各事例地の前面道路に付されている路線価を0.8で割り戻すことによって公示価格水準の価格を算出し、更にその価格を0.9で割り戻すものであること、本件請求人ら検証による本件大規模画地取引事例のうち、本件規模格差(40%)及び本件土地の規模(2,873.89平方メートル)と同程度と認められる「規模格差25%ないし45%」の事例で、かつ、「地積が2,500平方メートル以上5,000平方メートル未満」の12事例及び「地積が1,000平方メートル以上2,500平方メートル未満」の25事例(以下、これら37事例を併せて「本件検証事例」という。)は、別表4のとおりであることがそれぞれ認められる。
 なお、本件検証事例の各事例(以下、各検証事例を別表4の「順号」欄の順に順次「検証事例1」ないし「検証事例37」という。)の個別要因等の概要は別表5のとおりであると認められる。
(ロ) 原処分庁鑑定評価書について
 原処分庁鑑定評価書の要旨は、別紙3のとおりであることが認められる。
ハ 検討
 相続により取得した財産の価額は、上記イのとおり、評価基本通達の定めによらないことが正当として是認されるような特別の事情がある場合を除き、評価基本通達に定められた評価方法により評価した価額によることが相当である。
 請求人らは、請求人ら鑑定評価書による請求人ら鑑定評価額が本件相続開始日における本件土地の更地としての時価であり、当該価額が評価基本通達の定めにより評価した価額を下回るとして、評価基本通達の定めによらないことが正当として是認される特別の事情がある旨主張していることから、以下、請求人ら鑑定評価額等について順次検討する。
(イ) 取引事例比較法による比準価格について
A 本件規模格差による減価について
(A) 一般に地積が広大な土地を戸建住宅用地に分割して開発分譲する場合は、道路等の公共公益的施設用地の負担等が必要となるから、当該負担等に応じた減額の補正が必要となるが、地積が広大な土地であってもマンション等の敷地として一体利用する場合は、上記の公共公益的施設用地の負担等は必要とならないから、上記の減額の補正を行う必要はない。
 この点については、適正な土地評価のため、不動産鑑定評価基準の理論を基礎に不動産鑑定士等の実践面における活動の成果を十分取り入れて旧国土庁が作成し、当審判所においても相当と認める基準である土地価格比準表においても、その第1(一般的事項)9(画地条件に係る地積の過大による減価について)において「標準的な画地との比較において広大地と判定される画地であっても、一体利用することが合理的と認められる場合は、地積過大による減価を行う必要がないことに留意すべきである」旨定められているところである。
 本件土地は、本件土地を分譲マンション用地として開発した場合、高圧線下地部分や公的規制(日影規制等)等による制限を受けるが、請求人ら鑑定評価書及び原処分庁鑑定評価書でも想定されているように、マンションが建築できない部分に、分譲戸数の半分以上の車両が駐車可能な駐車場施設(機械式2層又は3層)の設置が可能であるなど、当該部分を有効に活用することができることが認められ、一体利用することが合理的と認められる場合に当たるから、地積過大による減価を行う必要性は認められない。
(B) また、上記の点をおくとしても、請求人ら鑑定評価書では、本件土地について、規模が大きいことに伴う市場参加者限定の程度を考慮して、本件規模格差(40%)による減価を行っているところ(別紙2の4の(1)のロ)、本件土地は、間口が広く二方が道路に面しており、幅員の広い本件正面道路の北西側に位置している(上記1の(4)のハの(イ))ため、日照・通風性に優れており、最寄り駅への接近性及び都心部への交通利便性にも優れ、徒歩圏内の商業施設、業務施設等が充実していること(上記1の(4)のハの(ハ))などから、生活環境の面における希少性が高いことが認められ、本件土地は、同一需給圏内の他の土地と比べても、主な需要者であるマンション開発業者等の需要は多いものと考えられるから、市場参加者が限定される理由に乏しく、本件土地には、規模が大きいことに伴う市場参加者限定の程度を考慮する必要性は認められない。
(C) 以上のとおり、本件土地には、本件規模格差による減価の必要性は認められない。
B 本件請求人ら検証について
 別表4記載の本件検証事例の中には、別表5記載の個別要因等が認められるところ、以下のとおり、個別格差として考慮されるべき事情が考慮されていない事例があるほか、標準価格の基となった路線価に誤り等がある事例(検証事例1、5及び19)を指摘することができる。
(A) 特別な事情の下での取引による取引価額への影響を考慮すべき事例
a 同族関係者間の取引と認められる事例(検証事例9、13、28及び37)
b 民事再生手続中の取引と認められる事例(検証事例12)
c 処分禁止仮処分と仮差押命令がされている土地の取引と認められる事例(検証事例16)
d 競売の事例(検証事例32)
(B) 戸建分譲開発に伴う潰れ地等の減価要因を考慮すべき事例
 事例地の形状、接道状況、近隣地域の土地利用状況等から、戸建住宅用地としての開発(以下「戸建分譲開発」という。)により道路用地としての潰れ地等が見込まれる事例のうち以下のもの。
a 取引後の実際の戸建分譲開発に伴い開発面積の10%以上(最低約11%、最高約33%)が道路用地として潰れ地が生じた事例(検証事例1、3、6、7、8、11、14、15、18、21、23、25、26、29、33、35及び36)
b 取引後の実際の戸建分譲開発に伴い旗竿状の袋路地が生じて開発面積の10%以上が路地状部分(道路から建物へ通じる部分)となっている事例(検証事例20及び31)
(C) 取引された物件が貸家の敷地であり土地利用の制限等を考慮すべき事例(検証事例30)
C 本件検証事例の規模格差の合理性について
 本件請求人ら検証については、まる1上記Aの(A)のとおり、地積が過大であることについて、本件土地は一体利用することが合理的であると認められる場合に当たることからすると、上記Bの(B)の戸建分譲開発に伴う潰れ地等が見込まれる事例は、検証事例とすること自体が不相当であると評価できること、まる2上記ロの(イ)のBのとおり、標準価格について、各事例地の前面道路に付されている路線価を0.8で割り戻して、公示価格水準の価格を算出した上で、更に0.9で割り戻しており、公示価格水準の価格よりも高い価格を標準価格として検証していること、まる3上記まる1の地積過大とは別に規模が大きいことに伴う市場参加者限定による減価を検証するとしても、上記Bのとおり、本件検証事例には、まるア同族関係者間などの特別な事情の下での取引の事例、まるイ戸建分譲開発に伴う潰れ地等の減価要因が認められる事例などが多数含まれているところ、それぞれの事情が本件請求人ら検証において、規模格差以外の個別格差として反映されていないこと、まる4本件検証事例には、計算の基礎とした路線価に誤りがある事例が認められることからすると、本件検証事例の規模格差が合理的に試算されたものとは認められないから、本件請求人ら検証は、本件規模格差の妥当性を示すものとは認められない。
D 比準価格の合理性について
 以上のとおり、本件土地には規模が大きいことによる減価の必要性は認められないことから、請求人ら鑑定評価書における比準価格は、合理的に試算されたものとは認められない。
(ロ) 規準価格
 請求人ら鑑定評価書では、比準価格の試算における個別格差と同じ内容による49%(49/100)の個別格差で補正をして本件土地に係る規準価格を試算しているところ(別紙2の4の(4))、当該個別格差のうち、本件規模格差については、上記(イ)のとおり、減価要因とすべきではないから、規準価格の試算においても本件規模格差による減価はすべきではない。
 したがって、請求人ら鑑定評価書における規準価格は、合理的に試算された価格とは認められない。
(ハ) 開発法による価格
A 請求人ら鑑定評価書における比準価格及び規準価格については、上記(イ)のD及び(ロ)のとおり、本件規模格差による減価を加味すべきではないから、これを除いたところで各価格を計算すると、比準価格は約663,000,000円、規準価格は約632,000,000円となり、請求人ら鑑定評価書における開発法による価格(387,000,000円)は、これらの価格から大きく乖離していることが認められる。
B そうすると、請求人ら鑑定評価書における開発法による価格は、合理的に試算された価格として採用することはできない。
(ニ) 評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情の有無
 請求人ら鑑定評価額は、開発法による価格を重視し、比準価格を比較考量して決定されている(別紙2の5)ところ、上記(イ)ないし(ハ)のとおり、いずれの試算価格も合理性が認められないことから、請求人ら鑑定評価額は、本件相続開始日における本件土地の客観的交換価値を表しているとは認められず、他に評価基本通達の定めにより評価した価額が本件土地の時価を上回るとする事実も認められないことからすると、本件土地の価額について、評価基本通達の定めによらないことが正当と認められる特別の事情はないといえる。
 したがって、本件土地の価額は、評価基本通達に定められた評価方法により評価することが相当である。

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4 争点2について

(1) 主張

イ 原処分庁
 評価基本通達27−5の定めにおける「承役地である宅地の自用地としての価額」とは、以下の理由から、本件承役地部分を1画地として評価した価額によるべきである。
(イ) 本件土地のうち家屋が建築できないのは、本件承役地部分のみであるから、当該部分のみを1画地として区分地上権に準ずる地役権の価額を算出する方法は合理的なものである。
(ロ) 請求人らが主張する方法では、区分地上権に準ずる地役権の効力が及ばない本件承役地部分以外の本件土地の部分の価値が、区分地上権に準ずる地役権の価額に影響することになるから、当該評価方法は合理的なものとはいえない。
ロ 請求人ら
 評価基本通達27−5の定めにおける「承役地である宅地の自用地としての価額」とは、以下の理由から、本件土地全体を1画地として評価した価額のうち、本件承役地部分の地積に対応する価額によるべきである(主張額は、別表3の「請求人ら主張額」欄のとおり。)。
(イ) 評価基本通達27−4(注)2では、「区分地上権が1画地の宅地の一部分に設定されているときは、その区分地上権の目的となっている宅地の自用地としての価額は、1画地の宅地の自用地としての価額のうち、その区分地上権が設定されている部分の地積に対応する価額となる」とされており、区分地上権に準ずる地役権の評価も同様の方法により行うのが合理的である。
(ロ) 原処分庁が主張する評価方法では、例えば、承役地部分の位置や形状により、承役地部分の単価と土地全体の単価が異なることになり、当該土地の利用価値と乖離した評価額が算出されることになるから、当該評価方法は合理的なものとはいえない。

(2) 判断

イ 法令解釈等
(イ) 区分地上権に関する定めについて
 評価基本通達25(4)によれば、区分地上権の目的となっている宅地の価額は、その宅地の自用地としての価額から、区分地上権の価額を控除した金額によって評価することとされ、当該区分地上権の価額は、評価基本通達27−4により、その区分地上権の目的となっている宅地の自用地としての価額に区分地上権の割合を乗じて計算した金額によって評価することとされている。
 これらの取扱いは、区分地上権の設定に際して、その設定に伴う土地利用の制限に応じて補償金が支払われる現状を考慮した評価方法であると解され、当審判所も、合理性を有するものとして相当であると考える。
(ロ) 区分地上権が1画地の宅地の一部分に設定されている場合について
 宅地の評価単位は、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地)とされている(評価基本通達7−2《評価単位》(1))ところ、評価基本通達27−4(注)2では、区分地上権が1画地の宅地の一部分に設定されている場合における「その区分地上権の目的となっている宅地の自用地としての価額」は、1画地の宅地の自用地としての価額のうち、その区分地上権が設定されている部分の地積に対応する価額となることに留意する旨示されている。
 区分地上権が設定されている部分を含む1画地の宅地について、当該区分地上権の設定がないとした場合に当該宅地のどの部分を取ってもその価額が同一であることを前提とすれば、この評価通達27−4(注)2の定めは合理性を有するものと認められる。
(ハ) 区分地上権に準ずる地役権に関する定めについて
 評価基本通達25(5)によれば、区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の価額は、その宅地の自用地としての価額から、区分地上権に準ずる地役権の価額を控除した金額によって評価することとされ、当該区分地上権に準ずる地役権の価額は、評価基本通達27−5により、その区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の自用地としての価額に、区分地上権に準ずる地役権の割合を乗じて計算した金額によって評価することとされている。
 これらの取扱いは、区分地上権に準ずる地役権が、特別高圧架空電線の架設等を目的として、土地の地下又は空間について上下の範囲を定めて設定され建造物の設置を制限するといった区分地上権と同様の内容(効果)を持つものであり、区分地上権に準ずる地役権の設定に当たり支払われる補償金も、区分地上権の場合と同様に、その設定に伴う土地利用の制限に応じて補償金が支払われる現状を考慮して、区分地上権の場合と同様な評価方法とされているものと解され、この取扱いは、合理性を有するものとして相当であると考える。
(ニ) 区分地上権に準ずる地役権の割合について
 そして、評価基本通達27−5では、区分地上権に準ずる地役権の割合は、家屋の建築が全くできない場合には、100分の50又はその区分地上権に準ずる地役権が借地権であるとした場合にその承役地に適用される借地権割合のいずれか高い割合とすることができるとされている。
 これは、家屋の建築が全くできない場合には、その土地所有者についてみれば、あたかも他人に借地権を設定させている場合と同様の利用制限を受けていると考えられることから、借地権割合を基本としてしんしゃくすることとし、土地利用制限率として定められた減価割合などを参考に、最低でも50%のしんしゃくを行うこととしたものと解され、この取扱いは、合理性を有するものとして相当であると考える。
ロ 認定事実
 請求人らの提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ) 本件被相続人の相続財産である本件土地は、上記1の(4)のホの(ハ)のとおり、本件相続開始日において、本件会社が本件建物等賃借人へ賃貸する本件建物の所有を目的として、一括して本件会社に賃貸されており、上記1の(4)のホの(ニ)のとおり、本件建物等は、転借人により自動車の販売、展示及び修理工場等並びにそれらの来客者用自動車駐車スペース(出入り用部分を含む。)及び通路として使用されていたことから、本件土地全体が一つの利用の単位であると認められ、本件土地の価額は、本件土地全体を1画地の宅地として評価することとなる(なお、この点につき、当事者間に争いはない。)。
(ロ) 本件土地の一部である本件承役地部分には、上記1の(4)のニのとおり、区分地上権に準ずる地役権が設定され、建造物の築造が禁止されており、また、上記1の(4)のハの(ロ)のとおり、本件土地の借地権割合が70%であることから、本件承役地部分に係る区分地上権に準ずる地役権の割合は、70%となる。
ハ 当てはめ
(イ) 上記イの(ハ)のとおり、区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の価額は、その「承役地である宅地の自用地としての価額」から、「区分地上権に準ずる地役権の価額」を控除した金額によって評価し、当該「区分地上権に準ずる地役権の価額」は、その「承役地である宅地の自用地としての価額」に「区分地上権に準ずる地役権の割合」を乗じて計算した金額によって評価することとなるから、本件承役地部分の価額は、「本件承役地部分の自用地としての価額」から、「本件承役地部分の自用地としての価額」に「区分地上権に準ずる地役権の割合」を乗じて計算した金額を控除した金額により評価することとなる。
(ロ) ところで、区分地上権に準ずる地役権に関する評価方法(評価基本通達25(5)及び27−5)が区分地上権に関する評価方法(評価基本通達25(4)及び27−4)と同様な評価方法とされている趣旨は、上記イの(ハ)のとおり、区分地上権に準ずる地役権及び区分地上権が、いずれも土地の地下又は空間について上下の範囲を定めて設定され建築物の設置を制限するもので、権利の設定に当たり支払われる補償金が、その設定に伴う土地利用の制限に応じて支払われる現状を考慮したものであることによると認められる。
(ハ) そうすると、区分地上権に準ずる地役権が1画地の宅地の一部分に設定されている場合においても、評価基本通達27−4(注)2(上記イの(ロ))と同様に、「その区分地上権に準ずる地役権の目的となっている宅地の自用地としての価額」は、1画地の宅地の自用地としての価額のうち、その区分地上権に準ずる地役権が設定されている部分の地積に対応する価額により評価することが合理的であることから、特段の理由のない限り、「本件承役地部分の自用地としての価額」は、土地所有者の利用の単位である1画地の宅地(本件土地全体)の自用地としての価額のうち、本件承役地部分の地積に対応する価額により評価することが相当である。
 この点、原処分庁は、本件承役地部分を1画地として評価したところで本件土地の価額を算定する旨主張するが、本件土地については、区分地上権に準ずる地役権の設定がないとした場合にどの部分を取ってもその価額が同一であることを否定する理由はないことから、上記特段の理由は認められず、原処分庁の主張は採用できない。
(ニ) 以上より、本件承役地部分の自用地としての価額を、本件土地全体の自用地としての価額のうち、本件承役地部分の地積に対応する価額によって評価したところで、本件土地の価額を計算すると、別表3の1の「請求人ら主張額」の「相続税評価額」欄の価額419,245,918円と同額となる。

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5 本件各更正処分について

 上記3及び4に基づき、請求人らの本件相続税の課税価格及び納付すべき税額を計算すると、それぞれ、別表6の審判所認定額のとおりの各金額となり、納付すべき税額は、いずれも本件各更正処分の額を下回るから、本件各更正処分は、いずれもその一部を別紙4ないし別紙6「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。

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6 本件各賦課決定処分について

 上記5のとおり、本件各更正処分は、その一部が取り消されるべきものであるところ、その他の部分の納付すべき税額の計算の基礎となった事実が本件各更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについては、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められない。
 そこで、請求人らの各過少申告加算税の額を計算すると、別表6の審判所認定額のとおりの各金額となり、これらの金額は、いずれも本件各賦課決定処分の額を下回るから、本件各賦課決定処分は、いずれもその一部を別紙4ないし別紙6「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。

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7 その他

 原処分のその他の部分については、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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