更正及び決定

推計による更正又は決定

  1. 更正の理由附記
  2. 推計による更正又は決定(4件)
  3. 同族会社の行為又は計算の否認
  4. 更正の要件

青色申告法人の売上金額に対する売上原価の金額を記帳上の売上原価率によって計算したことは推計課税に当たらないとした事例

裁決事例集 No.14 - 20頁

 青色申告法人である請求人が翌期に計上していた決算締切日の翌日から事業年度終了の日までの期間に係る売上金額を、売上漏れとして当期の売上金額に加算して更正を行う場合に、その売上金額に対応する売上原価について、請求人の備付け帳簿書類によってこれを個別的に計算することが不可能である場合には、その事業年度の全期間に係る売上金額及び売上原価の額を基として当該期間に係る売上金額に対応する売上原価の額を算出することは、法人税法第131条“推計による更正又は決定”の規定に抵触するものではないから、原処分は相当である。

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売上除外を行っていたと認定した上、売上除外金額については前2事業年度は売上除外した商品梱包個数から推計し、後2事業年度については前2事業年度の公表売上金額に対する売上除外割合を基礎として推計した事例

裁決事例集 No.41 - 178頁

 請求人が、仮名取引により売上除外を行っていることは明らかであり、納品書等資料の保存が十分でないことから、前2事業年度については発注伝票(控)に記載されている商品梱包個数と運送会社の運賃請求伝票に記載されている梱包数との開差個数を算出し、それに公表売上金額の1梱包当たりの平均単価を乗じて売上除外金額を推計しているのは合理性が認められ、かつ、計算は適正である。後2事業年度については前2事業年度の公表売上金額に対する売上除外割合を基礎として、売上除外金額を推計するのがより合理的である。

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売上金額について主張、立証せず、一般経費についてのみ実額を主張しても、これを採用することはできないとした事例
また、売上原価から売上金額を推計するに当たり、6か月のみの本人比率によることは合理的ではないとした事例

裁決事例集 No.48 - 246頁

  1.  原処分庁は、請求人の各事業年度の売上金額は、各事業年度の売上原価の額を平成4年3月期の下半期(「本件下半期」)の売上原価率で除して算定し、一般経費の額は、売上金額に類似同業者の平均一般経費率を乗じて認定しているのに対し、請求人は、上記売上原価率には合理性がないとして売上金額を争うとともに、一般経費の額については取引金額により算定すべきであると主張する。
  2.  請求人は、自ら売上金額については主張、立証せず、各事業年度の一般経費の額については取引金額により算定すべきであるとして、当審判所に対し平成4年3月期の売掛帳納品書(控)及び買掛帳の各写し並びに各事業年度の人件費以外の一般管理費に係る領収証写しをそれぞれ提出した。
     しかしながら、請求人の営む婦人ブラウス卸売業にあっては、一般経費の額は売上金額と密接な関係ないし対応関係を有するものと認められるから、請求人が一般経費について取引金額を主張する以上、一般経費の支出の事実及び支出の内容を証拠資料等によって明らかにするだけでなく、売上金額についても同様に明らかにすべきである。
     したがって、請求人の一般経費に係る取引実額の主張は、請求人が提出した証拠資料等の信ぴょう性を検討するまでもなく、これを採用することができないから、当審判所においても各事業年度の一般経費の額を推計の方法により算定せざるを得ない。
  3.  当審判所の調査によれば、請求人の営む事業にあっては、各事業年度相互間においてはその売上原価率に著しい変動があるとは認められないものの、請求人について1年を半期単位でみた場合には、請求人の取り扱う商品の性格からその売上原価率は、上半期と下半期とではこれを異にするがい然性が高いものと認められる。このため、原処分庁が請求人の本件下半期の取引に係る係数を基に算定した売上原価率は、本件にあっては、必ずしも合理的な数値とはいえず、平成4年3月期の1年間の計数に基づいてこれを算定することが合理的であり、相当であると認められる。
  4.  原処分庁が行った類似同業者の選定は、合理的な方法によっているものと認められ、これに基づいて算出された平均一般経費率を適用して請求人の一般経費の額を算定することに合理性があると認められる。

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店長が保持していたノートに基づき一定期間のバスタオルの売上金額を算定して調査対象期間の売上除外額を推計するという方法は合理性があるとした事例

裁決事例集 No.75 - 381頁

 請求人は、原処分庁が請求人の特殊事情を斟酌しないまま、水道使用量を基に推計していることなどから、原処分庁が行った推計方法には合理性がない旨主張する。
 この点、原処分庁が採用した推計方法は、店長が保持していたノートと平成19年1月の月計表及び請求人が提示した各月計表を基にして、平成18年10月から平成19年1月までの客数の圧縮割合及び売上金額を算定し、当該金額及び当該対応する期間の水道使用量から水道使用量1リットル当たりの売上金額を算定した上で、これに本件各事業年度の水道使用量を乗じて本件各事業年度の売上金額を算定しているところ、請求人の営む店舗型性風俗特殊営業では、特段の事情がない限り、同程度の水道使用量に対し同程度の収入を得るのが通例であることから、当該推計方法には合理性があると認められ、また、請求人の主張によっても、原処分庁が採用した推計方法自体を不合理ならしめる程度の特段の事情があるとは認められない。
 しかしながら、原処分庁がその算定の基とした請求人が提示した各月計表は作為的に作成されたものと認められ、当該各月計表をその算定の基とするよりも平成19年1月の月計表のみを基に算定するのがより合理的であると認められるところ、水道使用量は2か月単位であるから、平成19年1月の水道使用量を合理的に算定することは困難である。
 他方、請求人が営む店舗型性風俗特殊営業では、客及びコンパニオンは必ずバスタオルを使用し、客数に応じてバスタオルの使用枚数も増減すると認められるから、相当程度の期間をとって比較すれば、客数とバスタオルの使用枚数によって推計する方法には合理性があると認められるところ、請求人についてもバスタオルの納入期間は相当程度の期間といえることから、本件各事業年度の売上金額を、バスタオルの使用枚数によって推計する方法が合理的であると認められる。

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