ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例要旨 >> 法人税法関係 >> 損金の額の計算
損金の額の計算
外国銀行本店から供給される資金に係る内部利息のうち公定歩合による利息を超える部分の金額を否認した事例
裁決事例集 No.11 - 43頁
外国銀行本店から供給される資金に係る内部利息は、収益に対応する売上原価等に相当するもので、その利率は本店が資金調達に要した実際利率によるのが相当であることから、実際利率を上回る公定歩合によって計算した利息を超える部分の金額を否認した原処分は相当である。
昭和50年12月17日裁決
在外支店を経由して取り入れたユーロダラーに付すべき支払利息の利率は在外支店が借入依頼を承諾した日のロイターレートによるとした事例
裁決事例集 No.12 - 29頁
金銭消費貸借に係る利率の約定は、一般的に契約の際当事者間において取り決められるところである。請求人がロンドン支店にユーロダラー資金調達による借入れを依頼するとき希望利率を申し入れ、ロンドン支店が当該借入依頼を承諾したときには貸付利率を示しており、当事者間の約定は、ロンドン支店が承諾した日に成立したものと認めるのが相当であるから、国内源泉所得に係る売上原価とすべき当該借入資金に係る支払利息は、支店間の約定が成立した日のロイターレートによることが相当である。
昭和51年5月26日裁決
外国法人の日本支店に配賦された本店勤務役員の賞与相当額は損金の額に算入できないとした事例
裁決事例集 No.26 - 143頁
租税条約第7条第3項の規定については、同条第2項のいわゆる独立企業の原則の規定を受けて、「恒久的施設のために生じた費用は発生の場所のいかんを問わない」旨を明確にした確認規定と解されており、これは法人税法施行令第188条第1項第1号の国内源泉所得に係る費用は「合理的な基準を用いて国内において行う事業に配分されたものに限る」旨の規定と本質的には同趣旨のものとみるのが相当である。
したがって、請求人が係争年度において、日本支店に配賦した本店経費中に含まれている役員賞与については、法人税法第142条の規定によって同法第35条第1項の規定が適用されることは明らかであるから、国内源泉所得の金額の計算上、これを損金の額に算入することはできない。
昭和58年4月26日裁決
銀行業における貸付資金の調達原価の額について、ある取入店の原価の額をロイターレートにより算定した場合、その超過額を他の取入店の不足額と相互に通算することはできないとした事例
裁決事例集 No.39 - 308頁
資金取入店における調達原価の額として損金の額に算入される金額は、実際調達原価の額(又はこれに代わるものとしての仮定計算上の調達原価の額)を限度とすべきであるから、不足額の生じた資金取入店の当該不足額と超過額の生じた資金取入店の当該超過額とを相互に通算することは、不足額の生じた資金取入店の実際調達原価の額に内部利益相当額を加算した金額を損金の額に算入することとなるので、現行の法解釈としては到底認められない。
平成2年2月5日裁決
外国保険会社の駐在員事務所に係る経費の一部は、国内源泉所得の金額の計算上損金の額に算入すべきものとした事例
裁決事例集 No.39 - 322頁
外国保険会社に係る本件駐在員の事業活動は、駐在員事務所開設届の記載にかかわらず、日本及び太平洋地域の営業体制の強化のための分析、研究等本店のための補助活動にとどまるものではなく、日本支店の所得の稼得のために行われたものと認められ、駐在員経費の額に駐在員の実働時間のうちに日本支店の業務に関する時間の占める割合を乗じて計算した金額は、日本支店に係る国内源泉所得の金額の計算上損金の額に算入するのが相当である。
平成2年6月7日裁決