(平成28年3月7日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、敷地権付き区分建物の所有権保存登記を受けた後、納付した登録免許税の課税標準額が過大であったとして行った還付通知請求について、原処分庁が請求人の納税地の所轄税務署長に対し還付通知をすべき理由がない旨の通知処分を行ったことから、請求人が、同処分の全部の取消しを求めた事案である。

(2) 審査請求に至る経緯及び基礎事実

 以下の事実は、請求人と原処分庁との間に争いがなく、当審判所の調査の結果によっても、その事実が認められる。

イ 請求人は、売買により取得した別紙「不動産目録」記載の敷地権付き区分建物(以下、このうち「敷地権の目的である土地の表示」記載の土地の符号1の土地を「本件1土地」、同2の土地を「本件2土地」、同3の土地を「本件3土地」といい、これらを併せて「本件各土地」という。)の所有権保存登記を受けるため、共有者であるE(なお、上記敷地権付き区分建物の持分は、請求人が100分の63であり、Eが100分の37である。)とともに、平成26年11月26日、登記申請書(以下「本件登記申請書」といい、本件登記申請書による登記申請を「本件登記申請」という。)に、登録免許税の課税価格○○○○円(内訳:建物○○○○円、敷地権○○○○円)、登録免許税○○○○円(内訳:建物○○○○円、敷地権○○○○円)と記載し、当該税額に相当する金額の収入印紙を貼付して、これをB地方法務局g支局に提出することにより、登録免許税を納付し、所有権保存登記を受けた(以下「本件登記」という。)。
 なお、登録免許税額の算出過程については、別表1記載のとおりである。

ロ 本件登記申請書に添付された、a県b市長(以下「b市長」という。)発行の「固定資産(土地・家屋)評価証明書」(以下「本件評価証明書」という。)には、「平成26年度評価額」欄に、本件各土地の平成26年1月1日現在における台帳価格(地方税法第341条《固定資産税に関する用語の意義》第9号に掲げる固定資産課税台帳に登録された不動産の価格をいう。以下同じ。)について、本件1土地が○○○○円、本件2土地が○○○○円、本件3土地が○○○○円と記載されている(以下、これらの価額を、併せて「本件各平成26年度評価額」という。)。また、同証明書の「登記地目」及び「現況地目」欄には、それぞれ「雑種地」、「備考」欄には、それぞれ「近傍類似価額宅地1平方メートル当り○○○○円」(以下、この価額を「本件近傍類似価額」という。)と記載されていた。

ハ 原処分庁は、本件登記申請の時における本件各土地の地目が宅地であるところ(平成26年10月21日に雑種地から宅地へ地目変更登記)、本件評価証明書記載の地目が雑種地であったことから、本件各土地の価額を、本件評価証明書に記載された台帳価格によらず、本件近傍類似価額に地積を乗ずる方法により、別表1の「3不動産の価額」欄記載のとおり算定し、その合計額○○○○円に、請求人及びEが有する敷地権(以下「本件敷地権」という。)の割合404,723分の7,531を乗じ、課税標準たる本件敷地権の価額を○○○○円(課税標準の金額○○○○円)と認定した。

ニ b市長は、請求人及びEに対し、平成27年5月15日付で「平成27年度固定資産税・都市計画税納税通知書」を送付した。
 なお、当該通知書と併せて交付された「平成27年度固定資産税・都市計画税課税資産明細」には、本件各土地の地目が宅地であること及び本件各土地の評価額として、本件1土地が○○○○円、本件2土地が○○○○円、本件3土地が○○○○円と記載されていた(以下、これらの価額を併せて「本件各平成27年度評価額」という。)。

ホ 請求人は、別表2記載のとおり、本件敷地権の課税標準の金額は○○○○円であり、登録免許税の額は○○○○円であるから、既に納付した登録免許税○○○○円との差額○○○○円が過大であるとして、登録免許税法第31条《過誤納金の還付等》第2項の規定に基づき、平成27年6月11日に、原処分庁に対し、請求人の納税地の所轄税務署長に還付通知をすべき旨の請求をした。
 なお、本件登記に係る区分建物の登録免許税の課税標準の金額(○○○○円)及びその税額(○○○○円)に、争いはない。

ヘ 原処分庁は、上記ホの請求に対し、平成27年6月15日付で還付通知をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をした。

ト 請求人は、本件通知処分を不服として、平成27年6月22日に審査請求をした。

チ 共有者であるEは、請求人と同様の理由で、平成27年9月10日に、原処分庁に対し、還付通知をすべき旨の請求をしたところ、原処分庁は、平成27年9月16日付で還付通知をすべき理由がない旨の通知処分をした。

リ 当審判所は、Eからの上記チの通知処分の取消しを求める審査請求(平成27年9月18日)について、国税通則法第104条《併合審理等》第1項の規定に基づき、本件と併合審理をする。

(3) 関係法令等の要旨

イ 登録免許税法関係

(イ) 登録免許税法第10条《不動産等の価額》第1項は、不動産の登記の場合における課税標準たる不動産の価額は、当該登記の時における不動産の価額による旨規定し、同条第2項は、前項に規定する登記をする場合において、当該登記が不動産の所有権の持分の取得に係るものであるときは、当該不動産の価額は、当該不動産の同条第1項の規定による価額に当該持分の割合を乗じて計算した金額による旨規定している。

(ロ) 登録免許税法第31条第1項第3号は、登記機関は、登記等を受けた者が過大に登録免許税を納付して登記等を受けたときは、遅滞なく、当該過大に納付した登録免許税の額その他政令で定める事項を登記等を受けた者(2人以上ある場合には、そのうち登記機関の選定した者)の当該登録免許税に係る納税地の所轄税務署長に通知しなければならない旨規定している。また、同条第2項は、登記等を受けた者は、当該登記等の申請書に記載した登録免許税の課税標準又は税額の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことにより、登録免許税の過誤納があるときは、当該登記等を受けた日から5年を経過する日までに、その旨を登記機関に申し出て、前項の通知をすべき旨の請求をすることができる旨規定している。

(ハ) 登録免許税法附則第7条《不動産登記に係る不動産価額の特例》は、不動産の登記の場合における同法第10条第1項の課税標準たる不動産の価額は、当分の間、当該登記の申請の日の属する年の前年12月31日現在又は当該申請の日の属する年の1月1日現在における当該不動産の台帳価格を基礎として政令で定める価額によることができる旨規定している。

(ニ) 登録免許税法施行令附則第3項は、登録免許税法附則第7条に規定する政令で定める価額は、台帳価格のある不動産については、次の各号に掲げる当該不動産の登記の申請の日の属する日の区分に応じ当該各号に掲げる金額に相当する価額とし、台帳価格のない不動産については、当該不動産の登記の申請の日において当該不動産に類似する不動産で台帳価格のあるものの次の各号に掲げる当該申請の日の区分に応じ当該各号に掲げる金額を基礎として当該登記に係る登記機関が認定した価額とする旨規定している。

第1号 登記の申請の日がその年の1月1日から3月31日までの期間内であるもの
 その年の前年12月31日現在における当該不動産の台帳価格に100分の100を乗じて計算した金額

第2号 登記の申請の日がその年の4月1日から12月31日までの期間内であるもの
 その年の1月1日現在における当該不動産の台帳価格に100分の100を乗じて計算した金額

(ホ) 登録免許税法施行令附則第4項は、不動産の登記で不動産の価額を課税標準とするものについて登録免許税を課税する場合において、登記官が当該登記の目的となる不動産について増築、改築、損壊、地目の変換その他これらに類する特別の事情があるため前項の規定により計算した金額に相当する価額を課税標準の額とすることを適当でないと認めるときは、同項の規定にかかわらず、登録免許税法附則第7条に規定する政令で定める価額は、同項の規定により計算した金額を基礎とし当該事情を考慮して当該登記官が認定した価額とする旨規定している。

(ヘ) 不動産登記の登録免許税課税標準価格の認定について(昭和60年3月1日1登4第217号B地方法務局長通達。以下「本件通達」という。)第1は、課税標準たる不動産の価格の認定は、登録免許税法第10条、同法附則第7条、同法施行令附則第3項及び第4項の規定によるほか、本件通達の定めるところによるものとする旨、第2の1(1)、(3)及び第2の2は、台帳価格のある土地については、その価格に相当する額とするが、登記簿の記載により、現況地目が変更していることが判然としている場合は、近傍類似の土地の固定資産評価格(台帳価格)を参考として定める旨、それぞれ定めている。

ロ 地方税法関係

(イ) 地方税法第388条《固定資産税に係る総務大臣の任務》第1項は、総務大臣は、固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を定め、これを告示しなければならない旨規定している。

(ロ) 固定資産評価基準(昭和38年12月25日付自治省告示第158号)第1章第3節は、宅地の評価は、各筆の宅地について評点数を付設し、当該評点数を評点1点当たりの価額に乗じて各筆の宅地の価額を求める方法によるものとする旨定め、また、各筆の宅地の評点数は、市町村の宅地の状況に応じ、主として市街地的形態を形成する地域における宅地については「市街地宅地評価法」によって付設するものとするとし、「市街地宅地評価法」による各筆の宅地の評点数は、路線価を基礎とし、「画地計算法」を適用して付設する旨定め、この場合において、市町村長は、宅地の状況に応じ、必要があるときは、「画地計算法」の附表等について、所要の補正をしてこれを適用するものとする旨定めている。

(4) 争点

 本件の争点は、本件通知処分の適法性であり、具体的には、原処分庁が認定した課税標準たる本件敷地権の価額が、本件登記の時における不動産の価額として過大であるか否かである。

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2 主張

(1) 請求人

 本件近傍類似価額は、固定資産評価の際の基準として用いる「路線価」であり、個別の土地の固定資産評価を求める際に本来行うべき土地の形状や地積を考慮して適用する各種の補正がされていない。それにもかかわらず、原処分庁は、本件近傍類似価額に本件各土地の地積を乗ずる方法により、本件各土地の価額を計算し、これを基に課税標準たる本件敷地権の価額を認定したため、本件各平成27年度評価額を基礎として課税標準たる本件敷地権の価額を求めた場合と比較して、負担する登録免許税に大きな差が生ずることとなり、このことは、税の公平を逸脱する結果となっている。
 したがって、原処分庁は、本件敷地権の価額の算定について、登録免許税法施行令附則第4項の規定に従い、本件各土地の形状や地積を考慮して認定した価額とすべきであるから、これを行っていない原処分庁が認定した課税標準たる本件敷地権の価額は、本件登記の時における不動産の価額として過大である。

(2) 原処分庁

 本件近傍類似価額は、固定資産課税台帳を管理し、固定資産税の課税標準を決定しているa県b市役所の担当課において、本件各土地の近傍類似の土地1平方メートル当たりの価額を本件評価証明書に付記したものである。そのため、原処分庁は、本件近傍類似価額を基に本件各土地の「宅地」としての評価額を適正に計算できると判断して、課税標準たる本件敷地権の価額を認定し、登録免許税を課税した。
 このように、年の途中で地目変更がされた土地について登記申請があった場合、近傍類似の土地の1平方メートル当たりの台帳価格に当該不動産の地積を乗じた金額をもって登録免許税の課税標準額を算出しており、同様の事案において統一的に同じ取扱いがされていることから、税負担の公平にかなうものである。
 したがって、原処分庁が認定した課税標準たる本件敷地権の価額は、本件登記の時における不動産の価額として適正である。

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3 判断

(1) 法令解釈等

 不動産の登記の場合における課税標準たる不動産の価額は、当該登記の時における不動産の価額(当該登記が所有権の持分の取得に係るものであるときは、当該持分の割合を乗じて計算した金額)によるものとされ(登録免許税法第10条第1項及び第2項)、上記の不動産の価額は、当分の間、当該不動産の台帳価格を基礎として政令で定める価額によることができるとされている(登録免許税法附則第7条)。これを受けて、登録免許税法施行令附則第3項は、登録免許税法附則第7条に規定する政令で定める価額は、台帳価格のある不動産については、台帳価格に100分の100を乗じて計算した金額に相当する価額とし、台帳価格のない不動産については、当該不動産の登記の申請の日において当該不動産に類似する不動産で台帳価格のあるもののその価格を基礎として当該登記に係る登記機関が認定した価額とする旨規定している。また、登録免許税法施行令附則第4項は、登記官が当該登記の目的たる不動産について増築、改築、損壊、地目の変換その他これらに類する特別の事情があるため同附則第3項の規定により計算した金額に相当する価額を課税標準の額とすることを適当でないと認めるときは、同項の規定にかかわらず、登録免許税法附則第7条に規定する政令で定める価額は、登録免許税法施行令附則第3項の規定により計算した金額を基礎とし当該事情を考慮して当該登記官が認定した価額とする旨規定し、本件通達は、台帳価格のある土地について、登記簿の記載により、現況地目が変更していることが判然としている場合は、近傍類似の土地の台帳価格を参考として定める旨定めている。
 このように、登録免許税の課税標準たる不動産の価額を台帳価格に基づいて求めることとしているのは、登記の時における不動産の客観的な価額を算出することは容易でなく、登記の都度、登記官において個々の不動産の価額を評価することは実際的でないばかりか、評価が区々となり課税の公平に反するおそれがある上、登録免許税の簡易迅速な確定を妨げ、ひいては登記の迅速処理の要請にも反することになることなどを考慮したことによるものと解される。
 そして、登記の目的となる土地について登録免許税法施行令附則第4項に規定する地目の変換があると認められる場合には、本件通達に基づき、課税標準たる当該土地の価額を、近傍類似の土地の台帳価格を参考として認定することとなるが、課税の公平を担保し、かつ、登記事務を迅速に処理するという観点から、このような一律の取扱いは当審判所においても相当であると認められる。
 そうすると、上記の方法で登記官が認定した課税標準たる土地の価額は、それが近傍類似の土地の適正な台帳価格を参考として合理的に算定されたものであれば、適法であると解するのが相当である。

(2) 認定事実

 当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。

イ 本件各土地は、奥行約53m、地積が9,651.37平方メートルの東西に長いほぼ長方形の一団の土地である。

ロ 本件各土地は、固定資産評価基準に定める市街地宅地評価法により評価する地域のうち普通住宅地区に区分されている地域に所在しているところ、本件各土地の南側にある道路に付された路線価の金額は、平成26年度が1平方メートル当たり○○○○円、平成27年度が1平方メートル当たり○○○○円である。
 なお、本件近傍類似価額として本件評価証明書に付記された1平方メートル当たりの価額(○○○○円)は、上記のとおり、平成26年度の路線価の金額であり、固定資産評価基準に定める画地計算法等による補正はされていないものである。

ハ 本件各平成26年度評価額は、b市長において、平成26年度の路線価の金額(○○○○円)に、画地計算法で定める奥行価格補正率(0.88)と雑種地としての広大地補正率(○○○○)を相乗した○○○○円を単価とし、これに本件各土地の地積を乗じたものである。

ニ 本件各平成27年度評価額は、b市長において、平成27年度の路線価の金額(○○○○円)に、画地計算法で定める奥行価格補正率(0.88)と宅地としての広大地補正率(○○○○)を相乗した○○○○円(小数点以下第2位未満切捨て)を単価とし、これに本件各土地の地積を乗じたものであり、平成27年度の本件各土地に係る台帳価格である。

ホ 本件各土地は、本件登記申請の時から平成27年度の固定資産税の賦課期日である平成27年1月1日までの間において、その利用状況及び形状等に差異はない。

(3) 当てはめ

イ 上記1(2)イ及びロのとおり、本件登記申請の日は平成26年11月26日であり、本件各土地はいずれも台帳価格のある土地であるから、登録免許税法施行令附則第3項第2号により、課税標準たる本件敷地権の価額は、本件各土地の同年1月1日現在の台帳価格に100分の100を乗じて計算した金額に本件敷地権の割合を乗じて計算した金額となるところ、上記1(2)ハのとおり、本件各土地については、同年10月21日に雑種地から宅地へ地目を変更する登記がされている。そのため、同施行令附則第4項に基づき、上記のとおり計算した金額を基礎とし地目の変換がされたことを考慮して登記官が認定した価額が課税標準たる本件敷地権の価額となるが、原処分庁が本件通達に従い、本件各土地に係る近傍類似の土地の適正な台帳価格を参考として、本件各土地の価額を合理的に算定していると認められれば、これを前提に算定された本件敷地権の価額は適法に算定されたといえることとなる。

ロ 原処分庁は、上記1(2)ハのとおり、本件近傍類似価額に本件各土地の地積を乗じ、その価額に敷地権の割合を乗じて、課税標準たる本件敷地権の価額を認定したところ、本件近傍類似価額は本件各土地の平成26年度の路線価の金額そのものであり、画地計算法等に基づく補正がされていないことは上記(2)ロのとおりである。
 ところが、上記(2)イ、ハ及びニによれば、本件各土地は、奥行約53m、地積が9,651.37平方メートルの土地であり、b市長は、本件各平成26年度評価額を算定する際にも、本件各平成27年度評価額を算定する際にも、路線価の金額について固定資産評価基準に定める画地計算法等による補正(奥行価格補正と広大地補正)をしていることが認められる。また、登録免許税法施行令附則第4項に該当する場合には、本件通達の第2の2で「近傍類似の土地の固定資産評価格を参考として定める」と定めているのであるから、このような場合の登録免許税の課税標準の額を求めるに当たっては、当該土地の事情を考慮して定めることになる。これらの事情に照らせば、本件敷地権の価額を算定するに当たり、本件近傍類似価額を基に、本件各土地の形状等に応じて画地計算法等に基づく補正を行った上で、本件各土地の価額を算定するのが相当というべきである。
 したがって、画地計算法等に基づく補正がされていない本件近傍類似価額に、本件各土地の形状等に応じた固定資産評価基準による所要の調整を行うことなく、本件各土地の価額を算定した原処分庁の認定が、合理的なものとは認めることができない。

ハ そこで、当審判所において、課税標準たる本件敷地権の価額を算定する。
 上記(2)ニの各補正率(奥行価格補正率0.88及び広大地補正率○○○○)は、平成27年1月1日現在における本件各土地の台帳価格を算出した際の補正率であるところ、上記(2)ホのとおり、本件登記申請の時から平成27年1月1日までの間において、本件各土地の利用状況や形状等に差異は認められないから、課税標準たる本件敷地権の価額を算出するに当たっては、当該各補正率を本件登記の時における補正率として適用することが相当である。
 そうすると、課税標準たる本件敷地権の価額は、平成26年度の路線価の金額に上記各補正率を乗じ、その価額に本件各土地の地積及び敷地権割合を乗じて算定することとなるから、本件敷地権に係る課税標準の金額は、別表3の「本件敷地権に係る課税標準の金額」欄記載のとおり○○○○円となる。

ニ したがって、原処分庁が認定した本件敷地権に係る課税標準の金額は、本件登記の時における不動産の価額として過大である。

(4) 本件登記申請における登録免許税の額

 上記(3)のとおり、本件敷地権に係る課税標準の金額は○○○○円となるから、本件登記申請における登録免許税の額は、別表3の「税額」の「合計」欄記載のとおり、○○○○円(100円未満切捨て)となる。

(5) 結論

 以上によれば、請求人及びEが既に納付した登録免許税の額○○○○円のうち、上記(4)で認定した○○○○円との差額○○○○円は過大に納付されたこととなるから、請求人の納税地の所轄税務署長に対し還付通知をすべき理由がないとした本件通知処分は違法であり、これを取り消すべきである(なお、過大に納付された登録免許税の額(○○○○円)は、請求人及びEの持分の合計に対するものである。)。

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