(平成30年1月30日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

本件は、相続税の期限後申告をした審査請求人(以下「請求人」という。)が、原処分庁の調査に基づき当該期限後申告において申告していなかった相続財産について修正申告をしたところ、原処分庁が、当該相続財産を申告しなかったことに国税通則法第68条《重加算税》第2項に規定する隠ぺいの事実が認められるとして重加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が当該隠ぺいの事実はないとして、その全部の取消しを求めた事案である。

(2) 関係法令の要旨

  • イ 国税通則法(平成28年法律第15号による改正前のもの。以下「通則法」という。)第66条《無申告加算税》第1項第2号は、期限後申告書の提出があった後に修正申告書の提出があった場合には、当該納税者に対し、その修正申告書の提出に基づき納付すべき税額に100分の15の割合を乗じて計算した金額に相当する無申告加算税を課する旨規定するとともに、同項ただし書において、期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない旨規定している。
      また、通則法第66条第2項は、同条第1項の規定に該当する場合において、同項に規定する納付すべき税額が50万円を超えるときは、同項の無申告加算税の額は、同項の規定にかかわらず、同項の規定により計算した金額に、当該超える部分に相当する税額に100分の5の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする旨規定している。
     そして、通則法第66条第4項は、同法第65条《過少申告加算税》第4項の規定は同法第66条第1項第2号の場合について準用する旨規定し、同条第4項が準用する同法第65条第4項は、同条第1項又は第2項に規定する納付すべき税額の計算の基礎となった事実のうちにその修正申告前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて正当な理由があると認められるものがある場合には、これらの項に規定する納付すべき税額からその正当な理由があると認められる事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除して、これらの項の規定を適用する旨規定している。
  • ロ 通則法第68条第2項は、同法第66条第1項の規定に該当する場合において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき法定申告期限後に納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に100分の40の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する旨規定している。

(3) 基礎事実及び審査請求に至る経緯

当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

  • イ 請求人の父であるF(以下「本件被相続人」という。)は、平成26年5月○日に死亡し、相続が開始した(以下、当該相続を「本件相続」という。)。なお、本件相続に係る法定申告期限は平成27年3月○日であり、相続人は請求人のみである。
  • ロ 本件被相続人は、生前、別表1のとおり、自らを契約者及び被保険者とする合計5口の生命保険契約を締結していた。
  • ハ 請求人は、平成26年6月から同年9月にかけて、本件被相続人の取引金融機関において、本件被相続人名義の預貯金等についての相続による承継手続及び当該承継した預貯金等に係る本件相続が開始した日現在の残高証明書の交付申請手続を行った。
  • ニ 請求人は、平成26年7月から同年9月にかけて、上記ロの各生命保険契約に係る保険金の支払請求手続を行い、当該各保険金について、次のとおり支払を受けた。
    • (イ) 別表1順号1「受取金額」欄記載の金額(以下「本件1保険金」といい、順号2から順号5までの各保険金についても同様に表記する。また、これらの保険金を併せて「本件各保険金」という。)は、平成26年8月21日、請求人名義のG銀行通常貯金口座(記号番号○○○○、以下「本件G口座」という。)へ振り込まれた。
    • (ロ) 本件2保険金は、平成26年9月11日に、本件3保険金は、同年9月12日に、本件4保険金及び本件5保険金は、いずれも同年9月5日に、それぞれ、請求人名義のH銀行○○支店普通預金口座(口座番号○○○○、以下「本件H口座」という。)へ振り込まれた。
  • ホ 請求人は、本件被相続人が生前締結していた互助年金信託契約(委託者兼元本受益者を本件被相続人、収益受託者を一般財団法人J、受託者をK信託銀行とする互助年金信託契約)に係る遺族一時金の給付請求手続を行い、これにより、平成26年9月25日に本件H口座へ振り込まれた別表2「受取金額」欄記載の金額(以下「本件遺族一時金」という。)について支払を受けた。
  • ヘ 請求人は、平成27年3月中旬、本件相続に係る相続税(以下「本件相続税」という。)の申告書の作成及びその申告手続をL税理士(以下「本件税理士」という。)に依頼し、本件被相続人名義の預貯金等の残高証明書、本件4保険金及び本件5保険金に係る各支払明細書等の書類とともに、自ら作成した本件相続に係る相続財産の一覧表(以下「本件税理士提出用一覧表」という。)を本件税理士に交付した。
  • ト 本件税理士は、上記への各書類を検討した結果、本件税理士提出用一覧表に本件被相続人名義のH銀行○○支店の外貨定期預金(評価額5,566,514円)及びH銀行○○支店の投資信託(評価額35,016,364円)(以下、これらを併せて「本件金融資産」という。)が記載されていないことに気付き、これらの財産を示す略称及びその評価額を本件税理士提出用一覧表に手書きで補記し、これを基に、別表3の「当初申告」欄(「無申告加算税の額」を除く。)のとおりの本件相続税の申告書(以下「本件申告書」という。)を作成した。
     なお、本件申告書には、本件税理士提出用一覧表に記載された本件3保険金、本件4保険金及び本件5保険金(本件税理士提出用一覧表における保険金等に関する記載内容は、別表4−1の「項目」欄及び「金額」欄のとおりである。)が本件相続に係る相続財産として記載されていた。
  • チ 請求人は、本件相続税の法定申告期限後である平成27年4月11日、本件申告書を原処分庁に提出して、本件相続税の期限後申告をした。
  • リ 原処分庁は、通則法第66条第1項及び第5項の規定に基づき、平成27年5月22日付で、別表3「当初申告」の「無申告加算税の額」欄のとおりの無申告加算税の賦課決定処分をした。
  • ヌ 原処分庁所属の調査担当職員(以下「本件調査担当職員」という。)は、平成28年10月20日、E税務署の庁舎内において、本件相続税に係る税務調査として請求人及び本件税理士と面談を行い、次のとおり聴取及び確認をした。
    • (イ) 請求人は、本件税理士提出用一覧表と同形式の本件相続に係る相続財産の一覧表(以下「本件手控え用一覧表」という。)を持参し、本件調査担当職員に提示した。本件手控え用一覧表には、本件税理士提出用一覧表に記載された相続財産のほか、その項目を「互助年金(J)」として本件遺族一時金は記載されていたが、本件1保険金及び本件2保険金については記載されていなかった(本件手控え用一覧表における保険金等に関する記載内容は、別表4−2の「項目」欄及び「金額」欄のとおりである。)。
    • (ロ) 請求人は、本件調査担当職員から、本件税理士が持参した本件税理士提出用一覧表に本件遺族一時金が記載されていないことを指摘され、その理由について、自分でも分からないが、本件税理士提出用一覧表は上書入力を繰り返し行って作成したものであるから、いつの時点で消えたかは覚えていないものの、本件税理士に渡す時には消えてしまっていた旨回答した。
    • (ハ) 請求人は、本件調査担当職員から、本件遺族一時金のほかに申告漏れとなっている財産がないかと問われ、自分で相続手続をしたものは全て申告した旨を回答し、M生命(以下「M生命」という。)との生命保険契約については、過去に本件被相続人の配偶者を被保険者とする契約があったが、当該配偶者が亡くなった時点では契約はなく、また、本件被相続人を被保険者とするM生命の保険もあったが、保険料の支払が滞ったことにより本件被相続人が亡くなる2年くらい前に失効した旨回答した。
    • (ニ) 請求人は、請求人が本件税理士に交付した書類であるとして、本件被相続人名義の預貯金の承継手続に関する書類、本件金融資産を含む本件被相続人名義の預貯金等に係る残高証明書、本件4保険金及び本件5保険金に係る支払通知書、○○○○の「お支払金額の内訳」などの各書類を本件調査担当職員に提示した。
    • (ホ) 上記(ニ)の各書類には、本件遺族一時金の支払に関する「互助年金年間給付額計算書(一時金又は終了)」及び「互助年金ご送金のお知らせ」と題する各書類が含まれており、当該各書類には、本件遺族一時金の送金金額のほか、本件遺族一時金の受取口座として本件H口座の情報(口座番号の一部について非表示)が記載されていた。
    • (ヘ) また、上記(ニ)の各書類には、本件1保険金、本件2保険金及び本件3保険金の支払金額等に関する通知書並びに本件G口座及び本件H口座の預金通帳は含まれていなかった。
  • ル 本件調査担当職員は、平成28年11月17日、本件税理士に対し、通則法第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項の規定に基づく調査結果の内容の説明を行い、本件1保険金及び本件2保険金(以下、本件1保険金と併せて「本件各無申告保険金」という。)並びに本件遺族一時金が本件相続に係る相続財産に当たる旨指摘した上、同条第3項の規定に基づき修正申告を勧奨したところ、請求人は、同月24日、別表3の「修正申告」欄のとおり記載した本件相続税の修正申告書を提出した。
  • ヲ 原処分庁は、平成28年12月2日付で、別表3の「賦課決定処分」欄のとおりの重加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をした。
  • ワ 請求人は、本件賦課決定処分に不服があるとして、平成29年2月14日に審査請求をした。

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2 争点

請求人が本件税理士提出用一覧表を作成した行為は、通則法第68条第2項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たるか否か。

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3 争点についての主張

(1) 原処分庁の主張

請求人は、本件相続の開始後、早い段階から本件相続税について検討し、本件相続に係る相続財産を正確に把握していたにもかかわらず、あえて本件各無申告保険金及び本件遺族一時金を記載しないで本件税理士提出用一覧表を作成したのであり、この行為は、通則法第68条第2項に規定する隠ぺい行為に当たる。
 請求人は、本件H口座の通帳の記載事項を基に本件税理士提出用一覧表を作成したところ、本件2保険金、本件3保険金及び本件遺族一時金が同時期に本件H口座に振り込まれ、その金額も高額であることからすれば、これらのうち本件3保険金のみを本件税理士提出用一覧表に記載し、本件2保険金及び本件遺族一時金を記載しなかったことは通常では考え難い。
 また、請求人は、本件調査担当職員に対して、本件各無申告保険金の資料を提示せず、その上、本件1保険金について、本件被相続人に係るM生命との間の生命保険契約は、平成24年頃に保険料の支払が滞り失効したため保険契約はない旨の虚偽の答弁を行った。これらの事実は、請求人があえて本件各無申告保険金及び本件遺族一時金を記載しないで本件税理士提出用一覧表を作成したことを裏付けるものである。

(2) 請求人の主張

請求人は、あえて本件各無申告保険金及び本件遺族一時金を記載しないで本件税理士提出用一覧表を作成したのではないから、本件税理士提出用一覧表を作成した行為は通則法第68条第2項に規定する隠ぺい行為に当たらない。
 請求人は、本件相続に係る相続財産の明細が判明する都度、当該財産の情報をパソコンに入力して一覧表として整理していたが、当該一覧表のデータの管理ミス又は情報を更新する際の誤った作業により、入力した情報を削除してしまい、その結果、本件税理士提出用一覧表から本件各無申告保険金及び本件遺族一時金の記載が漏れてしまったものであるから、そこに故意はない。
 また、請求人が、本件調査担当職員に対し、本件被相続人のM生命の保険はない旨申述したのは、本件被相続人が、生前、M生命の保険は保険料の未払により失効した旨述べていたことや、本件被相続人の妻も本件被相続人と時期を同じくして亡くなったことから、本件1保険金を本件被相続人の配偶者の保険であると勘違いしたことによるものである。

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4 当審判所の判断

(1) 法令解釈

通則法第68条第2項に規定する「隠ぺいし」とは、課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、これを隠匿しあるいは故意に脱漏することをいい、「仮装し」とは、所得、財産あるいは取引上の名義等に関し、あたかもそれが真実であるかのように装う等、故意に事実をわい曲することをいうものと解される。

(2) 認定事実

請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、次の事実が認められる。

  • イ 本件H口座及び本件G口座は、本件相続の開始前から、請求人が自らの保険料やクレジットカード利用料金又は自宅マンションの管理料等の支払のために日常的に使用していた口座である。
     なお、本件G口座は、本件相続により請求人が承継した本件被相続人名義の定額貯金を振り替えた際の振替先口座であって、当該定額貯金は本件申告書において申告されている。
  • ロ 本件1保険金に係る生命保険契約の特約部分は、保険料の未払により平成20年6月24日に失効した。
  • ハ 請求人は、上記1(3)ヌの税務調査の際、持参した資料を全て確認させてほしい旨の本件調査担当職員からの求めに応じ、特にちゅうちょすることもなく、同職員に本件手控え用一覧表を提示した。

(3) 検討

  • イ 上記1(3)ニ及びホ並びに上記(2)イのとおり、請求人は、自ら手続を行って本件各無申告保険金及び本件遺族一時金の支払を受け、これらの存在及び金額を認識していたものと認められ、また、それらの合計額は13,046,999円であって、本件申告書に記載された各保険金(本件3保険金、本件4保険金及び本件5保険金)の合計額が10,685,885円であることと比較しても高額であること、本件各無申告保険金及び本件遺族一時金は、請求人が日常的に使用していた本件H口座及び本件G口座に、本件申告書に記載された各保険金と同時期に入金されたものであることからすれば、本件各無申告保険金及び本件遺族一時金は、本件相続税の申告を行う上で失念しやすい相続財産ではなかったといえる。
  • ロ 他方、上記(2)イのとおり、本件各無申告保険金及び本件遺族一時金が振り込まれた本件H口座及び本件G口座は、いずれも本件相続の開始前から請求人が日常的に使用していた口座であることに加え、上記1(3)ニ(ロ)及び上記1(3)トのとおり、本件H口座には、本件申告書において申告された本件3保険金、本件4保険金及び本件5保険金も振り込まれていること、上記(2)イのとおり、本件G口座には、本件相続により請求人が承継した本件被相続人名義の定額貯金が振り替えられていることからすれば、これらの口座は、原処分庁においてその存在を容易に把握し得るものということができる。
     また、上記1(3)ヌ(イ)及び上記(2)ハのとおり、請求人は、税務調査時において、本件遺族一時金の記載のある本件手控え用一覧表を特にちゅうちょすることもなく本件調査担当職員に提示したことのほか、上記1(3)ヌ(ニ)及び(ホ)のとおり、本件遺族一時金の支払に関する書類についても同職員に提示するなど、税務調査に協力的な姿勢を示していたことが認められる。そして、上記1(3)ヌ(ロ)のとおり、請求人は、本件税理士提出用一覧表に本件遺族一時金の記載がない理由について、上書入力を繰り返し行ったため消えてしまった旨の説明をしているところ、この説明は上記の請求人の態度等に照らして不自然ではなく、一応合理的であるといえる。
  • ハ 上記ロの各事実に照らせば、上記イの各事実が認められるとしても、請求人が、本件相続に係る相続財産を正確に把握していたにもかかわらず、あえて本件各無申告保険金及び本件遺族一時金を記載せずに本件税理士提出用一覧表を作成したとの事実を推認することはできず、ほかにこの事実を認めるに足りる証拠はない。
     したがって、請求人が本件税理士提出用一覧表を作成した行為は、本件各無申告保険金及び本件遺族一時金の存在を隠匿したとか、故意にわい曲したものと評価することはできず、通則法第68条第2項に規定する隠ぺい又は仮装の行為に当たらないといわざるを得ない。

(4) 原処分庁の主張について

  • イ 原処分庁は、請求人が本件相続に係る相続財産を正確に把握していたにもかかわらず、あえて本件各無申告保険金及び本件遺族一時金を記載しないで本件税理士提出用一覧表を作成したと主張し、これを裏付ける事実として、請求人が、本件調査担当職員に対して、本件各無申告保険金に係る資料を提示しなかったことや本件被相続人に係るM生命との間の生命保険契約が失効した旨の虚偽の答弁を行ったことを主張する。
     しかしながら、上記1(3)ヌのとおり、本件調査担当職員は、請求人との面談をE税務署の庁舎内で一度行っただけにすぎない上、本件相続税に係る税務調査を通し、請求人に対して本件各無申告保険金に係る資料の提示を求めた事実も認められず、むしろ上記(3)ロの請求人の態度に照らせば、請求人があえて本件各無申告保険金に係る資料を提示しなかったものと認めることはできない。そして、M生命との生命保険契約が失効した旨の請求人の答弁については、上記(2)ロのとおり、本件1保険金の特約契約が本件相続の開始時点で現に失効しており、請求人が主張するような誤解に基づくものであることを否定できないことからすれば、原処分庁が主張するこれらの事実は、請求人があえて本件各無申告保険金及び本件遺族一時金を記載しないで本件税理士提出用一覧表を作成したことを裏付けるものとはいえない。
  • ロ また、原処分庁は、本件2保険金、本件3保険金及び本件遺族一時金が同時期に本件H口座に振り込まれたことなどからすれば、本件3保険金のみを本件税理士提出用一覧表に記載し、本件2保険金及び本件遺族一時金を記載しなかったことは通常では考え難い旨主張する。
     しかしながら、上記の原処分庁の主張は、請求人が当初から本件税理士提出用一覧表のデータとして本件2保険金及び本件遺族一時金に係る情報を入力しなかったことを前提とするものであるところ、請求人は、これに対し、本件税理士提出用一覧表の作成過程におけるデータの管理ミス又は情報を更新する際の誤った作業により、入力した情報を削除してしまった旨反論する。そして、上記1(3)ヌ(ロ)のとおり、請求人は、本件税理士提出用一覧表に本件遺族一時金が記載されていないことを本件調査担当職員から指摘された当日にもおおむね同趣旨の説明をしており、上記(3)ロのとおり、この説明は一応の合理性を有する上、請求人による本件税理士提出用一覧表の作成過程については不明というほかないのであるから、請求人が本件2保険金及び本件遺族一時金に係る情報を一度入力した後に、誤って削除してしまったという可能性を否定することができない。
  • ハ したがって、原処分庁の主張は、いずれも採用することはできない。

(5) 本件賦課決定処分の適法性について

上記(3)ハのとおり、請求人が本件税理士提出用一覧表を作成した行為は隠ぺい又は仮装の行為に当たらないから、請求人につき、通則法第68条第2項所定の重加算税の賦課要件を満たさない。他方、請求人につき、通則法第66条第1項前段及び第2項所定の要件を充足するところ、期限内申告書の提出がなかったことについて、同条第1項ただし書に規定する「正当な理由」があるとは認められず、また、修正申告により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が、修正申告前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、同条第4項が準用する通則法第65条第4項所定の「正当な理由」があるとも認められない。そして、本件賦課決定処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所において、請求人が納付すべき無申告加算税の額を計算すると、別紙「取消額等計算書」のとおりであると認められる。
 したがって、本件賦課決定処分のうち無申告加算税相当額を超える部分は違法である。

(6) 結論

以上によれば、審査請求には理由があるから、原処分の一部を別紙「取消額等計算書」のとおり取り消すこととする。

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