(平成30年10月1日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、証券会社が実施した国債購入キャンペーンの景品として受領した金員を一時所得として、また、公益財団法人等への寄附金について、あるものについては租税特別措置法第41条の18の3《公益社団法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する税額控除を適用し、別のものについては所得税法第78条《寄附金控除》第1項に規定する所得控除を適用して、平成28年分の所得税等の確定申告をしたところ、原処分庁が、当該金員は雑所得に該当し、また、当該各寄附金について上記税額控除規定と所得控除規定とを別々に選択して適用することは認められないとして、更正処分をしたのに対し、請求人が、その全部の取消しを求めた事案である。

(2) 関係法令

関係法令は別紙のとおりである。なお、別紙で定義した略語については、以下、本文及び別表においても使用する。

(3) 基礎事実及び審査請求に至る経緯

当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

  • イ 国債購入キャンペーンの景品として受領した金員について
    • (イ) F証券(以下「本件証券会社」という。)は、個人向け国債を販売するに当たり、国債の購入金額に応じて現金をプレゼントするキャンペーン(以下「本件キャンペーン」という。)を実施した。
       本件キャンペーンの概要は、次のとおりである。
      • A 本件キャンペーンの期間
         平成28年○月○日から同年○月○日まで
      • B 本件キャンペーンの内容
        • (A) 平成28年○月募集の個人向け国債のうち、10年債あるいは5年債を購入した者に対して、対象金額(50万円以上)に応じて漏れなく現金をプレゼントする。
           対象金額とは、平成28年○月募集の個人向け国債のうち、10年債あるいは5年債の購入金額の合計金額から、同年○月○日から同年○月○日までの期間に売却された一定の個人向け国債(10年債、5年債及び3年債)の額面金額を差し引いた金額をいう。
        • (B) プレゼントする現金は、対象金額が1,000万円の場合、5万円であり、以降、対象金額が100万円増額するごとに5,000円追加する。
        • (C) プレゼントは、平成28年○月中旬頃に顧客が本件証券会社に開設した口座に入金する。プレゼント入金時に当該口座を廃止する手続がされている場合には、プレゼントを交付しない。
    • (ロ) 請求人は、本件キャンペーンの期間中に本件証券会社から個人向け国債(10年債)を3,000万円で購入(平成28年○月25日約定)し、同年○月6日、本件証券会社から、本件キャンペーンの景品として15万円(以下「本件収入」という。)を受領した。
  • ロ 公益財団法人等に対する寄附について
    • (イ) 請求人は、平成28年4月22日、公益財団法人G協会(以下「G協会」という。)に3,000円を寄附し(以下「協会寄附金」という。)、同日付の寄附金受領証明書(以下「協会証明書」という。)を受領した。
    • (ロ) 請求人は、平成28年11月14日、社会福祉法人d県共同募金会(以下「共同募金会」という。)に500円を寄附し(以下「募金会寄附金」といい、協会寄附金と併せて「本件各寄附金」という。)、同日付の領収書(以下「募金会領収書」という。)を受領した。なお、募金会領収書には、請求人の住所の記載がなかった。
    • (ハ) 本件各寄附金は、いずれも、本件税額控除規定の第1号の規定に該当する特定寄附金である。
  • ハ 請求人の確定申告について
    • (イ) 請求人は、平成28年分の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)について、本件収入を一時所得(一時所得の金額は零円)とし、協会寄附金に本件税額控除規定を、募金会寄附金に本件寄附金控除規定を適用して、確定申告書に別表の「確定申告」欄のとおり記載し、法定申告期限までに確定申告した(以下、当該申告を「本件申告」といい、本件申告に係る確定申告書を「本件申告書」という。)。
    • (ロ) 請求人は、本件各寄附金に関するものとして、本件申告書に次の各書面を添付した。
      • A 募金会領収書及び協会証明書
      • B G協会が、本件税額控除規定の第1号に規定する「その運営組織及び事業活動が適正であること並びに市民から支援を受けていることにつき政令で定める要件」(措置法施行令第26条の28の2第1項に規定する要件をいう。)を満たしていることを証明する書類(税額控除に係る証明書)の写し
      • C 公益社団法人等寄附金特別控除額の計算明細書(本件計算明細書)
         本件計算明細書の「公益社団法人等寄附金の内訳」欄には協会寄附金に係る記載が、本件申告書の「政党等寄附金等特別控除」欄には「1200」との記載があることから、本件申告において、所得税の額から、公益社団法人等寄附金特別控除額として1,200円(協会寄附金の40%相当額)が控除されていることが分かる。
  • ニ 原処分庁は、平成29年9月27日付で、請求人に対し、本件収入は、雑所得に該当するとして、また、協会寄附金には本件税額控除規定を適用することが認められず、本件寄附金控除規定が適用されるとして、別表の「更正処分」欄のとおりとする更正処分(以下「本件更正処分」という。)をした。
  • ホ 請求人は、平成29年11月6日、本件更正処分を不服として審査請求をした。

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2 争点

  • (1) 争点1(請求人の本件収入に係る所得が雑所得に該当するか一時所得に該当するか。)
  • (2) 争点2(協会寄附金について、本件税額控除規定を適用することが認められるか否か。)

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3 争点についての主張

(1)争点1(請求人の本件収入に係る所得が雑所得に該当するか一時所得に該当するか。)について

原処分庁 請求人
  • イ 所得税法第34条第1項に規定する「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質」を有する場合とは、広く給付が抽象的、一般的な役務行為に密接・関連してされる場合をも含むものと解される。
  • イ 国債の購入という行為は、代金を支払って、国債を譲り受ける行為であって、資産の譲受けであり、「労務その他の役務」にも「資産の譲渡」にも該当しない。
  • ロ 本件収入は、本件キャンペーンの対象となる国債を購入した者に対して交付されるものであり、国債の購入という行為に密接に関連したものである。
  • ロ また、本件収入は、本件証券会社の一方的な方針に基づいてその都度決められるものであって、対価としての性質を有しない。
  • ハ したがって、本件収入は、労務その他の役務の対価としての性質を有しているものと認められ、一時所得には該当せず雑所得に該当する。
  • ハ したがって、本件収入は、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものに当たるから、一時所得に該当する。
     租税法律主義は、公権力による恣意的な課税から国民を守る意味があり、課税要件の規定は厳格に解することが求められている。原処分庁の法令解釈は、荒っぽい拡張解釈であり、その解釈を前提にすると、競馬の馬券の払戻金、懸賞の賞金品及び生命保険契約に基づく一時金、遺失物拾得者や埋蔵物発見者が受ける報労金に係る所得も一時所得に該当しないこととなることから、担税力や租税の公平負担の観点からも、このような拡張解釈を正当化する理由は認められない。

(2) 争点2(協会寄附金について、本件税額控除規定を適用することが認められるか否か。)について

請求人 原処分庁
  • イ 措置法第41条の18の3第2項及び措置法施行規則第19条の10の5第11項は、確定申告書に寄附者の氏名及び住所が記載された領収書の添付がある場合に限り、本件税額控除規定を適用する旨規定している。募金会寄附金の領収書には、寄附者である請求人の住所が記載されていないため、本件税額控除規定は適用されず、募金会寄附金は、本件税額控除規定に規定する税額控除対象寄附金に該当しない。
  • イ 本件各寄附金は、いずれも特定寄附金に該当し、かつ、共同募金会にはd県知事から、G協会には内閣総理大臣から、いずれも措置法施行令第26条の28の2第1項に規定する要件を満たしている旨の証明書が交付されているから、本件税額控除規定に規定する税額控除対象寄附金に該当する。
  • ロ 仮に、寄附者の住所が記載されていない共同募金会の領収書で、本件税額控除規定の適用を受けることができるとしても、本件税額控除規定は、「特定寄附金のうち、次に掲げるもの」から、本件寄附金控除規定の適用を受けるものを除外して、税額控除対象寄附金と規定していることから、本件寄附金控除規定を適用した募金会寄附金は、本件税額控除規定に規定する税額控除対象寄附金には該当しない。
  • ロ 本件税額控除規定が、その規定の対象となる税額控除対象寄附金を「その年中に支出した税額控除対象寄附金の額の合計額」と規定していることからすれば、その年中に支出した税額控除対象寄附金がある場合において、当該寄附金の一部について本件税額控除規定を適用し、残余の寄附金については本件寄附金控除規定の適用を受けるような部分選択はできないものと解される。
     そして、本件税額控除規定は、税額控除対象寄附金を定義するに当たり、「同条(所得税法第78条)第1項の規定の適用を受けるものを除く。以下この項において『税額控除対象寄附金』という。」と規定している。これは、税額控除対象寄附金について、特定寄附金として本件寄附金控除規定の適用を受けるか本件税額控除規定の適用を受けるかを選択することができることから、そのことを前提に、その重複適用を排除するためのものと解される。
     なお、昭和55年12月26日付直所3−20ほか「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて(法令解釈通達)」41の18の3−1《公益社団法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除の適用》は、本件税額控除規定において規定する上記の内容を留意的に明らかにしたものである。
  • ハ したがって、協会寄附金が、その年中に支出した本件税額控除規定に規定する税額控除対象寄附金の全額となり、協会寄附金に本件税額控除規定を適用することが認められる。
     寄附者の住所の記載がない領収書でも本件税額控除規定の適用を受けることができるとの原処分庁の解釈は、法令の規定に反するばかりでなく、法令の規定に従って寄附者の住所の記載がない領収書では税額控除は認められないと考え、やむを得ず所得控除を適用した納税者は損をし、たまたま原処分庁の解釈のような取扱いがあることを知って寄附者の住所の記載がない領収書をもって税額控除を適用した納税者は得をすることになり、公平公正を害する。
  • ハ 請求人は、本件申告書において、募金会寄附金について本件寄附金控除規定を適用し、協会寄附金については本件税額控除規定を適用しており、「その年中に支出した税額控除対象寄附金の額の合計額」を本件税額控除規定の適用対象としていない。
     したがって、請求人は、本件税額控除規定の適用要件を満たしていないこととなるため、協会寄附金については、本件税額控除規定を適用することが認められない。

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4 当審判所の判断

(1) 争点1(請求人の本件収入に係る所得が雑所得に該当するか一時所得に該当するか。)について

  • イ 法令解釈
     一時所得は、一時的、偶発的な所得であり、類型的に担税力が低いと考えられることから、一時所得の金額の計算に当たっては、一時所得の特別控除額が控除され(所得税法第34条第2項)、総所得金額の計算に当たっては、所得金額の2分の1に相当する金額のみが総所得金額に算入される(同法第22条《課税標準》第2項第2号)という担税力に見合った特別な取扱いがされている。
     所得税法が所得区分を設けて税額計算に差異を認めるのは、応能負担の原則を建前とするという同法の性格に由来するものと考えられる。そして、一時所得の特色が臨時的又は偶発的に発生する利得であるため、一般的には担税力が低いと考えられるというものであることからすれば、同法第34条第1項にいう労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質とは、給付が具体的又は特定的な役務行為に対応する等価の関係にある場合に限られるものではなく、広く給付が抽象的又は一般的な役務行為に密接に関連してされる場合を含むものと解するのが相当である。
  • ロ 当てはめ
     本件キャンペーンは、本件証券会社が個人向け国債の10年債あるいは5年債を購入した者に対して、その購入額の多寡に応じて、一定の要件を満たす者に現金をプレゼントするというもの(上記1の(3)のイの(イ))であるから、本件収入は、偶発的に発生したものではなく、請求人が、一定の期間に個人向け国債を購入し、本件キャンペーンの景品として交付される金員が入金されるまで本件証券会社に開設した口座を維持することなど、本件キャンペーンが適用される要件を満たした結果、交付されたものである。
     そうすると、本件収入と上記の行為は密接に関連していると認めるのが相当であり、本件収入は、役務の対価としての性質を有するものと認められる。
     したがって、本件収入に係る所得は、所得税法第34条第1項に規定する「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」には該当しないから、本件収入に係る所得は一時所得に該当せず、また、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得のいずれにも該当しないから雑所得に該当する。
  • ハ 請求人の主張について
     請求人は、上記3の(1)の「請求人」欄のとおり、国債の購入という行為は、「労務その他の役務」にも「資産の譲渡」にも該当せず、また、本件収入は、本件証券会社の一方的な方針に基づいて決められるものであって、対価としての性質を有しない旨主張する。
     しかしながら、本件収入が「労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないもの」に該当しないことについては、上記ロのとおりである。
     また、請求人は、原処分庁の法令解釈を前提とすると、競馬の馬券の払戻金などの所得も一時所得に該当しないこととなり、当該法令解釈は、担税力や租税の公平負担の観点からも正当化する理由はない旨主張するが、請求人が主張するこれらの所得は、偶発的所得という要素が認められるのに対し、本件収入は、偶発的に発生したものではなく、上記ロのとおり、役務行為の対価としての性質を有するものと認められることから、請求人が主張するこれらの所得と本件収入の性質は異なるものである。
     したがって、請求人の主張は、いずれも採用することはできない。

(2) 争点2(協会寄附金について、本件税額控除規定を適用することが認められるか否か。)について

  • イ 法令解釈
    • (イ) 本件税額控除規定は、「個人が支出した所得税法第78条第2項に規定する特定寄附金のうち、次に掲げるもの(同条第1項の規定の適用を受けるものを除く。以下この項において『税額控除対象寄附金』という。)については、(以下略)」と規定している。ここでいう「次に掲げるもの」とは、文理上、個人がその年中に支出した本件税額控除規定の第1号及び第2号に規定する全ての特定寄附金を指すと解することが相当である。
       これを前提とすると、本件税額控除規定の「同条第1項の規定の適用を受けるものを除く」という部分の「もの」については、1「次に掲げるもの」と同意と解し、「個人が支出した所得税法第78条第2項に規定する特定寄附金のうち本件税額控除規定の第1号及び第2号に該当する全ての特定寄附金」とするか、又は2「次に掲げるもの」と同意と解することなく、「個人が支出した所得税法第78条第2項に規定する特定寄附金のうち本件税額控除規定の第1号及び第2号に該当する任意のもの」とするかのいずれかになるものと考えられる。
       ところで、法律において、課税要件及び租税の賦課・徴収手続に関する定めをする場合には、その定めはなるべく一義的で明確でなければならないとされている。そして、本件税額控除規定は、特別控除額の算定過程に係る要件を定めた規定であり、その算定の要素として、「その年中に支出した特定寄附金等の金額」や「税額控除対象寄附金の額」を規定している。
       そうすると、仮に、本件税額控除規定の「同条第1項の規定の適用を受けるものを除く」という部分について、上記2の解釈によるのであれば、その算定過程が明確になるよう「同条第1項の規定の適用を受ける金額を除く」と規定するのが相当と考えられるが、本件税額控除規定が、「金額」という用語を使用せず、あえて「もの」という用語を使用していることからすると、本件税額控除規定の「同条第1項の規定の適用を受けるものを除く」という部分の「もの」の解釈について、上記2の解釈を採用するのは相当ではない。このことは、本件税額控除規定と同様の寄附金控除の規定である措置法第41条の18及び措置法第41条の18の2の各規定において、いずれも、第1項で、寄附に係る支出金を支出した年分の所得税につき第2項の税額控除の適用を受ける場合には、本件寄附金控除規定の適用はない旨(特定寄附金とみなすものから除く旨)を規定していて、当該寄附金の一部について、税額控除規定を部分的に適用することを認めておらず、措置法第41条の18の3の場合についてのみ別異に解する合理的な理由が見当たらないことからも明らかである。したがって、本件税額控除規定の「次に掲げるもの」と「同条第1項の規定の適用を受けるものを除く」という部分の「もの」とを同意と解し、いずれも、個人がある年中に支出した本件税額控除規定の第1号及び第2号の規定に該当する全ての特定寄附金を指していると解するのが相当である。
       以上によれば、個人がある年中に支出した本件税額控除規定の第1号及び第2号の規定に該当する特定寄附金のうちから任意のものについて本件寄附金控除規定を適用し、その他の特定寄附金に本件税額控除規定を適用することはできないというべきである。
    • (ロ) また、措置法第41条の18の3第2項は、本件税額控除規定は、確定申告書に、本件税額控除規定による控除を受ける金額についてのその控除に関する記載があり、かつ、一定の書類の添付がある場合に限り、適用する旨規定していることから、本件税額控除規定を適用する場合には、確定申告において、本件税額控除規定の第1号及び第2号の規定に該当する全ての特定寄附金について、同項に規定する申告手続を行わなければならないと解される。
  • ロ 当てはめ
     本件についてみると、本件各寄附金は、上記1の(3)のロの(ハ)のとおり、いずれも本件税額控除規定の第1号に規定する特定寄附金に該当するが、本件申告において、請求人は、同ハのとおり、協会寄附金について本件税額控除規定を適用しているものの募金会寄附金については、本件寄附金控除規定を適用し、措置法第41条の18の3第2項に規定する申告手続が行われていない。したがって、本件申告において、本件税額控除規定を適用することはできない。
     以上のことから、協会寄附金について、本件税額控除規定を適用することはできない。
  • ハ 請求人の主張について
     請求人は、上記3の(2)の「請求人」欄のとおり、募金会領収書には寄附者の住所が記載されていないため本件税額控除規定は適用されず、仮に、当該領収書で本件税額控除規定の適用を受けることができるとしても、本件税額控除規定は、本件寄附金控除規定の適用を受けるものを除外して税額控除対象寄附金と規定していることから、協会寄附金は平成28年中に支出した本件税額控除規定に規定する税額控除対象寄附金の全額となる旨、また、住所の記載がない領収書でも本件税額控除規定の適用を受けることができるとの解釈は法令に反するばかりでなく、当該領収書では税額控除が認められないと考えやむを得ず所得控除を適用した納税者が損をすることになり公平公正を害する旨主張する。
     しかしながら、措置法第41条の18の3第2項及び措置法施行規則第19条の10の5第11項は、本件税額控除規定を適用する場合の申告手続について規定したものであり、募金会寄附金について交付された領収書の記載内容により、本件税額控除規定の適用対象となる寄附金か否かが左右されるものではない。そして、別紙の2の(3)及び上記イのとおり、本件税額控除規定の適用対象となる寄附金であるか否かは、本件税額控除規定の第1号及び第2号の規定に該当する特定寄附金か否かによるものであり、本件税額控除規定を適用する場合には、確定申告において、当該特定寄附金の全てについての適用を前提とする申告手続をしなければならないのであるから、請求人の主張を採用することはできない。

(3) 本件更正処分の適法性について

上記(1)のロのとおり、本件収入に係る所得は雑所得に該当し、また、同(2)のイ及びロのとおり、協会寄附金は、本件税額控除規定を適用することが認められず、本件寄附金控除規定が適用される。これに基づき、請求人の平成28年分の所得税等の総所得金額及び納付すべき税額を算出すると、本件更正処分の金額といずれも同額となる。
 また、本件更正処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。
 したがって、本件更正処分は適法である。

(4) 結論

よって、審査請求には理由がないから、棄却することとする。

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